ポール・トーマス・アンダーソン監督映画おすすめランキングトップ10!最高傑作はどのPTA作品に?

世界三大映画祭のすべてで監督賞を受賞し、高い評価とともに世界中にファンを獲得している映画監督ポール・トーマス・アンダーソン。2025年秋には新作『ワン・バトル・アフター・アナザー』の公開が予定さている彼のフィルモグラフィを、ここで振り返ってみましょう。 この記事では、ポール・トーマス・アンダーソンのおすすめ作品をランキング形式で紹介します。
PTAことポール・トーマス・アンダーソン監督
ポール・トーマス・アンダーソンは1970年6月26日生まれ、ロサンゼルス出身の映画監督・脚本家・プロデューサーです。 9人兄弟の3番目で特に父と仲が良く、12歳の時、映画監督を夢見ていたアンダーソンに、ビデオカメラを買い当たえてもらい、応援されていたようです。ティーンエイジャーの頃に脚本を書き始め、ニューヨーク大学の映画学科に進学したものの数日で退学し、テレビ番組や映画のアシスタントの仕事に就いた後、短編映画を製作するようになりました。 1992年短編『シガレッツ&コーヒー』がサンダンス映画祭で注目を浴び、それを1996年に長編に作り直した『ハードエイト』で長編映画監督デビューし、第49回カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品されるという華々しい登場となりました。また、高校時代に撮った短編『The Dirk Diggler Story』を長編に作り直した『ブギーナイツ』がスマッシュヒットして一躍有名になり、アカデミー脚本賞にノミネートされました。 その後、2000年にトム・クルーズらを起用した『マグノリア』では、興行的にはやや振るわなかったものの、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、2002年に制作したアダム・サンドラーを主演『パンチドランク・ラブ』では、カンヌ国際映画祭監督賞を受賞、2012年『ザ・マスター』では、ヴェネツィア国際映画祭監督賞を受賞しました。世界三大映画祭すべての監督賞を総なめした天才映画監督として知られています。
10位『インヒアレント・ヴァイス』【2014年】

トマス・ピンチョンの探偵小説『LAヴァイス』を映画化。1970年、ロサンゼルスで探偵業を営んでいるラリー・“ドッグ”・スポーテッロ(ホアキン・フェニックス)は、元恋人のシャスタから彼女が愛人をしている不動産王の悪だくみを暴いてほしいと依頼を受けます。調査を進めていくうち、彼は思わぬ陰謀に巻き込まれていき……。 ストーリーが難解なためこの順位となっていますが、それぞれのキャラクターに振り回される感覚が楽しい本作。映像と音楽が混ざり合うカオスでおしゃれな雰囲気が人気です。
9位『ハードエイト』【1996年】
ラスベガスのカジノで一文無しになってしまったジョン(ジョン・C・ライリー)。そこへシドニー(フィリップ・ベイカー・ホール)という老人が現れ、彼に手を差し伸べます。2年後、プロのギャンブラーに成長したジョンはシドニーと再会しますが、彼に紹介された友人ジミー(サミュエル・L・ジャクソン)は、シドニーの過去の秘密を握っていました。 ポール・トーマス・アンダーソンの長編デビュー作。デビュー作ながら、長回しや画面づくりに彼らしさが感じられる作品です。第49回カンヌ国際映画祭ある視点部門で上映されました。
8位『リコリス・ピザ』【2021年】

