2017年7月6日更新

映画『エリジウム』の荒廃したSF世界に魅了されるまとめ【ネタバレあり】

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映画『エリジウム』!地球が荒廃した以後の人間の運命はいかに?

大気汚染や人口爆発によって荒廃した地球に残された人類と、それを避けて宇宙のコロニー「エリジウム」に逃げ出した富裕層との関わりと冒険を描いた、近未来が舞台のSFアクション『エリジウム』。2013年にマット・デイモン主演で公開されたこの映画は、楽しめるだけなく深い問題提起をしている社会的な作品でもあります。 22世紀の地球を舞台にしたこの映画のあらすじやキャストは?監督は誰なのか?基本情報と合わせて、映画がもっと楽しめること間違いなしの関連情報、そしてciatrユーザーのみなさんから寄せられた感想をまとめてご紹介します。ネタバレ注意ですよ!

『エリジウム』ってどんなストーリーなの?

舞台となるのは2154年。大気汚染や環境破壊、そして人口爆発によって地球は荒廃しきっており、地球に残された人類は衣食住もままならない状況で貧しい暮らしをしており、十分な医療も享受できない過酷な状況。一方で富裕層は皆地球を去り、地球の周りを周回する巨大なスペースコロニー「エリジウム」に避難し、そこで生活していました。 エリジウムは科学や医療の発達した社会であり、老化を防いだり人工的に四肢を再生したりできるほどの技術を持っています。このような明らかな格差が存在するために、エリジウムの住人と地球に残された人類との間には、長いこと争いが続いていたのです。 主人公のマックス・デ・コスタは廃墟となったロサンゼルスに暮らす工場労働者。彼は様々な軽犯罪に手を染めたことのある問題児であり、仮釈放中の身。ある日彼は仕事中に事故に巻き込まれ、大量の放射線を浴びてしまいました。 それにより余命幾ばくもない身となったマックスは、なんとかしてエリジウムにわたって治療を受けたいと願い、彼は友人のフリオと、人間の密輸業を営むスパイダーの助けを借りてこの計画を成功させようと試みます。 一方でエリジウム側では、防衛を担当する責任者であるジェシカ・デラコートが、不法移民を乗せた3隻の宇宙性に対する非人道的な扱いで追及されていました。エリジウムの安全性と自分の地位を守ろうと誓ったデラコートは、兵器開発会社の社長ジョン・カーライルと協力して、エリジウムを運営するコンピューターの力を我が物にしようと企み、そのためのプログラムを開発していたのです。 スパイダーはマックスをエリジウムに送り届けることを約束しますが、その見返りとしてマックスはカーライルから会社に関する重要な情報を盗み出さなければなりませんでした。盗みを成功させるために、スパイダーはマックスにパワースーツを装着させます。 カーライルの乗る船を襲撃しカーライルに致命傷を負わせたマックスと仲間たちは、デラコートが秘密裏に開発していたプログラムを盗み出すことに成功。このことを知ったデラコートは、自分の右腕であるM・クルーガーを派遣してその奪還を望みます。クルーガーとマックス側は激しく衝突し、フリオは戦闘で死亡、マックスも重傷を負ってしまいました。 マックスが助けを求めたのは、幼馴染の看護師であるフレイ。フレイの娘は末期の白血病を患っており、そのためマックスがエリジウムに向かう計画を聞いた彼女は、どうか娘だけでもエリジウムに一緒に連れて行ってくれないかと懇願するのです。しかしとても安全とは言えないこの旅に子供連れていけないと考えた彼は、これを拒否するほかありませんでした。 エリジウムに向けて旅たった後、マックスを追うクルーガーはフレイから彼の居場所を聞き出すべく、フレイとその娘を人質に取ります。 一方、マックスからプログラムを受け取ったスパイダーは、その威力が自分の想像したものよりもずっと大きいものであることに気づくことに。これを使えば、地球上の人類全てをエリジウムに移住させることができるかもしれません。 マックスの船を追う中でフレイと娘を乗せたクルーガーの宇宙船のエンジンは故障し、なんとかしてエリジウムに不時着したものの、娘のマチルダに意識がありません。フレイは彼女を抱えて大急ぎでエリジウムの医療機関「MED-BAY」に向かいますが、そこで医療はエリジウムの住人に対してしか施されないことを聞かされ失望します。 デラコートにマックス捕獲の失敗を問いただされたクルーガーは怒り狂い、なんとデラコートを殺害。さらにクルーガーの野望は止まるところを知らず、彼はエリジウムの支配権を手に入れるために高官達を次々に殺害するように命じるのでした。 同じく「MED-BAY」がエリジウムの住人にしか適用されないことを知ったマックスは、彼がカーライルから盗み出したプログラムを使って地球上の全人類にエリジウムの市民権を与えようと画策します。彼はスパイダーと落ち合いエリジウムの中心部へと向いますが、特別なスーツを身につけ無敵となったクルーガーに行く手を阻まれてしまうのです。 同じくスーツを身につけたマックスとクルーガーとの間で激しい戦いが起こり、重傷を負いながらも勝利したマックスは、中心部へと急ぎます。マチルダもマックスも、いまに息絶えようとしていました。 中心部に達したスパイダーとマックス。プログラムをインストールしようとするも、それはマックスの命と引き換えとなる作業であることが明らかに。マックスはフレイと最後の言葉を交わし、自分の身を犠牲にして地球上の全人類にエリジウム市民権を与えるプログラムを作動させます。 マチルダは「MED-BAY」の治療によって回復し、エリジウムには医療を求める大量の人々が地球から訪れるようになったのでした。

