【ネタバレ】映画『風の谷のナウシカ』原作の結末は皆殺しのバッドエンド?オーマやナウシカの最後も解説!
宮崎駿監督の名作アニメ『風の谷のナウシカ』は、実は監督が自ら描いた漫画が原作!1982年から雑誌『アニメージュ』で連載され、単行本7巻で完結しましたが、映画化されたのは2巻までの内容。しかも設定も展開も違います。 今回は映画の内容をおさらいしつつ、映画では描かれなかった原作漫画の重要な設定を読み解き、より深く作品を味わってみましょう。 ※この記事には、全体的に『風の谷のナウシカ』の映画と原作のネタバレが含まれています。双方とも未鑑賞の人は注意してください。
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【概要】宮崎駿監督映画『風の谷のナウシカ』原作漫画の2巻までの冒険

| タイトル | 『風の谷のナウシカ』 |
|---|---|
| 制作年 | 1984年 |
| 上映時間 | 116分 |
| 監督 | 宮崎駿 |
| 主演声優 | 島本須美 |
| 原作 | 宮崎駿『風の谷のナウシカ』(福間書店) |
『風の谷のナウシカ』は、宮崎駿が手がけた冒険ファンタジーアニメ映画です。 原作は宮崎駿がアニメ情報誌『アニメージュ』(福間書店)に連載していた同名漫画。宮崎自身が脚本・監督を務め、原作漫画の2巻の途中までを映画化しました。 原作は1982年から連載を開始し、映画制作のために4度の中断期間を挟みながら1994年に完結しました。映画と原作は設定や展開が大きく異なっており、パラレル的な内容となっています。
【あらすじ】映画『風の谷のナウシカ』どんな話?
「火の七日間」と呼ばれる大戦争で文明社会が滅んでから1000年。人類は巨大な蟲や毒を発する菌類に覆われた「腐海」に脅かされながら生きていました。 そんななか、「風の谷」は海からの風によって腐海の毒から守られていました。その族長の娘ナウシカは、人々が恐れる巨大な王蟲(オーム)と心を通わせる能力を持った優しい少女です。 風の谷の人々に慕われ、平和な日々を過ごしていたナウシカは、やがてトルメキアとペジテ市の争いに巻き込まれていきます。
【ネタバレ】映画『風の谷のナウシカ』最後まであらすじ解説
【起】風の谷の日常を襲う悲劇

慎ましくも平和に人々が暮らす小国・風の谷。その族長の娘であるナウシカは、人々を脅かす王蟲とも心を通わせることができる優しい少女でした。 あるとき風の谷に、大国トルメキアの大型輸送機が飛来。腐海に入り王蟲を殺したため、王蟲の反撃にあい船は谷に墜落します。燃える船からペジテ市の王女ラステルを救い出したナウシカでしたが、ラステルは「積み荷を燃やして」と言い残し、息を引き取りました。 翌日、船の残骸から巨大な繭のようなものが発見されます。トルメキア軍の司令官であるクシャナ皇女がその回収のため谷に来襲し、城を制圧。その過程でナウシカの父ジルが殺されてしまいました。 巨大な繭の正体は、「火の七日間」で世界を滅ぼしたとされる巨神兵の胚でした。ペジテ市の地下から発見された胚を奪い、巨神兵を使って腐海を焼き払うつもりだったトルメキア軍は、本国への輸送をあきらめ、谷で巨神兵を完成させることにします。
【承】腐海の真実との出会い

ナウシカは4人の老従者とともに、人質としてペジテ市に行くことになります。旅立つ前日、ナウシカは城の地下に作った秘密の部屋にいました。彼女は腐海から持ち帰った胞子を育て、きれいな土と水を使えば、腐海の植物も毒を出さないことを突き止めていたのです。 翌朝、ナウシカたちはトルメキアの船に乗り込みます。しかしトルメキアの艦隊はガンシップに乗ったペジテ市の王子アスベルに襲撃され、墜落してしまいました。ナウシカは小型機にのって長老たちを救出しますが、ガンシップとともに腐海に不時着します。 アスベルとともに腐海の底にたどり着いたナウシカは、そこの空気が澄んでおり、土も水もきれいなことに気がつきます。腐海の木々は人間が汚染した大気の毒をきれいな結晶に変え、王蟲はそれを守っていたのです。
【転】ペジテの暴走と押し寄せる王蟲の群れ

