映画『許されざる者』に出演していたキャストの現在
クリント・イーストウッドが主演と監督をつとめ、1993年に公開された西部劇『許されざる者』は、アカデミー賞で作品賞や監督賞など4部門を受賞しました。
映画芸術を保護し奨励するアメリカン・フィルム・インスティチュートが選ぶ、西部劇のジャンルでの第4位にも選ばれているこの作品に出演したキャストたちの現在をご紹介します。
ウィリアム・"ビル"・マニー/クリント・イーストウッド
引退した凄腕のガンマン、ウィリアム・マニーを演じるのは、監督としても活躍する1930年5月31日生まれのアメリカの俳優クリント・イーストウッドです。イーストウッドはこの役でアカデミー賞主演男優賞にもノミネートされました。
多くの西部劇に出演してきた彼は『許されざる者』を自身の出演する最後の西部劇にするつもりで、ビルを演じられる年になるまで企画を温めておいたと言われています。
その後も1995年公開のメリル・ストリープと共演した『マディソン郡の橋』、2004年公開のショーン・ペン主演による『ミスティック・リバー』、2005年公開のヒラリー・スワンク主演による『ミリオンダラー・ベイビー』などで監督をつとめ高い評価を得ていました。
近年では出演作は減ってきていますが、2009年公開の『グラン・トリノ』では監督主演をつとめ、世界中を感動の渦に巻き込んでいます。2016年公開されたトム・ハンクス主演の『ハドソン川の奇跡』でも監督をつとめ、アカデミー賞の有力候補となりました。
リトル・ビル・ダゲット/ジーン・ハックマン
マニーと対決する保安官リトル・ビルを演じるのは1930年1月30日生まれのアメリカの俳優ジーン・ハックマンです。ハックマンはこの役でアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。
1972年公開の『フレンチ・コネクション』での"ポパイ"ジミー・ドイル役や1974年公開の『カンバセーション…盗聴…』ハリー・コール役、1989年公開の『ミシシッピ・バーニング』ルパート・アンダーソン捜査官役などが高く評価されているほか、1979年から公開のクリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』シリーズでのヴィラン、レックス・ルーサー役などで有名です。
その後も1995年公開の『クリムゾン・タイド』フランク・ラムジー大佐役などで活躍。2002年公開の『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』ではロイヤル・テネンバウム役を演じ、ゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)主演男優賞を受賞しています。
映画への出演は2004年を最後に引退を表明。現在は小説家として活動しているようです。
ネッド・ローガン/モーガン・フリーマン
マニーと共に賞金稼ぎに加わるネッド・ローガンを演じるのは1937年6月1日生まれのアメリカの俳優モーガン・フリーマンです。
彼はブロードウェイの舞台やテレビドラマなどに出演した後、映画でも活躍するように。1990年公開の『ドライビングMissデイジー』ホーク・コルバーン役や、1995年公開フランク・ダラボンがメガホンをとった『ショーシャンクの空に』レッド役でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。
2005年公開の『ミリオンダラー・ベイビー』エディ役ではアカデミー賞助演男優賞を受賞。その後、クリストファー・ノーラン監督のダークナイト・トリロジーでのルーシャス・フォックス役、2013年公開の『グランド・イリュージョン』サディアス・ブラッドリー役などでも活躍していました。
2016年には『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』にサディアス・ブラッドリー役、再び映画化されることとなった『ベン・ハー』にイルデリウム役で出演しています。
イングリッシュ・ボブ/リチャード・ハリス
賞金を求めてビッグ・ウィスキーの町にやってくるイギリス人のガンマンを演じたのは、1930年10月1日生まれのアイルランドの俳優リチャード・ハリスです。彼はシンガーソングライター、プロデューサーや脚本家としても活躍して言いました。1965年公開の『孤独の報酬』では、カンヌ国際映画祭男優賞を受賞、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。
1975年公開のサスペンス・アクション『ジャガーノート』1976年公開のサスペンス『カサンドラ・クロス』などで主演。『許されざる者』に出演後は、2000年公開のリドリー・スコッット監督の『グラディエーター』にマルクス・アウレリウス役で出演しました。
またクリス・コロンバス監督による2001年公開の『ハリー・ポッターと賢者の石』2002年公開の『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でアルバス・ダンブルドア校長を演じたことでおなじみです。
リチャード・ハリスは2002年に悪性リンパ腫で亡くなっています。
ストロベリー・アリス/フランシス・フィッシャー
自分たちを傷つけたカウボーイを倒すよう賞金を出す娼婦ストロベリー・アリスを演じたのは、1952年5月11日生まれのイギリス出身の女優フランシス・フィッシャーです。
フィッシャーは舞台で女優としてのキャリアをスタートさせました。1989年公開の映画『ピンク・キャデラック』でクリント・イーストウッドと共演し、その後6年間交際。『許されざる者』やイーストウッド監督の1999年公開の映画『トゥルー・クライム』のセシリア・ナスバウム役でも共演しています。
その後はジェームズ・キャメロン監督の1997年公開の映画『タイタニック』でケイト・ウィンスレット演じるローズの母ルース・デウィット・ブケイター役で出演するなど、メジャーな映画やインディーズ映画でコンスタントに活躍。
近年では2014年公開のアラン・カミング主演の『チョコレートドーナツ』にマイヤーソン判事役で出演しています。
W・W・ブーシャンプ/ソウル・ルビネック
イングリッシュ・ボブとともにビッグ・ウィスキーの町へやってくる作家W・W・ブーシャンプを演じたのは劇作家としても活躍する1948年7月2日生まれのソウル・ルネビックです。
彼はテレビ映画などで活躍した後、ブライアン・デ・パルマ監督の1991年の映画『虚栄のかがり火』などに出演しました。
『許されざる者』出演後は、1994年公開のトニー・スコット監督の『トゥルー・ロマンス』リー・ドノウィック役、2001年公開のブレット・ラトナー監督ニコラス・ケイジ主演の映画『天使のくれた時間』アラン・ミンツ役など多くの映画に出演しているほか、2009年から放映の『ウェアハウス13 〜秘密の倉庫 事件ファイル〜』でアーティ・ニールセン役を演じるなど多くのテレビドラマでも活躍しています。