2017年7月6日更新

映画『天使と悪魔』徹底解説・考察まとめ【ネタバレあり】

映画『ダ・ヴィンチ・コード』の続編であり、宗教と科学の対立をテーマに描かれた、2009年公開の映画『天使と悪魔』。秘密結社「イルミナティ」の存在など、難解な要素が複雑に絡み合った物語について、解説と考察をご紹介します。

「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズ2作目『天使と悪魔』の解説・考察

話題作『ダ・ヴィンチ・コード』の続編、ロン・ハワード監督の映画『天使と悪魔』。ダン・ブラウンの原作シリーズの1作目であり、映画版は前後を入れ替えて制作されました。

象徴学者ロバート・ラングドンは、教皇の逝去に乗じ復活した秘密結社「イルミナティ」の脅威に晒されるヴァチカンから協力要請を受けます。誘拐された次期教皇候補の枢機卿4人の救出、恐るべき威力を持つ”反物質”の爆破を阻止するため、科学者のヴィットリアと事件解決に挑みました。

『天使と悪魔』の物語は、ヴァチカンに迫るいくつもの危機、登場する人物や組織など、様々な要素が複雑に絡み合うため、前作に続いて難解だと言われることが多いようです。そこで今回は、本作をより楽しむための重要ポイントの解説、考察をまとめてご紹介したいと思います。

テーマは宗教VS科学!秘密結社イルミナティとは?

本作におけるイルミナティは、宗教の科学に対する誤解を是正するため、物理学者や天文学者たちがローマで結成した団体のことです。暴力的な方向性が生じる中で、敬虔なカトリック信者でもある科学者、ガリレオ・ガリレイは”宗教と科学の統一”を訴えました。

しかし、統一を望まないヴァチカンは、4人の会員に対し”ラ・プルガ”と称した拷問を実行。生きながら胸に焼印を押した後に惨殺された死体が、見せしめとして街路に放置されました。

残りの会員は地下深くに逃れ、事件を機に反キリスト教色の強い秘密結社へ変貌します。400年の時を経て現れたイルミナティは科学の頂点”反物質”を盗み、ヴァチカンへの報復を画策。2つの組織の対立から見える、”宗教VS科学”こそが『天使と悪魔』におけるテーマなのです。

イルミナティが使用するアンビグラムとは?

アンビグラムとは、どの角度から見ても読み取ることができる文字のこと。180度回転して角度を変えたり、鏡に映したりして出来るデザインのようなもので、鏡文字もその1つとされています。

イルミナティは、4大元素「火・水・風(空気)・土」を枢機卿殺害のモチーフに使用し、胸にラ・プルガをなぞらえた焼印を残していました。この焼印はイルミナティそのものを示すものであり、崇拝する4大元素をアンビグラムにして、結社の象徴としていたのです。

作中のアンビグラムの制作者、ジョン・ラングドンはアンビグラムの名手と謳われており、主人公ロバート・ラングドンの名の由来になったと言われています。

事件の謎を解く鍵は天文学者ガリレオ・ガリレイの暗号

前作『ダ・ヴィンチ・コード』では、レオナルド・ダ・ヴィンチの暗号が登場しますが、『天使と悪魔』ではガリレオ・ガリレイの暗号が重要な鍵になっています。

”天文学の父”ことガリレオ・ガリレイは、太陽の黒点や月面の凹凸の発見など、天文学の発展に大きく寄与した天文学者・物理学者・宗教学者。キリスト教が支持した”天動説”ではなく、コペルニクスの”地動説”を唱えたために異端視され、ヴァチカンから有罪判決を受けた人物です。

本作では、400年前にガリレオが記したという謎の書『真実の図表』が登場します。そこに遺されたガリレオの”詩の暗号”を手がかりとして、枢機卿が殺害される場所を導き出しました。

全てを裏で操っていた真犯人カメルレンゴの犯行動機

暗号を解き明かし、4人目の枢機卿殺害を阻止したラングドン教授は、一連の事件の実行犯を突き止めます。しかし事件の真犯人はその人物ではなく、前ローマ教皇のカメルレンゴ(侍従)でした。

物語の冒頭で殺された反物質の研究者は、前教皇に研究について相談していました。教皇は”現代の”宗教指導者として理解を示すものの、カメルレンゴはそれが許せなかった様子。「宗教の方が上」と見る彼にとって、”宗教の立場を揺るがす”研究が発表されるのは、堪えられないことだったのです。

そこで、教皇に身近な立場を利用して前教皇を殺害。ヴァチカンに恨みを持つ、「イルミナティ」を黒幕に仕立て上げることで、宗教が科学を弾圧する状況を作ろうとしました。

タイトルの『天使と悪魔』が意味するもの

本作のタイトル、『天使と悪魔』が意味するものは何だったのでしょうか?原作の読者、映画の視聴者によると、カメルンゴを通して見える”人間の二面性”だと考察されています。

つまり”天使と悪魔”は、カメルレンゴにとっての善と悪・科学と宗教を表しているそうです。宗教(ヴァチカン)という天使の地位を守るため、悪魔(イルミナティ)を利用したこと。神に仕える聖職者の神父が、宗教を守るための善と信じて悪を犯してしまうことに、二面性があると言われていました。

きっかけがあれば、誰もが「天使にも悪魔にもなり得る」という意味なのでしょう。カメルンゴに関する描写は、映画では省略された部分が多いそうなので、原作もぜひご覧になってください。