1. 映画史に刻まれた伝説のカップル【1946年】
sajoudolphin
まず102分という短さがいいです。プロットが簡潔でスッと頭に入り、全体を俯瞰できるので何度も観たくなる作品。グラスを倒して次のシーンに移る切り替え方がドラマチックで印象的でした。
coli321
時代の背景も国も違うのに、感情移入がとまらない。
北欧のさわやかな美貌と申し分のない才能でハリウッドに地位を確立したイングリッド・バーグマン。マイケル・カーティス監督の肖像的な戦時ドラマ作品『カサブランカ』で葛藤するイルザ・ランドを演じ、スーパースターダムへと乗り出しました。
バーグマン扮する恋に悩むイルザは、反ナチス運動家で指名手配中のヴィクター・ラズロ(ポール・ヘンリード)の妻。ひょんなことから足を踏み入れたのは、イルザがドイツ軍侵攻前日のパリで謎を残して去った元恋人リック・ブレイン(ハンフリー・ボガート)の経営するナイトクラブ『カサブランカ』。
バーグマンとボガートの相性はとっぴとしか言いようがなく、最も素晴らしいスクリーンカップルの1組として映画史に刻まれました。
2. 美しくもドロドロのメロドラマ【1952年】
1uhya
裕福で幸せな家庭を持つバイオリニストの男と、男の娘のピアノの家庭教師の女との不倫を描いた話。なんだかなぁ……恋の盲目さは罪だ。最後は都合が良いと思われるかもしれないけれどなかなか好き。
デヴィッド・O・セルズニック製作でリメイクされた1936年のスウェーデン映画の英語版であるこの作品によって、バーグマンは初めてハリウッドの目に留まることとなる役作りができました。
古風なメロドラマ『別離』のレスリー・ハワード(ホルガー・ブラント)は名の知れたバイオリンの名手、妻子があるにも関わらず娘につく有能なピアノ講師(バーグマン)に溺れてしまいます。2人の関係は続きそのことが引き金となってハワードの娘が事故で重傷を負い苦しむことに・・・家庭はもう崩壊寸前です。
この役がバーグマンにとって最高だったとは言い難いですが、一夜にしてスターの名を轟かせるに足る気品と美しさを発揮しました。
3. 5分間未編集で撮影されたスピーチ 【1975年】
Soichiro__Muramoto
ポアロの世界。
推理は誘導されるからおもしろい。
この結末を想像できるものなのか。
そしてポアロの出した2つの推理。
そして清々しいラストの乾杯が見もの。
Mai_Hosojima
すごく面白い。月末は特に、昔の小説・映画でしか出来ないのかなと思わせる楽しさ。
1950〜1960年代をハリウッドとヨーロッパ作品の行き来に費やしたバーグマンは、ジョン・ギールグッド、ショーン・コネリー、アンソニー・パーキンス、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、ローレン・バコール、マイケル・ヨークら共演の豪華映像化されたアガサ・クリスティーヌ古典作『オリエント急行殺人事件』。本作では集大成のひとつと言える演技を披露しました。
当初、シドニー・メルット監督はバーグマンにはドラゴミフ公爵夫人よりも重要な役に取り組んで欲しかったのですが、バーグマンは自身も出身であるスウェーデンの宣教師グレタ・オルソン役を演じると言って譲らなかったそうです。
大きな役割ではありませんでしたが、バーグマンは未編集で行われた5分間ものスピーチを筆頭に限られた出演時間を最大限に活用し、女優人生に於いて3度目にして最後のアカデミー賞最優秀主演女優賞を勝ち取りました。
4. 娘を見捨てた冷徹な母親【1981年】
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巨匠イングマール・ベルインマンがイングリット・バーグマン主演で描いた母と娘の愛憎の物語。ものすっごい疲れるけど、母と娘の本質ってここで描かれているものなのかもしれない。強烈に愛憎が伝わってくる。認めて欲しい、愛してほしかった。家が恋しいけど、家にいてもつまらない。愛憎のぶつけ合い、女優陣の演技本当息飲む。素晴らしい作品やった
misaki14yama
