2020年4月26日更新

おすすめスペイン映画13選 情熱の国スペイン出身の俳優も紹介

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オール・アバウト・マイ・マザー
©Sony Pictures Classics/Photofest/zetaimage

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個性的な作品ばかり!スペイン製作のおすすめ映画を紹介

スペイン映画といえばやはり、ペネロペ・クルスやアントニオ・バンデラスがすぐに思い浮かびますが、独特な作風で人間ドラマを描くペドロ・アルモドバル監督の作品も有名ですね。ここでは世界的に高い評価を得ているスペイン製作のおすすめ映画を紹介していきます。 スペイン版アカデミー賞「ゴヤ賞」やバスク州で行われるサン・セバスティアン国際映画祭など、スペイン国内の映画賞受賞作にも注目。ペドロ・アルモドバル監督の名作や新進気鋭の女性監督カルラ・シモンの注目作まで、多様なジャンルの作品を取り上げています。

『BIUTIFUL ビューティフル』(2011年)

ハビエル・バルデムがゴヤ賞で主演男優賞を受賞したヒューマンドラマ

メキシコ人監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥがメキシコ・スペイン製作で撮ったヒューマンドラマ。主演のハビエル・バルデムがアカデミー主演男優賞にノミネートされ、カンヌ国際映画祭では男優賞を受賞しています。スペイン・バルセロナが舞台で、撮影もバルセロナで行われました。 メキシコからバルセロナに移住したウスバルは、精神を病んだ妻アマンブラと別れ、二人の子どもを育てるために移民や不法滞在者に職を斡旋して暮らしていました。しかし自分が末期ガンで余命2カ月と知り、残される子どもたちをアマンブラに託そうとします。 セネガル系や中国系など各国の移民や不法滞在者たちの実態が描かれた、スペインの社会問題に深く切り込んだ作品です。ハビエル・バルデムの押し殺した苦悩の演技も高い評価を得ています。

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『インポッシブル』(2013年)

スマトラ島沖地震で津波に飲み込まれたスペイン人一家の実話を映画化

未曾有の災害となったスマトラ島沖地震による津波で引き離されたスペイン人一家の実話を映画化。主演はナオミ・ワッツとユアン・マクレガーで、監督は『永遠のこどもたち』で知られるJ・A・バヨナが務めました。主人公マリア役のナオミ・ワッツがアカデミー主演女優賞にノミネートされています。 2004年のクリスマスシーズン、マリアとヘンリーは子どもたちを連れてタイのビーチ・リゾートに休暇を過ごしにやってきます。しかしクリスマスの翌日12月26日、大地震が起こり大津波が発生。一瞬にして津波に飲み込まれた家族は離れ離れになってしまいます。 撮影が行われたのは、スペインとタイ。本作のモデルとなったマリア・ベロンが撮影中も同行し、リアルな津波映像が撮られました。日本公開当時まだ前年に起こった東日本大地震の記憶も生々しく、そのリアルさに賛否両論が起きたほどです。

『オール・アバウト・マイ・マザー』(2000年)

アカデミー外国語映画賞をはじめ各国の映画賞を受賞したペドロ・アルモドバル監督の代表作

アカデミー外国語映画賞をはじめ、カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞するなど世界各国の映画賞で評価されたペドロ・アルモドバル監督の代表作。様々な立場の「母親たち」の人生が交差する様子が描かれています。 女手一つで息子を育てていたマヌエラ。ところが、女優ウマ・ロッホにサインをもらおうと道に飛び出した息子が事故に遭い、亡くなってしまいます。元夫に訃報を知らせようとバルセロナへ赴いたマヌエラは、奇妙な巡り合わせによりウマの付き人に。妊娠したシスター・ロサの同居人になりますが、実はロサはマヌエラの元夫の子を身ごもっていました。 マヌエラをセシリア・ロス、ウマ・ロッホをマリサ・パレデス、シスター・ロサをペネロペ・クルスが演じました。セシリア・ロスがヨーロッパ映画賞で女優賞を受賞し、ペネロペ・クルスのハリウッド進出のきっかけにもなった作品です。

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『オープン・ユア・アイズ』(1998年)

