『風の谷のナウシカ』原作漫画のネタバレあらすじ解説 ラストの意味や映画との違いとは?
宮崎駿監督の名作アニメ『風の谷のナウシカ』は、実は監督が自ら描いた漫画が原作!1982年から雑誌『アニメージュ』で連載され、単行本7巻で完結しましたが、映画化されたのは2巻までの内容。しかも設定も展開も違います。 今回は映画では描かれなかった原作漫画の重要な設定を読み解き、より深く作品を味わってみましょう。 ※この記事には、全体的に『風の谷のナウシカ』の映画と原作のネタバレが含まれています。双方とも未鑑賞の人は注意してください。
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原作漫画『風の谷のナウシカ』のあらすじと映画の違い
最終戦争「火の七日間」から約千年後。小国「風の谷」の王女ナウシカは、病の父ジルに代わって代理で国を治めていました。人間に害を及ぼす瘴気を発する「腐海」に浸食され続け、生きた土地を奪い合う争いが2つの大国「トルメキア」と「土鬼(ドルク)」の間で続いています。 そんなある時、風の谷近くにトルメキアの船が墜落。そこにはトルメキアに滅ぼされたペジテ市の王女ラステルが乗っており、最終戦争で世界を滅ぼした巨神兵を蘇らせる「秘石」をナウシカに託して息絶えました。 トルメキアの皇女クシャナは巨神兵復活を目論んでおり、ナウシカはクシャナの軍隊と合流して土鬼との戦いに参じることになります。
映画で描かれた物語を
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原作漫画『風の谷のナウシカ』の結末ネタバレ
トルメキアVS土鬼(ドルク)の戦いに参戦する中、旧人類の計画を知ることとなったナウシカ。 秘石に反応したオーマには本来の巨神兵としての使命が蘇り、母であるナウシカの意図を汲んで、新人類の卵と旧世界の文明が保存されている「墓所」を破壊しようとします。しかし墓所からの攻撃を受け、オーマはナウシカに看取られながら死んでしまいます。 旧人類の叡智の結晶ともいえる墓所は神に近い知的生命体。しかしナウシカは、旧人類の計画は生命への侮辱だとして、新人類の卵とともに墓所を破壊し尽くすことを選びます。現生人類が浄化された世界で滅び、闘争本能を持たない新人類が清浄な新世界で平穏に暮らす未来を、彼女は拒否したのです。 その後トルメキアはクシャナを王とし、土鬼との戦争も終結して平和が訪れました。しかし結果的に新人類はナウシカの手によって絶滅し、ナウシカたち現生人類もいずれ浄化によって滅ぶ運命に。ナウシカの選んだ道は「修羅の道」だったのでしょうか。
映画で描かれた結末と比較
原作漫画解説①旧人類の思惑とは?
本作の舞台となっているのは、瘴気(しょうき)という毒を放出し続ける「腐海」の森。映画では腐海は、「火の7日間」で旧世界が滅んだ後に“自然に”発生した浄化装置のようなものと考えられていました。 しかし原作漫画では、この設定はもっと踏み込んだものになっています。実は腐海による浄化だけでなく、巨神兵が引き起こした最終戦争「火の7日間」も、旧人類が“意図的に”行なったことだったのです。 旧人類の計画は汚染された旧世界を巨神兵に焼き払わせ、腐海によって浄化した後、遺伝子操作した闘争本能のない新人類を目覚めさせるというものでした。 さらに衝撃的なのは、ナウシカたち現生人類や王蟲までもが旧人類が造り出した人工的生物だったということ!加えて汚染された世界でも生きていけるよう遺伝子操作された現生人類は、“毒がないと生きられない”体でもあったのです。 現生人類たちは浄化された後の新世界では生きていけず、滅亡する運命にあります。新人類と争うことがないように、滅亡するようプログラムされているのです。
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原作漫画解説②トルメキアと土鬼(ドルク)の争いがメイン
原作『風の谷のナウシカ』では、腐海が広がっていないわずかな土地を奪い合い、トルメキアと土鬼(ドルク)の2つの大国が争っています。映画の舞台はナウシカが住む風の谷ですが、原作ではこの2大国の戦争がメインであるため、実は原作には風の谷はあまり描かれていません。 トルメキアは王家を持つ軍事国家、土鬼は僧侶が国政をになう政教一致の連合国家です。原作ではかなり重要な役割を担っている土鬼ですが、映画では完全にカットされた設定となっています。 原作の重要アイテム「秘石」と土鬼の存在が映画ではカットされているため、物語の展開や設定にも大きな違いが。例えば、映画のクライマックスには風の谷に王蟲の大群が押し寄せましたが、原作では土鬼軍がトルメキア軍に王蟲たちを仕向けているのです。
「風の谷」がメインで描かれた
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原作漫画解説③クシャナの見え方が映画と違う
映画ではクシャナの生い立ちなどに触れていませんが、原作ではかなり詳細に彼女の背景が語られています。そのためかクシャナは、原作ファンにより高い人気を誇っているようです。 クシャナはトルメキア王国の継承権を持つ第4皇女でありながら、国王と3人の皇子たちに酷い仕打ちを受けてきた苦労人。母親を毒殺されかけたり、自らも命を狙われたりと、それは過酷な幼少期を送ってきました。 そんな過去を背負い、兄たちへの復讐を胸に秘めつつ、トルメキア軍の将として部下たちを守り果敢に戦う姿は印象的。時にはペジテのような小国家を滅ぼすような冷徹な軍人ぶりを見せますが、垣間見せる人間らしさもその魅力を引き立てています。 実はナウシカ(NAUSICAA)とクシャナ(CUSIANAA)の名はアナグラムになっており、お互いが対の存在であることを示しています。確かにナウシカは平和、クシャナは戦争と背負っているものが反対でありながら、確固たる意志を持つ点は共通する部分がありますね。
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原作漫画解説④映画に登場しない重要アイテム「秘石」とは
映画に登場しない原作の重要なアイテムが「秘石」です。秘石とは、巨神兵を動かすことができる装置。原作ではペジテの王女ラステルからナウシカに手渡されるものです。 その後ナウシカはラステルの兄アスベルと出会って秘石を返しますが、再び2人が戦場で出会った際にナウシカの手に渡っています。原作では、トルメキアの王女クシャナがこの秘石を奪うために風の谷にやって来るのです。 秘石は原作の後半の展開に大きく関わっています。ナウシカが持つ秘石に巨神兵が反応し、ナウシカを母と認識するのです。実は秘石は、巨神兵を起動する鍵でした。ナウシカは巨神兵を我が子として「オーマ」と名付けます。 ナウシカたちは巨神兵を旧世界を滅ぼした死神のような兵器として認識していましたが、もともと巨神兵は人類の争いを調停し裁定する、神に近い知的生命体だったのです。1000年前に「火の7日間」が引き起こされたのは、巨神兵が旧世界は滅ぶべきだと裁定したからでした。 秘石によってナウシカとオーマは心を通わせることができるようになり、オーマも本来の使命を全うしようとし始めます。
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『風の谷のナウシカ』原作漫画を読んでより深く楽しもう!
これまで何度もテレビ放送されてきた『風の谷のナウシカ』。ここまで長い間放送を重ねてきた作品であることは、劇場公開時に子どもだった大人が今になってもまだ楽しめる名作である証です。 ただ原作が深遠なテーマを描いているだけに、映画だけではもったいない!原作に触れることで、『風の谷のナウシカ』本来の世界観をより楽しめるのではないでしょうか。