良くも悪くも家族の繋がりというか因縁は切れないものですよね…。感情のぶつけ合いでは何も解決できないのに、そのまま映画が終わってしまうのがあまりにもリアルで、幼稚なわたしは苛々してしまいました(笑)そういう意味でやはりイングマール・ベルイマンは女性を描くのが巧みなのかもしれません。これが遺作となるイングリッド・バーグマン、歳を召されても美しい!母親の設定が実際のイングリッドの人生とも重なっていてなんだか皮肉のようでした。
@ユーロスペース
バーグマンが後にその人生を悲劇的に終えることとなったガンと診断されたのは、彼女がちょうど『秋のソナタ』の撮影に入ったその時でした。親類関係にはありませんが同様にスウェーデン人のイングマール・ベイルマン(アルファベット表記では同じくBergman)監督との初共作として注目を浴びた作品です。
長年もの間自分をないがしろにしていた母親のシャルロッテ(バーグマン)とついに再会を試みようとする娘のエヴァ(リヴ・ウルマン)を追ったこの映画の設定には、有名人になり夫と子供達の元を去って映画監督のロベルト・ロッセリーニとの愛に走ったバーグマン自身の人生と不気味なほど共通点があります。
『秋のソナタ』は親子間など人と人の結びつきに対する手入れを欠くことで育つ雑草についての、心をかき乱す破滅的な研究作品と言えるでしょう。また冷徹にして力強いシャルロッテの演技は疑問の余地もなくバーグマンの偉業の1つとしての地位を獲得しました。
5. アルフレッド・ヒッチコック監督との最強タッグ【1949年】
Keimiyazato
ケリー・グラントとイングリッド・バーグマンの史上最長のキスシーンにクラクラします 当時はキスシーンの長さに制約があり その事への皮肉を込めた名場面、そこは笑ってもいいギャグシーンです、サスペンスとして観ると 、おや??ってなる程のメロドラマですが 遊び心や小道具の使い方で唸ります。
隠された爆弾原料ウランのありかを突きとめるという映画の政治的要点はさておき、アルフレッド・ヒッチコック監督はバーグマンとケーリー・グラントの強力なカップリングによって『汚名』を自身の作品の中で最も人々の記憶に残るものに仕上げました。
デヴリン(グラント)とアリシア(バーグマン)の息を呑む相性の良さとヒッチコック節の効いた匠なカメラワークを利用し、豊かに映し出されたスパイ作品です。ドイツ駐在者邸で潜入捜査に取り組むひたむきな女性が、欲望と背信行為によって絶えず自らの裏切りに脅やかされる演技は、バーグマンの魅力的な役所の1つとして見出されました。
また、バーグマンは『誰がために鐘はなる』や『聖メリーの鐘』などで演じた清純な役柄と対立した性的に自由なアリシアを見事に演じきっています。
ここがヒッチコック監督とバーグマン両者のキャリアに於けるピークと言っても間違いなく、映画のクラシックな地位はいわば2人が絶好調であることの証。すばらしい映像描写と情熱的な演技が合わさったことで輝かしい結果となりました。
6. 傷ついてもなお純粋さを失わない少女【1952年】
Hironari_Yoshimatsu
小学校の頃見て大人になってもう一回見直すと自分が早熟だったのかなと思う。
hitomisnotebook
自分が観たのがオリジナルではなく35分追加された特別復元版と思われるが それ故にか物語が冗長で緩慢過ぎでなんだかなぁって感想を持った 100~120分程度の時間なら良かったと思う 物語はラブ・ロマンスでイングリッド・バーグマンがただただ美しい 原作がヘミングウェイという事で内容は良いんだけどね ちょっと長過ぎた…
見事なまでに純粋な魂を持つ傷ついた若い女性マリア役に原作者のヘミングウェイによって選出されたバーグマン。この申し分ないクラシック作の中でゲイリー・クーパー扮する心優しき米軍兵士ジョーダンに対して異彩を放ちます。
スタジオ契約のため映画出演が無くなりかけたこともありましたが、この『誰がために鐘は鳴る』でバーグマンは初のオスカーにノミネートされるに値する演技を披露しました。
一部の評論家はマリアとジョーダンの関係のために費やした時間の長さについて意見を対立させていますが、これより先に公開された 『カサブランカ』に続き最も情緒的で不朽な映画女優の1人としてバーグマンの地位を固めるのに貢献しました。
7. イタリアで浮き彫りにされる結婚生活【1988年】
Ken_
前半シーンは口喧嘩ばっか
自動車でのひとりの空間
パーティー後での誘いたい男の心情心境
