2019年5月13日更新

貞子は実在したのか?映画『リング』でお馴染みのホラーアイコンを徹底解説

リング 貞子
©️OMEGA PROJECT/zetaimage

1998年公開、鈴木光司の小説を原作にしたホラー映画『リング』に登場する貞子は、日本中を恐怖に陥れた存在です。そのデビューから、海外での活躍、最新作までに至る貞子の実態を徹底解説します。

目次

貞子……『リング』でお馴染みのJホラー界のアイドルを徹底調査【ネタバレ注意】

井戸から這い上がってきては、長い黒髪を垂らして画面まで近づいてくる。すると、それに止まらず画面から出てきてビデオを見た人間を呪い殺すという怨霊、貞子。1988年に公開された『リング』でセンセーショナルなデビューを果たし、彼女のビジュアルはその後におけるJホラーの怨霊を典型となりました。 「来る〜きっと来る〜」のテーマ曲でお馴染みの映画と貞子ですが、あなたは一体どれぐらい彼女を知っていますか?本記事では、貞子の呪いから出演作別の特徴まで一挙に紹介していきたいと思います。

生前の山村貞子はどんな人物だったのか

リング 貞子
©️OMEGA PROJECT/zetaimage

貞子の本名は、山村貞子。原作では、貞子の母親である山村志津子が伊豆大島沖で発見した役小角(えんのおづの)の像を拾い、超能力を授かります。その翌年に貞子はこの能力を引き継いで生まれるのです。父親は、妻子持ちで志津子と不倫関係にあった心理学者の伊熊平八です。 彼は志津子の信望者でもあり、のちに彼女の超能力を知らしめるためにマスコミを招いて公開実験を行います。しかし、実験が失敗に終わってマスコミに叩かれたことで志津子は発狂。そのまま、火山の火口に身を投げる形で自殺をしました。母の死後も貞子の超能力は健全でした。しかし、18歳の時に入団した劇団の演出家が変死するなど、後に怪奇現象を引き起こしてしまいます。 その翌年、19歳になった貞子は、父親が結核を患い入院していた診療所の担当医である長尾城太郎に強姦された挙句、井戸に突き落とされます。井戸に突き落とされたのは、長尾が彼女の秘密「男性仮性半陰陽(体が男性である)」ことを知ってしまい、貞子にテレパシーで殺してやると脅されたからです。ちなみに長尾は天然痘を患っており、井戸から落ちた貞子は即死せず、井戸の中で病におかされて死にました。 映画版では志津子や貞子の能力が「千里眼がある」というように表現されています。さらに、志津子の自殺の原因が失敗によるマスコミ批判ではなく、公開実験中に記者が死んでしまった(殺したのは貞子)という筋書きに変わっていました。何より最大の違いは、貞子を殺した犯人が彼女の能力を恐れた父親になっており、長尾が存在しないことになっている点です。

故人となり怨念の権化となってからの貞子とは

リング
© Golden Scene/zetaimage

貞子はもともと、劇団で主要キャストの座を射止めるほどの容姿端麗な女性でした。原作では、「今までに見たことがないような美人」や「少女らしいあどけなさと時折垣間見せる艶かしさ」を持った人物だと描写されます。しかし、その一方で不気味とも言われていました。 死後、怨霊として蘇った彼女の容姿は一変します。身長は160cm弱ほどで、腰近くまで伸びた黒い髪を振りかざし、顔は見えません。呪い殺す際に目を剥く時、そこにまつげはありませんでした。さらに、手の爪は井戸から這い出ようとした時に割れてしまい、足には痣があります。 この容姿は映画版で正確に再現され、観客を恐怖の底に突き落としたほどでした。 怨霊となってから生前の超能力は、呪いの能力となります。原作、映画ともに貞子はマスコミに対して相当な恨みを抱いており(原作では彼らが母の自殺の原因だったため)、「ビデオ」という媒体を介して人を呪い殺し始めます。「呪いのビデオ」を生み出した動機は作品ごとに変わっていますが、例えば映画版『らせん』では、井戸の底で感じた死の恐怖を多くの人に味わわせたかったためでした。 ビデオを観た人間は、直後に死の予告電話を受け、七日後に姿を現した貞子によって呪い殺されます。呪いを回避する方法は映画版『リング』では、「ダビング(コピー)して、まだ観ていない人間に観せる」ことでした。

