ディズニーヴィランズや悪役の視点で物語を考察してみた【ヴィランズだって人間だ!】

2017年7月6日更新

数多くの有名な作品を生み出したディズニーアニメ。視聴者の多くはヒーローやヒロインの視点で作品を見てしまいがちですが、ヴィランズと呼ばれる悪役たちにも物語があったりします。今回はなぜ劇中で悪役となってしまったのか考察していきます。

ヴィランズはなぜヴィランズなのか?誰もが知っている作品を別の視点で探ってみます

ディズニー、ヴィランズ、悪役

魅力的なキャラクターと感動的なストーリーで視聴者を引き付けるディズニー作品。かっこいい王子様やきれいなプリンセスたち、個性的なサブキャラクターに目がいきがちですが、ヴィランズと呼ばれる悪役たちだって物語を彩る大切なキャラクターです。そんな誰もが知っているディズニー作品をヴィランズの視点から物語を見ていきます。いままでとは違う見方を発見できるかも。

強大な力を持つ絶対的ヴィランの頂点! マレフィセント

眠れる森の美女:マレフィセント

マレフィセントは『眠れる森の美女』に登場するヴィランで、頭に黒い2本の角を生やし、金色の瞳と炎のような黒いローブを身にまとっています。

性格は、凶暴で残忍。「悪の頂点に君臨する者」を自称し、その威厳ある風貌と強大な能力から、数多くあるディズニーのヴィランズ達のリーダーに位置付けられています。

アニメ版『眠れる森の美女』では、オーロラの誕生祝いに呼ばれなかった腹いせで呪いをかけていますが、2014年7月に公開された実写版『マレフィセント』では、オーロラの父親に裏切られたことに対する復讐にかられるも、オーロラの優しさにより改心し本来の優しさを取り戻しています。

マレフィセントの強大な力を恐れた国民たちからの疎外感がこの物語の根底にあります。オーロラのような優しさを一人でも持っていたら、この作品は生まれなかったのかもしれません。

王座を狙う海の魔女 アースラ

リトルマーメイド:アースラ

アースラは、『リトルマーメイド』に登場するヴィランです。紫色の肌で銀髪、ふくよかな体型で下半身はタコの人魚です。

作中では、何らかの理由により海の宮殿を追放されたことでトリトン王を恨み、王の象徴であるトライデントを狙っています。

海の魔女と恐れられるほどの魔法使いで、人助けと称して訪ねてきた者達に魔法を施します。その代わり、代金として何か(個人差あり)を徴収し、1つ約束事を守らせます。

それを守らないと魔法が解け、醜い姿に変えられてしまいます。約束事を確実に遂行させるため契約書にサインさせ、異議を唱えられないようにしている狡猾さも持っています。

魔法で希望を叶えますが、約束事を遂行させないために部下を使って邪魔させるなど意地悪な一面も。

劇団四季 舞台『リトルマーメイド』

作中でなぜアースラが追放されたのか描かれていません。しかし海の宮殿にいたということは、宮廷のお抱え魔法使いとして召し抱えられていたが、何らかの事件を起こしたか、強大な魔力を恐れたのか真相は不明です。

劇団四季の舞台版『リトルマーメイド』ではトリトンの兄弟。その醜い容姿から、両親の愛情を得ることができずに心に傷を負い、両親や兄弟たちを殺害してしまっているようです。

