2017年12月9日更新

映画『プラトーン』の魅力を、あらすじからネタバレまで徹底解説

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プラトーン
出典 : twitter.com

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オリバー・ストーン監督チャーリー・シーン主演映画『プラトーン』

『プラトーン』 (Platoon)は、1987年に日本で公開のアメリカ映画。オリバー・ストーン監督が自らの従軍経験を基にベトナム戦争の悲惨さを描いた作品です。 徹底してリアリティにこだわった描写は非常に話題となり、第59回アカデミー賞では作品賞、監督賞など4部門を獲得しました。 今回はそんな本作のあらすじ、キャスト、関連情報などをまとめてご紹介します。

映画『プラトーン』のあらすじ【ネタバレあり】

1967年、貧しい家庭の子息ばかりが徴兵されることに憤った白人青年クリス(チャーリー・シーン)は、名門大学を中退してベトナム行きを志願。激戦のカンボジア国境付近に派兵されました。 しかし最前線小隊「プラトーン」に配属されたクリスを待ち受けていたのは、想像を絶する過酷な戦争の現実でした。 充分な休息もとれずに密林の中を進み「たこつぼ」と呼ばれる塹壕を掘る毎日。いつ起こるかわからない敵との銃撃戦。仲間が次々と死体袋に入れられ送還されていく極限状態の中で、一週間も経たないうちに来たことを後悔するクリスでした。 その中でも、やがて共に戦う戦友たちとの間に徐々に友情が芽生え、時に酒を飲み大麻を嗜み語り合うことで、兵隊生活や戦争というもの自体に慣れていくクリス。 クリスが配属されたアメリカ陸軍第25歩兵師団の小隊を取り仕切るのは、鬼のように非情なバーンズ曹長(トム・ベレンジャー)と、人間味のあるエリアス軍曹(ウィレム・デフォー)。2人は方針の違いから意見を対立させることが多く、小隊内でもどちらにつくかで派閥が別れていました。 ある日ベトナム人の小さな集落を発見した一行。村に武器があることを知ったバーンズ曹長は、村民の女性を銃殺し、子供を人質に取って村長を脅迫します。絶叫し殴りかかってバーンズ曹長を止めるエリアス軍曹。エリアス軍曹が「帰ったら軍事刑務所に入れてやる」と叫び、両者の決裂は決定的なものとなります。 数日後の激しい銃撃戦。バーンズ曹長は全員に撤退を呼びかけ、一人密林の中にいるエリアス軍曹を自分が呼び戻しに行くと言うのでした。 敵が潜むジャングルの中で味方であるバーンズ曹長を発見し、安堵の笑みを浮かべるエリアス軍曹でしたが、その目はすぐに驚きと恐怖に変わります。バーンズ曹長は彼に照準を定め発砲したのです。そして倒れ込む軍曹。 バーンズからエリアス軍曹の戦死を告げられたクリスは、その様子に違和感を覚え、曹長への疑念を抱きます。そしてヘリコプターに乗って撤退する際、クリスが上空から見たものは…。 それは瀕死の状態でボロボロになりながら敵の大群から逃げまどうエリアス軍曹の姿でした。仲間に撃たれ敵からも襲われ、ヘリコプターは飛び立ってしまいます。自分が助からないことを悟ったエリアス軍曹は、両手をあげて天を仰ぎ絶命するのでした。 「バーンズ曹長がエリアス軍曹を殺そうとしたに違いない」と仲間に告げるクリスでしたが、皆「曹長には逆らえない」と無気力になっています。 それを聞いたバーンズは彼に、たとえ味方であれ命令に背くものは士気を下げるため不要なこと、自分に恨みがあるなら復讐しても良いことを語ります。 とうとう、いまだかつてないほどの敵の大夜襲が小隊を襲います。次々と小隊が全滅し司令部すら爆破。皆が錯乱状態に陥り発砲しながら逃げまどう様子はまさに地獄絵図でした。 夜が明けて生き残ったクリスは、瀕死の状態で倒れるバーンズ曹長を発見します。助けを求める曹長に対し、銃口を向けるクリス。状況を悟った曹長の「やれ」という声とともに発砲し銃殺しました。 その後救助されたクリスがヘリコプターの中で、戦場での敵は自分の中にいたこと、戦争は終わっても思い出は一生残ること、自分たちには戦場で見たことを伝え意義のある人生を送る義務があることを独白し、本作は幕を閉じます。

