2017年9月25日更新

『アウトレイジ ビヨンド』を分かりやすく解説!あらすじ徹底ネタバレ・キャスト

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『アウトレイジビヨンド』

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北野武作品で初の続編となった『アウトレイジ ビヨンド』

『アウトレイジビヨンド』
日本を代表するお笑い芸人として活躍していたビートたけしが、本名の北野武を名乗り、『その男、凶暴につき』をひっさげ衝撃的な監督デビューを飾ったのが1989年。これまで17作品が公開され、今や「世界のキタノ」として国内外で高い評価を受けています。 2012年に公開された『アウトレイジ ビヨンド』は、通算16作目の作品です。その2年前に公開されていた『アウトレイジ』の続編。作品の続編を製作したのは、北野映画として初めての試みになります。 「全員悪人」をキャッチコピーに、生き残りをかけたヤクザたちの熾烈な権力争いを描いた両作は、極悪非道なバイオレンスや拷問シーンが連続し、R15+の指定を受けました。ここでは前作を振り返りつつ、『アウトレイジ ビヨンド』の面白さと魅力に迫ります。

まずは1作目『アウトレイジ』をおさらい

関東を支配する巨大暴力団・山王会。関内会長は、傘下の池元組が麻薬シンジケートに絡む村瀬組と接近していることを警戒し、池元に村瀬を“締める”よう命令します。ところが、自らの手を汚すことを望まない池元は、配下の大友組組長に面倒な仕事を押し付けます。 それぞれの思惑に翻弄され、汚い血をみながらも、大友は村瀬組を解散させることに成功。シマを継承し、闇カジノ利権を手にします。麻薬絡みで村瀬を殺害した大友は、関内会長から破門された後、復帰の条件として裏切った池元を殺害。ところが、背後で闇カジノ利権を狙う関内の策略で、今度は自らの命が狙われることに。馴染みのマル暴・片岡刑事の助言により、逮捕という形で刑務所に入ることを選びます。

【ネタバレ注意】1作目のラスト・結末は?

刑務所で身の安全を確保した大友。ところが、以前から服役していた村瀬組若頭だった木村に、呆気なく刺されてしまいます。一方、一応の抗争終結をみていた山王会では、右腕だった側近の加藤が関内会長を殺害。 加藤が新しい会長の座についたところに、大友が殺害されたという知らせが入り、ここに巨大利権を牛耳る新たな支配組織が完成するのです。

続編『アウトレイジ ビヨンド』のあらすじ

加藤が二代目会長の座についてから5年がたち、今や政財界に影響力を持つほどの権力体制を築いた山王会。かつて大友組の金庫番だった石原は、加藤の右腕として若頭の地位まで上り詰め、古参幹部との間で軋轢を生んでいました。 山王会の巨大化を危惧し、ついに動き出した警察は、組織内部の不満を利用。冷遇されていた幹部の富田と関西最大の暴力団・花菱会を繋げ、山王会壊滅を企てます。ところが、花菱会と山王会は実は兄弟の契りを結んでおり、あえなく失敗。マル暴の片岡刑事は、次の手段として、嘘の噂を流して死んだことにしてあった大友に白羽の矢を立てるのです。 大友は、刑務所を出所した後、一時はヤクザから距離を置いていましたが、片岡の目論見に乗って復讐心を燃え上がらせ、再びヤクザ同士の壮絶な戦いに身を投じていきます。

【ネタバレ注意】『アウトレイジ ビヨンド』のラスト・結末は?

自らを刺した木村とも和解した大友は、花菱会の協力を得ることに成功し、山王会壊滅のため動きます。ついに、内部分裂ですでに会長の座を下りていた加藤を殺すことに成功。ところが、相棒だった木村が、片岡刑事の策略で殺害されてしまいます。それを知った大友は、葬儀の場で片岡に復讐の銃口を向けるのです。

監督・主演は不動の北野武!

北野武
1989年の監督デビュー以来、これまで17作品を世に送り出し、そのうち14作品には自身も俳優として出演している北野武。本作でも、大友という両作通じて柱となる人物を演じています。ちなみ大友が着用している衣装は全て、北野自身普段から好んで身につけている山本耀司です。 1947年1月18日生まれ、東京都出身。ツービートの一人として漫才ブームを牽引。お笑い芸人としてビック3の一人と呼ばれる地位まで上り詰めた、華やかなキャリアについてはあえて説明するまでもありません。1983年の映画『戦場のメリークリスマス』など、俳優としても評価されていました。 監督を手掛けるようになってからは、「キタノブルー」と呼ばれる独特の色調、ユーモアを潜ませたバイオレンスと孤独に溢れた作風が、世界中で高い評価を受けることになります。『HANA-BI』が1997年の第54回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞など、国内外多数の賞を受賞しているほか、個人としても、2016年に仏「レジオン・ドヌール勲章オフィシエ」を授与されました。

