2017年7月6日更新

映画『戦場のピアニスト』が美しい。あらすじ・キャスト他まとめ【ネタバレあり】

戦場のピアニスト

ポーランドのピアニスト・シュピルマンの回顧録を原作にした『戦場のピアニスト』。ホロコーストを扱った他の作品同様、暗く陰鬱な場面が続く中でピアノの美しい旋律が救いになっています。それではあらすじ・キャスト・見どころをまとめて紹介します。

目次

シュピルマンの回顧録を原作に映画化した『戦場のピアニスト』

原作はユダヤ系ポーランド人のピアニスト・シュピルマンの回顧録「ある都市の死」。第二次世界大戦下ナチスドイツ軍に占領されたワルシャワで、迫害され踏みにじられながらも生き延びた実在のピアニストの記録です。

ポランスキー監督はこの本の版権を手に入れ脚本にも携わり大作に挑みました。監督自身ポーランドのクラクフ(『シンドラーのリスト』の舞台)で育ったホロコーストの犠牲者なのです。

本作は2002年に公開されカンヌ映画祭パルムドール賞を受賞した他、アカデミー賞でも7部門にノミネートされ監督賞、脚本賞、主演男優賞の3部門を受賞しました。

ホロコーストの実話『戦場のピアニスト』のあらすじは?

1939年9月第二次世界大戦が勃発しポーランドはナチスドイツ軍の侵攻を受けます。やがてはワルシャワを占領され親衛隊によるユダヤ人弾圧が激化していくのです。

ユダヤ人ピアニストのシュペルマンも例外ではなく家族とともにワルシャワのゲットーに住まわされ、ついには絶滅収容所に送られることになりました。収容所に行けばそこで待つのは死のみ。ところが知り合いの口利きでゲットーに留まることができたのです。

せっかくありついたゲットー内の仕事でしたが体力のないシュペルマンには荷が重く、再び収容所送りになるのを避けるためゲットーを出ていくことに決めたのです。脱出後は手助けしてくれた反ナチス地下組織に匿ってもらいました。

ワルシャワ・ゲットー蜂起、ワルシャワ蜂起、ユダヤ人はナチスに対して抵抗を試みますが悉く鎮圧されます。孤独な隠れ家生活を続けるシュペルマンはワルシャワの街が壊れていく様をただ見つめるしかなかったのです。

そんなある日のこと。食べ物を求めて彷徨ううちにドイツ軍人のホーゼンフェルトに見つかってしまいます。窮地に追い込まれたシュペルマンに対しホーゼンフェルトは意外なことを命令。ピアノを弾けと言うのです。

シュペルマンが奏でるショパン調べに感動したホーゼンフェルトは命を助け、その後も食糧を与えてくれました。ドイツ軍に全てを奪われたシュペルマンはドイツ兵に救われ生き残ることができたのです。

気になるキャストを紹介!

ウワディスワフ・シュピルマン/エイドリアン・ブロディ

主人公のシュピルマンはユダヤ系ポーランド人のピアニスト。数多くのポーランド音楽のスタンダードナンバーをこの世に送り出した音楽家として知られています。

本作でアカデミー主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディ。

自身はニューヨーク生出身のアメリカ人ですが、ポーランド系ユダヤ人の父親とハンガリー人とチェコ系ユダヤ人とのハーフの母親の間に生まれました。アカデミー脚本賞受賞作『ミッドナイト・イン・パリ』やアカデミー賞4部門を受賞した『グランド・ブタペスト・ホテル』に出演しています。

ホーゼンフェルト陸軍大尉/トーマス・クレッチマン

実在したドイツ人陸軍大尉ホーゼンフェルト。シュピルマン他多くのポーランド人を救った実在の人物です。ホーゼンフェルトを演じたトーマス・クレッチマンは東ドイツに生まれ19歳の時に西ドイツに亡命しています。

本作のあとに出演した映画『キング・コング』でエイドリアン・ブロディと再び共演。その他、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』ではヒドラのストラッカー役を演じています。

ヤニナ/ルース・プラット

シュペルマンの友人で夫ともども反ナチス地下組織に属しています。ヤニナを演じるルース・プラットは本作の他にテレビシリーズ『コナン・ドイルとベル教授の冒険』に出演したことで知名度を上げました。

女優業だけではなく監督、脚本家でもあるプラットは家族の秘密をテーマにした18分間のショートムービー『ザ・ハート・フィールズ・ウィザウト・ウァーニング』を制作しています。

ユーレク/ミハウ・ジェブロフスキー

シュペルマンの友人ユーレクを演じるミハウ・ジェブロフスキーはワルシャワ出身の俳優でポーランド国内を中心に活動しています。アダム・ミキエヴィツの一大叙情詩を映画化した『パン・タデウシュ物語』に出演しています。

ホロコーストの犠牲者・ポランスキー監督がメガホンをとる!

ユダヤ系の家庭に育ったロマン・ポランスキーは第二次世界大戦下ポーランドのゲットーに置かれていました。父親の手助けでドイツ軍による一斉摘発を逃れ何とか生き延びたのです。

原作である「ある都市の死」の中で、シュペルマンはゲットーに暮らし収容所行きを免れてからも死と背中合わせに生きています。同じような過去を持つポランスキー監督がこの回顧録に肉付けをし映像作品に仕上げました。

ホロコーストという陰鬱なテーマを扱いながらも微かに見える希望の光。頼りなげなシュペルマンが敵味方多くの人の助けを借りて戦火を生き延びたのです。この映画を制作することでポランスキーは自身の辛い体験を少しだけ昇華できたのではないでしょうか。

劇中流れるショパンの名曲

ピアニストを冠したタイトルの通り、ピアノ演奏が作品のポイントになっています。映画の冒頭、主人公がラジオ局で演奏するショパンの「夜想曲20番」。終戦後にも同じ曲を弾くシーンがあり本作のテーマ曲とも呼べる曲です。

また本作におけるクライマックスシーン、ドイツ軍人のホーゼンフェルトに命じられてシュペルマンが演奏するのはショパンの「バラード第一番ト短調」。劇中流れるピアノ曲のほとんどはポーランドの巨匠ショパンの作品です。

破壊され瓦礫と化したワルシャワ市街に祖国を愛するショパンの名曲が鎮魂歌のように染みわたります。主役を演じたブロディは猛特訓を重ねスタントなしで挑みました。