ハリウッドでもリメイクされたアレハンドロ・アメナーバル監督によるサスペンス・スリラー

作曲家・脚本家でもあるチリ出身のアレハンドロ・アメナーバルが監督・脚本・音楽を務めたサスペンス映画。ハリウッドでトム・クルーズ主演『バニラ・スカイ』としてリメイクされ、両作ともペネロペ・クルスが出演しています。 金にも女にも困らないハンサムな独身貴族だったセサル。あるパーティで出会った美女ソフィアに一目惚れしたセサルを見て嫉妬した女ヌーリに心中を図られ、車ごと崖から落とされてしまいます。顔に重傷を負い、ソフィアにも見放されますが、ある晩酔いつぶれた後目覚めると顔もソフィアとの仲も元どおりになっていました。 セサルをスペイン出身のイケメン俳優エドゥアルド・ノリエガ、ソフィアをペネロペ・クルスが演じています。これは精神病院にいるセサルが語る物語であり、夢と現実が混同する不思議な世界に引き込まれる名作スリラーです。

『マーシュランド』(2015年)

ゴヤ賞で10部門を獲得!フランコ独裁政権後のスペインを舞台にしたクライム・スリラー

スペイン版アカデミー賞「ゴヤ賞」で、作品・監督賞をはじめ10部門を受賞したクライム・スリラー。セビリア出身のアルベルト・ロドリゲスが監督、ラウール・アレバロとハビエル・グティエレスが主人公の二人の刑事ペドロとフアン役を務めました。 フランコ独裁体制が終わった5年後の1980年、湿地帯の小さな町で祭の間に行方不明になった少女二人が惨殺体で発見されます。捜査のためマドリードから派遣された若手のペドロ刑事とベテランのフアン刑事は、以前も同様の事件が起きていたことを突き止め、貧困と差別、汚職と麻薬密売など町に潜む闇を知ることになります。 スペイン・アンダルシア地方のラス・マリスマス湿地近くの田舎町を舞台に、二人の刑事が追う連続少女惨殺事件を描いた本作。アメリカのクライム・ドラマ『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』にも似た、凶悪犯罪に潜む深い闇を描き出しています。

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『ボルベール〈帰郷〉』(2007年)

ペネロペ・クルス主演の三世代にわたる女性群像劇

ラ・マンチャ地方の女性たちの生き様をノスタルジックに描いたペドロ・アルモドバル監督によるヒューマン・ドラマ。カンヌ国際映画祭では、主演のペネロペ・クルスはじめ6人の女優たち全員に女優賞が贈られました。 失業中の夫と娘パウラを養いながらマドリードに暮らすライムンダは、妹のソレとともに定期的に故郷ラ・マンチャへ、3年半前の火事で亡くなった両親の墓を手入れに帰っていました。ライムンダは村で一人暮らしをしている伯母が心配で、一緒にマドリードで暮らすよう説得します。 舞台となったラ・マンチャはペドロ・アルモドバル監督自身の故郷。ゴヤ賞では主人公ライムンダを演じたペネロペ・クルスの主演女優賞ほか5部門を獲得し、アカデミー賞外国語映画賞のスペイン代表となった作品です。

『私が、生きる肌』(2012年)

ペドロ・アルモドバル監督×アントニオ・バンデラス主演再び!禁断の人体実験が物議をかもす問題作

ペドロ・アルモドバル監督がアントニオ・バンデラス主演で描く禁断の人体実験をテーマにした衝撃の問題作。原作はティエリ・ジョンケのミステリー小説「蜘蛛の微笑」で、サンティアゴ・デ・コンポステーラやマドリードなどが選ばれました。 世界的に有名な形成外科医ロベルは、ベラという女性を軟禁して「完璧な肌」を造るための実験台にしていました。それは、事故によって焼けただれた体を苦にして自殺した妻ガルを救えなかった想いが暴走し、倫理観を失った故の行動で――。 ベラを妻ガルそっくりに造り変えていく過程も十分衝撃的ですが、ベラの秘密がさらに明かされていく後半の展開はぶっ飛びすぎていて、ついて行くのが精一杯。恐ろしい復讐の鬼となったロベルを演じたアントニオ・バンデラスの演技にも注目です。

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『マジカル・ガール』(2016年)

