2017年7月6日更新

名作映画『シンドラーのリスト』のあらすじからネタバレまで!出演者は監督も掘り下げながら徹底解説

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ドイツの実業家オスカー・シンドラーの姿を描いた『シンドラーのリスト』

名匠スティーヴン・スピルバーグがトーマス・キリーニーによるノンフィクション小説「シンドラーの箱船」を基に制作・監督を務めました。原作を手にしてから約10年の月日をかけて企画したといいます。 第二次世界大戦中ポーランドはナチスドイツ軍の占領下に置かれユダヤ人の弾圧が激化していきます。そんな中ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーはユダヤ人を自身の工場に雇い入れることで1200人もの命を救ったのです。 本作は高く評価されアカデミー賞12部門にノミネート、うち作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、美術賞、作曲賞の7部門を受賞しました。

『シンドラーのリスト』のあらすじとは?【ネタバレあり】

第二次世界大戦が勃発しドイツ軍がポーランドへの侵攻を始めたちょうどその頃。ドイツ人実業家オスカー・シンドラーはポーランド南部の都市クラクフに居を構え事業を始めようとしていました。 手始めとしてゲットー近くの工場を格安で手に入れユダヤ人会計士シュターンをパートナーに雇い入れます。有能なシュターンはゲットーに住むユダヤ人を低賃金で集めたちまちのうちに財を築き上げるのです。 当時クラクフゲットーに居住を許されるのはユダヤ人労働者とその家族のみ。職につけないと強制収容所に送り込まれます。賃金が安くてもゲットーに留まることができればそれでいいのです。シンドラーはユダヤ人を安価な労働力とみなし順調に増えゆく財政に満足しつつも、罪もない人々が虫けらのように殺されていく日常に嫌悪感を覚えるのでした。 そんな中クラクフゲットーが閉鎖されプワシュフ収容所への移送が開始されます。丘の上から見守るシンドラーは連行される大人たちの中に赤い服をきた少女を発見。年端もいかない少女が隠れる様を見てシンドラーの心の中で何かが動いたのです。 プワシュフ収容所に行けば過酷な労働を強いられ命を落とす者も少なくありません。堪りかねたシンドラーは強制収容所内に私設の収容所を設け工場の従業員たちが強制収容所に送られるのを回避したのです。そして敗戦ムードが色濃くなった1944年、ナチスは証拠隠滅を謀ろうと収容所を閉鎖。残ったユダヤ人をアウシュヴィッツに送り込み虐殺しようとしていました。 殺したまま埋められていた死体も焼却処分のため掘り起こされています。シンドラーは運ばれていく死体の中に赤い服の少女を見つけていました。このままプワシュフ収容所が閉鎖されてしまえば従業員たちは全員絶滅収容所に送られ虐殺されてしまいます。 ついにシンドラーは故郷チェコのプリンリッツにユダヤ人を連れていくことを決意しました。収容所の所長ゲートに多額のカネを握らせ労働力ともども工場の移転を承知させます。シュターンと結託してリストアップできたユダヤ人の数は1200人でした。 全財産を投げ打ち1200人ものユダヤ人の命を救ったシンドラーは感謝のしるしとして指輪を贈られます。指輪には「一人の人間を救う者は世界を救う」と刻まれていました。

本作がきっかけでブレイクした俳優も?『シンドラーのリスト』を支えるキャストを紹介!

オスカー・シンドラー/リーアム・ニーソン

リーアム・ニーソンはアビーシアターの舞台役者としてキャリアをスタート。主人公に抜擢された本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされました。 主演作『96時間シリーズ』は2008年にスタートし2014年に第3作が公開されました。2017年公開の『沈黙-サイレンス-』では宣教師フェレイラを演じ、2018年には主演映画『トレイン・ミッション』が公開されています。

イザック・シュターン/ベン・キングスレー

イザック・シュターンを演じたベン・キングスレーは1982年公開の『ガンジー』で主役を務めアカデミー主演男優賞を受賞したことで知られています。2014年モーゼを主人公に旧約聖書の出エジプト記を描いた『エクソダス:神と王』ではヘブライ人の長老ヌンを演じています。

アーモン・ゲート/レイフ・ファインズ

アーモン・ゲートを演じたレイフ・ファインズは舞台を中心に活躍してきた役者で映画への出演は本作が2作目。米英のアカデミー助演男優賞にノミネートされ英国アカデミー助演男優賞を受賞しました。 2000年代に入ると『ハリーポッターシリーズ』の闇の魔王ヴォルデモート役を好演。2012年の『007スカイフォール』、2015年の『007/スペクター』でレイフ・ファインズ(のちにM)を演じています。

スピルバーグ以外が監督になる可能性もあった?

