夢・記憶・VRなどの多層世界映画がテーマの映画9選

2017年7月6日更新

VR(ヴァーチャルリアリティ)や夢など多層世界は、間違いなく映画ならではの醍醐味でもあります。これらをテーマに、様々な視点からたくさんの作品が作られてきましたが、特におすすめの9作品を紹介します。

実はこの世界が存在しないものだったら…?

matrix

夢や記憶、VR(ヴァーチャルリアリティ)といった非現実の、いわゆる多層世界は、映画ならではの醍醐味の一つと言ってもいいでしょう。その世界を正面から描いたもの、または現実なのか夢なのか、存在しているのか想像なのか、最後まで曖昧なものまであります。

また、ここ数年の最新SFXやCG技術の飛躍的進歩で、映像世界は精緻を極める一方です。

ここでは、そんな多層世界をテーマにした映画を9作品紹介します。

1:クリストファー・ノーラン監督と豪華キャストで贈るSF大作【2010】

Dora どうしてこれほどの物語を一本の映画にまとめることが出来るんだろう。観た後不思議な気持ちが渦巻いた。夢を題材にしたことで夢の中で死ぬと目が覚めるなど、「あぁわかるわかる!」っていう設定から「わかるわかr……あぁなんとかわかった……」ってとこまで超時限的に話が広がる。ノーラン賢すぎて恐い。そして広がる妄想の映像化への挑戦を妥協しない。インターステラーもそうだけどそこまで映像化しちゃう!?っていうレベルのものを平気で作る。脚本の密度もとんでもなくて、すごい見応えがあるから何度でも観たいって思えるのがこの類のノーラン映画の魅力だな。こんな空想物語他にない。渡辺謙が出てるの嬉しかった。
watadon_46 2010年 監督:クリストファー・ノーラン 誰もが一度は考えた事のある夢を自由自在に操りたいという感情。そんな子供じみた感情をとても深く、難解、そして単純にしたのがこの作品。人の潜在意識に入り込み、アイディアをインセプションする。こんな事を誰が思いつくのだろうか。物語どうこうより、企画、設定にひどく感銘を受けた。

斬新な映像世界で『ダークナイト』を世界的大ヒットに導いたクリストファー・ノーラン監督が、レオナルド・ディカプリオ、マリオン・コティヤール、トム・ハーディら豪華キャストを取り揃え描いた、SFクライム・アクション大作です。日本からも渡辺謙がカギとなる重要な役柄で参加しています。

人の頭の中に侵入し、夢の世界を操ることで、アイデアや知識を盗むという特殊技術を持つプロのスパイチームの活躍を描きます。ディカプリオが演じるのはチームの中心人物・コブです。

現実と夢が交差する複雑な構成と、素晴らしい圧巻の映像世界を堪能できます。

2:世界をあっと驚かせたSFX仮想現実映画の金字塔【1999】

HMworldtraveller 独特の世界観にハマる。仮想世界を扱ったものの中でもアクションシーンの映像が秀逸で目が釘付けになる。もう15年も前の作品なのに今観ても古さを感じない。バレットタイムの撮影技法を駆使した、銃撃をよけるシーンはあまりにも有名で、パロディに取り上げられたりしたけど、知っていてもしばらくするとまた観たくなる。storyの細かい突っ込みなど野暮なことはやめて、純粋にアクションとマトリックスの世界観を楽しみたい作品。キアヌ・リーブスはこの映画が最高。
rujjero 運命と偶然が複雑に絡み合い、信念と諦念が複雑に絡み合い、現実と仮想が複雑に絡み合う。だって愛が人を救う映画を観たいんだから。

SFXの最新技術を駆使し、それまでなかった圧巻の近未来映像で世界を震撼させた仮想現実映画の金字塔とも言える作品が『マトリックス』です。監督は『バウンド』をヒットさせたウォシャウスキー兄弟。そして主人公の特殊ハッカーであるネオには、キアヌ・リーヴスが扮しました。

コンピュータプログラマーのトマスの裏の顔は特殊ハッカーのネオ。ミステリアスな女トリニティ、そしてモーファスと言う名の謎の男と出逢い、ネオは悪の仮想現実から世界を守る救世主となっていきます。哲学的思考とスタイリッシュな映像、そしてカンフー・アクションとの組み合わせも斬新でした。第72回アカデミー賞では視覚効果賞、編集賞など技術系4部門を独占しています。

2003年には『マトリックス リローデッド』と『マトリックス レボリューションズ』が相次いで公開され、三部作が完結しています。

3:鬼才テリー・ギリアムが描く時空トラベルの異色作【1995】

yubinashi 本谷有希子おすすめの伏線バリバリタイムパラドックスもの。おもしろかったけど、正直一回観ただけでは全然足りない。記憶の片隅にある銃撃シーン、繰り返される同じシーンは、ストーリーが展開するに従い犯人が変わる。この曖昧な記憶のズレを的確に表現する緻密さ。やるな。
sunfield0519 細菌によって人類が絶滅しかけているのを過去に戻って食い止める話 ありきたりなタイムトラベルものかと思ってたら恐ろしいほどの伏線の多さで最後の15分で鳥肌が止まらなかった あとブラピの精神異常者役がすごい

