ラース・フォン・トリアー監督の心が激しく揺さぶられるおすすめ映画10選
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1956年4月30日、ラース・フォン・トリアーはデンマークはデンマーク、コペンハーゲン生まれの映画監督、脚本家です。 世界で最も成功した、影響力のある映画監督の一人として広く知られています。 ラース・フォン・トリアーは1956年4月30日にコペンハーゲン、デンマークで生まれます。 彼の育った家庭は無神論を支持しており、「感情・宗教・楽しみを家庭に持ち込まない」、「子供には規則を作らない」という方針が人格形成に大きな影響を与えたと自身は語っています。 11歳の時、母親に買ってもらった8ミリカメラで自主制作の映画を撮り始めます。ラース・フォン・トリアーは1979年にデンマーク映画学校に入学し、映画演出を学びます。 在学中に、『Nocturne』と卒業制作の『Image of Liberation (Befrielsesbilleder)』の2本の短編映画の監督を務めます。この2本の短編映画はミュンヘン映画祭で短編賞を受賞しました。 ラース・フォン・トリアーは「ドグマ95」というデンマークの映画運動を始めた事でも有名です。「ドグマ95」には「純潔の誓い」と呼ばれる10のルールがあり、「カメラは手持ち」、「人工的な照明は禁止」といったような条件で撮影するという映画監督集団による実験的プロジェクトです。 また、ラース・フォン・トリアーは憂鬱、恐怖症持ちでしばしば苦しまれていたそうです。インタビューでは「基本、映画製作以外、人生の全てが怖い」と語ってることでも有名です。
『エピデミック』:現実と虚構と伝染病
『エピデミック』は1987年に制作されました。監督はラース・フォン・トリアー、脚本はニルス・ヴィセルと共作です。作品内では二人がが本人役かつ主役で出演しています。 ラース・フォン・トリアーとニルス・ヴィセルが映画製作の為、「伝染病が世界中に蔓延する物語」の脚本を執筆している傍ら、現実世界でも伝染病が蔓延し出す、といった物語です。非常に実験的な映画と言えるでしょう。
『ヨーロッパ』:ヨーロッパが抱えた大きすぎる闇
1991年、デンマーク映画『ヨーロッパ』がラース・フォン・トリアー監督、ジャン=マルク・バール主演で制作されます。シッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリ、第44回カンヌ国際映画祭で審査員賞、芸術貢献賞、およびフランス映画高等技術委員会賞を受賞という快挙を成し遂げます。 『ヨーロッパ』はラース・フォン・トリアー監督による『エレメント・オブ・クライム』、『エピデミック』に次ぐ、三部作の最終作になります。 第二次世界大戦後、ドイツ系アメリカ人のレオ・ケスラーはドイツで鉄道会社に勤めます。しかし、彼の仕事が政治的に敏感な立場にあり、レオ・ケスラーは様々な人間が「彼を利用しようしている」事に気づき始めます。
『奇跡の海』:愛と信仰にぶっ潰される
『奇跡の海』は1996年に制作されたラース・フォン・トリアー監督、エミリー・ワトソン主演、ステラン・スカルスガルド助演のデンマーク映画です。 1996年カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを獲得、1996年ヨーロッパ映画賞で3部門を受賞を果たします。 また、エミリー・ワトソンは1996年ヨーロッパ映画賞年間女優賞、全米映画批評家協会賞、ニューヨーク映画批評家協会賞、1997年英国映画テレビ芸術アカデミー賞、女優賞などを受賞、1996年アカデミー主演女優賞にもノミネートされます。 1970年代、スコットランドのとある長老教会の影響が濃い小さな沿岸の町で、信仰心の薄いべスは保守的な村人の心配を振り切り、油田労働者のノルウェー人のヤンと愛し合い、結婚します。幸せな新婚生活を送っていましたが、やがてヤンは働くためにべスを残し、油田へ戻ります。 一人残ったべスは、寂しさから教会で「ヤンが家に帰ってくるように」と祈り始めます。しかし、帰ってきたヤンは油田で頭部に重傷を負い、一命を取り留めたものの全身麻痺状態になってしまいます。 べスは自分が祈ったせいだと罪悪感にさいなまれ、そして病室にいるヤンとの会話がきっかけでべスは...
