2019年12月5日更新

「スター・ウォーズ」ローズが批判を受けた理由を考察 レジスタンスへの貢献度が低い?

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「スター・ウォーズ」のローズが多くの批判を受けた3つの理由

「スター・ウォーズ」続三部作の2作目として2017年に公開された『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』。本作で良くも悪くも注目を集めたのが、ケリー・マリー・トラン演じるローズ・ティコです。 レジスタンスの整備士であるローズは、偶然フィンと出会ったことである重要な作戦に参加することになります。同じくレジスタンスのパイロットだった姉ペイジを失った彼女は、正義感に満ちあふれ、任務を遂行しようと奮闘しました。 しかし、彼女は多くのファンから批判を受け、騒動となってしまいました。この記事では、ローズが批判を受けてしまった理由と、彼女を演じたケリー・マリー・トランの対応について紹介します。 ※この記事には、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の内容に関するネタバレがあります。作品を未鑑賞の方はご注意ください!

【考察】なぜローズは多くの人から批判を受けたのか

ローズが批判を受けた3つの理由

批判を受けた理由①勝手な行動が多い?

ローズが批判を受けた原因には、大きく分けて3つの理由があります。 ひとつは、勝手な行動をとること。最初にフィンと出会ったシーンで、彼女はフィンの話をろくに聞かず、その目的も理解しないまま「逃げ出すやつは許さない」と、彼をスタンガンのようなもので攻撃し牢屋に入れようとしました。 このときレジスタンスはファースト・オーダーに追われ、人手不足。フィンという大事な戦力を失うのは避けたかったはずです。フィンを英雄だと思っていたなら、なおさらこの行動は不可解です。

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批判を受けた理由②レジスタンスを危機に陥れた?

2つ目の理由として「レジスタンスを危険にさらした」という点が挙げられます。ファースト・オーダーのキャノン砲を止めるため、戦闘機でその中に飛び込もうとしたフィン。ローズは彼を追いかけ、その作戦を妨害します。そして、キャノン砲は発射され、レジスタンスは壊滅寸前になってしまいました。さらに、ローズの行動の理由が「愛する人を守るため」というのも、唐突な印象になってしまっています。

批判を受けた理由③出番の割に貢献度が低い?

最後に、ローズの行動で残念なのは、出番は多いのにほとんど活躍していないということです。彼女の整備士という設定は、その行動や能力に全く活かされていません。フィンとともにファースト・オーダーの戦艦に乗り込んだときも、彼に頼り切り。そういったことから、彼女の存在意義がよくわからなくなってしまいました。

ローズは画期的なキャラクターだった

一方で、ローズは新たな「スター・ウォーズ」シリーズのテーマを体現するキャラクターであるといえます。 彼女は「整備士」という日の当たらない仕事をしています。これまで「スター・ウォーズ」シリーズでは、ジェダイという特別な存在によって、銀河の運命が動かされてきました。しかし、「最後のジェダイ」では、銀河に生きるすべての善の心を持った人たちが、ジェダイと並んで重要な存在になっています。「普通の人」であるローズが活躍することが、本作のテーマに深く関わっていたのです。 また、ローズがフィンの自爆作戦を止めたのも、テーマ上は大きな意味があります。以前の「スター・ウォーズ」シリーズでは、大義のために命を捨てる特攻精神が良しとされる風潮がありました。しかし、クレイトの戦いで彼女がとった行動は、それに対する反対を表しています。 ジャージャー・ビンクスに並ぶほどの批判を受けたローズですが、そのキャラクター設定には深い意味があったのです。次作「スカイウォーカーの夜明け」では、彼女のキャラクターを活かした活躍を期待したいですね!

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批判を乗り越えケリー・マリー・トランが出した答えとは?

ローズを演じたケリー・マリー・トランは、1989年生まれのベトナム系アメリカ人です。カリフォルニア出身で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を卒業しました。 彼女は2011年にテレビシリーズへのゲスト出演でデビュー。コメディエンヌとして『Hot Girls on the Beach(原題)』などに出演しました。その後、テレビシリーズや短編映画で活躍。そして、「最後のジェダイ」ローズ役に大抜擢されたことで、世界中から注目を集めることになります。 しかし「最後のジェダイ」公開後、ローズへの批判とともに、彼女のSNSには人種差別的なコメントや、彼女の容姿を侮辱するコメントが数多く寄せられることに。そんな状態が数ヶ月続いた後、彼女はSNSのプロフィール欄を「怖いけど、とにかくやるしかない」と書き換え、投稿を全て削除しますした。

アジア系であることは恥なのか?