映画『プラトーン』の出演者

クリス・テイラー役/チャーリー・シーン

義憤にかられベトナム行きを志願したクリス。やがて想像とはかけ離れた戦争の現実と悲惨さを体験することとなります。 チャーリー・シーンは1965年ニューヨーク州出身。父は『地獄の黙示録』(1979)のウィラード大尉役などで知られる俳優のマーティン・シーンです。おじや兄妹も俳優をしている俳優一家に生まれ育ったチャーリーは、子役からキャリアをスタートさせました。 本作『プラトーン』で注目を浴び、同じくオリバー・ストーン監督の『ウォール街』でスターの地位を確実に。その後は『メジャーリーグ』シリーズや『ホット・ショット』(1991)などのコメディ作品へ多く出演することになります。 2003年からはテレビドラマ『チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ』に主演し大ヒット。この番組のギャラは非常に高額で、2011年10月に経済誌フォーブスが発表した「テレビ界で最も稼いでいる俳優」ランキングでは1位を獲得しました。 そんな彼ですが、私生活では麻薬や暴行事件などの不祥事も多く、すっかりトラブルメーカー俳優として知れ渡ることに。2015年にHIV感染を公表したことは記憶に新しいですね。 最近では、すべての資産を養育費や被害者への賠償金で使いきり両親とともに生活していることが報道されましたが、彼の元気な姿をまたスクリーンで見られる日はいつになるのでしょうか…。

ボブ・バーンズ曹長役/トム・ベレンジャー

クリスが所属する歩兵部隊のバーンズ曹長。過去に7回も過酷な銃撃戦から生還したことから、「不死身」と呼ばれ神格化されています。その過去を物語るかのように、彼の顔には大きな傷跡が。 演じるトム・ベレンジャーは1949年イリノイ州出身、70年代から舞台俳優としてキャリアを築いてきました。 本作『プラトーン』ではアカデミー助演男優賞にノミネート。エリアス軍曹役のウィレム・デフォーとは、同じくオリバー・ストーン監督の『7月4日に生まれて』(1989)で再び共演しています。また『メジャーリーグ』シリーズでの面倒見の良いキャッチャーのジェイク役としても有名です。

エリアス・グロージョン軍曹役/ウィレム・デフォー

キャンプでは部下に酒や大麻をすすめるなど、気さくで人間味のあるエリアス軍曹。民間のベトナム人を人道的に扱うよう主張し、バーンズ曹長と対立します。また、アメリカがベトナム戦争に負けることも予測していました。 演じるウィレム・デフォーは1955年ウィスコンシン州出身。学生時代から前衛的な舞台で役者として活躍していた彼は『ミシシッピー・バーニング』(1988)や『7月4日に生まれて』(1989)などの社会派作品から、『スパイダーマン』(2002)の悪役グリーン・ゴブリンまで、幅広い役柄を演じる演技派です。 本作『プラトーン』と吸血鬼を演じた『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(2000)で2度アカデミー助演男優賞にノミネートされています。

映画『プラトーン』監督

オリバー・ストーン

1946年ニューヨーク州出身のオリバー・ストーンはイェール大学を中退し1967年からアメリカ合衆国陸軍に従軍。ベトナム戦争中は空挺部隊に所属し偵察隊に加わっていました。 特殊任務を行うこの部隊は、もっとも死傷率の高い部隊のひとつでした。この時の体験が『プラトーン』のベースになっているそうです。戦争の現実と非人道性を痛切に訴えています。 除隊後はマーティン・スコセッシのもとで映画制作を学び、本作と『7月4日に生まれて』(1989)でアカデミー監督賞を2度受賞。他の作品に『ウォール街』(1987)『天と地 』(1993)『ナチュラル・ボーン・キラーズ 』 (1994)『ニクソン』 (1995)などがあり、政治や金融をテーマにした社会派作品を多く発表しています。

監督の従軍経験をもとに、徹底したリアリティへのこだわり

本作はオリバー・ストーン監督の実際のベトナム戦争従軍体験をベースに製作されています。リアリティにこだわったストーン監督は、撮影2周間前からすべての俳優に実際の軍人と同じ髪型にし食べ物も配給の缶詰のみとすることを義務付け、シャワーを浴びることさえ許可しないという徹底ぶり。銃やヘルメットはもちろんタバコに至るまで、小道具は当時と同じものを再現したそうです。

若き日のジョニー・デップが端役で出演!