『アウトレイジ ビヨンド』その他主要キャスト

加藤(山王会会長)/三浦友和

『アウトレイジビヨンド』
1作目から登場し、関内会長の右腕である若頭から二代目会長に上り詰める加藤。最後には大友の手によってあえなく無残な死に至ります。演じたのは三浦友和です。 1952年1月28日、山梨県生まれ。山口百恵の相手役として一躍人気俳優となりましたが、結婚後もやはり百恵の夫というイメージが強かった三浦友和。ところが50代を過ぎた頃から、渋い演技が際立つ実力派俳優として、映画・ドラマで目覚ましい活躍をするようになりました。 2017年1月にスタートしたドラマ『就活家族〜きっと、うまくいく〜』では堂々と主人公の富川洋輔を演じています。

石原(山王会若頭)/加瀬亮

加瀬亮
大友組の単なる金庫番でしたが、大友を裏切り、やがて山王組の若頭となる石原を演じたのは加瀬亮です。 1974年11月9日、神奈川県横浜市出身。2000年に石井聰亙監督の映画『五条霊戦記』でデビューしたのち、独立系・メジャー系問わず、様々な作品に出演しキャリアを重ねてきました。 『アウトレイジ』シリーズでは、それまでのクールで穏やかな持ち味から一転し、すさまじい狂気ぶりを見せて話題に。この役で、第67回毎日映画コンクール男優助演賞を受賞しています。

片岡(マル暴刑事)/小日向文世

小日向文世
両作品でまるで道化師のように裏で立ち回る組織犯罪対策部(マル暴)の刑事・片岡。最後には自ら大友に手渡した拳銃で射殺されることになります。 抜群の存在感で片岡を演じた小日向文世は、1954年1月23日生まれの北海道出身。長らく端役ばかりの下積み時代が続きましたが、木村拓哉主演の国民的ドラマ『HERO』に出演したことをきっかけにブレイクしました。今や、映画やドラマになくてならない名バイプレーヤーです。

木村(木村一派)/中野英雄

元村瀬組若頭で大友に恨みを抱き、刑務所で刺殺を試みた木村。2作目で和解し、大友と共に山王会壊滅に動きますが、最後は無残な死を迎えます。 演じた中野英雄は1964年12月22日、京都府生まれです。1985年に劇男一世風靡のメンバーになり芸能界入り。1992年のトレンディドラマ『愛という名のもとに』で一躍人気俳優になりました。以後は、ドラマ・映画、Vシネマにも多数出演しています。息子の太賀も俳優として活躍中!

西野(花菱会若頭)/西田敏行

西田敏行
2作目から新たに登場したのが西田敏行扮する花菱会若頭の西野です。関東の山王会に対して関西を仕切る花菱会の参謀的存在。山王会の内情にも通じ、加藤会長を追い詰める裏の存在です。 西田敏行は1947年11月4日生まれ、福島県出身。1968年に青年座俳優養成所に入所し役者を目指します。しばらく下積みの時代を過ごしましたが、1978年のドラマ『西遊記』、1980年のドラマ『池中玄太80キロ』が大ヒットし、人気俳優の地位を不動のものにしました。 20作続いた『釣りバカ日誌』シリーズは言うまでもなく、NHK大河ドラマだけでも12作品に出演など日本を代表する俳優の一人です。

2作品を紐解くヤクザたちの人物関係を解説

『アウトレイジ』
関東全域を支配する巨大暴力団・山王会。その傘下にある池元組、さらにその下にある大友組という2段階の上下関係が物語の柱です。山王会が傘下でない村瀬組を痛めつけるため、実際に手を下すのが下部組織の大友組だったことから、復讐の連鎖が生まれるのです。 村瀬組を壊滅させた大友に対し、組の若頭だった木村が恨みを持ち、刺殺を試みます。しかし、その背後には裏で操る山王会の策略があることを知り、大友と木村がともに戦いを挑むという図式が続編の主軸になります。 この図式をさらに複雑にさせているのが関西を仕切る花菱会とマル暴とよばれる警察組織。とりわけ山王会担当だった片岡刑事は、両作を通じてしたたかに暗躍します。最後はそれに気づいた大友の手で、死の制裁が課せられるのです。

前作とは一味違う加瀬亮の演技にも注目!

加瀬亮1
山王会の若頭となった石原は、冷酷なインテリヤクザイメージから一変し、地位に溺れ激情的な一面を見せる場面も多くあります。自身が裏切った大友の生存を知ってからは、激しく取り乱したり周囲が殺される様に恐怖するなど、精神的に不安定な状態になりました。 最後は大友の元に連行され、失禁し震えながら命乞いをする姿を晒す羽目に。結局聞き入れられないまま椅子に縛り付けられ、ピッチングマシンの豪速球を顔面に受け続けて死亡します。 石原役の加瀬亮は、シリーズを通してインテリヤクザの狂気ぶりが話題になりました。それに加え今作では、感情を爆発させる小心者の本性と、凄惨な最期を見後に演じ切っています。

『アウトレイジ ビヨンド』の続編で完結編!「最終章」が2017年10月公開!

北野武
『アウトレイジ ビヨンド』のその後が描かれるシリーズ完結篇となる『アウトレイジ 最終章』が2017年10月7日に公開されます。 花菱会の西野役で西田敏行の他、名高達男、松重豊らが続投し、さらに新しいキャストも加わる「最終章」。さて、今度はどんな壮絶なヤクザ闘争が描かれ、大友のその後はどうなるのでしょうか。