2017年7月6日更新

ロード・オブ・ザ・リングに出る寸前だった俳優20人!

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「ロード・オブ・ザ・リング」ガンダルフ、フロド
©︎ NEW LINE CINEMA / All Star Picture Library / Zeta Image

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1.ヴィン・ディーゼル(アラゴルン)

スキンヘッドのアクションヒーロー、ヴィン・ディーゼルはダンジョンやドラゴンが好きだと公言していますし、原作の大ファンでもあります。 ヴィンはスターになる前にアラゴルン役のオーディションを受けて落ちています。 オーディションは1999年頃に行われたのですが、その頃のヴィン・ディーゼルはセレブリティの地位を確立しておらず『プライベートライアン』の脇役と作家・ディレクター業『Multi-Facial』『Strays』で知られている程度でした。 ヴィン・ディーゼルをアラゴルン役に当てはめるには相当な想像力が必要です。トールキンもゴンドールの王を筋骨隆々のガラガラ声の鬼軍曹のような人物として思い描いていたとは思えません。

2.ビル・ベイリー(ギムリ)

アメリカでは知られていませんがビル・ベイリーはイギリスで20年間衰えない人気を保つコメディアンです。テレビやお笑いのショーにも定期的に出演しているほか、才能のあるミュージシャンでもあります。 ベイリーは演技面でも『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』『Burke And Hare』『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』などに出て才能を発揮しています。 原作のファンでしたが残念ながらオーディションに落ちてしまいました。 しかし10年後にファンによる署名が1500人を超え、そのおかげで今度はギムリの父親のグローイン役のオーディションを受けることができました。しかし結果は落選でした。

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3.シルベスター・マッコイ(ビルボ)

イアン・ホルムがピーター・ジャクソンのビルボ・バギンズ役の第一候補だったそうですが、もし断られたらシルベスター・マッコイにオファーを出そうと考えていたようです。 7代目ドクター・フーとして知られるシルベスター・マッコイは実はイアン・ホルムがOKするまでの6か月間、ビルボ役としてキープされていたようです。 『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の出演は見送ったものの、『ホビット』のラダガスト役という形で中つ国への旅に関わることができました。 それは思いがけないことに、古くからの友人イアン・マッケランとニュージーランドでリア王の舞台公演をしている時期でした。

4.ワーウィック・デイヴィス(ギムリ)

『ハリー・ポッター』と『スター・ウォーズ』という2大シリーズに出演するに飽き足らず、ワーウィック・デイヴィスは1999年にギムリ役のオーディションを受けました。 ピーター・ジャクソン監督が彼にどうやってホビット役をスクリーン上で小さく見せるか説明したときデイヴィスは監督と「ホビット役の身長の低い俳優が足りてなかったから、たくさんの小さい人がおしよせたらどうなるか冗談を言い合った」そうです。 ギムリ役は逃しましたが、その後10年間でデイヴィスはウィローマネージメントタレントエージェンシーを通じ、映画もテレビの仕事も欠かさない売れっ子になりました。

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5.ジェイク・ギレンホール(フロド)

2013年の授賞式シーズンにジェイク・ギレンホールは『ロード・オブ・ザ・リング』のキャスティングの段階でフロド役の台本読みをしたことを明かし、オーディションが上手く行かなかったことを認めています。

イギリス英語の訛りが必要だとは言われなかったよ。ひどいオーディションだったことを後で聞いたよ。

当時ジェイク・ギレンホールは弱冠18・19歳でしたし、落胆して挫折することはありませんでした。『ドニー・ダーコ』(2001)で頭角を現すと同世代でも右に出るものがいない俳優としての地位を確立しました。 現在は『エンド・オブ・ウォッチ』『プリズナーズ』『複製された男』『ナイトクローラー』などで好演しており、俳優として実りある時期を過ごしているといえます。

6.ティモシー・スポール(ギムリ)