貞子には実在のモデルが存在した

貞子は多くの人が架空の人物だと思っていないでしょうか?しかし、貞子の母・山村志津子には、モデルとなった実在する人物がいるのです。 その名は御船千鶴子。 明治19年(1886年)に熊本で生まれた彼女は、17歳の頃から「千里眼」と言われる透視能力に目覚め、その能力をいかした治療などを行うようになります。 その評判が全国区となっていき、東京帝国大学(現・東京大学)の助教授・福来友吉博士とともに、数々の実証実験を行っていきます。 実験を次々と成功させ、より注目度が高まりました。しかし、否定的見解だった多くの学者の手によって、してもいない実験物のすり替えという不正を追及されます。これにより、世間も実験をイカサマと考える風潮に変わっていってしまうのです。 自分が認められない事に悲観した御船千鶴子は、わずか24歳の若さで自ら命を絶つことに。ちなみに彼女は日本で初めて科学的に調査されることになる超能力者です。

貞子映画化の歴史(クラシック編)

世界のホラー界に影響を与えた日本の代表作『リング』

後に世界中でリメイクされる大ヒットシリーズの記念すべき第一作。1998年に公開された『リング』は鈴木光司の同名小説を原作にしたホラー映画。中田秀夫を監督に迎え、興業収入10億円を記録しました。キャストも豪華で、松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀、竹内結子などが出演しています。 見た者を1週間後に呪い殺す「呪いのビデオテープ」の謎を追う『リング』は『らせん』と同時進行で製作されました。 原作にない設定も盛り込まれていて、ミステリーの要素が多い原作が、ホラー映画の名作として見事に生まれ変わりました。 また、本作の貞子はあまり姿を現さずにラストで一度しっかり出てきて目を剥き出しにするのが印象的です。

同時公開が話題となり、日本映画界を騒然とさせた『らせん』(1998)

原作となった『らせん』で、鈴木光司は大17回吉川英治文学新人賞を受賞しています。息子を海の事故で亡くした医師・安藤が自身も死ぬことを考えていた時期に、友人を司法解剖することで謎の事件に巻き込まれるというストーリー。 監督・脚本を飯田譲治が務め、佐藤浩市、中谷美紀が出演、貞子を佐伯日菜子が演じています。『リング』が本格的なホラー作品であるのに対し、『らせん』はどちらかというとホラーよりミステリー要素が高い作品。『リング』と同時公開した『らせん』も大ヒット。当時の日本をにぎわせました。 また、原作者の鈴木光司も特別出演しています。世界中のホラー映画に影響を与えた原作者を映画の中で探してみるのも、面白いかも知れません。 そして本作の貞子は他作品と大きく異なり、淫靡で蠱惑的な魔性の女として描かれています。また、長い髪で顔を隠す従来の見た目と違って、素顔でいるのも特徴的です。

3.序章と伏線の始まりとなった『リング2』(1999)

『リング2』は映画版『リング』の続編で映画版のオリジナル作品です。こちらの作品は、原作の続編である『らせん』とは異なった展開を見せる、一種のパラレルワールド的な作品となっています。監督は中田秀夫が務め、中谷美紀、佐藤仁美、深田恭子が出演。さらに、松嶋菜々子と真田広之も特別出演として参加しています。 ストーリーは、貞子の遺体の身元を確認する為、貞子の親戚である山村敬が担当の刑事より、貞子が井戸の中で30年間生きていたと告げられるところから始まります。 リングの恐怖は始まりに過ぎなかったというキャッチコピーの本作品。『リング』がシリーズ化された第一作品目である『リング2』をまだ見ていない方は、是非、チェックしてみて下さい。 本作の貞子は、一作目と比べて遺骨の頭蓋骨を粘土で復元した顔として登場するため、不気味度が増しています。また、山村家が所有するプールを地獄とし、そこに落ちたものを井戸に引きずりこむという他にない行動をとります。

原点回帰で新たなる産声を上げた『リング0 バースデイ』(2000)

『リング0 バースデイ』は映画版『リング』シリーズの完結編として製作されました。原作は、鈴木光司の小説集『バースデイ』。生前の貞子の悲恋と、悲劇的な最後までを描いた物語となっています。監督は鶴田法男が務め、仲間由紀恵、田部誠一、麻生久美子ら豪華キャストが集結しました。 ストーリーは山村貞子が東京の劇団に入団していた頃に、団員全員が奇妙な井戸の夢に悩まされるといったところから始まります。これまで恐ろしい化け物として描かれていた貞子が普通の1人の人間として描かれているのが特徴的。今作品を見れば、『リング』の世界観をより深く知るきっかけになるのではないでしょうか。