アースラがヴィランとなってしまった最大の原因は、愛情に飢えていたことによる嫉妬によるところが大きいです。

王に固執した卑劣なライオン スカー

ライオンキング:スカー

スカーは『ライオン・キング』に登場するヴィラン。動物の国プライドランドの王ムファサの弟で、黒くて長い鬣に痩せた体。左目に傷があるのが特徴です。

王位継承権は2番目でしたが、ムファサにシンバが生まれたことにより3番目に転落しています。

目的の為なら手段を選ばない性格で、ライオンの敵のハイエナ達とも同盟を結び暗躍しています。

兄のムファサに対する恨みと王になりたい野心から、甥のシンバをヌーの大群に巻き込み、助けようとしたムファサを崖から落として殺しています。

ムファサ死亡の責任をシンバに取らせる形で追放し、念願の王座に君臨しやりたい放題な生活を送っていました。

そして成長して帰還したシンバと互角な戦いを繰り広げますが、今までのことをハイエナ達へ責任転嫁したことでハイエナ達の裏切りにあって死亡します。

『ライオン・キング A Tales of Two Brothers』

なぜ、スカーの性格が歪んでしまったのでしょうか?それは、スカーの過去が影響しているようです。

『ライオン・キング』の絵本『A Tales of Two Brothers』に過去が描かれています。

アハディとウルの次男として誕生しますが、驚くことにスカーではなく本名は"タカ"というそうです。

ムファサとの仲は良好でしたが、父親のアハディが聡明なムファサを後継者にすることになったことで関係が悪化してしまいます。

タカはアハディが一番嫌いな「遊びで動物を殺すこと」を画策します。水牛の群れに仕向けるも失敗し、左目に傷を負っています。

そしてアハディに向こう見ずな性格を叱られたタカは父親に対する怒りを覚えます。この出来事を忘れない意味を含め、自分をスカー(傷という意味)と呼ぶようにしたようです。

スカーは聡明な兄に対する劣等感と父親への愛情に飢えていたことから、性格がひねくれてしまったようです。初めからスカーを後継者に指名していたら、そうならなかったかもしれません。

愛に飢えた恐怖の支配者 ロッツォ

『トイ・ストーリー3』ロッツォ

ロッツォは『トイ・ストーリー3』に登場するヴィラン。ピンク色の熊のぬいぐるみで、なぜか苺のにおいがします。

事故でケガをしたため、おもちゃのハンマーを杖代わりにし、可愛らしい見た目からは想像もつかないほどの悪役です。

持ち主に捨てられたと勘違いしたバズたちが寄付された、サニーサイド保育園の支配者です。

当初は優しい素振りでバズたちを歓迎しますが、おもちゃを乱暴に扱うクラスに編入させます。あまりの酷さのため逃げ出さないように監視をつけ、ロッツォに気に入られなければ脱出は困難な世界をつくりました。 『トイ・ストーリー3』

ロッツォはなぜ、恐怖社会を作ってしまったのでしょうか?それは、ロッツォの過去にあります。

ロッツォは以前の持ち主である女の子に、手違いで置き去りにされてしまいます。何とか自力で家にたどり着くと、自分と全く同じ熊のぬいぐるみを抱く少女の姿が見えました。

自分は捨てられた存在であると思い込んでしまったロッツォは、心に深い傷を負い、性格がねじ曲がってしまったようです。

生き物は、自分という唯一無二の存在を大事にしています。たとえ量産型のおもちゃであっても、自分と見た目がそっくりなものでも別なのです。

女の子がちゃんとロッツォを探してくれて今まで通りかわいがってくれたらと思うと、可哀そうなキャラクターです。

見た目は良くても性格が残念なイケメン ガストン

『美女と野獣』 ガストン

愛は外見ではなく中身で判断することを教えてくれた普及の名作『美女と野獣』。ガストンは外見は立派であるけれど、中身が残念なキャラクターです。

ル・フウを始め取り巻きの女性たちも多く、劇中でガストンを称える歌があるほどの人気者で狩りが得意。酒場に仕留めた動物のはく製が飾ってあるほどの腕前。ベルのことが好きで結婚しようと迫りますが、ベルの趣味である読書に理解を示さなかったり、父親を監禁するなど残念な性格の持ち主です。

ガストンは見た目は立派なため、女性も外見ばかりで判断してしまいがち。ベルは外見も中身も美しい女性なため、自分に釣り合うと思ってしまい最終的に野獣に返り討ちにあってしまいます。

ガストンは町の人気者であったために取り巻きの女性もいました。ベルでなく取り巻きの女性たちの中から結婚相手を選んでいれば、ヴィランにならずにすんでいたのかもしれません。

白雪姫の美しさに嫉妬した女王

『白雪姫』女王

『白雪姫』に登場する女王は、白雪姫の継母です。絶対に嘘をつかない魔法の鏡を持っており、どんな質問にも答えてくれその内容は真実なのです。

女王は大変美しく、それを鼻にかけており高慢な性格の持ち主で、自分より美しくなった継子の白雪姫を殺すために色々と試みます。自分の美しさに絶対の自信を持っていた女王は、「この世で一番美しい」という事に何よりも拘ります。

しかし、白雪姫を殺すことに失敗した女王の最期は、諸説ありますが白雪姫と王子の祝宴パーティーの最中に赤く燃えた鉄の靴を履かされ、死ぬまで踊らされた…という残酷なものになっています。(ディズニー版では雷に打たれて死にます)

ただただ自分の美しさを求めた女王。しかし、いくら何度も殺されかけたとはいえ、祝宴の一興として皆の前で焼き殺される、というのはあまりにも悲惨ですね。また、女王の最期には様々な説があり、火で熱せたれた鉄の靴で踊らされたのは継母の女王ではなく実母である、という説もあります。

どちらにせよ、美しさに拘った女王ですが、一般的に考えれば若い女性の方が美しいとされるのは自然の摂理なのでは…?