『未来世紀ブラジル』で独特の近未来世界を作り上げた鬼才テリー・ギリアムが、再び取り組んだSF異色サスペンス・ムービー。かろうじて地下に生き残った2035年の人間たちが、絶滅の原因を探ろうと1996年の過去に一人の囚人を送り込みます。「12モンキーズ」とは、その秘密に繋がるたった一つのキーワード……。

囚人のジェームスに扮しているのはブルース・ウィリス。共演はブラッド・ピット、マデリン・ストウらで、単なるタイムトラベルものに終わらない、ギリアムらしい毒のある異世界が秀逸です。

4:人の夢に入り込むパプリカの活躍を描く日本アニメ【2006】

chiakic5 どこが夢で現実か、わからなくなる。今敏の作品は初めてみたけど、素晴らしい。いろいろな映画の世界が混ざっている感じがした。面白かった。
Raska マッドハウスの書籍に、今敏監督直筆でパプリカの画入りサインを頂いたことがあります。物腰柔らかで笑顔が素敵な方だったのですが…無念。現実と虚構が交わるというお話を、視覚的にあそこまで昇華できるアニメ監督は今敏監督しかいなかったと思います。声優さんも大ベテランだらけで流石の安定感です。

筒井康隆による同名小説を原作に、『千年女優』などで評価の高かった今敏が監督したジャパニーズ・アニメが『パプリカ』です。アニメならではの映像と、夢世界の圧巻の描写が話題になりました。

他人と夢を共有できる特殊装置を介し、それを悪用する犯人とヒロイン・千葉敦子ことパプリカの攻防を描きます。パプリカの声はアニメ界で絶大なる人気を誇る林原めぐみが担当しました。第35回モントリオール・ニューシネマフェスティバルはじめ、国内外の映画祭で数々の賞を受賞しています。

5:現実と仮想現実の狭間に紛れ込んだ男の苦闘【1999】

susamishin 仮想世界という観点から見るとマトリックスに似たテイストなんですけどマトリックスよりもっと小宇宙ですね。途中で「多重」であるという最大のネタバレがボクにはわかってしまったのでちょっとガッカリ。エンディングに向かうにつれどんどんラブストーリー重視になってしまって当初の「殺人事件のミステリー」は影を潜めちゃいました。無念。っていうか、正確には「人間は誰も死んでない」のかもしれません。
kyutyo 13Fみたなう。メタメタなフィクションのSF映画。マトリックスとインセプションを足して2で割ったような映画でなかなか面白い。「仮想現実」を作り出してしまった主人公が、その自身がプログラミングした仮想空間で起きた、プログラミング異常をもとに事件は思わぬ展開に…。自分が生きてる世界って、本当に現実の世界なのか?そもそも生きてるって何?バーチャルの世界と現実って何が違うの?みたいなことを問うているなかなか面白い映画。終わり方の演出もなかなか秀逸。ひょっとしてこの映画はメタメタメタメタ…映画なのかもしれないww

コンピュータでVRを創造するソフトを開発しているダグラスが、ある日、上司殺害の容疑者に……。その真相を追及するうち、1930年代のLAを模した仮想現実に自身が紛れ込んでいたことに気づきます。13Fとは、その秘密を解くキーワード……。

現実と仮想現実の狭間で苦闘するダグラスには、『ロング・キス・グッドナイト』で強い印象を残したクレイグ・ビアーコが扮しています。

6:人気アニメ『名探偵コナン』の劇場版シリーズ6作目【2002】

コナン

pleiades_gin コンピューターによって作り出される19世紀のイギリス・ロンドン。バーチャル世界に入り込んだコナンと、世界を震撼させたジャック・ザ・リッパーとの戦い。この設定はオモシロい。
amano_yui 人工知能 VRの世界。テンポが良くて、VRでロンドンの世界に行ってから、あっという間にエンディングを迎える。モリアーティ教授腹話術できたの!?というツッコミもしたくなるけど、SF好きにはゲーム創作者の意図に反して人工知能が意思を持ちゲームを再構築してしまえることが気になった。

言わずと知れた、青山剛昌原作の世界的人気を誇るアニメ『名探偵コナン』。江戸川コナンこと高校生の工藤新一が、様々な難事件を解決していく探偵アニメの傑作です。

劇場版6作目にあたる本作では、「コクーン」と名づけられた体感シミュレーションゲームにより、19世紀のロンドンにタイムトリップしたコナンの活躍を描きます。シャーロック・ホームズの世界と、現実世界が入り混じる、異色ストーリーが展開します。