主人公と同じ小隊に所属する通訳兵ラーナーを演じるのは、当時22歳のジョニー・デップ。本作ではあまり顔がはっきりと写るシーンはありませんが、ベトナム人集落を訪れるシーンでバーンズ曹長の横で通訳する場面があります。 実は本作の主人公クリス役は様々な俳優にオファーを出しましたが、断られてしまったそうです。ジョニー・デップもその中の一人で「クリスを演じるには若すぎる」と断ったのですが、彼をえらく気に入ったオリバー・ストーン監督の頼みでラーナー役として出演が決まったとか。ストーン監督は将来のスターを見抜く目があったのですね。

戦争の意味を問う問題作

エリアス軍曹が両手を挙げて天を仰ぐポーズは、映画ポスターにも採用され一度は目にしたことがある人も多いでしょう。仲間に裏切られ敵に襲われ置き去りにされた彼の凄惨な最期の姿は、ただただ痛ましく絶望的でした。彼は最期に何を思い何を叫びたかったのでしょうか。胸がつまされるシーンですね。 またラストでバーンズ曹長に復讐を遂げたクリスですが、問題はそれで解決したのでしょうか。クリス自身もまた、バーンズと同じような人間性になってしまったとも解釈できます。 意見の対立からエリアス軍曹を殺したバーンズ曹長、そして憎しみの連鎖を断ち切ることができなかったクリス。彼らの関係性は国家間で戦争が起こる経緯ともよく似ています。 戦争に勝っても負けても勝者はどこにもおらず、ただ深い傷のみが残る。オリバー・ストーン監督は、そんな現実の戦争の悲惨さと非人道性を表し、戦うことの意味を我々に問いかけます。

『プラトーン』のCiatrユーザーの感想・評価を紹介!【ネタバレ注意】

戦場のリアルが克明に切り取られている!

Tanaka_Hirofumi 世の中キレイゴトではないなあということは理解しつつあるものの、やはり戦争は嫌である 嫌悪感というか恐怖というか、痛いし死ぬしやってられるかという戦場のリアルが克明に切り取られていると感じた(実体験はないのであくまで私の想像の中の戦場のリアルであるが) 自分にはどうしても殺したり殺されたりというのは恐ろしいので、戦争に行きたくないぶん、生きるに値する人間になろうと思います いまも誰かが、戦場で命を懸けて戦っていて、それはまわりめぐって私のためだったり私のせいだったりするんだから、その方の献身の上にのうのうと生きていることを自覚しなければ 傲慢で臆病で卑怯かもしれませんが、戦争以外で社会の役に立てる人になろうと思いました

改めて戦争反対と胸に刻みたくなる

kinako 若かりし気頃のチャーリー・シーンが大好きでした。。 今はなんであんな風になってしまったのか(T^T) そして、一瞬映ったかっこいい!て思った人は、ジョニー・デップでした。 戦争映画にハマるきっかけとなった1本。 美しい音楽と映像のコントラスト。 戦争を経験していない私は、実感出来ないけど、改めて戦争にNO!と言いたい。

戦争映画を変えた名作

310310ryo これまた戦争映画を変えた名作。チャチな爆発は愛嬌。「理性の通じないところが地獄だとしたら、此処がそうだ」…戦争が地獄であることを示すかのように戦争の良心は犠牲になる。有名なウィレム・デフォーのポーズは白土三平の「ワタリ」がモトらしい。

考えさせられる内容

nyanpalary ベトナム戦争で戦う軍の隊員達の人間模様を描いた作品。陸軍に憧れと尊敬の念を抱いて入隊した主人公が、現場で戦場の恐ろしさや人間の狂気を目の当たりにして心境が変化していく。 必死に戦ってあっけなく死んでしまう者、ずる賢く生き延びる者、戦うことを勘違いして無意味に暴力的になってしまう者、、 自分なりの正義や誇りを抱いて戦地に来た主人公は最後には人が行う善とは何か、生きるとは何かについて考える。。 すごく考えさせられる内容で戦争映画として見て良かったと思った。アカデミー賞作品賞他や、ゴールデングローブ賞とか多数受賞しているだけあった! 個人的にウィレム・デフォーが悪役してないとなぜか違和感抱いてしまう。(笑)圧巻の死に様だった! あ、若いジョニーデップ綺麗だった〜。