湯浅政明、日本のアニメ原画を支えてきた天才監督に迫る9のこと

2017年7月6日更新

湯浅政明監督をご存知でしょうか。天才と謳われるアニメ監督です。子供からお年寄りまで、誰もが知っている有名なあのアニメ映画から、アメリカのアニメーションまで手掛ける湯浅監督について9つの項目に分けて迫ります。

アニメ監督から脚本まで務める湯浅政明

湯浅政明

湯浅政明、と聞いても、ピンとこない方も多いかもしれませんが彼は、アニメ界で大活躍する天才監督です。名前を知らない方でも、彼の手掛けた作品なら絶対に見たことがあるはず!

今回はそんな天才アニメ監督、湯浅政明についてのことを6つの項目に分けて解説し、その魅力にぐぐっと迫っていきます。

1.活動3年目で『ちびまる子ちゃん』の原画を担当

ちびまる子ちゃん

大学卒業後、アニメ会社に就職した湯浅監督は、まず動画担当になります。しかし、その能力の高さから、原画を担当したほうがいいと評価され、すぐに原画の担当者へと異動になりました。

活動わずか3年目にして、1990年から放送開始の『ちびまる子ちゃん』では本編原画を担当するように。また、初代オープニング「ゆめいっぱい」、初代エンディング「おどるポンポコリン」の作画も担当しました。そうなのです、あの馴染みのある「おどるポンポコリン」の絵を担当したのは、湯浅監督だったのです。

1992年の映画『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』では「1969年のドラッグレース」「買い物ブギ」の音楽シーンにも携わりました。『ちびまるこちゃん』原作者であるさくらももこさんからは「一見大人しそうに見えてとんでもないことを次々と思いつく」と評価されたそうです。

2.『クレヨンしんちゃん』には欠かせない存在!

クレヨンしんちゃん シロ編 (アクションコミックス)

フリーランスとなってからは、『クレヨンしんちゃん』に各話作画監督・原画として参加しています。1993年から始まった『劇場版クレヨンしんちゃんシリーズ』は今も毎年新作の公開が続くほど大人気の映画シリーズですね。この、第一作目から設定デザイン・原画を担当しながら、要となるもののデザイン、またクライマックスの大切なシーンの原画を担当するなど、現在に至るまで関わり続けているのです。

また1996年に放送された「クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」と、2014年に放送された「クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」においては絵コンテも担当。特に後者では自身の設立したサイエンスSARUが監督自身の絵コンテパートの制作を担当しています。

3.アニメ映画初監督作品『マインド・ゲーム』

さらに、2004年に公開された、映画初監督作品である『マインド・ゲーム』では脚本も務めました。

この作品は、毎日映画コンクール大藤信郎賞、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、パリ・KINOTAYO映画祭大賞、モントリオール・ファンタジア国際映画祭でアニメーション部門優秀賞ほか4つの賞を受賞するなど、非常に評価の高い作品です。

4.米国カートゥーンの『アドベンチャー・タイム』も手掛ける

湯浅監督の活躍は、日本だけにとどまりません。

「カートゥーン ネットワーク」というチャンネルをご存知でしょうか?これは、スカパーやCATVなどで視聴可能なアニメ専門チャンネルです。このチャンネルには、世界194ヵ国で放送中の大人気アニメ『アドベンチャー・タイム』というアニメが放映されていました。

この世界的カートゥーンに、日本の湯浅政明監督がゲスト監督として参加しました。エピソードのひとつを担当しています。彼の絵が海外のアニメーション作家にも認められたため、一緒に仕事をすることになったそうです。

また、その時の湯浅監督のこだわりが、インタビューに現れています。

最後に歌を歌ったりしますので、そのあたりですかね。技術的には、全部フラッシュで作っているんですが、こういうフラッシュの使いかたは日本では珍しいかもしれません。あとゲスト監督ということで、東洋的な雰囲気もちょっと入れてみました。オープニングも少し変わってますので、ぜひ観てもらえたらと思います。
引用:animatetimes

5.湯浅政明の作品は日本を代表するものばかり!

冒頭にも書いた通り、湯浅監督の名前を知らなくても、監督の関わった作品は、日本を代表するアニメばかりなので、誰もがどこかで目にしたことがあるはずです。

以下にその代表作を紹介します。

キテレツ大百科

キテレツ大百科

1988年から1996年に放送された『キテレツ大百科』では原画を担当しています。

美味しんぼ

美味しんぼ

料理アニメとして人気を博した『美味しんぼ』も原画を担当しています。放送は1988年から1992年でした。

おそ松くん

おそ松くん

今、リメイクされて話題になっている『おそ松くん』ですが、初代は1988年から1989年の放送でした。この作品でも、湯浅監督は原画を担当しています。

ドラえもん

『ドラえもん プレミアムコレクション ひみつ道具スペシャル」

知らない人は、もはやいないのではないかという国民的アニメ、『ドラえもん』。

『クレヨンしんちゃん』と同じく、映画シリーズも人気の作品ですが、そのうち、『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』(1988年)、『ドラえもん のび太とアニマル惑星』(1990年)、『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』(2004年)にも湯浅監督は動画や原画として携わっているのです。

6.次々と名作アニメを世に送り出す!