イギリスが誇る素晴らしい性格俳優のティモシー・スポールは超大作映画に縁があり、これまでに『ハリー・ポッター』シリーズ、ティム・バートンの『スウィーニー・トッド』、『アリス・イン・ワンダーランド』、『魔法にかけられて』、『ラスト・サムライ』などで脇役ながら個性的なキャラクターを演じ続けてきました。 『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のオーディション期間中、ギムリ役はティモシー・スポールではないかという噂が広まりましたが、1999年の10月に正式な発表があり、ジョン・リス=デイビスがギムリ役だとわかりました。 のちにティモシー・スポールもオーディションを受けていたことが明らかになりました。(ギムリ役にぴったりだったと思います。)

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7.ケイト・ウィンスレット(エオウィン)

1994年に『乙女の祈り』でケイト・ウィンスレットに映画デビューのチャンスを与えたピーター・ジャクソンはこの才能あふれる女優に『ロード・オブ・ザ・リング』のエオウィン役を演じてもらおうと考えました。 ケイトは最初興味を示しましたが、1999年8月にニューラインの役員マイク・ド・ルーカが明らかにしたところによると、契約が長期に及ぶことに難色を示したケイトは結局役を断ったそうです。 別の理由として考えられるのはケイト・ウィンスレットは巨額の予算の大作映画に出演するのに嫌気がさしていたのではないかということです。 大ブームの熱狂ぶりを『タイタニック』の経験で知ったのでしょう。ケイトの出演作品一覧を見ても超大作を避けようとする努力が見られます。17年間も商業的な映画に出演していないのです。(『ダイバージェント』シリーズには出演していますが。)

8.パトリック・スチュワート(ガンダルフ)

イアン・マッケラン(ガンダルフ)は中つ国シリーズの6作全てに出演し、『旅の仲間』において同シリーズ唯一のアカデミー賞の演技部門・最優秀助演賞にノミネートされました。 イアン・マッケラン以外のガンダルフを想像するのは今となっては難しいですが、彼はガンダルフ役の第一候補ではありませんでした。 実はイアン・マッケランの親友でありツイッターでもお馴染みのパトリック・スチュワートが監督の第一候補でしたが、断られていたのです。 2008年のニューヨーク・スタートレック・コンベンションでパトリックは、以前ピーター・ジャクソンに会いガンダルフ役のオファーをもらったこと、しかし自分は別の役を演じたかったこと(どの役かは不明です)を明らかにしました。 脚本を読んで、ストーリーに不満があったためミスランディアを演じられるという絶好のオファーを断り、たびたび共演するイアン・マッケランに譲ったそうです。

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9.トム・ウィルキンソン(不明)

トム・ウィルキンソンは『ロード・オブ・ザ・リング』に出演しないかと持ちかけられましたが、家族と1年間も離れ離れで撮影しなければならないことに難色を示し断りました。 長い撮影が3部作分ですから、確かに契約期間の長さは破格といえるでしょう。 ウィルキンソンは『パトリオット』『バットマン ビギンズ』 『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』などに出演していることから大作映画に出ることには乗り気であるようです。 もっともな意見ですが、映画撮影のために別世界のようなロケ地に移住するのがただ嫌なのです。ウィルキンソンは誰の役に考えられていたのでしょう?不明ですがセオデン役かデネソール役でしょうか。

10.デヴィッド・ボウイ(エルロンド)

『ロード・オブ・ザ・リング』の配役が上手く行った理由のひとつはAリスト級のスターの力に頼らなかったことです。ものすごく有名な人物を配役すると、観客の注意はそちらに逸れますし、その結果映画の世界観に入り込みにくくなってしまいます。 少なくともピーター・ジャクソンはそう考えていたようで、こう語ったことがあります。

これらのキャラクターは50年間近く愛されてきた有名な、有名なキャラクター達です。有名で愛されているキャラクターの配役に有名なスターをぶつけるのは少ししっくりきませんね。

デヴィッド・ボウイはエルロンドの役を積極的に欲しがっていましたがピーター・ジャクソンは彼のようなビッグネームを参加させるとキャラクターの影が薄くなってしまうと配慮したのでした。

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11.リーアム・ニーソン(ボロミア)

