ヒトラーに破壊される前に美術品を奪還せよ!男たちに託された『ミケランジェロ・プロジェクト』
ジョージ・クルーニーが監督、脚本、制作、出演する『ミケランジェロ・プロジェクト』が2015年11月6日から公開されます。原作はロバート・M・エドゼルの『ナチ略奪美術品を救え 特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争』です。6人の美術専門家の男たちがヒトラーに奪われた美術品を奪還する男たちの話が実話に基づき制作されました。
実話に感銘を受けてジョージ・クルーニーが自ら指揮をとった『ミケランジェロ・プロジェクト』のあらすじ
第二次世界大戦時にヒトラーの命よって数々の貴重な美術品が略奪されました。それだけでなく、モンテ・カッシーノの修道院が爆撃で破壊されてしまうなど、ドイツが敗戦しても欧州各地で貴重な美術品や文化財が破壊されてしまう危機にありました。
このままでは後世に残しておくべき重要文化財を失ってしまうと危惧したハーバード大学付属美術館長のフランク・ストークスは、若い美術専門家を戦線に派遣して美術品を救出して欲しいとフランクリン・ルーズベルト大統領に訴えます。しかし戦時中であり若者は戦争に駆り出されていたため、ストークス自身でその役割を果たしてほしいと頼まれます。
ストークスはアメリカ中を回り、6人の美術専門家を集め「モニュメンツ・メン」を結成します。ストークスは、ヒトラーが盗んだ美術品を集め展示する予定になっている「総統美術館」の存在についても説明し、これからの概要を伝えます。果たして彼らは美術品を救えるのでしょうか。
オスカー俳優が勢ぞろい!豪華なキャストたち
制作、総指揮はジョージ・クルーニー
俳優としてアカデミーの助演男優賞を獲っただけでなく、『アルゴ』('12)では作品賞を受賞しているジョージ・クルーニー。今作ではモミュメンツ・メンのリーダーとしても活躍しています。知られざる美術史に関わる実在の人物、ジョージ・スタウトを演じています。
アカデミー脚本賞受賞のマット・デイモン
『
』(’97)で脚本賞を受賞し、また主演男優賞にノミネートされた
。今作ではメトロポリタン美術館のキュレーターをつとめています。実在の人物ジェームズ・J・ロリマーを演じています。
ゴールデングローブ、英国アカデミーでも主演男優賞を受賞したビル・マーレイ
『ロスト・イン・トランスレーション』(’03)で英国アカデミー主演男優賞ほか6つの賞を総なめにした
。個性的でコメディ俳優としてのイメージが強い俳優です。今作では建築家を演じています。
『モンスターズ・インク』のサリーの声で有名なジョン・グッドマン
『
』(’01)のサリーの実写版のような大きくて優しそうな風貌が特徴のジョン・グッドマン。コーエン兄弟の作品に出ることが多く、主役ではないものの、重要な脇役として活躍しています。今作では実在の彫刻家ウォーカー・カークランド・ハンコックを演じています。
英国アカデミー賞主演女優、アカデミー賞主演女優のケイト・ブランシェット
『エリザベス』(’98)で数々の賞に輝いた実力派の女優
。『リプリー』('99)でも英国アカデミー賞助演女優賞にノミネートされるなど、知的なイメージを持つ女優です。今作でもケイト・ブランシェットにふさわしく美術品の行方を知る女性、実在のローズ・ヴァランを演じています。
『ミケランジェロ・プロジェクト』のもうひとつの主役は豪華な美術品
映画ではヒトラーに盗まれた美術品をモニュメンツ・メンが見つけ出します。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」「モナ・リザ」、ゴッホ「ひまわり」ルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」、フェルメールやミケランジェロの美術品などが無事に回収されます。
モニュメンツ・メンの功績は公になることはなく、長い間埋もれていましたが、2007年にようやく米上下院議会で改めて彼らが評価されました。そのきっかけとなったのは、この映画の原作者のロバート・M・エドゼルです。彼はアメリカで生まれましたが、イタリアに移住します。イタリアの美術品をどのようにして守ったのかということに関心を抱き、モニュメンツ・メンを調べることになったのだそうです。
そして、『ダヴィンチを救え』という写真集を出版、またドキュメンタリー映画『ヨーロッパの略奪』にプロデューサーとして関わりました。2007年にはモニュメンツ・メン財団を設立しています。
ジョージ・クルーニー自身、人道的活動をしているため、このような出来事にも関心を抱いたのではないかと思われます。
日本での公開中止の謎
日本では2014年秋に公開ということになっていましたが、同年6月に20世紀フォックス映画から中止が発表され、前売り券を払い戻すという告知がありました。
また海外でも2度公開が延期されましたが、結果的に公開されました。理由は定かではなく様々な憶測があるようです。ひとつには圧力説(ナチスが関わった問題を広げないため)があり、さらに他の都市伝説的な憶測がされました。しかし、最終的には日本でも2015年秋より公開となります。様々な美術品を鑑賞しに映画館に足を運んでください。