翌日ナウシカとアスベルがペジテ市にたどり着くと、町は蟲によって破壊し尽くされていました。これはペジテ市の人々が巨神兵の胚を取り戻すために自ら仕組んだことで、彼らは風の谷も蟲に襲わせようとしていました。 この計画に反対したナウシカはペジテの船に監禁されますが、アスベルが彼女を逃がします。ナウシカはガンシップを飛ばし、風の谷へ向かいました。 風の谷では残っていた腐海の胞子が繁殖し、森を焼き払わざるをえなくなります。谷の人々の怒りは頂点に達し、トルメキアとの戦闘が始まりました。そこへ王蟲の大群が谷へ向かっているという知らせが入り、戦闘は中断されます。 ナウシカは王蟲の大群を怒らせるために囚われた王蟲の幼生を助けようとしていました。しかし王蟲の暴走は止まらず、ナウシカは自分と幼生を大群の前に下ろすようペジテ市の兵士に命令します。
【結】ナウシカの復活

クシャナは未完成の巨神兵を連れ出し、王蟲の大群を攻撃させます。巨神兵の火炎砲はすさまじい威力でしたが、すぐに腐って死んでしまいました。 王蟲の暴走が止まらないなか、その前にナウシカと幼生が降り立ちます。しかしナウシカはすぐに巨大な王蟲に跳ね飛ばされ、大群の下敷きになってしまいました。 その直後、王蟲は動きを止め、目が青に変化。王蟲たちが傷だらけのナウシカを金色の触手で持ち上げると、彼女は息を吹き返します。その姿は谷に古くから伝わる「青き衣をまといて金色の野に降り立つ」伝説の救世主そのものでした。 ナウシカの帰還に谷の人々は歓喜します。王蟲の群れは静かに森に帰っていき、トルメキア軍も谷から撤退。風の谷には平和が戻りました。
【原作】映画は序章にすぎない?『風の谷のナウシカ』のネタバレ解説
映画版は「全7巻中の2巻目」までの物語
『風の谷のナウシカ』の原作漫画は全7巻あり、映画は2巻中盤までの内容となっています。 映画ではナウシカがアスベルと腐海の底から脱出した後、王蟲は怒りをおさめて腐海に帰り、トルメキア軍も風の谷から撤退しました。 しかし原作では、王蟲はそのまま南下し土鬼(ドルク)へ。そこでナウシカとクシャナは土鬼が腐海の瘴気を化学兵器化していることを知ります。ナウシカは土鬼が腐海の瘴気をばらまくのをやめさせようと奮闘しますが、土鬼とトルメキアは全面戦争に突入します。
原作漫画『風の谷のナウシカ』あらすじ

最終戦争「火の七日間」から約千年後。地上は人間に害を及ぼす瘴気を発する「腐海」に浸食され、2つの大国「トルメキア」と「土鬼(ドルク)」の間で生きた土地を奪い合う争いが続いています。小国「風の谷」の王女ナウシカは、病の父ジルに代わって国を治めていました。 そんなある時、風の谷近くにトルメキアの船が墜落。そこにはトルメキアに滅ぼされたペジテ市の王女ラステルが乗っており、最終戦争で世界を滅ぼした巨神兵を蘇らせる「秘石」をナウシカに託して息絶えました。 巨神兵を復活させ、土鬼との戦いに利用しようと目論むトルメキアの皇女クシャナと戦友になったナウシカは、彼女の軍隊と合流して土鬼との戦いに参じることになります。
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原作漫画『風の谷のナウシカ』結末までネタバレ!旧人類を皆殺しに?
トルメキアVS土鬼(ドルク)の戦いに参戦する中、旧人類の計画を知ることとなったナウシカ。 秘石に反応したオーマは本来の巨神兵としての使命が蘇り、秘石を持つナウシカを母と認識。オーマは彼女の意図を汲んで、新人類の卵と旧世界の文明が保存されている「墓所」を破壊しようとします。しかし墓所からの攻撃を受け、死んでしまいました。 旧人類の叡智の結晶ともいえる墓所は神に近い知的生命体。しかしナウシカは、旧人類の計画は生命への侮辱だとして、新人類の卵とともに墓所を破壊し尽くすことを選びます。毒がなければ生きられない現生人類が浄化された世界で滅び、闘争本能を持たない新人類が清浄な新世界で平穏に暮らす未来を、彼女は拒否したのです。 その後トルメキアはクシャナを王とし、土鬼との戦争も終結して平和が訪れました。しかし結果的に新人類はナウシカの手によって絶滅し、ナウシカたち現生人類もいずれ浄化によって滅ぶ運命に。ナウシカは旧人類の計画を、自然や命を操ろうとするものとして良しとしませんでした。 彼女は、たとえ滅亡が避けられないとしても、今の命を自らの意思で生きることを選択したのです。
映画で描かれた結末と比較
原作漫画で明かされた旧人類の衝撃的な思惑

