【ネタバレ】小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の感想・あらすじ解説!神SFが2026年映画化へ

アメリカのベストセラーSF小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が、ライアン・ゴズリング主演で映画化!この記事では、原作小説のあらすじ・見どころをネタバレありで解説します。 ※本記事では、小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のネタバレを含む解説を行います。本作の「ネタバレ厳禁」の面白さを少しでも損ないたくない未読の方は、くれぐれもご注意ください!
小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ネタバレなしあらすじ
目が覚めると病室のような場所で寝ていて、天井からはロボットアーム、話しかけてくるのはコンピュータ、隣には見知らぬ男女2人の干からびた死体。自分の名前さえ思い出せず、舌がもつれてコンピュータからの簡単な問いにすら返事ができない。 しばらくして格闘して、徐々に記憶の端々に過去の自分を見つけ始め、思い出したのは自分が科学者であること、ここが宇宙空間であること、そしてライランド・グレースという自分の名前でした。
小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のネタバレ感想
宇宙だけで展開されない重厚な物語
本作は宇宙が舞台の「現在パート」と地球が舞台の「過去パート」、この2つのパートが謎の提示と解明という具合に交互に展開していきます。主人公のグレースは現在パートではずっと宇宙にいて、宇宙船「ヘイル・メアリー」号の中で「プロジェクト・ヘイル・メアリー」と名付けられた地球規模のプロジェクトを担って探索を続けているのです。 その間に挟まれる過去パートでは、彼がなぜこの任務を請け負うことになったのかが徐々に明らかに。この構成がまるで上質なミステリーのように絶妙で、本作が「ネタバレ厳禁」の傑作と謳われる所以でもあります。
地球パートがとにかく面白い!
地球パートにはクセ強で魅力的な登場人物が次々に現れ、プロジェクトに参加していきます。「プロジェクト・ヘイル・メアリー」とは、謎の宇宙生物「アストロファージ」が太陽エネルギーを“食べている”ことで地球に氷河期が迫っており、それを回避するために立ち上げられた計画です。 登場人物の中でも一際異彩を放っているのが、プロジェクトの責任者であるエヴァ・ストラット。彼女の実行力は半端なく、グレースとの丁々発止の掛け合いがとにかく面白い!他にもアストロファージ研究を担う科学者たちやヘイル・メアリー号に携わる技術者やクルーなど、彼らのドラマも地球パートを面白くしている要素でしょう。
下巻のネタバレが厳禁になる理由は"アレ"との遭遇
本作は上下巻で構成されており、地球パートと宇宙パートが交互に展開されるまま進んで行きますが、物語を急転回させる要素が上巻後半の宇宙パートに現れます。そう、それこそ「ネタバレ厳禁」の大きな理由である「未知との遭遇」です。 グレースは孤独な宇宙空間で偶然にも、異星人とのファーストコンタクトを果たします。それがこの後にグレースのバディとなっていく「ロッキー」です。ロッキーは地球とはまったく異なる環境を持ちつつも同じレベルの科学を発展させた惑星エリドの住人で、グレースと同様にアストロファージ調査のプロジェクトで宇宙に旅立っていました。 下巻の展開はロッキーとグレースのバディが挑む冒険にハラハラし通し!異種間の文化交流が胸アツで、さらに彼らの友情には涙も……。
謎を残したまま終了する展開も計算されていた?
上下巻ともに謎の提示と解明を交互に繰り返してきた本作。そのラストにも少しの謎を置いて、読者に想像の余白を残して締めくくっています。それは、エリドで生き延びたグレースが結局地球に帰還したのかどうかという点。 彼はその時点で53歳程度になっていますが、ヘイル・メアリー号は無事、食料・燃料問題もエリディアンが解決してくれています。そして最後に、グレースは地球が無事である知らせを受け取っていました。 しかし彼はエリドで子どもたちに科学を教えるという教師の仕事に就いており、帰還するのは「今ではない」と語ります。あまりにもきれいな伏線回収に喝采を送りたい気持ちとともに、余白を残す仕掛けも素晴らしく、緻密に計算し尽くされた結末に驚かざるを得ません。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』とリュウ・ジキン作『三体』が似ている?