サン・セバスティアン国際映画祭グランプリ受賞作!アニメの魔法少女に憧れる少女をめぐるクライム・サスペンス

新進気鋭の監督カルロス・ベルムトの長編映画デビュー作となったクライム・サスペンス。独創的な主題と展開に注目が集まり、サン・セバスティアン国際映画祭でグランプリと観客賞を受賞した話題作です。 少女アリシアは「魔法少女ユキコ」という日本のアニメの大ファンで、ユキコのコスチュームを着て踊ることが夢。父のルイスは白血病を患い余命短い娘アリシアの夢を叶えるため、失業中ながら高額なコスチュームをプレゼントしようと決意します。 ここまでは心優しい父と薄幸な娘のヒューマンドラマのよう。ところがここからルイスが金を得るために取った行動が、思わぬ事態を生んでいきます。意外に次ぐ意外な展開にどっぷりはまり込むこと間違いなしの怪作です。

『悲しみに、こんにちは』(2018年)

スペインの新星カルラ・シモンの長編デビュー作!思春期の少女の繊細な心の変化を描いた自伝的作品

スペインの新人女性監督カルラ・シモンの長編映画デビュー作。自身の幼少期に体験した記憶をもとに、思春期を迎える少女の多感な心とその変化を描いています。 両親を「ある病気」で亡くした少女フリダは、バルセロナの祖父母から離れ、カタルーニャの田舎に住む若い叔父一家のもとで暮らすことに。都会で祖父母に甘やかされて育ったフリダに対して、叔父家族は田舎で自給自足の生活を送っており、互いに馴染むには時間が必要でした。 初めて「生と死」に触れた少女のひと夏を、カタルーニャを舞台に瑞々しく描いた本作はゴヤ賞で新人監督賞を受賞。2018年のアカデミー賞では外国語映画賞スペイン代表にも選ばれています。

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『あなたになら言える秘密のこと』(2007年)

イザベル・コイシェ監督が描くある女性の苦悩と再生のドラマ

『死ぬまでにしたい10のこと』を手がけた「カタルーニャ人作家」イザベル・コイシェ監督が、再びサラ・ポーリーを主演に据えたヒューマンドラマ。ゴヤ賞で作品・監督賞を受賞した作品です。 イギリスのある街の工場で働くハンナは無口で、働き詰めの孤独な女性。上司の命令でようやく休暇を取ったハンナは、港町の中華料理店で海底油田での火事を知り、自分は看護師だと名乗り出て一緒にヘリコプターで採掘所へ向かいます。 ハンナが手当てする患者ジョセフをティム・ロビンス、採掘所でハンナと出会って心を通わせるコックのサイモンを『トーク・トゥ・ハー』のハビエル・カマラが演じています。スペイン製作の映画ですが全編が英語で、原題の「The Secret Life of Words」には「言葉に秘められしもの」といった意味があります。

『トーク・トゥ・ハー』(2003年)

アカデミー外国語映画賞受賞のアルモドバル監督によるミステリー・ドラマ

『オール・アバウト・マイ・マザー』でアカデミー外国語映画賞を受賞したアルモドバル監督が再び同賞に輝いた作品。製作総指揮を監督の弟アグスティン・アルモドバルが務め、ヨーロッパ映画賞で作品賞、アカデミー賞で脚本賞を受賞しています。 ダンス公演で隣りに座ったベニグノとマルコは、ともに愛する女性が事故で昏睡状態に陥り、偶然同じ病院で再会。看護師のベニグノはマルコに「彼女に話しかけて。女性の脳は神秘的だから」と伝えます。ベニグノの愛する女性アリシアはバレリーナで、植物状態にも関わらず妊娠していました。 最初と最後に舞踏家ピナ・バウシュの舞台「カフェ・ミュラー」と「炎のバズルカ」が登場し、強烈な印象を与えています。何も語らず眠り続けても命を宿す女たちと無力な男たちの対比も鮮やかです。

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『ハモンハモン』(1993年)

ペネロペ・クルスの映画デビュー作!ハビエル・バルデムと共演した恋愛群像劇

ペネロペ・クルスのデビュー作となった、スペインの片田舎を舞台に六人の男女が繰り広げる恋愛群像劇。『ルルの時代』のビガス・ルナが監督を務め、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞しました。 シルヴィアは勤め先の大手下着メーカー社長マヌエルの息子ホセ・ルイスと恋人同士ですが、彼は彼女の母カルメンとも関係を持っていました。ある時シルヴィアがホセの子を身ごもったことがわかり、彼を溺愛する母コンチータは二人の仲を引き裂こうとします。そこで闘牛士を目指すハム配達の青年ラウルにシルヴィアを誘惑させますが、コンチータも彼の若い肉体に溺れてしまいます。 六人がそれぞれ複雑に関係を持っているという、情熱の国スペインならではの濃いラブストーリー。それにしても、ラウルを演じたハビエル・バルデムとシルヴィアを演じたペネロペ・クルスが、後に結婚することになるとは!