本作の舞台となっているのは、瘴気(しょうき)という毒を放出し続ける「腐海」の森。映画では腐海は、「火の7日間」で旧世界が滅んだ後に“自然に”発生した浄化装置のようなものと考えられていました。 しかし原作漫画では、この設定はもっと踏み込んだものになっています。実は腐海による浄化だけでなく、巨神兵が引き起こした最終戦争「火の7日間」も、旧人類が“意図的に”行なったことだったのです。 旧人類の計画は汚染された旧世界を巨神兵に焼き払わせ、腐海によって浄化した後、遺伝子操作した闘争本能のない新人類を目覚めさせるというものでした。 さらに衝撃的なのは、ナウシカたち現生人類や王蟲までもが旧人類が造り出した人工的生物だったということ!加えて汚染された世界でも生きていけるよう遺伝子操作された現生人類は、“毒がないと生きられない”体でもあったのです。 現生人類たちは浄化された後の新世界では生きていけず、滅亡する運命にあります。新人類と争うことがないように、滅亡するようプログラムされているのです。
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【原作】映画には登場しない土鬼(ドルク)や秘石とは?
映画でメインになるトルメキアと土鬼(ドルク)の争い
映画の舞台はナウシカが住む風の谷ですが、実は原作には風の谷はあまり描かれていません。 映画はトルメキアvs風の谷・ペジテという局面的な構成でしたが、原作はトルメキアvs土鬼神聖皇国の全面戦争がメインのストーリーとなっています。 トルメキアは王家を持つ軍事国家、土鬼は僧侶が国政をになう政教一致の連合国家です。原作ではかなり重要な役割を担っている土鬼ですが、映画では完全にカットされた設定となっています。 原作の重要アイテム「秘石」と土鬼の存在が映画ではカットされているため、物語の展開や設定にも大きな違いが。例えば、映画のクライマックスには風の谷に王蟲の大群が押し寄せましたが、原作では土鬼軍がトルメキア軍に王蟲たちを仕向けているのです。
「風の谷」がメインで描かれた
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映画未登場の重要アイテム「秘石」

映画に登場しない原作の重要なアイテムが「秘石」です。秘石とは、巨神兵を動かすことができる装置。原作ではペジテの王女ラステルからナウシカに手渡されるものです。 その後ナウシカはラステルの兄アスベルと出会って秘石を返しますが、再び2人が戦場で出会った際にナウシカの手に渡っています。原作では、トルメキアの王女クシャナがこの秘石を奪うために風の谷にやって来るのです。 秘石は原作の後半の展開に大きく関わっています。ナウシカが持つ秘石に巨神兵が反応し、ナウシカを母と認識するのです。実は秘石は、巨神兵を起動する鍵でした。ナウシカは巨神兵を我が子として「オーマ」と名付けます。 ナウシカたちは巨神兵を旧世界を滅ぼした死神のような兵器として認識していましたが、もともと巨神兵は人類の争いを調停し裁定する、神に近い知的生命体だったのです。1000年前に「火の7日間」が引き起こされたのは、巨神兵が旧世界は滅ぶべきだと裁定したからでした。 秘石によってナウシカとオーマは心を通わせることができるようになり、オーマも本来の使命を全うしようとし始めます。
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【原作】映画では描かれなかったナウシカやオーマの正体!
ナウシカの正体は人造人間

ナウシカをはじめとする現生人類は、旧人類によって生み出された人造人間です。旧人類は、世界の浄化を行わせるために人造人間を生み出しました。彼女たちの体は汚染された環境にすでに適応しており、「清浄すぎる空気の中では、肺から血を吹き出して死んでしまう」という救いのない体質に改造されています。 これは世界の浄化が終わった後、復活した新人類との対立を避けるために、きれいな大気で現生人類が滅ぶように意図的にプログラムされているのです。
悲劇の女王・クシャナの過去

映画ではクシャナの生い立ちなどに触れていませんが、原作ではかなり詳細に彼女の背景が語られています。そのためかクシャナは、原作ファンにより高い人気を誇っているようです。 クシャナはトルメキア王国の継承権を持つ第4皇女でありながら、国王と3人の皇子たちに酷い仕打ちを受けてきた苦労人。母親を毒殺されかけたり、自らも命を狙われたりと、それは過酷な幼少期を送ってきました。 そんな過去を背負い、兄たちへの復讐を胸に秘めつつ、トルメキア軍の将として部下たちを守り果敢に戦う姿は印象的。時にはペジテのような小国家を滅ぼすような冷徹な軍人ぶりを見せますが、垣間見せる人間らしさもその魅力を引き立てています。 実はナウシカ(NAUSICAA)とクシャナ(CUSIANAA)の名はアナグラムになっており、お互いが対の存在であることを示しています。確かにナウシカは平和、クシャナは戦争と背負っているものが反対でありながら、確固たる意志を持つ点は共通する部分がありますね。
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クロトワはクシャナを抹殺することを命じられた刺客