気になる『エリジウム』のキャストは?

マックス・ダ・コスタ/マット・デイモン

最初は自分の怪我を癒す目的でエリジウムに向かうも、最終的にはその命を犠牲にして全世界の人類を救うヒーロー、マックスを演じるのはマット・デイモン。彼は演技力があるだけでなく、イケメン、さらにはハーバード大学出身でアカデミー賞を脚本家として受賞してもいる「超天才」。ハリウッドにこれほど「完璧な」俳優が他にいるでしょうか? ハーバード大学在学中から演技活動を始め、さらには幼馴染のベン・アフレックと共に脚本を書くことを思いたち、授業用に書いた若き数学の天才に関する脚本を映画用として完成させます。そして1998年、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』としてこれが映画化され、ベンと共にアカデミー脚本賞を受賞、アカデミー主演男優賞にもノミネートされました。 それ以後ハリウッドを代表する俳優の一人として、映画の規模の大小を問わず、多彩な演技活動を行っています。その他の代表作に戦争映画の傑作『プライベート・ライアン』や豪華スター俳優共演の『オーシャンズ』シリーズ、リアル志向のスパイ映画『ジェイソン・ボーン』シリーズ、そして再びアカデミー賞にノミネートされた『インビクタス/負けざる者たち』があります。 最近では火星で一人サバイバルする姿を見事に演じた『オデッセイ』も公開されましたね。

ジェシカ・デラコート/ジョディ・フォスター

権力に飢え、全世界を支配しようとまで企むエリジウムの防衛責任者のジェシカ・デラコートを演じるのは、悪役姿が新鮮なジョディ・フォスターです。彼女もまたイェール大学を首席で卒業した秀才。しかし幼い頃から幅広い演技活動を行ってきた子役出身であることはご存知ですか? 彼女が初めて注目されたのは傑作『タクシー・ドライバー』で、主人公のトラヴィスが全力で守ろうとする12歳の娼婦アイリス役。この演技で13歳にしてアカデミー助演女優賞にノミネートされた彼女は、驚くべき新星として世界に衝撃を与えました。 以後一時映画界からは距離を置くも80年代に復帰。1991年公開の映画賞独占映画『羊たちの沈黙』でアカデミー主演女優賞を受賞し、再び世界から認められる演技派女優として返り咲いたのです。その後も精力的に活動を続けている性格俳優です。

