1:映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』は、ガンダムシリーズの初代である『機動戦士ガンダム』から14年後の世界を描いた物語です。
シャア・アズナブル率いる新生ネオ・ジオンと地球連邦軍との戦い、「第二次ネオ・ジオン抗争」を中心にストーリーが展開していきます。長年のライバルであったシャアとアムロ・レイとの最後の戦いでもあり、ガンダムシリーズの完結編でもある作品です。
2:キャスバル・レム・ダイクンとしてのシャアの反乱の物語
ジオニズムとニュータイプ論の創始者であるジオン・ダイクンを父に持つキャスバル・レム・ダイクン(シャア・アズナブル)。ジオンの遺児である立場を利用し、新生ネオ・ジオンを統制します。地球連邦政府に戦線を布告し、地球を人の住めない星にさせ、宇宙に移住させる計画「地球寒冷化作戦」執行します。
地球連邦政府の高官と密通し裏取引を行うなど、非常に狡猾に作戦を実行に移していく、キャスバル・レム・ダイクンの反乱と、アムロ・レイ率いる地球連邦軍の最後の戦いを描いています。
3:アムロ・レイVSシャア・アズナブルという構図
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、シャアの地球へのクーデターだけではなく、因縁のライバルでもあるアムロ・レイとの決着も、物語の大きな軸となっています。
父ジオン・ダイクンの掲げるジオニズムを胸に、地球を滅亡させることにより、人類を無理やりニュータイプに進化させようと企むシャアと、これを阻止しようとする地球防衛部隊「ロンド・ベル」隊長であるアムロのこれまでの確執や思想的対立をも盛り込んだ世紀の対決です。
4:ニュータイプ論争
アムロ・レイとシャア・アズナブルの対立には、ニュータイプ論争が根底に流れています。
ニュータイプとは、超人的な能力を持った新人類のことで、このニュータイプが将来的に宇宙を支配していくという思想が物語の中にあります。シャアは、自分たちの種族からのみニュータイプが出現する、というジオニズムを唱えた父ジオン・ダイクの意思を継いでいるのか、地球を滅亡させることによって、無理やり全人類をニュータイプに進化させようと目論見ます。
一方アムロは、人類が自らの力でそれぞれのニュータイプに進化していく過程を見守りたいという主張をします。この思想の対立がニュータイプ論争となるわけですが、この思想的対立以外にも、アムロとシャアには個人的な確執があります。
二人の間の確執は、そのセリフからも見て取れます。
「世直しのこと…知らないんだな。革命はいつもインテリが始めるが、夢みたいな目標をもってやるから、いつも過激なことしかやらない!」(アムロ)引用:~r17953
シャアが左遷されていた時代に出会い、恋に落ちたニュータイプの女性ララア。シャアは彼女のことを寵愛しており、いつもそばに置いておきたいとまで思っていました。しかし、彼女はやがて優れたニュータイプとしての能力を持つアムロに惹かれていきます。シャア、アムロ、ララアの悲劇的な三角関係もまた、二人のニュータイプ論争に火を付ける結果となります。
5:最後の死闘
へと進化した理想郷を目指し、地球を滅亡させることによって、無理やり革命を起こそうとするシャアを全力で止めようとするアムロの最後の死闘が描かれています。
地球防衛政府との裏取引で得た小惑星アクシズを落とすことによって地球を滅ぼそうとするシャアを阻止する形で、二人の最後の戦いは始まります。それぞれのモビルスーツに搭乗しての戦いではありますが、互いに感情むき出しの生々しいものとなりました。
シャアは、アムロの搭乗するVガンダムに破れ、自らが落下させたアクシズとそれを阻止しようとするアムロと共に、宇宙の光の中に消えていきます。
6:Vガンダムとサザビー、シンプルなMS
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』での戦闘シーンにおいて、アムロとシャアが搭乗しているモビルスーツは、思いのほかシンプルなものです。初代ガンダムでのモビルスーツを思わせる形態となっており、物語の中での14年前の二人の対決、そして今回の宿命の最終対決を深く印象付けるデザインです。
アムロが搭乗しているのはVガンダム、シャアが搭乗しているのは、サザビーです。
7:何と言っても戦闘シーンが見所!
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の一番の見所は、なんといっても戦闘シーンです。互いにそれぞれのモビルスーツに搭乗してのガンダムならではの戦闘シーンですが、今作では他シリーズ作品では見られない名シーンの数々があります。
宿命のライバルであるアムロとシャアの、一人の男性としての想いや感情が激しくぶつかり合うかのような戦闘シーンは、他のガンダムシリーズ作品では見られないものです。