アカデミー賞に輝いたミュージカル大作『ムーランルージュ』
『ムーラン・ルージュ』は2001年制作の映画です。有名な楽曲に載せたミュージカル仕立ての壮大なラブストーリーで、豪華なセットと衣装が華やかな大作映画となっています。
アカデミー賞では、衣装デザイン賞と美術賞を受賞、その他6つの部門に12人のキャスト、スタッフがノミネートされています。
そんな『ムーラン・ルージュ』についての基本情報からネタバレを含む様々な情報を紹介します。
映画『ムーラン・ルージュ』のあらすじ
『ムーラン・ルージュ』の主人公は、イギリスの上流階級出身のクリスチャンです。クリスチャンは作家を目指し、華の都パリへとやってきます。そこで安宿の部屋を借り、自由と愛について物語を書こうとしますが、恋愛経験がない彼は思うように筆が進みません。
すると、突然クリスチャンの部屋の天井から、意識を失ったアルゼンチン人が落ちてきます。彼は、キャバレーであるムーラン・ルージュの作家でした。作家を心配してやってきた他のムーラン・ルージュの仲間たちは、明日までに原稿が完成するのか気がかりで心配な様子。支配人がセットに懲りすぎたせいで経営が傾いていたムーラン・ルージュは、明日までに新たなパトロンを見つけるため新作の歌詞が必要でした。
彼らのやり取りを見ていたクリスチャンは、知らずのうちに彼らのショーにあった歌を披露します。感動したムーラン・ルージュの人々は、クリスチャンを仲間に引き入れようと、キャバレーの花形スターであるサティーンに取り込んで、オーナーにクリスチャンを認めさせようという計画を立てます。
豪華なスーツに着替え、生まれて初めてのアブサンを飲み、キャバレーに乗り込むクリスチャン。そこでサティーンと出会いますが、サティーンはクリスチャンを自分を女優にすると約束してくれていた侯爵と勘違いしてしまいます。相手を勘違いしたまま、サティーンとクリスチャンは恋に落ちていきます。
『ムーラン・ルージュ』のメインキャストはユアン・マクレガーとニコール・キッドマン
『ムーラン・ルージュ』の中心となっている運命のカップルを演じるのはユアン・マクレガーとニコール・キッドマンです。
クリスチャン/ユアン・マクレガー
イギリス出身の作家志望の青年、クリスチャンを演じるユアン・マクレガーはスコットランド出身の俳優です。マクレガーの叔父は、『スター・ウォーズ』に出演もしている俳優デニス・ローソンで、マクレガー自身も9歳のころから俳優を目指していたそうです。
1990年に演劇学校の卒業公演で一人芝居を披露、その演技を認められ、エージェントからスカウトを受けます。1993年に『ビーイング・ヒューマン(原題)』で映画デビュー。1994年には『シャロウ・グレイブ』に出演し、殺人事件に巻き込まれるジャーナリスト、アレックス役で注目を浴びます。
1999年には、『スター・ウォーズ』新シリーズのオビ=ワン・ケノービ役に抜擢され、人気映画スターへの道を駆け上がりました。
サティーン/ニコール・キッドマン
クリスチャンと恋に落ちるキャバレーの花形スター、サティーン役を演じたのは、オーストラリア出身の女優ニコール・キッドマンです。
4歳からバレエを習い始めていたキッドマンは、15歳からテレビ番組やミュージックビデオなどに出演するようになり、オーストラリア国内の映画にも出演、女優として経験を積みます。1988年に『デッド・カーム/戦慄の航海』に出演した際、後の夫となるトム・クルーズの目に留まり、ハリウッド入りを果たします。
トム・クルーズとは2001年に離婚していますが、そのことがきっかけで演技派女優としての才能を開花させています。2002年には『めぐりあう時間たち』でアカデミー賞主演女優賞受賞し、オーストラリア人女優としては初の快挙となりました。『ムーラン・ルージュ』の出演では、アカデミー賞主演女優賞にノミネート、ゴールデングローブ賞を受賞しています。
タイトル『ムーラン・ルージュ』の意味は?
ムーラン・ルージュとはフランスのパリに、1889年から1915年まで営業していた実際のキャバレーの名前です。フランス語で”赤い風車”を意味し、その名の通りキャバレーの屋根には真っ赤な風車がトレードマークとしてついています。
ムーラン・ルージュは、女性ダンサーが並んでスカートをまくりあげながら踊るカンカンダンス発祥の地とされています。元々は娼婦たちが客を誘うダンスでしたが、ムーラン・ルージュでのショーがきっかけで広まり、ヨーロッパ中にキャバレー文化と共に広がりました。
ムーラン・ルージュは、今も当時の面影をそのままに観光名所となっています。
映画『ムーラン・ルージュ』を彩る名曲たち
ミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』には数々の名曲が使用されています。
サウンド・オブ・ミュージック
1959年に初演されたブロードウェイミュージカルであり、1965年に映画化もされた『サウンド・オブ・ミュージック』の代表的な楽曲です。
クリスチャンが、キャバレーの新しい演目にあわせて疲労する歌として使用されています。
ダイアモンドは女の親友
1953年に公開されたコメディ・ミュージカル映画『紳士は金髪がお好き』で、マリリン・モンローがピンクのドレスに身を包んで歌っていた楽曲です。
愛よりも宝石を選ぶという、奔放な女性を象徴するようなこの歌は、若干アレンジされてサティーンがキャバレーでのショータイムのシーンで歌っています。
僕の歌は君の歌
イギリス人ミュージシャン、エルトン・ジョンの名バラード曲です。1970年10月にシングルのB面曲として発表されましたが、メインの曲を追い抜いてヒットチャートを飾りました。
クリスチャンがサティーンへの思いを伝える時に、この歌を歌っています。
『ムーラン・ルージュ』をより楽しむためのトリビア集
映画『ムーラン・ルージュ』にまつわるトリビアや裏話を紹介します。
サティーンのネックレスの値段
サティーンが着けていたダイヤモンドのネックレスは、1308個のダイヤがあしらわれている134カラットの代物で、約1億円相当もするそうです。映画の為作られたアクセサリーとしては史上最高額と言われています。
ニコール・キッドマンは骨折していた
1999年11月、ダンスシーンの撮影中にキッドマンは事故にあってしまいます。その結果、肋骨を二本骨折し、膝を痛めてしまったため撮影が2週間中断されました。その後撮影再会となった後も、キッドマンは車椅子に乗ったまま演技をし、たいていのシーンは上半身しか映らないようなカット割りになりました。
劇中唯一の完全オリジナルソング
劇中唯一の完全オリジナルソングである”Come What May”は、実は作曲家のデイビット・バアーワルドが1996年に公開された映画『ロミオ+ジュリエット』の為に作った曲でした。しかし結局お蔵入りとなり、『ムーラン・ルージュ』でクリスチャンが行うステージ用に書き直されました。
監督の地元で事前公開
映画は一般公開される前に、オーストラリアのタレーという小さな町で250人の観客に向けて事前上映されました。シドニーから約320キロメートル離れたこの町は、監督であるバズ・ラーマンの生まれ故郷で、250枚のチケットも地元の薬局で販売されたそうです。