貞子映画化の歴史(海外リメイク編)

『リング・ウイルス』(1999)【韓国版(貞子=パク・ウンソ)】

韓国で製作された『リング・ウィルス』。本作で山村貞子にあたる登場人物はパク・ウンソという設定になっています。韓国で日本の大衆文化が解禁された1998年に日本資本も参加して企画されましたが、様々な制約があり公開までなかなかこぎつけることができなかった一作。監督はキム・ドンビン、キャストにはシン・ウンギョン、チョン・ジニョンが参加しています。 ストーリーは、新聞記者である主人公が、姪の突然の死に疑問を抱き、その死の真相を追い詰めていくところから始まります。ホラー要素の強い演出が特徴的で、ファンなら一度は見ておくべき作品。本作の貞子ことパク・ウンソは日本版一作目の『リング』の貞子の容姿(黒髪で目を剥く)とかなり酷似しています。

世界のホラーを覆した『ザ・リング』(2002)【アメリカ版(貞子=サマラ・モーガン)】

アメリカで製作され、2002年に公開された『ザ・リング』。監督は『パイレーツ・オブ・カリビアン』などで知られるゴア・ヴァービンスキー。主演にナオミ・ワッツを迎え、ストーリーは、原作ではなく、映画版を踏襲したものになっています。アメリカ版の『ザ・リング』も興行成績が一億ドルを越える大ヒットとなりました。 この大ヒットのおかげで『ザ・リング2』も製作が決定。シリーズ化されアメリカでも大人気となっていきます。 こうして1998年に日本で誕生した貞子『リング』は、世界中を震え上がらせることになりました。 アメリカ版「リング」シリーズでは、貞子は一貫して11歳の少女サマラ・モーガンが演じています。黒髪を垂らしながらテレビから張って出てくる点や念力を操る点は全く同じですが、彼女を殺したのが父親でなく養母でした。

7.世界がらアンコール。絶賛の拍手『ザ・リング2』(2005)【アメリカ版(貞子=サマラ・モーガン)】

アメリカで製作された『ザ・リング』の続編。日本のどの『リング』作品とも異なる展開となっています。しかし、監督はオリジナルを監督した中田秀夫が演出を担当しました。キャストには、前作と同様にナオミ・ワッツが参加。ストーリーは、『ザ・リング』が描かれた事件から6ヶ月が経過したところから始まります。 前作に引き続きナオミ・ワッツ演じる主人公は、サマラから逃れる為に片田舎に引っ越して新聞社に就職します。しかし10代の男性の死亡した事件がきっかけとなり、またサマラの呪いの恐怖に巻き込まれて……。 日本人監督の中田がハリウッドでどのようにメガホンをとったのか。演出の違いなどを気にしてみてみると、また、違った印象になるのでは。 本作では精神病院に入院しているサマラの実の母エヴリンが登場。彼女の邪悪な一面が出てきた「イーブルサマラ」なるものが出てくる点が、前作と大きく異なっています。また、呪った人間をテレビの中に引きずりこもうとしたり、他の人間に憑依したり、操って呪殺する点が特徴的です。

『ザ・リング・リバース』(2017) 【アメリカ版(貞子=サマラ・モーガン)】

リング リバース
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『ザ・リング・リバース』は前述で紹介した2作品と直接的な関係はないものの、貞子=サマラという設定やビデオを観ると七日後に死ぬ、というルールは引き継がれています。また、コピーをして誰かに見せると自分の身が助かる、といった日本オリジナル版でお馴染みの設定が登場。原作者である鈴木光司自身が、「原点回帰。ハリウッド版の中で最も原作に忠実で、一番怖い」と、本作を高く評価しています。 あらすじもオリジナル版に近く、大学生のジュリアと恋人のホルトがビデオを観てしまい、サマラの呪いを究明するというもの。これまでのハリウッド版と比べてミステリー要素が強くなっています。 また、本作は未だかつてない画期的な方法でサマラが登場する点に注目。冒頭では飛行機のモニターから登場し、空の上でも平気で襲われることが証明されてしまいました。さらに、ファンの中で長年ささやかれていた「テレビの画面を床につければ、(貞子が)出てこれないのでは」というセオリーも、完全に破綻。上の写真のように、自ら画面をあげて這い出てくる恐ろしい姿が印象的です。

貞子映画化の歴史(新章編)

