2019年11月7日更新

インド映画『きっと、うまくいく』高評価のワケと名言【主要キャスト・あらすじ】

『きっと、うまくいく』 アミール・カーン R・マーダヴァン(マドハヴァン) シャルマン・ジョーシー
©TWENTIETH CENTURY FOX HOME ENTERTAINMENT/zetaimage

『きっと、うまくいく』は2013年に日本でも大ヒットを記録した、インド産傑作コメディ映画。主人公3人のハチャメチャだけど心温まる本作について、あらすじやキャストさらには高評価の理由や名言も紹介します!

目次

インド映画『きっと、うまくいく』が大喝采を受けたのはなぜ?

2009年のインド映画『きっと、うまくいく』は、本国で歴代興行記録1位を記録したと共に、インドアカデミー賞16部門受賞という大記録を樹立しました。 日本では2013年に公開され、主人公3人の大学生が織りなすハチャメチャな騒動と友情が多くの支持を集め、同じくヒットとなりました。 この記事ではそんな本作のあらすじやキャストなどの情報、高評価の理由や名言について紹介します。

ボリウッドとは?インド映画9つの特徴

ボリウッドとは、インドのムンバイで展開される映画産業の俗称。ムンバイの旧称であるボンベイの「ボ」と、アメリカの映画産業の中心地である「ハリウッド」を組み合わせて作られた名前です。 インド映画では“ナヴァ・ラサ”と呼ばれる9つの感情が盛り込まれる作品が多くあります。シュリンガーラ (恋愛)、ハースヤ (笑い) 、カルナ (悲しみ) 、ラウドラ (怒り) 、ヴィーラ (勇敢) 、バヤナカ (恐怖) 、ビーバッア (嫌悪) 、アドゥブタ (驚き) 、シャーンタ (平穏) の9つです。 もちろん全てを必ず入れなければならないというルールはありませんが、『きっと、うまくいく』の評価が高いのは、この9つの感情全てが詰まった作品だからと言えるでしょう。

【あらすじ】3バカトリオが歩む人生の物語

ある日、飛行機で離陸寸前だったファルハーンの元に1本の電話が。それは大学時代の親友で、行方がわからなくなっていたランチョーに会えるというもの。急病人のフリをして飛行機を降りたファルハーンは同じく親友だったラージューを急いで迎えに行きます。卒業校である、インドでも有名の超難関工科大学ICEに向かった2人を出迎えたのは、電話を寄越したチャトゥルでした。 ランチョー自身はそこにはおらず、10年前にしたランチョーとどちらが出世しているかという賭けのために呼び出したと言います。怒る2人でしたが、チャトゥルはランチョーの居所を掴んでおり、大企業の副社長となった自分との差を思い知らせるために会いに行くと言うのです。2人はランチョーの元へ向かい、同時に大学時代が思い起こされます。 ランチョーは破天荒で教育制度に疑問を持ちながらも優秀な生徒でした。ランチョーと学生寮で同部屋だった2人は、学長と揉めたり、騒ぎを起こしながらも楽しく過ごしていました。様々な学生時代の思い出と共にランチョーと再会しようとしますが、思いもよらない事態に直面。2人も知らなったランチョーの秘密が明かされます。

登場人物/キャスト紹介!大学生を演じたのはみんなおじさん?

ランチョー/アーミル・カーン

アーミル・カーン
©Sipa Asia/Sipa USA/Newscom/Zeta Image

フルネームはランチョルダース・シャマルダース・チャンチャル。自由奔放で教育制度に反発しているため、学長やチャトゥルとはしばしば対立していました。 落ちこぼれだった親友2人とは違い、成績は首席。しかしそれはあくまでもいい成績を取ろうとしたわけではなく、純粋に科学を学びたいという姿勢によるものでした。大学時代には、彼の咄嗟の機転や発明品で多くの難題を解決していきます。 モットーは「Aal Izz Well(うまくいく)」。実は彼の素性にはある秘密が――。2人の親友はランチョーと再会できるのでしょうか。 ランチョーを演じたのは、1965年3月14日生まれのインド人俳優アミール・カーンです。ボリウッドで絶大な人気を誇る彼は当時44歳でしたが、若々しい大学生役を演じるために肉体改造を行いました。

