2017年7月6日更新

筒井康隆原作のおすすめ作品まとめ【映画、アニメ、小説】

制作から50年以上経った今も愛される作品『時をかける少女』の原作者として有名な筒井康隆。多くの小説を手掛けており、近年では超能力者の物語『七瀬シリーズ』から『七瀬ふたたび』が映画化されています。今回は筒井作品の魅力についてご紹介します!

筒井康隆のプロフィール

筒井康隆は1934年9月24日生まれ、大阪府大阪市出身で日本を代表するSF作家の1人です。小説家のほか、俳優としての顔も持っており、代表作である『時をかける少女』では、ドラマ化した際に作者本人も出演しました。

1981年に『虚人たち』で泉鏡花文学賞を受賞したほか、1987年の人の生を渡り歩く物語『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。親しみやすい作品から、重厚感のある作品まで、様々なジャンルの小説を執筆しています。

筒井康隆の代表名作『時をかける少女』

1967年刊行のSF小説で、タイム・リープとテレポーテーションの能力を手に入れてしまった少女・芳山和子が、周囲で起こる不思議な事件を同級生の深町一夫や浅倉吾朗と共に解決していく物語。1980年以降、実写化8回、アニメ化1回と、50年近く経った2016年現在でも人気作品となっています。

初映像化は1972年で、NHKのドラマ『少年ドラマシリーズ』第一弾として島田淳子主演によるものです。1983年には監督・大林宣彦、主演・原田知世で初の映画化。原田の清楚な演技と情緒溢れる演出により人気を博し、この映画で主演の原田は日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。

その後も何度も実写化し、1985年のドラマでは南野陽子が、1994年のドラマでは内田有紀が主演を務めています。1994年の時は原作者である筒井本人が住職役で出演し、俳優としても活躍。2006年にアニメ化された際は監督を細田守が務め、主人公をを芳山和子から姪の紺野真琴へシフトし、2006年を舞台にした新たな物語が展開されました。

筒井康隆初心者におすすめの作品

筒井作品を知らない方や、読み始めの方へ。初心者でも読みやすい作品をいくつかご紹介します。

『ヨッパ谷への降下』

2005年の小説で筒井による自薦ファンタジー傑作集です。8回生き、9度死ぬ虫を通して死の恐怖を描いた『九死虫』。海の上に浮かぶ巨大な家に住む家族を描いた『家』。タイトルにもなっている川端康成文学賞受賞作『ヨッパ谷への降下』を含む12作品が掲載されています。

名作を含んだ短編集となっており、これから筒井作品に触れる入門編としてオススメです。

『大いなる助走』

1979年に刊行の長編小説で、1989年に佐藤浩市主演で映画化もされています。

一流企業に勤めながら小説を執筆していた主人公が、小説を巡り会社、小説の選考委員など様々な人に裏切られ、最終的には自分を選ばなかった選考委員会の人間に対して殺人を企てます。受賞を巡る駆け引きや陰謀など、欺瞞に満ちた業界の裏側を徹底して描いた作品です。

『虚人たち』

1981年に刊行し泉鏡花文学賞受賞した作品で、妻と娘を別の犯人に誘拐された主人公が家族を助けるために奮闘するという物語です。

少し変わっているのは、登場人物たちが自分を小説の主人公だと意識している点で、彼らと一緒に読者も時間を進めていきます。主人公の意識が飛んだ時はそれを空白で表現する、という変わった手法も施されており、小説の枠をはみ出した一風変わった作品です。

アニメで見る筒井康隆作品『パプリカ』

1993年に出版、2006年にアニメ映画化されました。

催眠治療を行うサイコセラピストとしての顔と、他人の夢にシンクロして潜入し、精神病を治療する夢探偵パプリカの顔を持つ千葉敦子の物語です。ある時、敦子の所属する研究所で開発されたサイコセラピーの最新機器「DCミニ」が盗まれた事から、敦子は盗んだ犯人を追う事となり、戦いの中に巻き込まれていきます。

監督は今敏が務め、ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門へ出品された作品となっています。主人公・千葉敦子の声は林原めぐみが担当しました。

映像で見て欲しい筒井康隆作品【受賞歴多数】

『スタア』(1986年)

高級マンションで俳優・島本匠太郎と歌手・杉梢の2大スター同士の結婚披露宴パーティーが開かれます。和やかに進むと思われたパーティーでしたが、梢の留守中に、匠太郎の子供だ、と赤ん坊を連れた政子が現れます。政子を絞殺し隠蔽を図る匠太郎でしたが、実は梢の元にも元ヒモの男・坂口が現れこちらでも隠蔽工作が。

ブラックユーモアを交えながらのドタバタコメディで筒井ワールドが展開されます。キャストには、原田大二郎、水沢アキをメインに北村総一朗などの実力派俳優ほか、和田アキ子やタモリ、梨元勝といった個性的なメンバーがセッティングされています。

『わたしのグランパ』(2003年)

祖父・五代謙三と孫・珠子の物語です。中学生の珠子は学校でいじめにあっていたのですが、ある日それを刑務所から出所してきた謙三が目撃します。謙三には親友を殺され、敵討ちにヤクザを殺害した過去があり、外に出てきたのは実に13年ぶりでした。

家族から疎ましがられている謙三でしたが、町の人からは”ゴダケン”と呼ばれて親しまれており、いじめの事を隠していた珠子も謙三の優しさに触れる内、徐々に悩みを打ち明けるようになるのでした。

今は見かけなくなった町の顔役的な存在の謙三を菅原文太が、孫の珠子を石原さとみが演じます。2人の素朴ながら味のある演技は視聴者からの評価も高く、作品がモントリオール世界映画祭で最優秀アジア映画賞の受賞し、石原さとみもブルーリボン賞新人賞を受賞しました。

『七瀬ふたたび』(2010年)

原作小説では『家族八景』『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』の3部作が七瀬シリーズとなっており、2010年に『七瀬ふたたび』が映画化されました。火田七瀬は人の心を読むテレパスの能力を持っており、超能力者だと知られるのを恐れ、家政婦として働きながら住処を転々としていました。

ある時、旅先で自分と同じように超能力を持った人たちと出会い、超能力者を抹殺しようとする組織との戦いに身を投じていく七瀬。自分は何故生まれてきたのか、という問いを持ちながら、同じような悩みを持つ超能力者たちと共存していく主人公の、苦悩と戦いを描いた物語です。

主人公・火田七瀬は原作のイメージを重視し、筒井も納得した芦名星を抜擢。そのほかの超能力者に佐藤恵理子、田中圭、前田愛がキャスティングされています。