夜寂しかったと言われてニヤッとしてた
カプリに帰ると言われて残念そう
夫が遊びに行ってから妻は心配しだす
車を無断で利用したことにより積もったものが爆発
ポンペイで感じたものがある
帰りの車のなかで離婚の話をしているときの子供が印象的
たくさんの子供からの急展開ハッピーエンド
ロッセリーニ監督による結婚生活を解く不思議なストーリー『イタリア旅行』はナポリタンリヴィエラとして知られる海辺の休暇旅行先を舞台に展開されます。この息を呑む美しい場所で幸せそうじゃない なんてどれだけお高くとまったブルジョアカップルでもいないはず、と思うでしょう。
ところが休暇中の英国夫婦アレックス(ジョージ・サンダース)とキャサリン(バーグマン)が要望に応えてくれるようです。イタリアに漂う雰囲気のようなものが2人のモヤモヤを増大させ、8年間の結婚生活で活力が失われてしまったことに気付かされます。
会話には皮肉がまじり新鮮さもありません。2人は別々に行動し、各自美術館やナイトクラブを当てもなく歩き回ります。そしてようやく2人がやわらかな空気に包まれた時、ふと疑問に思います 。それがどれだけの愛情によって起こるものなのか、そしてどれだけの単純な死の恐怖からくるものなのか、と。
8. 皇女になりすます記憶喪失の女性【1957年】
1uhya
想像させる美しさ。冒頭にあるように、真実は彼女だけが知っているんだなぁ。不器用な大人の恋。
皇太后が強かで聡明でかっこいい。
hitomisnotebook
戯曲の域を出ていないがハリウッドがハリウッドらしい時代の絢爛華美な映画 イングリッド・バーグマンが美しい 彼女の気品のある美しさの上に成り立っている映画 この時にはもう40歳を超え私生活では色々あったみたいだけど美しい ラストのハッピーエンドもいいね ユル・ブリンナーな押しの強さもマッチしていて良かった
1940年代後半、バーグマンはイタリア映画監督ロベルト・ロッセリーニとの不倫関係というスキャンダルで注目の的となり、その非難はアメリカ上院議場階まで届くほど広がってしまったとか。
その結果、 バーグマンは1950年代にかけていくつかのイタリア映画の主演を務めますが花形役者としての灯火が消えていくのを目の当たりにします。
しかし有名な舞台劇を映画化した『追想』で、追放されたロシアの将軍(ユル・ブリンナー)に唆され亡きロシア皇帝ニコライ2世の娘の振りをする記憶喪失の女性アンナを演じ、ハリウッド復帰を成功させました。
重ねてバーグマンの演技は素晴らしいの一言に尽き、2度目のオスカー主演女優賞を獲得しました。ただバーグマンはスキャンダルの傷が癒えておらず、 友人のキャリー・グラントが代理で受賞しました。
9. 顔に傷を負ったギャングの女が美貌を手に入れる時【1949年】
1941年にジョーン・クロフォード主演で映画化されたアメリカ版 より知名度は低いですが、バーグマンはスウェーデン版の元祖『女の顔』で悪名高いギャングを率いる醜い傷を持つ女性(アンナ)を演じました。
恐喝を計画していたアンナは顔に手術を施してくれると言う形成外科医と知り合い、 この機会を利用して人生を作り直そうとしますがすぐに過去の足跡などめったに残らないと気づきます。
過去バーグマンと『別離』で共同しているグスタフ・モランデル監督によって、 アンナはバーグマンのキャリアの中で最も複雑で悪意のあるキャラクターの1人となりました。
印象的な顔面装具を物ともしない演技で二面性と闇を探求した初期の演技は深い感銘を与える有望な女優としてのバーグマンの位置を主張するにあたって欠くことのできないものです。
10. 孤独と絶望の中で生まれた力強さ【1953年】
『ストロンボリ/神の土地』はバーグマンとロッセリーニ監督を芸術的にも個人的にも最初に結びつけた作品です。バーグマン演じるカーリンはリトアニア戦争の難民、とにかく今の状況から脱出したいがためにイタリア人の漁師(マリオ・ビターレ)と結婚して 伝統が受け継がれる離島、ストロンボリに移住。
2人は活性火山の不気味な陰の下で生活をともにするも、美しきよそ者のカーリンは村の偏見と非難の的になってしまい、孤立と絶望の中で精神的な危機を経験します。
ロッセリーニ監督は親密な関係と仲違いという当時の役者にぴったりな着想を探求していますが、易しい答えは示されていません。