70歳になっても現役のシャーロット・ランプリング
シャーロット・ランプリングは、1946年2月25日生まれ、イギリスのエセックス州スターマー出身の女優です。
ベルリンオリンピック4×400mリレーの金メダリストゴドフリー・ランプリングと、画家のイザベル・アンの間に生まれました。フランスとイギリスで教育を受けたため、英語、フランス語、イタリア語が堪能。卒業後、ロンドンで働いていたときにモデルとしてスカウトされ、60年代ロンドンのストリート・カルチャーのアイコンとなります。
1966に映画『ジョージー・ガール』で女優デビューし、その後も映画からテレビシリーズまで、幅広い活躍を見せています。
映画『愛の嵐』でヌードを披露
1973年のイタリア映画『愛の嵐』は、倒錯した愛とエロスを描いた作品です。1957年のウィーンを舞台に、元ナチスの親衛隊員でホテルの夜番のフロント係として働くマックス。
過去を隠して生きている彼は、ある日かつて強制収容所で弄んだユダヤ人少女ルチアが高名な指揮者の妻となって現われました。13年ぶりに再会したふたりは、再び倒錯した性愛の世界に落ちていきます。
この作品でランプリングはヒロインのルチアを演じました。彼女が上半身裸で、サスペンダーにナチスの帽子を被って踊るシーンは非常に有名です。
映画『まぼろし』では夫の幻と生活する女性を熱演
2000年に公開されたフランス映画『まぼろし』で、ランプリングは行方不明になってしまった夫があたかもそばにいるかのように生活する女性を演じ、絶賛されました。
結婚して25年になる50代の夫婦ジャンとマリーは、例年通り夏のバカンスをフランスにある別荘で過ごしていました。そんなある日ジャンが海に泳ぎに行ったきり行方不明になってしまいます。マリーはパリで大学教師をする生活に戻りますが、夫の死を受け入れられない彼女は、夫の幻を作り出し、彼がそばにいるかのように話し、日常生活を続けていきます。
主人公のマリーを演じたランプリングの熱演は、高く評価されました。映画批評サイトRotten Tomatoesの批評家による評価は94%と、絶大な支持を得ています。
2015年『さざなみ』でオスカー主演女優賞にノミネート
シャーロット・ランプリングは、2015年のイギリス映画『さざなみ』に出演し、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。
心臓バイパス手術を乗り越えたジェフとケイト・マーサー夫妻。ふたりは大勢の友人たちとノーフォークホテル、アッセンブリー・ハウスで結婚45周年を祝おうとしていました。ところがその週の月曜日、一通の手紙が届いたことからジェフは山岳事故で亡くなった昔の恋人に想いを馳せるようになります。
ランプリングが演じたケイトは、すでに亡くなった夫の元恋人に嫉妬を募らせていきます。長い結婚生活で育んできた愛情が揺らいでいく様子を見事に演じ、アカデミー賞主演女優賞にノミネートました。
シャーロット・ランプリングのその他の出演映画
名匠による「ドイツ三部作」の第一作目【1969】
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』や『ベニスに死す』で有名な映画監督ルキノ・ヴィスコンティによる「ドイツ三部作」の第一作目です。
ナチスが台頭しはじめた1933年のドイツの工業地帯ルール地方を舞台に、製鉄王エッセンベック男爵の財産を狙う一族の駆け引きを描いた物語です。ランプリングはエッセンベックの会社の重役、ヘルベルト・ハルマンの妻で男爵の姪の娘であるエリザベートを演じました。
未来の世界を幻想的に描いたカルトSF【1974】
1974年の『未来惑星ザルドス』は、ショーン・コネリー主演のSF映画です。
2293年、核戦争によって荒廃した未来。人類は不老不死のエターナルと、彼らに支配される死のある獣人とに分かれていました。エターナルから穀物を受け取る代わりに獣人を殺すエクスターミネーターのゼッド(ショーン・コネリー)は、ある日この体制に疑問を持ち、エターナルの正体に迫っていきます。
この作品でシャーロット・ランプリングは、コネリー演じるゼッドと出会い心を通わせるエターナルのコンステラを演じました。
ベストセラー小説が原作の法廷劇【1982】
医療過誤訴訟を題材とした『評決』は、主演のポール・ニューマンの演技が高く評価されている法廷劇です。
アルコール依存症で仕事にありつけない弁護士フランク(ポール・ニューマン)は、そんな彼を見かねた先輩弁護士から簡単に済みそうな訴訟を任されます。それは、出産時に麻酔のミスにより主婦が植物状態に陥ったという事件でした。示談で済ませたい病院側からできるだけ多額の示談金を引き出そうと考えたフランクは、入院中の被害者の写真を撮るうち、正義感に目覚めていきます。
ランプリングが演じたのは、バーで主人公のポールと出会い、次第に親密な関係になっていくローラ・フィッシャーです。
プロヴァンスの美しい風景のなか繰り広げられる推理劇【2002】
フランソワ・オゾン監督の『スイミング・プール』で、ランプリングは主人公のミステリー作家サラ・モートンを演じました。
スランプ中のサラは、南仏プロヴァンスにプール付きの別荘を借りることにします。社交的でない性格のサラは、突然現れた貸主の娘ジュリーに静かな生活を乱され憤慨。しかし、奔放なジュリーに関心を持ちはじめ、彼女をモデルにした小説を書くことにします。
この作品でランプリングは、ヨーロッパ映画賞女優賞を受賞しました。
残酷な運命に翻弄される友情を描いたSF映画【2010】
2005年にカズオ・イシグロが発表した同名小説を映画化。キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイの若手スターの共演が話題となりました。
寄宿学校ヘールシャムで育ったキャシー(マリガン)、トミー(ガーフィールド)、ルース(ナイトレイ)の3人は”特別な存在”としての自らの運命を知ることになります。運命から逃れるため、学校を出て農場で一緒に生活を始める3人。しかし、ルースとトミーが恋人同士となったことで、3人の友情が崩れはじめていきます。
この作品でランプリングは、終盤に主人公たちの希望を打ち砕くヘールシャムの校長、エミリー先生を演じています。
『Euphoria(原題)』で若手女優たちと共演するシャーロット・ランプリング
『エクス・マキナ』(2015)や『リリーのすべて』(2015)などに出演し、現在注目されているスウェーデンの女優アリシア・ヴィキャンデルと、『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)で注目を集めたエヴァ・グリーンが共演する新作映画『Euphoria(原題)』に、シャーロット・ランプリングも出演します。
ストーリーは姉妹が衝突を繰り返しながら、ヨーロッパを旅するロードムービーになるようです。ランプリングの役どころは不明ですが、若手女優との共演でもベテランとしての存在感を放ってくれるのではないでしょうか。
『Euphoria(原題)』の前にも8本の映画出演が控えているシャーロット・ランプリング。今後も幅広い映画で活躍が見られそうですね。