【ネタバレ】映画『ディパーテッド』あらすじ解説−衝撃のラストやタイトルの意味とは?
マーティン・スコセッシ監督が手がけた映画『ディパーテッド』は、2006年に公開されたクライム・サスペンス。2002年から2003年にかけて3部作として製作され、世界的ヒットを記録した香港映画『インファナル・アフェア』を原作とするリメイク作品です。 公開当時は、レオナルド・ディカプリオやマット・デイモン、ジャック・ニコルソンら実力派スターが集結した豪華キャストが大きな注目を集めました。さらに、観る者の予想を裏切る衝撃的なラストも相まって、強烈な印象を残す一作となりました。 ※『ディパーテッド』の結末までのネタバレが含まれます。未鑑賞の方、ネタバレを知りたくない方はご注意ください。
映画『ディパーデッド』あらすじ解説【ネタバレ注意】

物語は、警察に潜入したギャングのコリン・サリバン(マット・デイモン)と、犯罪組織に潜入した警察官ビリー・コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)、それぞれが正体を隠して生きる2人の男の攻防を描いています。 舞台となるボストンの街では麻薬が蔓延し、警察とフランク・コステロ(ジャック・ニコルソン)率いる犯罪組織が激しく対立していました。抗争に終止符を打つため、警察は内部から組織を崩そうとし、ビリーに潜入捜査の任務を与えます。一方のコステロも策略を巡らせ、コリンを新人警官として警察内部に送り込みます。その結果、警察の機密情報は筒抜けとなり、逮捕直前で作戦が失敗する事態が続きます。やがて警察は内部に“ネズミ”(スパイ)がいることに気づき、同時にコステロもまた組織内の裏切りを疑い始めます。 疑念が渦巻くなか、ビリーは潔白を装いながら潜入を続け、コステロと共に麻薬取引の現場へ向かいます。しかし、そこにはすでに警察が待ち構えていました。コリンがコステロを裏切ったのです。混乱の末、コリンは自らの手でコステロを射殺します。組織が壊滅したことで、ビリーはようやく潜入任務から解放されます。 その後、初めて直接顔を合わせるビリーとコリン。コリンが席を外した隙に、ビリーは彼こそが裏切り者である証拠をつかみます。一方のコリンもまた、ビリーの正体を示す記録を抹消し、彼を孤立させます。こうして、互いの正体を知った2人の直接対決が始まります。 ビリーはコリンを追い詰めますが、突如現れた別の警官に射殺されてしまいます。実はコステロが送り込んでいたスパイは、コリンだけではなかったのです。その後、コリンはその警官も口封じのために殺害し、すべてを掌握したかのように見えます。 しかしラストでは、コリンの正体に気づいていたディグナム巡査部長(マーク・ウォルバーグ)が彼の前に現れ、引き金を引きます。裏切りと欺瞞が連鎖した末に、誰も救われることのない衝撃的な結末が待ち受けています。
映画タイトル『ディパーデッド』の意味とは?