リーアム・ニーソンがまだ演劇の俳優として評価を受けていたころ、ピーター・ジャクソンのボロミア役の第一候補でした。 リーアム・ニーソンなら人々の記憶に残るような演技をしたでしょうが、脚本を読んでから断ることにしました。ショーン・ビーンが代わりにボロミア役になり、ボロミアのラストは有名なセリフと共に映画史に残りました。

12.ダニエル・デイ・ルイス(アラゴルン)

素晴らしい俳優にはつきものですが、ダニエル・デイ・ルイスの名前はキャスティングのウィッシュリストの一番上にのっていました。 ショービズ界でもっとも貢献した俳優のひとりであるダニエルは過去20年でたった7つの映画にしか出ないほど出演作選びに慎重です。ですから大作映画を断ったのも自然かもしれません。 1997年にピーター・ジャクソンは制作初期の段階でダニエルにアラゴルン役をオファーしたそうですが断られたそうです。それでも第一候補なので何度もオファーをもちかけたそうなのですがダニエルはその都度断ったそうです。 1999年終わりに契約金をアップして再びオファーしたそうですがダニエルは断り、ピーター・ジャクソンも諦めました。

13.イーサン・ホーク(ファラミア)

イーサン・ホークはファラミア役の第一候補であったと言われています。制作の準備段階でイーサンは関わったそうで、妻のウマ・サーマンも大きな役をあてられる可能性があったそうです。 ニューラインシネマの役員マイク・ド・ルカが遠まわしに「とある夫婦がキャスティングリストに入っている」ことをほのめかしたのが1999年の7月。 その一か月後にそれはイーサン・ホークとウマ・サーマンであることがわかりました。その年10月のラジオインタビューでイーサンは3部作の映画に参加すると明かしました。(『6才のボクが、大人になるまで。』の俳優にとって1年間の撮影はなんでもありません) その後、突然キャスティングから外れました。

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14.ルーシー・ローレス(ガラドリエル)

『ジーナ』で134 ものエピソードをこなしたルーシー・ローレスを監督はガラドリエルの役に欲しがり、オーディションを受けるよう頼みました。残念なことにルーシーは妊娠後にオファーを断りました。長期間の契約が難しくなったのとテレビシリーズの出演もあるからです。 ルーシーはその後2004年のインタビューで後悔を口にしています。

この成功した3部作に私が関わっていたら素晴らしい事だったと思うわ。でも、本当に、この映画に参加できなかったことに胸が痛むわ。

ケイト・ブランシェットが代わりにガラドリエルの役に決まりました。ファンの評価はわかれますが、ルーシー・ローレスならばオーストラリアのアカデミー賞受賞者として同じように浮世離れした神秘的な演技を見せたことでしょう。

15.アリソン・ドゥーディ(エオウィン)

『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』が未だ代表作ですがアリソン・ドゥーディは1994年から10年に及ぶ長い休暇をとっていましたが、ピーター・ジャクソンから『ロード・オブ・ザ・リング』のエオウィン役のオファーがあったときはその休暇を終わらせる気にすらなっていたといいます。 監督は個人的にアリソンをキャスティングしたがったのですが、アイルランドにいたアリソンは妊娠していたためにニュージーランドのロケ地で18カ月仕事することは不可能になってしまいました。 かわりにその役はミランダ・オットーに渡り、アリソンは2004年の『キング・ソロモン』のテレビドラマ化にパトリック・スウェイズと共に参加し静かなカムバックを果たしました。 それはちょうど『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』がアカデミー賞を総なめにした数か月後のことでした。

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16.パトリック・マクグーハン(ガンダルフ)

パトリック・マクグーハンは長く優れたキャリアの間にいくつもの有名な役を断ってきました。 『セイント 天国野郎』の聖者サイモン・テンプラー, 『007 ドクター・ノオ』そして『007/死ぬのは奴らだ』のジェームス・ボンド、『ハリー・ポッターと賢者の石』のダンブルドアの役を断り、そしてガンダルフの役を断りました。理由は健康状態が良くないからでした。 『ロード・オブ・ザ・リング』のキャスティング期間中にパトリックは俳優を引退してしまいました。『ブレイブハート』での記念すべき演技は10年間に1度の映画出演で、1996年の『評決のとき』での助演が最後にクレジットに載った役でした。声優としては2002年の『トレジャー・プラネット』が最後です。 ピーター・ジャクソンもパトリックがニュージーランドでの18か月間の撮影に参加する見込みはゼロだと知っていたはずですが、それでも彼のミステリアスで威圧的な存在感は間違いなくガンダルフ役にぴったりだったでしょう。