M・クルーガー/シャールト・コプリー

デラコートに命令されて執拗にマックスを追う戦士クルーガーを演じるのは南アフリカ出身の異色俳優シャールト・コプリー。他の出演者に比べると演技の経験は浅く、むしろ映画製作の方に長く携わっていた人物です。しかし本作以後は主にアクション映画を中心に俳優としてのキャリアも広げています。 彼は本作の監督であるニール・ブロムカンプと高校の頃の同級生。ともに制作会社を立ち上げ、ブロムカンプが監督した映画『第9地区』で主演を務めました。その際の台詞は全てアドリブというから驚きですね。 他には『マレフィセント』のステファン王役などで有名な彼のさらなる活躍に期待です。

スパイダー/ヴァグネル・モーラ

デラコートらが開発したプログラムの威力に気づくマックスの協力者スパイダーは、ブラジル出身の俳優ヴァグネル・モーラによって演じられています。 彼はブラジルで大人気となった映画『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』に出演しており、本作『エリジウム』が初のハリウッド進出作となりました。近年ネットフリックスで大人気のドラマ『ナルコス』でもお馴染みの俳優です。

フレイ/アリシー・ブラガ

難病の娘を一身に思うマックスの幼馴染いフレイを演じるのも、ブラジル出身のアリシー・ブラガ。彼女は母や叔母も女優といった演劇一家で育ちました。19歳の時に『シティ・オブ・ゴッド』のアンジェリカ役でデビューし、その後は『アイ・アム・レジェンド』にてウィル・スミスと共演しハリウッド進出を果たします。 ジャック・ケルアックの同名小説を映画化した2012年の『オン・ザ・ロード』にもテリー役で出演しています。

『エリジウム』の世界観を作り上げた監督は誰?

『エリジウム』の独特な世界観を可能にした映画監督は、南アフリカ出身の社会派ニール・ブロムカンプです。2016年現在まだ37歳と、映画監督にしては比較的若いブロムカンプは、本作が初のハリウッド進出作品となりました。 世界的に有名になったのは彼が監督・脚本を務めた2009年の『第9地区』の成功によります。今作は地球に難民としてやってきたエイリアンと、それを抑圧する人類の対立をドキュメンタリー風に描いた作品で、アパルトヘイト政策下における人種差別をもテーマとして扱っています。 この映画は低予算で無名の俳優のみを使ったものであるにもかかわらず全世界で高評価を獲得し、興行的にも大成功を収めました。またアカデミー賞作品賞にもノミネートされており、監督としてのブロムカンプの力量を証明するものとなりました。

「エリジウム」ってそもそもどういう意味?

この映画のタイトルであり、富裕層が生活する美しいスペースコロニーの名である「エリジウム」とは、そもそもどんな意味なのでしょうか? 英語の「Elysium」はギリシャ神話で死者が死後に向かう世界である「エリュシオン」を語源としており、極楽,浄土,理想郷、また至上の幸福といった意味を持ちます。映画で描かれる「エリジウム」のユートピア的雰囲気にぴったりですね。

この映画のためにマット・デイモンは激しい肉体改造に挑戦!

本作の監督であるブロムカンプは、俳優たちの身体的イメージに対して非常に詳細なイメージを持っていました。監督の要求を満たすため、マット・デイモンは映画撮影前、ジムで毎日4時間もの運動をして肉体改造に挑んだそうです。 普段は頭脳派でちょっとか弱いイメージのある役を演じる彼ですが、『エリジウム』では正真正銘のマッチョ!筋肉好きにはたまりません。

エミネムが主役を演じていたかも?

はじめ主役のマックス役に検討されていたのは、なんと人気ラッパーのエミネム。実際に彼が貧困地区出身であることから、映画のストーリーを考えればなかなか悪くないチョイスだと思われます。エミネムは以前に『8 mile』で申し分ない演技力を披露していました。 しかし多忙な彼は、監督のブロムカンプが映画製作の拠点をロサンゼルスから彼のいるデトロイトに移すことを拒否したために、このオファーを蹴ったそうです。

『エリジウム』の感想・評価まとめ【ネタバレ注意】

独特の世界観と設定が良い!