原題は"The Departed"です。"Departed"には「亡くなった者」「去った者」という意味があります。 本作では主要キャラクターの多くが命を落とします。フランク、ビリー、コリン――物語の中心人物たちは、いずれも悲劇的な最期を迎えます。その意味でタイトルは「死者たち」を象徴していると考えられます。 また、コリンとビリーが潜入任務に"出発する"瞬間から、すでに死へ向かう運命に足を踏み入れていた、という解釈も可能です。キャッチコピー「男は、死ぬまで正体を明かせない。」も、本作のテーマを端的に表しています。
衝撃のラストを解説

終盤、ビリーはついにコリンを追い詰めます。しかし、突如現れた別の警官によってビリーは射殺されます。その警官もまたコステロ側のスパイでした。 その後、コリンは自らの地位を守るため、そのスパイをも口封じに殺害します。しかし死の連鎖はそこで終わりません。ディグナム巡査部長がコリンを待ち伏せし、射殺するのです。 ディグナムがなぜコリンの正体に気づいたのかについては明確な説明はありません。一つの有力な説は、ビリーが精神科医でありコリンの恋人でもあるマドリンに託した封筒の存在です。その中には、コリンが裏切り者である証拠が入っていた可能性があります。 手紙の内容は明かされていないため、これはあくまで推測に過ぎません。しかし、この余白こそが作品にさらなる深みを与えています。
『ディパーデッド』キャスト・登場人物解説
ビリー・コスティガン/レオナルド・ディカプリオ
レオナルド・ディカプリオは1974年生まれ、カリフォルニア州出身です。10歳頃から俳優を志し、数多くのオーディションに挑戦しますが、不合格が続きます。そんな彼の転機となったのが、1993年公開の映画『ギルバート・グレイプ』です。19歳で知的障害のある少年アーニー・グレイプを繊細に演じ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。本作には若き日のジョニー・デップも出演しています。 1996年には『ロミオ+ジュリエット』でロミオ役を演じ、世界的な注目を集めます。そして1997年公開の『タイタニック』で主人公ジャック・ドーソンを演じ、一躍トップスターの仲間入りを果たしました。同作はアカデミー賞で11部門を受賞するなど、社会現象的ヒットを記録しました。 その後も活躍は続き、2004年の『アビエイター』では実業家ハワード・ヒューズを熱演。そして2006年の『ディパーデッド』では、マフィアに潜入する警察官ビリー・コスティガンを緊張感あふれる演技で体現しました。 長年アカデミー賞にノミネートされながら受賞に届きませんでしたが、2015年公開の『レヴェナント: 蘇えりし者』でヒュー・グラスを演じ、ついにアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。
コリン・サリバン/マット・デイモン
コリンを演じたマット・デイモンは1970年生まれ、マサチューセッツ州出身です。1988年の『ミスティック・ピザ』で映画デビューを果たし、1996年の『戦火の勇気』ではヘロイン中毒の兵士を演じて注目を集めました。 彼の名を世界に知らしめたのが、1997年公開の『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』です。ベン・アフレックと共同で脚本を執筆し、アカデミー賞脚本賞を受賞。さらに主演も務め、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。 その後は『オーシャンズ11』(2001年)のライナス・コールドウェル役、『インビクタス/負けざる者たち』(2009年)のフランソワ・ピナール役、『オデッセイ』(2015年)のマーク・ワトニー役など、話題作に多数出演しています。
フランク・コステロ/ジャック・ニコルソン
ジャック・ニコルソンは1937年生まれ、ニュージャージー州出身です。ハリウッドを代表する名優であり、長年にわたり数多くの名作に出演してきました。 1969年の『イージー・ライダー』で初めてアカデミー賞助演男優賞にノミネート。その後も『さらば冬のかもめ』(1973年)、『チャイナタウン』(1974年)などで主演男優賞にノミネートされます。 1975年の『カッコーの巣の上で』ではランドル・マクマーフィーを演じ、アカデミー賞主演男優賞を受賞。その後も『恋愛小説家』(1997年)で同賞を再び受賞するなど、輝かしいキャリアを築きました。『ディパーデッド』では、圧倒的な存在感で犯罪組織のボス、フランク・コステロを演じています。
ディグナム巡査部長/マーク・ウォールバーグ
マーク・ウォールバーグは1971年、マサチューセッツ州出身です。1994年の『勇気あるもの』で映画デビュー。その後着実にキャリアを重ね、『ディパーデッド』では毒舌ながらも信念を貫くディグナム巡査部長を好演し、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。 2010年の『ザ・ファイター』では主演と製作を兼任。さらに『テッド』(2012年)ではコメディにも挑戦するなど、幅広いジャンルで活躍しています。
『ディパーデット』驚きの製作秘話9選
フランク・コステロのモデルは実在のマフィア
ジャック・ニコルソンが演じたマフィアのドン、フランク・コステロにはモデルがいます。その人物とはかつてボストンを牛耳っていたアイルランド系マフィア、ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー。長年FBIの重要指名手配犯として100万ドルの懸賞金をかけられていた人物です。 ちなみにバルジャーは2011年に逮捕され、彼の半生を描いた『ブラック・スキャンダル』がジョニー・デップ主演で製作されています。
スコセッシが監督を引き受けた理由とは?
