2020年12月30日更新

泣けるゾンビ映画『新感染 ファイナルエクスプレス』を解説!怒涛の展開で伏線を回収【ネタバレ】

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新感染
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韓国発ゾンビ映画「新感染」のクオリティが凄い!ネタバレありで徹底解説

新感染 ファイナルエクスプレス
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韓国発のゾンビ映画として話題を集めた『新感染 ファイナルエクスプレス』。 本作の主演には韓国の大人気俳優コン・ユを採用し、莫大な製作費が投じられました。その結果、これまでのゾンビ映画の枠を超えるクオリティとなり、韓国のみならず世界中から絶賛される人気作となったのです。 そして来る2021年1月1日には、続編である『新感染半島 ファイナル・ステージ』が公開予定。人気作の4年後を描くということで、多くの注目が寄せられています。 この記事ではそんな「新感染」1作目について、ネタバレありのあらすじからハイブリッドな魅力を徹底解説!続編前におさらいしましょう。

【ネタバレ注意】「新感染」伏線回収が見事!あらすじをまとめて解説

自分のことしか考えていない父親

主人公のソグは、ソウル証券会社で勤務するファンドマネージャー。敏腕ゆえに多忙な日々を送っており、娘のスアンの面倒はあまりできていません。スアンが舞台に立った学芸会にも現れず、父が来ることを楽しみにしていたスアンはひどく傷ついていました。 学芸会の時の映像を母から見せられたソグ。父が来てくれなかったことを理由に、スアンが途中で歌うのをやめてしまった姿を見ても、「1度はじめたことは途中で止めては駄目だ」などとスアンに説教をするのでした。

電車に紛れ込む不審な影

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「母親に会いたい」と願うスアンを連れて、釜山行きの高速列車KTXに乗り込むソグ。もうすぐ列車が出発するという頃、駅の階段付近で何か騒動が起こったのか、1人の女性が車内へと駆け込んできます。 その後、窓からホームを眺めていたスアンは、駅員が何者かに襲われる瞬間を目にしてしまうのです。 スアン以外の乗客は何も気づいていない様子でしたが、不審者が車内に入り込んでしまったとアナウンスが流れます。先ほどの発車直前に駆け込んできた女性が倒れ込んでおり、女性乗組員が介抱するも息絶えてしまいました。 しかし次の瞬間、死んでいたはずの女性はゾンビとなって乗組員に噛みつき、食い殺してしまいます。そしてそこから連鎖し、車内中に感染が広がっていくのでした。

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途中停車した先で待っていたのは……

その後、列車はテジョン駅で途中停車することに。ソグは自分の顧客である軍内部の個人投資家に連絡し、有望な銘柄を教えるから自分とスアンだけを助けてくれと交渉します。 テジョン駅に到着し、生き残った人々が中央出口へと向かっていく中、軍内部の個人投資家との約束を取り付けることに成功したため、スアンを連れて別の出口へと向かうソグ。 しかしそこで待っていたのは、感染者から逃げる兵士と数多くの感染者たちだったのです。ソグたちの目の前で兵士は感染者に襲われてしまい、大勢の感染者が駅へとなだれ込んできます。 中央出口へと向かっていた生存者たちも次々に襲われ、皆逃げるように列車へ戻っていきます。ソグとスアンもなんとか列車内へと戻ることに成功しましたが、列車へと戻る途中で2人はバラバラにはぐれてしまうのでした。

愛する者を助けるために立ち向かう男たち

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列車内には戻れたものの、はぐれてしまったソグとスアン。その時、スアンを連れて逃げていたソンギョンという人物から、13号車のトイレに隠れていると連絡が。しかしソグやソンギョンの夫であるサンファがいるのは9号車でした。 13号車に行ってスアンたちを助けるためには、感染者で満ちている10号車から12号車までを通り抜けていかなければなりません。ソグとサンファは愛する者を救うべく、13号車にたどり着くまでの感染者の群れをなんとか切り抜けていきます。 13号車になんとかたどり着いたのち、もっとも安全な15号車へと移動するソグたち。しかし14号車から出るドアが乗客たちによって固く閉ざされていてなかなか入れません。迫りくる感染者にサンファが襲われてしまいます。

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釜山まであと少し!はたして無事に逃げ果せるのか?