その後、トランはThe New York Timesでその心中を語りました。彼女の言葉は、The Hollywood Reporterなど、多くのメディアにも取り上げられています。 彼女に寄せられた中傷の多くは、ローズという役柄を批評するものではなく、彼女自身の容姿、人種、性別をあげつらい、攻撃するものでした。それについて彼女は以下のように述べています。 「重要だったのは、一部の悪質なファンたちによる誹謗中傷の言葉ではなく、私が“彼らは正しいのだ”と思い始めたことでした」 「彼らの発した中傷の言葉は、女性として、そしてアジア系の”有色人種”として大人になることが意味することへの、私自身の認識を確立するものだったんです。それは、私の居場所はどこかの片隅やページの余白のような場所にしかなく、取るに足らない端役としてしか、私には価値がないというものです」 彼女がこう語る一方で、多くの「スター・ウォーズ」ファンや、著名人たちはローズというキャラクターへの愛やローズへの共感を表明しています。また、マーク・ハミルをはじめとする共演者たちやライアン・ジョンソン監督も、ネットを介して誹謗中傷をする「悪質なファン」を責めていました。 しかし、ケリー・マリー・トランにとってSNS上の「悪質なファン」による攻撃は、彼らが「スター・ウォーズ」シリーズと彼女の関係を断ち切ろうとすること以上の意味合いを彼女に感じさせたようです。 「自分に向けられた言葉は、これまで私が人生の中で耳にしてきたことを、より現実味のあるものにしました。私がいつまでも”その他”の存在なのも、居場所がないのも、十分に優れていないのも、単純に彼らと同じではないからだ、と認識させたのです」

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容赦ない攻撃の言葉を受けて、彼女が導き出した答え

自分の存在価値を低いものだと思っていた彼女ですが、今回の一件を経て、彼女はある答えにたどり着いたようです。彼女は以下のように続けます。 「しかし今、その認識は、自分が他人と違うことを恥じていたということだと気がつきました。私は自分が生まれ持った文化が異質であることを恥ずかしいと思ってきていたのです。しかし最も恥ずべきで、ひどく残念なのは、そう思っていた私自身でした。」 「私は”有色人種”の子供たちが、白人になりたいと願いながら幼年期を過ごさなくてもいい世界に住みたい。女性たちが、ただ生きているだけなのに、容姿や一挙手一投足をじろじろと監視されることがない世界に住みたい。全ての人種、宗教、経済的な階級、性的志向、性自認、能力を持つ人々が、何であろうがそのままで"人間"とみなされる世界に住みたい。それこそが私の目指す世界です」 「私は今、同じようなものばかり消化してきた世界に、自分の物語を語りかけることができる、という特権を持った数少ない人びとの一員になることができました。だから私は諦めません」 「みなさんは私を“ケリー”として知っているでしょう。あの「スター・ウォーズ」にアジア系女性として初めて出演して重要な役柄を演じ、アジア系女性として初めてヴァニティー・フェアの表紙をも飾った人として。私の本名はローンといいます。私はまだ、始まったばかりです」 アジア系のアメリカ人だからこそ伝えられること。また、ひとりの女性だからこそ伝えられること。彼女はこれからの女優人生で、彼女だからこそ感じられ、そして伝えられることを語り、より良い世界を目指していくことを決めたようです。

2019年に開催されたスター・ウォーズ公式ファンイベント、スター・ウォーズ・セレブレーション シカゴ2019では、最新作「スカイウォーカーの夜明け」のキャストとしてケリー・マリー・トランも登壇。会場にいたファンたちは、彼女を熱烈な拍手と歓声で迎えました。

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批判を乗り越えたローズの活躍に期待 「スター・ウォーズ」新作にも引き続き登場

(Instagram画像3枚目がケリー・マリー・トラン演じるローズ・ティコ) 2019年12月20日に公開となる『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』にも、ローズは登場します。彼女は前作からどのように変わっているのでしょうか。 スカイウォーカー・サーガの締めくくりとなる本作では、ローズの活躍にも期待したいですね!