17.ケヴィン・コンウェイ(セオデン)

舞台と映画のベテラン俳優ケヴィン・コンウェイは1999年の後半にセオデンとしてキャスティングされていました。しかし再上演が決まった『ゴッド&ジェネラル/伝説の猛将』のBuster Kilrain役に専念するため出演を諦めました。 そのためセオデンはバーナード・ヒルのものとなりました。キャリアが長く多彩なケヴィンですがセオデン役を諦めたことは間違いだったと素直に認めています。 しかし、ベテランの役者であるケヴィンが特殊効果の多いファンタジーシリーズに出演するのをためらった理由もわかる気がします。 ケヴィンはセオデン役はいくつか良いシーンがあるものの残りは武器などで戦うシーンばかりだと述べています。それだけのためにニュージーランドを行き来したりスタントマンに頼ったりする価値が見いだせなかったのでしょう。

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18.ラッセル・クロウ(アラゴルン)

ダニエル・デイ・ルイスが役を譲ったあと、新鋭であり(『グラディエイター』はまだ公開されていませんでした)ニュージーランド人であるラッセル・クロウがピーター・ジャクソンのアラゴルン役第二候補でした。 自国でそこまで有名な作品に参加するというアイディアには乗り気だったものの、ロン・ハワードの『ビューティフル・マインド』の撮影日程と重なってしまい、役を降りなければなりませんでした。 興味深いことに、クロウがアラゴルン役を断ったのには金銭上の問題もあったといいます。スタジオ側から予算に関して圧力がかかり、前払いの給料ではなく利益の10パーセントがクロウに支払われる契約になったのです。 クロウのキャリアはまだ発展途上でしたから、そのような契約を結ぶわけにはいきませんでした。2011年にキャリアについてのトークでクロウは、『ロード・オブ・ザ・リング』出演を取りやめたのは大きな間違いだったと語っています。

19.ユマ・サーマン(アルウェンとエオウィン)

『ロード・オブ・ザ・リング』の長いキャスト選びのプロセスでユマ・サーマンの名前がアルウェン役・エオウィン役という大事な女性役の候補に挙がりました。 ピーター・ジャクソンは当初サーマンにはアルウェン役で参加してほしかったのですが、サーマンが妊娠して降板してからはリヴ・タイラーが代わりにその役を務めることとなりました。 この記事でも言及しましたが、ファラミアとエオウィン役を選ぶときにサーマンと夫のイーサン・ホークが契約交渉に入りました。2008年のインタビューでサーマンは契約の話し合いに参加したことを認め、後悔の念をあらわにしてこう言っています。

参加出来たら良かったわ。幼い子供がいたから1年も撮影のために家を空けられなかったの。ああ、ほんとうに思い切って演じられれば良かったのにと思うわ。そうするべきだったのかもしれない、だけどあの時はどうしてもできなかったの。

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20.ニコラス・ケイジ(アラゴルン)

過去10年間のニコラス・ケイジの出演の量とそのクオリティの高さを振り返ると、まずニコラスが出演依頼を断ったという事実が驚きです。 しかし、2011年のMTVのインタビューでニコラスは『マトリックス』のネオ役と『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルン役の両方を断ったと話しています。 多作なニコラスがふたつの有名な映画を断った事情には家族サービスがあったようです。ニコラスはこう語りました。

どちらの映画もニュージーランドで長い期間撮影だったんだ。・・・数年もね。・・・だけど俺には家族への義務があるからさ。家族を選んだこと、家族と一緒に過ごせたことに満足しているよ。

ニコラス・ケイジ自己流の“ヌーヴォー・シャーマニック”方式で演じたならばアラゴルンはどんなキャラクターになっていたのでしょうか。