1973年、ロサンゼルスのフェルナンド・バレー。高校生のゲイリー(クーパー・ホフマン)は、俳優としても活動していました。そんなある日、彼は10歳年上のアラナ(アラナ・ケイン)と恋に落ちます。年の差のあるふたりの甘酸っぱくも危険な恋を描く作品です。 監督の盟友で多くの作品に出演していた故フィリップ・シーモア・ホフマンの息子クーパー・ホフマンを主演に迎え、アラナ・ハイムとともに俳優デビューを果たした本作。本作はコロナ禍のロックダウン中に撮影されたため、監督の友人や家族など近しい人々のみが出演していることでも話題になりました。
7位:『ザ・マスター』【2012年】
第二次世界大戦直後のアメリカ。アルコール依存症に苦しむ帰還兵のフレディ(ホアキン・フェニックス)は、ある日宗教団体の指導者で信者から「マスター」と呼ばれるランカスター・ドッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)に出会います。ドッド独自のカウンセリングで心の平安を取り戻していくフレディ。やがて2人の絆は深まっていきますが……。 第69回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)と男優賞を受賞した本作。主人公の心のゆらぎに感情移入しやすく、主演のホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンの演技が光ります。
6位:『パンチドランク・ラブ』【2002年】
ロサンゼルス郊外で暮らすバリー(アダム・サンドラー)は、情緒不安定な一面を抱えながら、吸盤棒のセールスマンとして真面目に働いていました。ある日彼は姉の同僚であるリナ(エミリー・ワトソン)に出会い、次第に惹かれ合うように。しかしあるとき何気なくテレフォンセックスのサービスを利用したことから、彼は思わぬトラブルに巻き込まれていきます。 アダム・サンドラーがこれまでのイメージとは違った役柄を演じ、話題になった本作。第55回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しました。
5位:『ファントム・スレッド』【2017年】

1950年代のロンドンで活躍するオートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は、英国ファッション界の中心的存在として脚光を浴びていました。ある日ウェイトレスのアルマ(ビッキー・クリープス)と出会った彼は、彼女をミューズとしてファッション界に迎え入れます。 偏屈な性格の老紳士と若い女性の愛と狂気の物語。ファッション業界が舞台の作品らしく美しい衣装も印象的で、第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞しました。
4位:『ANIMA』【2019年】
レディオヘッドのトム・ヨークが2019年に発表したソロアルバム『ANIMA』のために制作された15分の短編映画。 3つの曲に合わせた三部構成で,セリフは一切なく、主人公をトム・ヨーク自身が演じています。ポール・トーマス・アンダーソンならではのおしゃれな映像で曲の世界を表現。彼らは以前からMVでもコラボしていました。 Varietyのインタビューで、アンダーソンは本作はトムと振付師のダミアン・ジャレットが映画『サスペリア』(2018年)のために制作したMVでやり残したことをやるためのものだったと話しています。
3位:『マグノリア』【1999年】
死期を迎えた大物プロデューサー、彼が昔捨てた息子、プロデューサーの若い妻、看護人、癌を宣告されたテレビのクイズ番組の司会者、彼を憎む娘、彼女に一目惚れする警官、番組でおなじみの天才少年、過去の栄光にすがる元天才少年……。 ロサンゼルス、マグノリア・ストリート周辺に住む様々な人間たちの24時間を描き、繋がりのなかった12人が少しずつ一つの物語に向かって繋がっていく人間ドラマが描かれた3時間を越える長編映画。 第72回アカデミー賞3部門にノミネートされ、ベルリン映画祭 金熊賞(グランプリ)受賞しました。
2位:『ブギーナイツ』【1997年】

1970年代後半から80年代にかけての、ポルノ産業に関わる人たちの葛藤と業界の裏側を辛辣に描かれた物語。ナイトクラブで皿洗いのバイトをしていた17歳のエディ・アダムス(マーク・ウォールバーグ)は、ポルノ映画監督のジャック・ホーナーにスカウトされ、ポルノ男優としてデビューすることになります。 ストーリーはもちろん、長回しやカメラワーク、音楽の融合が見どころの本作。各キャラクターも魅力的で、それぞれの物語に引き込まれる、笑って泣ける作品です。
1位:『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』【2007年】
1927年にアプトン・シンクレアの『石油!』を原作に、20世紀初頭の石油産業で、一攫千金を夢見る男、ダニエル・プレインビューが石油発掘によって掴んだアメリカン・ドリームの末に巻き起こる苦悩や裏切り、欲望などの利権争いについて骨太に描かれた社会派ドラマ。 洗練された映像で、父と子の関係、石油王と宗教家の対決が描かれます。 主人公をダニエル・デイ=ルイスが演じ、第80回アカデミー賞では主演男優賞と撮影賞を受賞しました。
映像美と深い人間描写が魅力のポール・トーマス・アンダーソン作品
おしゃれな映像と魅力的なキャラクターの人間描写が魅力のポール・トーマス・アンダーソン作品。1988年の監督デビューから2025年までに長編作品は9作と寡作な映画作家ではありますが、そのどれもが傑作と評されています。 どれも完成度の高いおすすめ作品なので、観たことがない方はぜひ観てみてください!