ユダヤ系に生まれたスピルバーグは幼い頃から疎外感を感じることが多かったといいます。ホロコーストを扱った本作を撮ることは自分のルーツと向き合うことでした。1982年に発刊されたノンフィクション小説「シンドラーの箱船」の映画化権を獲得した後ホロコースト作品を繰り返し鑑賞し構想に10年の歳月をかけました。 結果的にホロコーストを代表する傑作を生みだしアカデミー作品賞・監督賞を受賞するに至ったのですが、実はスピルバーグ以外にも幾人かの監督候補がいたのです。そのうち1人ビリー・ワイルダーもまた母親をアウシュヴィッツで虐殺されたユダヤ人で本作にも乗り気でしたが話し合いの末スピルバーグに譲歩。 またユダヤ系ポーランド人として知られるロマン・ポランスキーは本作のオファーを断ってから10年後、同じくホロコーストの名作として知られる『戦場のピアニスト』を制作しアカデミー賞で監督賞・作品賞を受賞しています。

モノクロの群衆に浮かび上がる赤い服の少女

迫害の歴史を映像で伝えるにはどうしたらよいか?スピルバーグは「戦争を記録した映画」を撮ることにしました。記録映画らしく全編をモノクロに統一しドキュメンタリーぽく見えるよう手持ちカメラを使った撮影を多用したのです。 また際立たせたい一部分だけをカラーにする“パートカラー”の技法を用いることで観衆に強い印象を残し主人公の心の動きを浮き彫りにする効果を上げています。モノクロ画面が続く中で赤い服の少女が登場するのはゲットーが閉鎖され収容所へ連行されるシーンです。 シンドラーのユダヤ人を安い労働力とみなす商売人根性と無辜の人々を虫けらのように虐殺するナチスへの嫌悪感。ここから金儲けを度外視した行動が始まります。少女を次に目にしたのは死体となった姿でした。一刻も早く1人でも多く救わなければ!少女のあっけない死はシンドラーの行動を後押ししたのです。

アカデミー賞に輝いた哀愁漂うヴァイオリンの調べ、音楽担当のジョン・ウィリアムズとは?

スピルバーグの盟友ジョン・ウィリアムズ。初めてタッグを組んだ映画『ジョーズ』がアカデミー作曲賞を受賞し映画音楽の第一人者と呼ばれるようになりました。サメが近づいてくるシーンで流れるテーマ曲はあまりにも有名ですよね。 ウィリアムズは撮影された映像を見て「荷が重い」と一度は断ったものの最終的には引受けアカデミー賞作曲賞を受賞しています。メインテーマを演奏しているのは20世紀の偉大なバイオリニストと称されるイツァーク・パールマン。 自身もユダヤ人であるパールマンが哀愁漂うヴァイオリンを聴かせてくれます。ロシアのフィギアスケート選手ユリア・リプニツカヤが2014年開催のソチオリンピックにおいてテーマ曲に使用したことでも話題になりました。

『シンドラーのリスト』の感想・評価まとめ

一度は観るべき映画!スピルバーグ監督を称賛する多くの声

Kiyomi_Okabayashi シンドラーさんのラストシーンは涙なしでは観られない。 自分がもし、家族が、と考えられずにはいられない。 3時間以上の二枚ディスクに渡る長編だったけれど最後まで目がはなせなかった。 スピルバーグ監督の傑作(*^^*) 終始モノクロで描かれた作品…唯一カラーであった少女の鮮やかすぎる赤が印象的でした。 見てよかった。皆に見てほしい一本。
YukiSato うまく言葉にできないが、素晴らしい映画。 あらゆる表現、音楽に妥協がない。3時間超の映画だが、まったく長く感じない。 この手の映画にしては残虐な場面は少ないが、様々な表現で強く恐ろしさを感じさせる。 これは間違いなく、観るべき映画。
eriberry703 ユダヤ系アメリカ人のスピルバーグ監督だからこそ撮れた映画。 195分と長いけど見応えがある。 儲け主義のシンドラーが、最後には当初の目的だった全財産を投げ打ってユダヤ人労働者を救おうとするシーンに涙が止まらない。

赤い服の少女が印象的!

rn323 シンドラーさん偉大だなぁ。白黒の中たまに使用される色が目をひく。赤い服の少女が悲しかった
thee_greco 観てない人は観た方がいい。スピルバーグ監督作品。第二次世界大戦時にナチスが行ったホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の中で、ユダヤ人を助け続けたドイツ人青年の実話をもとに作成。民族ってなんだろう。 モノクロ映画なのに途中に出てくる赤いコートの女の子の姿が目に焼き付いて離れません、もう観たの6年前なんですけれどね。

主人公シンドラーの人間性に注目集まる!

koujikouji 何回観ても、泣いてしまう。 シンドラーは決して善人ではないんだよね。 商売の才覚があるのは 間違いない。 まっすぐな感じがするでしょう。 背も高いし、まっすぐでしょう。 そのまっすぐなシンドラーが まっすぐではない戦争に 目をそらすことなく まっすぐに向かいあう。 なんか、そういう、映画のタッチが とても魅力なんですよ。 何回観ても泣いてしまうのは スピルバーグの構成の妙味のせいだと思います。
dAnCe27DaNcE 最後の、この車を売っていればあと2人助けられたのに… というシンドラーの言葉に涙が止まらなかった。 そういえば、この映画には、後のハリポタのヴォルデモート役をやることになるあの俳優さんが、超悪役で出演されております。