映画では、クロトワはクシャナの部下として登場しています。しかし原作では、彼はクシャナを暗殺するために、彼女の父であるヴ王が送った刺客でした。 クシャナは先王の娘であり、その正当な血統を恐れたヴ王は彼女を粛清しようと策謀を巡らせ、クロトワを送り込んだのです。 しかしその真の目的をクシャナに見破られたクロトワは、王の命令を果たしたところで口封じのために殺されると予見していたこともあり、すぐにクシャナ側に寝返りました。 クロトワは平民出身でありながら、叩き上げで参謀にまで登りつめたやり手です。原作では瀕死の重傷を追いながらクシャナを援護するなど、忠臣ぶりを発揮しています。
巨神兵の正体は知能を持ったオーマ!最後は?
映画では「腐って自滅する兵器」として描かれている巨神兵ですが、原作では知性を持った生命体です。巨神兵の末裔は秘石を持つナウシカを「母さん」と呼んで慕い、彼女によって「オーマ(「無垢」という意味)」と名付けられました。 その後、ナウシカとともにシュワの墓所に向かったオーマは、土鬼とトルメキア軍の戦闘に介入し、シュワの一部を消滅させます。トルメキアのヴ王と謁見した後、オーマはシュワの封印を宣言しますが、墓所との壮絶な戦いでシュワを壊滅させました。 しかし自身も重傷を負い、墓所の堀に転落。そのまま消滅したかと思われたオーマでしたが、ナウシカの呼びかけによって目を覚まし、墓所を内側から破壊しトドメを刺します。そしてナウシカに見守られながら、オーマは息を引き取りました。
【考察】原作は映画と違ってバッドエンド?
映画では、風の谷とペジテ、そしてトルメキア軍が和解し、腐海でともに生きる道を選ぶハッピーエンドとなっています。 一方原作のラストではナウシカは新人類の誕生を阻止し、浄化が終わった世界では生きていけない現生人類も、いずれ滅ぶことが確定します。 これはバッドエンドと捉えられがちですが、ナウシカは「たとえ明日滅びるとしても、今この瞬間を懸命に生きる意味がある」と考えたのでしょう。旧人類の計画に利用される道ではなく、自分たちの意志で生きる道を選んだのです。
【考察】映画『風の谷のナウシカ』よくわからない謎シーンを解説
ラステルの胸元を見たナウシカ
映画序盤、風の谷に墜落したペジテの王女ラステルは、ナウシカに船の積み荷を燃やすよう懇願します。ナウシカは彼女の胸元を見て複雑な顔をし、服を戻して手当をしませんでした。 このときナウシカは、ラステルが胸に致命傷を負っており、もう助からないと悟ったためなにもしなかったのでしょう。このような描写になったのは、アニメでは血の跡が汚く見えてしまうことを避けるため、あえて血を描かなかったのだと思われます。 このシーンについて、宮崎駿は「ラステルは鉄骨で胸が押しつぶされていた」と発言しています。
巨神兵が腐ったのはなぜ?
映画での巨神兵は、長い間ペジテの地下に眠っていたものをトルメキア軍が掘り起こして復活させたものです。 この巨神兵は卵膜のようなものに包まれ、心臓部が脈打っている赤黒いかたまりで、なんらかの生物のようにみえます。しかし成長のための時間が足りなかったのか、未成熟のままで復活させられたために、すぐに腐ってしまったのではないでしょうか。 死んでしまった巨神兵の残骸は明らかにロボットのような人工物で、「旧世界の遺物」らしい不気味な存在として描かれています。
映画『風の谷のナウシカ』原作漫画のネタバレを最後まで知るともっと面白い

これまで何度もテレビ放送されてきた『風の谷のナウシカ』。ここまで長い間放送を重ねてきた作品であることは、劇場公開時に子どもだった大人が今になってもまだ楽しめる名作である証です。 ただ原作が深遠なテーマを描いているだけに、映画だけではもったいない!原作に触れることで、『風の谷のナウシカ』本来の世界観をより楽しめるのではないでしょうか。