『ケモノヅメ』

ケモノヅメ

食人鬼を狩るための戦闘集団「愧封剣」の師範代である桃田俊彦は、食人鬼の上月由香と恋に落ち逃亡を決意します。俊彦の弟である桃田一馬は、「愧封剣」の運営し始め、駆け落ちした二人の行方を追い始めます。そんな中、食人鬼の激増による連戦で疲労困憊の隊員達と、なんとか愧封剣を社会にアピールしたい一馬との間で亀裂が生じはじめてしまいます。

食人鬼と人間の禁断の愛に生きる俊彦と組織の改革に狂奔奔走し精神的に追いつめられていく一馬、さらに一馬を支えつつも何かを企てている大葉久太郎、それぞれの思惑が絡み合いながら物語がすすんでいきます。

『カイバ』

『カイバ』

記憶をデータ版に保存することが可能になり、若く美しく新しい肉体に乗り換えることが可能となった世界が舞台となっています。また記憶を管理することが可能になったため、記憶の売買や改ざん、さらには他人の記憶を盗むことなどが可能となっています。

主人公カイバはなぜか記憶を失っており、様々な星で様々な人に会い、記憶を巡る冒険を経て次第に記憶が蘇ってきます。

『四畳半神話体系』

『四畳半神話体系』

京都市を舞台に描かれたお話です。大学生である主人公は一年生の時に選んだサークルによって様々な大学生活を送ります。

各話で「私」はそれぞれ異なるサークルに入ったり組織に所属したりしますが、すべての物語の結末や登場人物が共通していたり関係していたりします。そして第4話では「私」はこれらの並行世界を横断します。

7.湯浅政明が設立した「サイエンスSARU」とは?

株式会社サイエンスSARUとは、2013年に設立された日本のアニメ制作会社です。設立にあたり、日本のアニメ業界の魅力を維持しながら、作業効率を上昇、作品のクオリティは維持、労働環境の改善、が可能だということを示すことを目標とし、フラッシュアニメーションの導入が行われています。

『ピンポン THE ANIMATION』

『ピンポン THE ANIMATION』

松本大洋による卓球漫画『ピンポン』が『ピンポン THE ANIMATION』のタイトルでアニメ化され、2014年4月より6月まで、フジテレビ「ノイタミナ」枠にて放送されました。 原作の絵をほぼそのまま再現する試みが行われています。本作ではあらかじめ用意された脚本はなく、湯浅政明が絵コンテを作成しながら台詞などを考案しました。

『夜は短し歩けよ乙女』

『夜は短し歩けよ乙女』

『夜は短し歩けよ乙女』は、2006年11月に角川書店より出版された森見登美彦による小説で累計売上130万部を超えるベストセラーです。主人公の冴えない男子大学生・先輩と彼が恋する可憐な女子大学生・黒髪の乙女の恋模様を描いた作品となっています。

湯浅政明による本作のアニメ映画が、主人公の声優に星野源を迎え、2017年4月公開されることが決定しています。

8.自身初のオリジナルアニメーション映画『夜明けを告げるルーのうた』

『夜明けを告げるルーのうた』は湯浅政明による完全オリジナル劇場作品です。キャラクターの原案に漫画家・ねむようこを起用し、キャラクターデザイン・作画監督は伊東伸高が務めることが決定しています。また、脚本は湯浅と共作で吉田玲子が、音楽は『思い出のマーニー』を担当した村松崇継が手がけています。

中学生カイが人魚ルーと出会い心を通わせることをきっかけに、カイが次第に自身の気持ちを他人に表せるようになっていく様子を描いています。

9.ニット帽愛好家な湯浅政明

湯浅監督の作画は独特な線や色使いで有名です。ポップで、童話を思わせるようなキャラクターデザインも多く、特徴的な世界観のある絵を描きます。

しかし、人柄は飄々としており気さくな方だとか。また、インタビューを受ける際など、必ずニット帽を着用していることから、ニット帽愛好家としても有名だそうです。

今後も湯浅政明監督の作品に大注目!

2013年 オタワ国際アニメーション映画祭短編コンペティションノミネート、第42回 アニー賞監督賞(TV部門)ノミネート、第2回 TAAFアニメオブザイヤー グランプリ(TV部門)といったように、近年も世界的に評価され続けている湯浅政明監督。

今後も彼の作品から目が離せませんね!