- 科学者が主人公
- 世界各国の科学者たちが地球を救うためのプロジェクトに参加
- 地球外生命体とのファーストコンタクト
- 異星間の文化交流
- 壮大なスケールのハードSF
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』はいくつかの点で、中国の作家・劉慈欣によるハードSF小説『三体』と共通する部分があります。『三体』もNetflixでオリジナルドラマが制作されましたが、どちらも科学者を主人公にしており、地球を救う大規模プロジェクト×謎解きミステリー仕掛けが特徴です。 さらに両方とも、地球外生命体とのファーストコンタクトと異星間の文化交流まで描いています。しかも群像劇のヒューマンドラマ×本格的なハードSFという一見すると矛盾しそうな点ですら共通項!ただし、異星人との関係性は真逆なものになっているのが興味深いところです。
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が2026年に公開決定!
タイトル | 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』 |
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公開日 | 2026年3月20日(全米公開) |
上映時間 | - |
監督 | フィル・ロード & クリストファー・ミラー |
キャスト | ライアン・ゴズリング , サンドラ・ヒュラー |
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』はライアン・ゴズリング主演で映画化され、全米公開が2026年3月20日に予定されています。予告編が公開1週間で4億回再生を記録し、その高い期待値も大きな話題に! 『オデッセイ』の原作者アンディ・ウィアーによる長編小説2作目の映画化とあって注目度は高く、さらに『落下の解剖学』でアカデミー賞にノミネートされたサンドラ・ヒュラーがストラット役でキャスティングされているのは特筆すべき点です。
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』キャスト・登場人物を解説
ライランド・グレース役 | ライアン・ゴズリング |
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エヴァ・ストラット役 | サンドラ・ヒュラー |
ライランド・グレース役/ライアン・ゴズリング
主人公のライランド・グレースを演じるのは、『ラ・ラ・ランド』(2016年)で知られる俳優ライアン・ゴズリング。グレースは中学校の科学教師ですが、元々は分子生物学の研究者で、ストラットによってプロジェクトに招聘されます。 ライアン・ゴズリングは2018年の『ファースト・マン』で宇宙飛行士役を演じており、2027年公開予定の『スター・ウォーズ/スターファイター(原題)』で主演を務めます。
エヴァ・ストラット役/サンドラ・ヒュラー

「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を立案し、強力な権限を持って強行に実行していく強者の責任者エヴァ・ストラット。演じるのは、ドイツ出身の俳優サンドラ・ヒュラーです。 2023年公開の『落下の解剖学』と『関心領域』で重厚かつ冷酷な演技を見せ、両作ともアカデミー賞5部門でノミネートされています。ストラット役はハマリ役になること間違いなし!
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』監督・スタッフを解説
監督:フィル・ロード & クリストファー・ミラー

本作の監督を務めるのは、2018年にアカデミー長編アニメ映画賞を受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』で製作・共同脚本を担当したフィル・ロード&クリス・ミラーのコンビ。「スパイダーバース」シリーズは2027年に3作目公開が控えています。
脚本:ドリュー・ゴダード
『オデッセイ』で脚本を務めた脚本家ドリュー・ゴダードが、本作の脚本も担当しました。他に手がけた作品に、ドラマシリーズ「LOST」や映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008年)などがあります。
原作:アンディ・ウィアー

2014年のデビュー作『火星の人』が、マット・デイモン主演の『オデッセイ』として映画化された小説家アンディ・ウィアー。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は長編小説の3作目で、2度目の映画化作品となります。
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』見どころを解説
本作の映画化で最大の見どころといえば、なんといっても宇宙空間の再現とロッキーの造形ではないでしょうか。グレースが大冒険を繰り広げる宇宙空間とヘイル・メアリー号、そしてロッキーの船「ブリップA」がどのように再現されるのかは気になるところ。 原作では“クモのような”容姿に例えられている異星人のロッキーが、一体どんな風に形作られてくるのかもかなり重要。頼りになるエンジニアであり、可愛らしいところもあるロッキーの造形が本作の成功を担っているともいえます。
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の公開は2026年!
アカデミー賞受賞・ノミニーのスタッフ・キャストが集結した映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、日本でも2026年に劇場公開予定。それまでにぜひ原作小説にも触れ、万全の態勢で公開に臨みましょう!