ルキノ・ヴィスコンティのプロフィール
ルキノ・ヴィスコンティは、1906年11月2日にイタリアのミラノで生まれた映画監督です。
貴族の家系に生まれ、幼少期には14世紀に建てられた城で生活していたルキノは、20歳の時に軍人となり、退役後は舞台俳優とセット・デザイナーとして活躍しました。
そして1942年には『郵便配達は二度ベルを鳴らす』で映画監督としてデビューを果たします。
その後も第16回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『山猫』(1963)や、アルベール・カミュの小説を映画化した『異邦人』(1967)、「ドイツ三部作」のひとつである『ベニスに死す(1971)』など、映画史に残る数々の名作を残してきました。
ルキノ・ヴィスコンティは生涯に渡って長編映画14本、短編映画5本を世に送り出しましたが、1976年3月17日、69歳でその生涯に幕を閉じました。
ルキノの死後40年経った今でも、映画史に名を残した巨匠として賛美され、彼の作品は今日まで高く評価され続けています。
ルキノ・ヴィスコンティの製作映画はヒット作ばかり!
イタリア貴族社会を描いた超大作!
『山猫』(1963年)は、イタリアの貴族階級社会を描いた作品です。
この作品は、実際にイタリア貴族の末裔であったジュゼッペ・ランペドゥーサが執筆した全8章から成る長編小説の内、6章までを映画化した作品です。
今作で大半を占める舞踏会のシーンでは実際にイタリア貴族の末裔や家系の人間が出演した、また、使用しているインテリアや舞台道具は貴族が繁栄していた頃を材料の段階から忠実に再現した、などといった逸話もあります。
上映時間は187分。そのあまりの長さからクレームを受けて、後に短縮版の上映もされたそうですが、作品自体は高く評価され、第16回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しました。
イタリア貴族の繁栄と没落を描いた今作は、ルキノ自身もイタリア貴族の家系出身ということから、唯一ルキノが自身を語った作品だとも言われています。
ベネツィア国際映画祭コンペティション部門出品作品
『異邦人』(1967年)は、アルベール・カミュが46歳でノーベル文学賞を受賞した、世界的に有名な小説を映画化したものです。
アルジェリアに暮らすムルソーは母親の死を知っても、恋人に対しても、全てにおいて感情を作れず無関心でいました。しかし、トラブルに巻き込まれて人を射殺。捕まったことがきっかけで彼は自分の人生について、そして社会に対して、考えをめぐらせていきます。
映画化するにはとても難解な小説だと言われてきましたが、ルキノ・ヴィスコンティは原作の解釈しづらい部分さえも噛み砕いて映像化しています。
著名な年老いた作曲家と美少年の物語
『ベニスに死す』(1971年)は、ベニスを舞台に描かれた、年老いた作曲家が、まだ若くて未来ある美少年に心を奪われる物語です。
家族との別離により悲しみの中にいた年老いたドイツ人作曲家アシェンバッハが、宿泊先で偶然目にした美少年タジオに心を奪われて、終わりの近い命の中で美と若さを渇望します。
ルキノは自身のセクシュアリティがバイセクシュアルであることを公言しており、彼は極めてプラトニックなバイセクシュアルの中にある美しさと残酷さを描いています。
ルキノ・ヴィスコンティ作品に出ている俳優が豪華すぎる!
ルキノの映画作品には、有名俳優が多く出演しています。その中でも有名なのが『山猫』(1963年)などに出演したアラン・ドロンではないでしょうか。
アランは、『パリは燃えているか』(1966年)や『サムライ』(1967年)、『太陽が知っている』(1971年)などの出演で知られ、また、美男子の代名詞と賞賛されていました。
その美しさや立ち振る舞いは、欧米だけではなく日本でも爆発的な人気を誇っていました。
他にも、アカデミー賞俳優のバート・ランカスターやイングリッド・チューリン、ヘルムート・バーガーなど、有名俳優が多く出演しています。
2016年は生誕110年・没後40年!特集上映も!
ルキノ・ヴィスコンティの生誕110年・没後40年を記念して、特別上映『ヴィスコンティと美しき男たち アラン・ドロンとヘルムート・バーガー』が、2016年5月14日から恵比寿ガーデンシネマほか全国で行われます。
特別上映会では、イタリア貴族社会の栄光と没落を描いた『山猫』(1963)をより高い映像美で鑑賞できる4Kで、また、ルートヴィヒ2世の即位からその生涯を描いた『ルートヴィヒ』(1972)を初のデジタルリマスターで、上映することが決まっています。
是非、足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
アラン・ドロン出演『若者のすべて』完全修復版のジャパンプレミアに二階堂ふみが参加
2016年4月14日、恵比寿ガーデンシネマにて『若者のすべて』4Kの完全修復版公開を記念してのプレミアが行われました。
この修復作業は、マーティン・スコセッシ監督が率いる“ザ・フィルム・ファンデーション”が、イタリアのラグジュアリー・ブランド“GUCCI”とタッグを組んで行ったものです。
この完全修復版は既に2015年カンヌ国際映画祭のクラシック部門で上映されており、今回日本での上映が決まったため、それを記念してプレミアが行われました。
プレミアには、大のルキノ作品のファンだという女優・二階堂ふみが出席し、
「上映時間が長いのに、全然飽きない。人間の本当の姿を描いて、観た後に放心状態になる」
と述べると共に、
「同世代やもっと若いひとが足を運ぶような作品を作りつづけたい。それで、私がいいままでヴィスコンティの映画などから感じていた感動を、観客の方に伝えられような女優になりたい」
と、自身の今後の女優としてのキャリアの抱負も語りました。
近年のヒット作や話題作の鑑賞も楽しいですが、巨匠と謳われるルキノ・ヴィスコンティの映画史に残る作品を鑑賞し、彼の映画への情熱を感じ取ってみてくださいね。