『イディオッツ』:危険すぎる障碍者の真似
『イディオッツ』は1998年、ラース・フォン・トリアー監督・脚本で制作されました。また、日本では公開されなかった「ドグマ95」の2番目の作品としても有名です。 コペンハーゲンの郊外に、「イディオッツ」と呼ばれるグループが全ての制限を打ち壊し、「内なる白痴」を暴くため集まります。幼い子供を失ったばかりのカレンは偶然レストランで「イディオッツ」に出会う所で物語は始まります。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』:どんなに過酷な現実でも、歌い続けろ
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2000年、ラース・フォン・トリアーが監督・脚本を務め、歌手のビョーク主演で『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は制作されました。『奇跡の海』、『イディオッツ』に次ぐ「黄金の心」3部作の3作目としても有名です。 2000年の第53回カンヌ国際映画祭では最高賞であるパルム・ドールを受賞。 また、主演のビョークも主演女優賞を獲得しました。 ビョークが音楽を担当し、トム・ヨークとデュエットした主題歌『I've seen it all』はゴールデングローブ賞、アカデミー賞の歌曲部門にノミネートされる快挙を果たします。 1960年代、チェコからの移民セルマは貧しいながらもハリウッド映画のような生活を夢見ながら女手ひとつで息子のジーンを育てるため、アメリカの工場で気心の知れた仲間と働いていました。 しかし、セルマは遺伝性の病で段々と視力は失われつつあり、息子のジーンも手術をしなければ失明の危機にありました。 ジーンの手術費用のためお金を一生懸命貯めるセルマですが、視力低下が原因の仕事の失敗で工場をクビになり、貯めていたお金も盗まれてしまいます。
『ドッグヴィル』:人間は信じられない
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『ドッグヴィル』は2003年、ラース・フォン・トリアー監督・脚本、ニコール・キッドマン主演で制作されました。2003年のカンヌ国際映画祭コンペティションにノミネートを果たします。 また、『ドッグヴィル』はラース・フォン・トリアー監督の「アメリカ合衆国-機会の土地」三部作の一作目とされています。 白線とセットのみの舞台で撮影された本作は実験的な手法として注目を集めました。 人間の「本性」を無視した観念的な道徳の無意味さを見事に描ききった映画です。 大恐慌時代、「ドッグヴィル」と呼ばれるコロラド州の鉱山町に何者かに追われる身のグレースが逃げ込みます。住人達はグレースが住人の為に働くことを条件のもと、嫌々グレースを町に受け入れます。 グレースと住民たちの関係は次第に良くなってい行きますが、しかしグレースには秘密がありました。
『マンダレイ』:奴隷制度を考え直したくなる
2005年、『マンダレイ』はブライス・ダラス・ハワード主演で製作されました。『マンダレイ』でラース・フォン・トリアーは、2005年のカンヌ国際映画祭コンペティションに通算7本目のノミネートを果たします。 また、『マンダレイ』は「アメリカ合衆国 - 機会の土地」三部作の2作目になります。前作の『ドッグヴィル』ではグレースをニコール・キッドマンが演じましたが、続編となる本作はブライス・ダラス・ハワードがグレースを演じます。 『マンダレイ』も前作の『ドッグヴィル』同様、建物を表す白線を引いただけの実験的な手法で撮影されました。観念的な「多数決主義」や「自由主義」を力づくで押し付けることや、人間を類型に当てはめようとすることの愚かしさを描きます。 舞台は1933年のアメリカ南部、アラバマ州のマンダレイと呼ばれる農園です。ドッグヴィルを去ったグレースは父親とともにマンダレイにたどり着きますが、そこでは白人達が黒人を奴隷のように扱っていました。 グレースは父親に反対されるも、正義感から奴隷解放、民主主義を目指し奮闘しますが...
『アンチクライスト』:カンヌで気絶者続出
2009年、『アンチクライスト』はラース・フォン・トリアー監督・脚本、夫婦役でシャルロット・ゲンズブールとウィリアム・デフォーで制作されます。 二人で愛し合っている最中、息子を転落事故で失います。深い悲しみと罪悪感にさいなまれている妻の為、セラピストでもある夫が森の中にある小屋で妻を治療することを決心しますが……。
『メランコリア』:結婚と世界の終末
『メランコリア』は2011年にラース・フォン・トリアー監督・脚本、キルステン・ダンスト、シャルロット・ゲンズブール、キーファー・サザーランド出演で制作されます。主演のキルステン・ダンストは『スパイダーマン』でヒロイン役を演じていたことも有名です。 映画のアイデアはラース・フォン・トリアー自身が憂鬱に苦しんでいた頃に参加したセラピー・セッションがきっかけでした。 巨大惑星メランコリアが地球に衝突するまで、残り時間の限られた地球で過ごす様々な人間模様を描いたストーリーです。
『ニンフォマニアック』:ラース・フォン・トリアーにしては珍しく笑える
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『ニンフォマニアック』はラース・フォン・トリアー監督・脚本、シャルロット・ゲンズブール主演、二部構成で2013年に制作された映画です。『ニンフォマニアック』では「女性のセクシュアリティ」を描きました。 色情狂の中年女性ジョーの誕生から50歳までの「性の遍歴」を初老の男性セリグマンに語る物語です。セリグマンはジョーの「性の遍歴」に彼の博識で応じます。