興行収入は、長らく歴代一位をキープするほどの大ヒットを記録。そればかりか、今もファンの投票でシリーズ中トップを争うほどの人気を誇る作品です。

7:ベルリン国際映画祭で芸術貢献賞受賞のホラー映画【1999】

Satoko_Suzuki 今流行りの「つながる」がテーマの映画ではない(いや、そうなのか?!)けど、仮想現実が大きなウェイトを占める本作。イマドキっぽいけど、実際撮りたかったのは、グログロな「つながる」装置なんじゃないかと。さすがです。誰も思いつきません。
Yuka_Nishii ざっくり言うと仮想のゲーム世界と現実が曖昧になってく話。クローネンバーグほぼ初見だったのですが、彼は本当に変態なんだなぁということが伝わってくるような世界観。グロテスクで官能的で、だけどオタクっぽいビジュアル。突然変異した両生類を使用したゲームポッド…?想像の斜め上を行く。

映画界きっての鬼才として知られるデビッド・クローネンバーグ監督らしい、ヴァーチャルリアリティをテーマにしたグロテスクなSFホラー作品です。脊髄にあけた穴にケーブルを差し込んで遊ぶという恐怖の体感ゲーム。ゲームをデザインした女性、そしてその裏で渦巻く敵対者との闘争を描きます。

ジュード・ロウ、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウィリアム・デフォーら癖のあるキャストが揃い、クローネンバーグの異質世界を作り上げています。1999年のベルリン国際映画祭において芸術貢献賞を受賞した評価からも、ただのホラー映画ではないようです。

8:フィリップ・S・ホフマンとC・カウフマンが組んだ脳内ストーリー【2008】

southpumpkin 天才ストーリーテラー、チャーリー・カウフマン渾身の監督作品にあなたはついていけるか??複雑怪奇、混迷を極めるストーリーにも関わらず扱っているテーマが重すぎる。良い意味でどん引きです。開始40分後(だったっけ?)にようやくこの物語の全貌が見えてきますが、それまでいびつな日常を切り取った訳のわからない映像が続きますが、絶対に見続けなければいけないシーンなのです。観賞を諦めてほしくないですが、無理強いしません。 ここ数年、彼の作品は世に出ていませんが何か企んでいるのでしょうか・・・。フム・・・。
agota310 怪作。もう観てる途中で何回意味がわからなくなったかもわからない。生と死、ようするに人生についての物語?。頭がこんがらがって自分の中にうまく落としこめなかったけど、いくつかのセリフがとても印象的だった。現実と虚構が折重なって生じる複雑さ、そしてその複雑さ故に付随する孤独。それがこの映画であってストーリーなのかも。それを現したカオスな画はすごく魅力的だったなぁ。原題の「シネクドキ(Synecdoche)」は提喩法っていう、「部分で全体を、全体で部分を表わす」修辞法らしい。あとついでに、パッケージとそこに書かれたあらすじはアテにしないほうがいいです笑。

『マルコヴィッチの穴』と『エターナル・サンシャイン』の脚本で世界を驚かせたチャーリー・カウフマンが初メガフォンをとり、オスカー俳優である故フィリップ・シーモア・ホフマンを主役に迎えた、独創性を極めた娯楽作品です。

ニューヨークに暮らす劇作家のケイデン・コタードが主人公。仕事もプライベートも行き詰ったケイデンは、思い描いた理想のニューヨークを、現実のニューヨークの中に創造する試みにチャレンジします。

夢やVRそのものを描いた映画ではありませんが、ある種の多層世界ではあることは確かで、まさにカウフマンの独創的なアイデアが思う存分生かされています。カンヌ国際映画祭にも出品されたほか、世界中でたくさんの賞を受賞しました。

9:70年代にいち早く多層世界を描いた先鋭ドイツ映画【1973】

southpumpkin @早稲田松竹 凄まじい映画体験でした。第一部第二部合わせて212分という長尺SFモノながら一生忘れられない映画になりました。スーパーコンピューターの開発者が不審な死を遂げ、後任となった主人公の身の回りも徐々に崩壊していきます。『マトリックス』に多大なる影響を与えている作品だそうです。コンピューターの中に存在する世界から元の世界に帰る方法は本作も『マトリックス』も「公衆電話」なのにはびっくりしました。自分がコンピューターの中にだけ存在するプログラムされた存在ではないことを証明できない、という哲学的な課題について丁寧にねちっこく4時間近くかけて説明していきます。『インセプション』で目新しく感じた多層世界の原点はここにあったのですね。しかもこれが1973年の作品なのです。2016年現在の技術革新に警鐘を鳴らしているかのようにも思えます。鏡を多用し計算された画面設計と、クラシック音楽と電子音のようなノイズが合わさったようなBGMとで観ている側の脳が蕩けていくのがはっきりとわかります。物語世界への没入感がすごい。

ダニエル・F・ガロイの『模造世界』を原作に、「ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才」の異名を持つライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督が作った先鋭的なSF作品です。仮想世界を創造し未来を予知する「シミュラクロン」開発を企てる研究所が主な舞台。教授の謎の死を柱に、仮想世界を交えた奇妙な人間模様を鮮烈に描きます。

鏡や電子音をモチーフにした独特の多層世界は見応えじゅうぶん。『マトリックス』などの作品が登場するよりずっと早く、70年代の西ドイツで製作された映画史に残る記念碑的作品です。