その後釜山までノンストップで進んでいくはずが、東大邱駅で線路にコンテナが横転しており、やむなく他の動く列車へと乗り換えることに。 ソグたちも車両基地を移動しますが、その途中で燃え盛る動力車が走り抜け、近くにある列車を横転させた故にその下敷きとなってしまいます。 列車の隙間でなんとか身を守っているソグたちにまたもや襲いかかってくる感染者たち。はたしてここから無事釜山へとたどり着くことができるのでしょうか。

最終目的が釜山である理由は?原題はシンプルに『釜山行き』だった

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この作品で主人公たちが乗るKTXの京釜線は、大田(テジョン)や東大邱(トンテグ)といった主要駅を通過し、終点の釜山へとたどり着きます。 港町でもある釜山は朝鮮半島の最南端に位置するため、北からゾンビに追い詰められた末の最終地となるにふさわしい都市でもあるのです。 本作は韓国初のゾンビ映画として製作されており、原題は『TRAIN TO BUSAN』。これは「釜山行き」という意のシンプルなものですが、シンプルだからこそ重みのあるタイトルになっています。 一方で邦題は「新幹線」と「感染」をもじったものとなっていますが、いささかダサく感じるのは否めないところでしょう。

「新感染」はただのゾンビ映画じゃない!ハイブリッドな3つの魅力を解説

高クオリティなゾンビのビジュアル

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「新感染」におけるゾンビの描かれ方は、ほかのゾンビ映画に比べればあまりグロ要素はありません。 しかし特殊メイクを駆使された感染者たちの表情は痛みや苦しみが滲むようなつらさがあり、グロテクスで派手な演出ではなくともじりじりと恐怖を感じさせます。 ビジュアルのみならず動きも巧みで、予測不可能な奇抜な動作にヒヤヒヤ。アクションシーンの数々はパワフルながらも無骨でリアリティがあり、ゾンビ映画として新たなジャンルを築き上げているといえるでしょう。

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時速300km超えの列車を表現!こだわりの最新技術

「新感染」は時速300km超えの列車・KTXが舞台。窓の外を素早く過ぎていく景色を再現するために、韓国史上初の最新技術であるLEDリアプロジェクションを導入したとのことです。 セットで作られたKTXの外に、数多くのLEDディスプレイを設置。そのディスプレイに背面から映像を投影することによって、時速300kmで見える景色を再現しています。 映像を観てみると、実際に時速300kmで走っているようにしか見えません。猛スピードで駆け抜けていく列車と素早く流れていく景色は、主人公たちの焦りもかき立てていくのではないでしょうか。

父性に目覚めていくソグのヒューマンドラマ

新感染 ファイナルエクスプレス
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「新感染」の主人公であるソグは、冒頭で身勝手な父親として描かれています。 別居中の妻とは娘・スアンの親権をめぐり争っているものの、スアンを大切にしている様子は描かれません。スアンが父のために歌おうと決めていた学芸会を見にくることもなく、敏腕のファンドマネージャーとして家族のことを顧みることもない様子。 しかしそんな仕事一筋であったソグに父性が目覚めていくのが本作の見どころのひとつ。 「絶対にスアンを母親に会わせてあげたい」、「自分の娘だけは絶対に守ってみせる」という強い思いが徐々に見え隠れし、冒頭で描かれていた子供に無頓着であった姿が嘘かのように、自らの体を張って娘を守っていきます。

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韓国ゾンビジャンルを開拓!アニメから転身したヨン・サンホ監督の思い

ヨン・サンホ
© WELL GO USA ENTERTAINMENT/zetaimage

韓国でゾンビはNGワードだった!?