ついに飛び出してくるようになった!『貞子3D』(2012)

2012年に新たな貞子ブームを巻き起こした『貞子3D』は、まだまだ記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。藤岡美暢と英勉の共同脚本に英勉がメガホンをとって製作されたこの作品は、鈴木光司の『エス』が原作。主演に石原さとみを迎え、大ヒットを記録しました。 シリーズ初の3D立体映画となった本作は、様々なプロモーション活動も行われ大変な話題となりました。「リング」シリーズ完結後約12年後に製作されたこの作品が成功した事で、またも日本に貞子ブームが到来する事となります。 本作では、ニコニコ動画など現代的なネット配信を使って呪いのビデオが拡散されるなど時代背景に沿って変化していることが特徴的です。そして貞子に関してはこれまでのシリーズと全く関係ない形態になっており、完全に独立しています。何よりも、映画終盤に登場する四つん這いの貞子の群れはインパクト大!そして、その貞子を鉄パイプで倒すという点も未だかつてない演出でした。

悲しくもR指定となった『貞子3D2』(2013)

2013年『貞子3D2』はPG12指定で公開されました。前作『貞子3D』の5年後を描く続編ホラー映画で、監督は前作同様に英勉が務めました。主演に瀧本美織を迎え、興行収入1億6000万円を越える大ヒットとなり、若いホラーファンにも広く受け入れられていきます。 また、上映中に無料アプリを起動させると様々な仕掛けが施されるといった試みも取り入れられました。映画を見るだけでなく、同時進行で体感できるといった新しい感覚も一大ブームを巻き起こす一つの原因となったのではないでしょうか。 本作は、前作のヒロインである茜が子供を出産後死亡。その子が「貞子の子」であり、彼女の周囲で人が不審死するようになります。その子の超能力によって地下鉄に貞子が出現し、多数の負傷者を出したり、スマホを通して貞子の子が大量生産されるなど、パンデミック要素が加わっているのが特徴的です。

Jホラー界のヒロインによる世紀末のキャットファイト『貞子vs伽椰子』

2016年6月に公開された、白石晃士監督による『貞子vs伽倻子』。完全に独立した単独作品ではありますが、貞子と伽倻子それぞれの背景やヴィジュアルなどはオリジナル版を基本として作られています。 女子大生の有里が呪いのビデオを観てしまった一方で、高校生の鈴花が呪いの家に入ってしまいます。二人は霊能者の経蔵の力を借りて、互いの呪いを相殺しようとしますが……。 本作の貞子の最大の特徴は、「呪い」の変化にあります。本来、ビデオを観てから呪い殺されるまで七日間あるのに対し、本作は二日と非常に猶予が短いのです。また、伽倻子と戦う貞子の勇姿も必見!

最新作『貞子』(2019)はどうなる?

そして再び2019年5月24日に公開される新作、『貞子』。監督は、なんと一作目の『リング』を撮った中田秀夫です!本作も『貞子3D』のように、Youtuberの動画撮影が呪いの発端という、時代背景に合った進化が見受けられます。 池田エライザ演じる主人公の弟が、とある団地で起きた火災跡に潜入し、動画を撮りに行きます。そこでは、霊能者を名乗る髪が長くて黒い女性が放火自殺をし、家族4人がそれに巻き込まれてしまっていました。そして、撮影中に部屋で何かを見た途端走って逃げる弟。背後には貞子が写っていて……。 恐らく、霊能者を名乗る女性が貞子であることが考えられます。しかし、従来のように井戸から出てくる姿も確認できるため、井戸で死んだことで呪いが生まれた設定は継がれていそうです。

貞子のtwitterが可愛すぎると話題に?

今でも、映画『リング』や『らせん』で貞子が見せた目のドアップなど夢に出てきそうなほど恐怖でしかないですが、実は公式のTwitterがかわいすぎると話題なのです。 東京ドームで野球の始球式をしていたり、カワイイ文化の発信地・原宿でランチを楽しんだりと、結構リア充な生活を送っています。まるでアイドル的存在になっていますね。

平成のホラーアイコンである貞子、令和でも引き続き活躍の予感

これまで、平成の世を脅かした恐ろしい怨霊の貞子について紹介してきました。2019年5月公開の『貞子』をきっかけに、令和でも再び日本で貞子ブームが到来するかもしれませんね。新作が原点回帰とも言える、一作目の監督である中田秀夫が手がけたり、現代的なテーマを取り入れていたりするため、ハリウッドでも再びリメイクされるかも?