『ミツバチのささやき』(1985年)

1973年に製作されたスペインの名匠ビクトル・エリセ監督の長編第1作

スペイン・バスク地方出身の寡作の名匠ビクトル・エリセ監督による長編映画1作目。スペイン内戦後の小村を舞台に、純真な少女アナの目を通して様々な「分断」を表現したドラマです。 スペイン内戦直後の1940年、アナが暮らす小さな村に映画『フランケンシュタイン』の巡回上映がやってきました。映画で見た「怪物」を精霊だと信じたアナは、姉のイサベルから村はずれに怪物がいると聞き、その廃屋を訪れます。 アナを演じた名子役アナ・トレントの透き通った目がとても印象的です。アナが精霊だと信じた「怪物」は、現実では逃亡して隠れていた負傷兵。大人の世界を拒む子どもの純真さを鮮やかに描いています。

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スペイン出身俳優

ハビエル・バルデム

ハビエル・バルデム
©PHOTOPQR/LE PARISIEN

ハビエル・バルデムは1969年3月1日生まれ、スペイン・カナリア諸島出身のスペイン人俳優。ビガス・ルナ監督による1990年の映画『ルルの時代』で映画デビューを飾り、同監督の『ハモンハモン』で一気に知名度を上げます。 2000年には『夜になるまえに』で英語圏の作品に初めて出演し、キューバ出身の作家レイナルド・アレナスを演じて高い評価を獲得。この作品でスペイン人俳優として初めてアカデミー主演男優賞にノミネートされています。 ハリウッド進出後はコーエン兄弟監督の『ノーカントリー』で個性的な殺し屋アントン・シガーを演じて強烈な印象を残し、アカデミー助演男優賞を受賞。その後もスペインとアメリカ両方で活躍を続けています。

アントニオ・バンデラス

アントニオ・バンデラス
©Dennis Van Tine/ABACAUSA.COM/Newscom/Zeta Image

アントニオ・バンデラスは1960年8月10日生まれ、スペイン・マラガ出身のスペイン人俳優です。1982年にペドロ・アルモドバル監督の『セクシリア』で映画デビューを飾った後、同監督作の常連となってスペイン映画界で活躍します。 ハリウッドデビューは1992年の『マンボ・キングス/わが心のマリア』。1995年の『デスペラード』で、マッチョでセクシーなラテン俳優として一躍ハリウッドスターの仲間入りを果たしました。 2019年にはペドロ・アルモドバル監督のスペイン映画『ペイン・アンド・グローリー』に主演し、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞。一方「シュレック」シリーズの長ぐつをはいたネコのプス役の声でも知られています。

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ペネロペ・クルス

ペネロペ・クルス
©︎Dominic Chan/WENN.com

ペネロペ・クルスは1974年4月28日生まれ、スペイン・マドリード出身のスペイン人女優。『ハモンハモン』でデビューし、1998年の『美しき虜』でゴヤ賞主演女優賞を獲得して、同年『オール・アバウト・マイ・マザー』でも国際的な評価を得ます。 2006年には主演作『ボルベール〈帰郷〉』でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞し、アカデミー主演女優賞にもノミネート。アカデミー助演女優賞を獲得した2008年の『それでも恋するバルセロナ』で世界的に有名なスペイン人女優の一人となりました。 母国語のスペイン語のほか、英語、イタリア語、フランス語に堪能で、ハリウッド作品はもちろんイタリア映画やフランス映画でも活躍。私生活では2010年にハビエル・バルデムと結婚し、二人の子どもに恵まれています。

情熱の国ならではの濃い異色作が豊作のスペイン映画

スペインはフラメンコや闘牛などが有名な「情熱の国」ともいわれますが、映画の中の恋愛も『ハモンハモン』のように一筋縄ではいかない濃いめの作品が多いですね。中には『マジカル・ガール』や『私が、生きる肌』のような展開が劇的に変わる衝撃作や異色作も。 スペインの歴史や文化、自然豊かな風土なども存分に味わえるスペイン映画。ぜひこれを機会に、スペインの熱情が生んだ数々の名作に触れ合ってみてください。