ファルハーン/R・マーダヴァン(マドハヴァン)

R・マーダヴァン(マドハヴァン)
©Pacific Press/Sipa USA/Newscom/Zeta Image

ファルハーン・クレイシーは平凡な家の生まれです。産まれた時に父親からエンジニアになるよう決められ、ICEに進学。しかし成績は低く、本人はエンジニアではなく動物の写真家になりたいと思っていました。父親に頭が上がらないためその夢を隠していたファルハーンでしたが、ランチョーと学生時代を過ごすことで転機が訪れます。 ファルハーンを演じたのは1970年6月1日生まれのインド人俳優、R・マーダヴァン(マドハヴァン)です。エンジニアや軍人など様々な職歴を持つ彼も、36歳という年齢で大学生を演じました。

ラージュー/シャルマン・ジョーシー

なにかにつけては神頼みやおまじないに頼るラージュー・ラストーギーは非常に貧しい家の出身で、家族の生活が彼の肩にかかっているものの、残念ながら成績は振るいません。プレッシャーに耐えかねた彼は、大学時代にある事件を起こします。 ラージューを演じたシャルマン・ジョーシーは、1979年4月28日生まれのインド人俳優。舞台演劇で経験を積んだ彼は多くの作品に主演しています。

『きっと、うまくいく』はなぜ高評価?

【ネタバレあり】見事な伏線回収

本作では何気なく登場したアイテムが危機を打破することになったり、他のキャラクターが言ったセリフを引用する場面がいくつもあります。その使われ方が鮮やかで、観ていて絶妙なタイミングで挿入されるのが心地よいのです。 物語序盤からも大きな伏線が張られており、最後には実に綺麗なオチが待ち受けています。

物語の途中で、ファルハーンたちの知っているランチョーがランチョーではなかったことが明らかになります。本物のランチョーは金持ちの子供で、彼らの知るランチョーはその家で働く庭師の息子でした。 勉強が好きだった彼に目を付け、学位を手に入れるためにランチョーとしてICEに入学させていたのでした。そして卒業後は田舎で学校の先生をしていると知ったファルハーンたちは再び会おうとします。 チャトゥルは特許を山ほど持つフンスク・ワングルという人物と会う約束があると行くのを拒みますが、無理矢理抑えて彼らの知るランチョーの元へ向かいました。 やっとの思いで再会し喜ぶ彼らでしたが、チャトゥルは学校の先生をしていることを笑います。ふとランチョーの本名が気になったファルハーンたちは名前を尋ねました。実は彼こそが、チャトゥルがなんとしても契約を結ぼうとしていた高名な科学者、フンスク・ワングルだったのです。

テンポのいいストーリー展開

『きっと、うまくいく』 アミール・カーン R・マーダヴァン(マドハヴァン) シャルマン・ジョーシー
©TWENTIETH CENTURY FOX HOME ENTERTAINMENT/zetaimage

本作はまず現代のファルハーンの視点から物語が始まります。そして学生時代の出来事が語られ、現代に戻り前半となる1部が終了。そして2部からは大学生活最大の事件や、彼らが将来に対して下した決断が語られます。170分の長編映画ですが、長さを感じさせないストーリー展開となっているのです。 それらを通して家族や友人たちの大切さといった普遍的な事柄が描かれており、観た人の多くは自身を省みることができるのではないでしょうか。登場人物たちの葛藤を通して、自分の人生を見つめ直すきっかけになると思われます。

教育制度や社会問題に切り込む

基本的には明るい作風の本作ですが、インドのリアルな教育事情や社会制度に対する疑問が描かれています。それは決してインドだけでなく、どんな国にも言えることで、教育や学ぶことの意味を問うています。 さらに命や生きることの意味にも踏み込んでおり、社会がどのような形で若者を導くべきなのかおのずとわかってくるように仕上がっています。この作品を通して、自分らしく生きる生き方を知ることができるでしょう。