Pit7775Pit まず設定が好きです。汚染が進んで地球と富裕層は地球を捨て別の場所に移る。 クロスカットで地球とエリジウム。 入り込めました。 男女の子供の頃の夢の話は個人的にちょっと無理があるように感じたが女が結婚して子供がいる設定になった途端活きた気がします。 武器や環境が第9地区同様、独特の世界で楽しめました。
otibosi 世界観ヤバい。こういう世界ありそう。究極的に格差が広かった社会の残酷さを見た。
ytk0213 第9地区から、映像作品としての完成度が劇的に変わりましたが、ブロンカンプ監督らしさは健在。終始ノンストップな展開で、あっという間に終わってしまいました。この手のディストピアSF作品は最近多く見かけますが、格差社会の中に言語の違いが描かれているというのが新鮮でした。地球はスペイン語、エリジウムはフランス語。スペイン内戦時代の仏西や、米国を挟むカナダとメキシコの位置関係など、いろんな思惑が過り、その表現が良い悪いは別にしても、着眼点は面白いなと感じました。(2013/10/20)
uiureo 人口過多による荒廃した未来が描かれて、世界観が斬新で魅入ってしまいました。

映画館で見たい迫力

kanimity ストーリーよかった 映画館で見れば迫力あったと思う
Horizon10 14/08/24 映画館に観に行けば よかったと後悔しました。 ロボットや乗り物のデザインが好みでしたし、ストーリーもSFアクション映画らしく小難しいことなしに楽しめてよかったです。

キャスト陣がみんな存在感あって良し!

aratake シャールト・コプリーの存在感、人間じゃないアレ感なんなのあれ 人殺しの面相ですわ 超かっこよかった 第9地区同様、埃まみれのSF最高だった
Fukumi__Hagihara ところどころ惜しいぞ!!!!!!!!!!(笑)エリジウムへ行くことになる理由が地味すぎるし。彼女との絆も薄く見えるし。自己中主人公が急にラストにヒーローになるし。見所はジョディーの嫌な感じっぷりかな(笑)珍しいキャラ演じております。
Ryo_Onishi こういうSF映画はよくあるけど 自分的には楽しめた! 最後はちょっと切ないね そしてマット・デイモンかっこいいね!!

『第9地区』監督の才能が『エリジウム』でも全開!

35DH1 #076 あの問題作『第九地区』のニール・ブロムカンプ監督の新作と言われたら観たくなりますよね?前作同様に、かなり埃っぽい作品でありましたw オープニング・シーンでは、廃墟マニア、そしてガンダム好きの方も必見!?スペース・コロニー(選ばれし者=エリジウムが住む空間)のデザイン、ガンダムに出てくる物とは形状が異なりますが、あの内側に居住区がある感じは堪らないのでは?そして賛否両論ありそうなストーリー展開、僕はかなり好きなんですけどね。テイストしてはトム・クルーズ主演の『オブリヴィオン』とも被る感じかな?今から約150年後の未来、富裕層と貧困層との差別社会の中での貧困層の人達のお話。スペース・コロニーがあって、病気を何でも治せる機械、そしてドロイドなんかがいるのに、乗ってる車はガソリンっぽいしとツッコミ所は多々ありますが、そんな事は気にもならない位スピーディーな展開に休むヒマ無いです。テンポも良い感じなので飽きずに世界観に惹き込まれてしまいました。そして『オブリヴィオン』同様に、ちょっと切ない感じなのも個人的にツボ。観る一番のポイントは“カバの気持ち”、これ結構重要な事かもしれません。まぁ観れば何の事かは解るので、ちょっと覚えておくと楽しめるかも?(^^) http://www.elysium-movie.jp/
wiggling 109シネマズ広島にて。スラムを描かせたらブロムカンプ監督の右に出る者はいないんじゃないかな。人種と組織が入り乱れて猥雑な空気感ビンビンの。『第9地区』はフェイクドキュメンタリータッチがバジェット不足をうまく補ってたけど、今回はギミックも不要な王道SF的仕上り。そして成功しても魂は売らないゴア描写が嬉しい。肉片飛び散ってます。 ただこの薄っぺらいストーリーはいただけないなぁ。超富裕層対その他大勢っていう背景はいいけど、エリジウム転覆のくだりとか突っ込みどころ満載だよね。 次回作は『第9地区』を超える救がなく答えのない問題を突き付けてくれる事を希望。