この映画の監督を引き受けた理由として、スコセッシは脚本が好きな映画と似ていたからだと答えていました。その映画とは1949年に公開された『白熱』で、警察官がマフィアの世界に潜入捜査するという題材も『ディパーテッド』と似ています。
ブラピとトムが主役だったかも!?
豪華なキャストも『ディパーテッド』の魅力のひとつ。レオナルド・ディカプリオとマット・デイモンがW主演でしたが、元々はブラッド・ピットとトム・クルーズ主演の予定だったのだそう。しかし年齢がいきすぎているという理由でその話はなしになり、代わりにブラッド・ピットはプロデューサーとして名を連ねることとなりました。
ロバート・デ・ニーロと『グッド・シェパード』が大いに関係していた
また、過去に8作品でスコセッシとタッグを組んできたロバート・デ・ニーロも出演をオファーされていました。しかしその時自身の監督作品『グッド・シェパード』を撮影中だったため、出演を断ったのだそう。 なお『グッド・シェパード』ではレオナルド・ディカプリオが主役となるはずでしたが、『ディパーテッド』への出演を理由に断られてしまいます。そこでデ・ニーロは『ディパーテッド』の撮影を早く終えていたマット・デイモンに声をかけたというわけ。そう、『グッド・シェパード』の主演はマット・デイモンなのです。
ジャック・ニコルソンが見せた超リアルな演技
主演2人を固めるのが共演のベテラン陣。なかでもジャック・ニコルソンの存在感は抜群。スコセッシ監督によると彼はあるシーンで本物の銃をレオに突きつけていたのだそう。監督ですら知らなかったそうで、「裏切り者の匂いがするな」とつぶやいたニコルソンの演技に、レオは演技ではないリアルな恐怖の表情を浮かべたそうです。
レッドソックスの帽子は絶対に嫌!
共演者を震え上がらせる怪演の一方で、ジャック・ニコルソンにはお茶目な一面も。彼は長年ニューヨーク・ヤンキースのファンであるため、ボストン・レッドソックスの帽子をかぶることを断固拒否したそう。「そんなことできっこないよ」と本人は語ったそう。
ウォルバーグとスコセッシは険悪な関係だった?
また、ディグナム巡査部長を演じ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマーク・ウォルバーグの演技にも注目。彼は撮影中監督と緊張状態にあったという意外な事実を打ち明けています。もともとウォルバーグの撮影期間は2週間と言われていたにもかかわらず、4ヶ月だったことが原因のよう。
あるマークに隠された意味とは?
マフィアと警察の抗争というテーマのため、劇中では殺人が頻繁に起こります。そしてそのシーンでは必ずある文字が何らかの形でシーンに映し出されます。それはアルファベットの「X」。これは1932年公開の『暗黒街の顔役』で使われていたアイディアのようで、スコセッシがこの映画を好きだったことが理由のようです。
『ギミー・シェルター』はスコセッシ映画の定番
この映画で使われたローリング・ストーンズの『ギミー・シェルター』という曲、実はスコセッシの前の映画『グッドフェローズ』や『カジノ』でも使われています。スコセッシのギャング映画のテーマ曲のような存在になっています。
ある俳優が行った究極の役作りとは?
ディグナム巡査部長を演じたマーク・ウォールバーグは、若い頃に問題を抱えた過去を持つことで知られています。荒れた生活を送り、たびたび警察の世話になった経験があったといいます。 本作で警察官を演じるにあたり、彼は自身を何度も逮捕した警察官を参考に役作りを行ったと語っています。実体験に裏打ちされたリアリティが、ディグナムというキャラクターに強烈な説得力を与えているのです。