5つの名言から生き方を学ぶ

①「自分がなりたいものは心が教えてくれる。臆病になった時は胸に手をかざしてこの言葉を言うんだ。“"Aal Izz Well”(きっとうまくいく!)」【ランチョーの名言】

『きっと、うまくいく』 アミール・カーン R・マーダヴァン(マドハヴァン) シャルマン・ジョーシー
©TWENTIETH CENTURY FOX HOME ENTERTAINMENT/zetaimage

邦訳版のタイトルにもなっている言葉、「きっと、うまくいく」。ランチョーのモットーだったこのフレーズは、ファルハーンやラージューにとっても、いざという時心を落ち着かせてくれる合言葉となっています。 みなさんも切羽詰まった時や焦った時こそ、胸に手をかざしてこの名言を思い出してはいかがでしょうか。

②「カッコーは自ら巣を作らない。他の鳥の巣に卵を忍ばせるんだ。ヒナが生まれる時に彼らが初めてやることが分かるか?他の鳥の卵を蹴落とすのだ。それで競争は終わり。カッコーの人生は殺しで始まる。戦うか、死ぬか。それが自然というものだ。」【ヴァイラスの名言】

学長のヴァイラス(ウィルス)ことヴィールーの名言。前時代的な考え方を持つヴァイラスは、入学したばかりの生徒たちに競争をけしかけるような言葉を投げかけます。 確かに、どうしても競争しなくてはいけないような社会に身をやつす人もいるでしょう。そんな人はヴァイラスの名言のように、他者より先んじる行動力が必要になってくるかもしれません。

③「成功を求めて勉強してはいけない。成功の背中を決して追うな。美徳に従えば成功は自ずとついてくるものだ。」【ランチョーの名言】

良い成績を取るために答えを暗記すればいいというチャトゥルと違い、学ぶことが好きなランチョーが親友2人に放ったセリフ。 ランチョーは決して口だけではなく、不可能だと言われた発明品を完成させたり、首席の成績をとってきました。有限実行で学ぶ姿勢を説く、ランチョーの気持ちが詰まった名言です。

④「工学を辞めて動物の写真家になれよ。才能を無駄にするべきじゃない。もしプロの歌手の父親が子供にクリケット選手になるように説得していたら?もしプロのクリケット選手の父親が子供に歌手になるよう説得していたら?彼らはどうなっていたと思う?僕が言っていることが分かるか?動物が好きなのになぜ機械と結婚するんだ。」【ランチョーの名言】

動物写真家になりたいという夢を抱きながらも、父親からの期待に応えるためにその夢をひた隠しにしてきたファルハーンに対するランチョーのセリフ。 将来の可能性をみすみす潰すことになると、親友のファルハーンを説得しようとする彼の思いが伝わる名言でした。

⑤「もし写真家になったらきっと稼ぎは少なくなる。そうだろ?家や車も小さくなるだろう。でも、父さん。僕はそれで幸せ、本当に幸せなんだよ。何をするにせよ心は満たされるのだから。」【ファルハーンの名言】

それまで隠してきた夢を父親に打ち明ける際にファルハーンが放ったセリフです。父親もファルハーンを嫌っているわけでなく、良い暮らしをして欲しいからという親心でエンジニアの道を歩ませていました。 そのため合格祝いにパソコンを用意していましたが、採用面接に行かなかったファルハーン。父親に自分の幸せを伝え、理解してくれた父もパソコンを返してカメラを買ってくれたのでした。

『きっと、うまくいく』はおバカでハートフルなインド映画の名作!

この記事では傑作ボリウッドコメディの『きっと、うまくいく』を紹介しました。笑えて泣ける本作には、名作と呼ばれる所以があるとわかりましたね。 細かな伏線も多い作品なので、鑑賞済みの方ももう一度観返してみてはいかがでしょうか。まだ観ていない方は、笑って泣いた上で、ひたむきに生きる姿から少しの勇気を得られると思います。