今ではゾンビ映画の新たな名作として人気を集めている「新感染」ですが、公開当初は「ゾンビ」というワードは使用NGとしていたんだとか。 というのも、韓国ではこれまでゾンビ映画がまったくヒットしてこなかったため、「ゾンビ」というワードを使うと観る人が減ってしまうと懸念された、という背景があるようです。 ヨン・サンホ監督が来日した際のトークイベントでは、「キャストも僕もみんなゾンビが出ているというのはわかっているのに“あれ”とか“それ”とか言ってごまかしていました(笑)。でも今では、韓国ではゾンビブームが起こっています」と語っています。

ゾンビ映画の創始者・ロメオ監督への感謝

ヨン・サンホ監督が来日した際のトークイベントでは、ゾンビ映画の創始者であるジョージ・A・ロメロへの感謝の気持ちも吐露しています。 ロメロ監督は、ゾンビ映画界のゴッド・ファーザーとも言えるような大きな存在。ロメロ監督が『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(1968年)を発表して以来、多くのゾンビ映画はこの作品を起源として細部のルールを変えながらも変化していったのです。 ヨン監督は、「ジャンルを作った創始者で、すべてのゾンビ映画の作り手たちは彼に借りがある。自分がもし、彼より先にゾンビ映画を撮っていたら著作権を登録して自分だけが撮られるようにしていたでしょうが、彼は権利を開放してくれた。また、ゾンビの起源を未知のものにしてくれたため、のちに作る人たちが想像力を発揮できる余地が残った。映画史的に大きな遺産だと思います」と述べています。

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「新感染」で恐ろしい事態に巻き込まれるメインキャストたち

ソグ/コン・ユ

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妻と別居し、娘のスアンとの生活もギグシャクしがちな主人公ソグ。しかし韓国中にゾンビウィルスが蔓延したことにより、スアンを守るべく父性を発揮します。 ソグを演じるコン・ユは、テレビドラマ『コーヒープリンス1号店』(2007年)や映画『トガニ 幼き瞳の告発』(2011年)などで知られる人気韓流スター。彼は「自国でゾンビ作品が作られる」という事実に感動しながら本作に参加したそうです。

サンファ/マ・ドンソク

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ソグ親子が乗ったKTXの乗客・サンファ。彼は強面で屈強な体の持ち主で、迫り来る何十人ものゾンビを1人でねじ伏せられるパワーファイターとして生き残りを図ります。 サンファ役のマ・ドンソクは、映画『グッド・バッド・ウィアード』(2008年)をはじめとしてさまざまな作品で活躍してきたベテランのバイプレイヤーです。

ソンギョン/チョン・ユミ

同じくソグ親子が乗ったKTXに乗り合わせていた妊婦のソンギョン。彼女は身重の体でありながら目的地の釜山までゾンビたちと闘います。 ソンギョン役のチョン・ユミは、2005年に『親知らず』で第25回映画評論家協会賞の新人俳優賞を受賞。近年では2019年公開の『82年生まれ、キム・ジヨン』で主演を務めています。

前日談を描くアニメ映画『ソウル・ステーション パンデミック』も製作

この『新感染 ファイナルエクスプレス』には、前日譚となる『ソウル・ステーション パンデミック』というタイトルのアニメが存在します。 ある夜のソウルで恋人のヘスンとケンカ別れした男キウンが、ソウル駅で発生したゾンビの襲撃に遭ったことで、ヘスンの父と名乗る男と一緒にへスンを探すという物語。 監督は「新感染」同様にヨン・サンホが務め、声の出演に『サニー 永遠の仲間たち』(2011年)のシム・ウンギョン、『王になった男』(2019年)のリュ・スンリョンらが参加しています。

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リメイクや続編も!『新感染 ファイナル・エクスプレス』の今後に期待

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これまでのゾンビ映画を継承しながらも、主人公のヒューマンドラマとしても完成されているため、「泣けるゾンビ映画」として新たな境地を開いた『新感染 ファイナル・エクスプレス』。] 「死霊館」シリーズのほか、『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)などで知られているジェームズ・ワン監督によってハリウッド版リメイクも決定しています。 また本編から4年後の世界を描いた『新感染半島 ファイナル・ステージ』も、2020年1月1日に日本で公開予定!こちらも楽しみに待ちましょう。