キレやすさNo.1 ハートの女王

『不思議の国のアリス』ハートの女王

『ふしぎの国のアリス』に登場するトランプのハートの女王は、癇癪もちですぐ怒り、いじわるでズルばかりする、という悪役そのもののキャラクターです。

「首をはねろ!」が口癖で、不思議の国の住民はいつもこの女王に怯えて暮らしています。女王がこんな性格になってしまったのは何故なのでしょうか?作者のルイス・キャロルは「怒りの化身」としてハートの女王を生み出しました。

ハートの女王にはハートの王という旦那がいます。このハートの王は、気が弱く、背も小さいために女王には決して逆らいません。しかし、ハートの女王が死刑を言い渡した人々をこっそり逃がすなど、しっかりとした一面もあります。もしかすると、ハートの女王はこの事を知っていてもあえて何も言わないのではないのでしょうか?

実際に「首を刎ねろ!」とよく死刑宣告をしていますが、それが遂行された事は物語中では一度もありません。

ハートの女王も国を、本来であれは王が国を治める立場であるはずかもしれないのでしょうが、自身が変わって国を治めている、という重責がハートの女王の性格を捻じ曲げてしまったのかもしれませんね。

毛皮に対する異常なまでの執着心 クルエラ・ド・ヴィル

   

『101匹わんちゃん』クルエラ

 

『101匹わんちゃん』の悪女クルエラ・ド・ヴィル。ダルメシアン柄に心酔し、自らの欲望のままにダルメシアンを集めてその毛皮を剥ぎ、その毛皮でコートを作るという暴挙に出ます。

クルエラをここまでの悪女にしてしまった背景には何があるのでしょうか?

彼女自身が大変な毛皮マニアであるというのもありますが、世界的に有名なファッションデザイナーとして活躍していた彼女は、常に時のファッションリーダーになろうとしていました。ダルメシアンの皮を剥いで毛皮を作る、というととても残酷に聞こえますが、現実世界で流通している毛皮もリアルファーで作られています。

『101匹わんちゃん』のお話がたまたま犬の毛皮、という例のないものであっただけで、これがウサギやキツネであったらストーリーとしてはなんの面白みもなく、当たり前の事として済まされてしまいます。つまり、クルエラのしたことは物語の性質上は「悪」ではありますが、ファッションデザイナーとしては当たり前のことであったのではないでしょうか?

ただ、それとプラスされてクルエラの性格の悪さや、ずる賢さがあいまってこれだけの悪役になってしまったのだと思われます。

歪んだ母性愛 マザー・ゴーテル

ゴーテル ラプンツェル

『塔の上のラプンツェル』の悪役として描かれている継母のマザー・ゴーテル。しかし彼女は本当に真の悪だったのでしょうか?確かに、生まれたばかりのラプンツェルを誘拐し、幽閉に近い形で塔の中に閉じ込めています。

ゴーテルの目的は、特別な力宿したラプンツェルの髪であり、そのために彼女を誘拐してきました。ラプンツェルの髪には「どんな病気も治す金色の花」も力が宿っており、その力を利用すれば若さと美しさを保つことができるのです。

そのためにゴーテルはラプンツェルを育て、利用していましたが、ただ利用するだけの存在にあれほどのきちんとした待遇をさせるでしょうか?

ラプンツェルは塔に閉じ込められて暮らしていたにも関わらず、明るく元気で好奇心旺盛な女性に育っています。また、絵画やローソク作りなどの趣味も好きにさせてもらい、ラプンツェルの好物であるスープを作ってもらうなどきちんとした生活を与えられています。髪の力を利用する為だけであれば、もっと酷い扱いを受けていてもおかしくはありません。

ゴーテルは確かにラプンツェルを誘拐しその力を利用したという悪者ですが、育ての母としてラプンツェルに愛情を注いでいたのではないかと思います。

冷酷王子 ハンス・ウェスターガード

ハンス『アナと雪の女王』

『アナと雪の女王』に登場するハンス王子は、最初から悪物というわけではなく、物語の終盤になってその本性を現すという今までにないタイプの悪役です。

サザンアイルズ王国の王子で、13人兄弟の末っ子。家族の誰からも相手にされず、孤独な人生を送っていました。

アレンデール王国に来たのは、エルサの戴冠式のためでしたが、実はアナ・エルサ姉妹のどちらかと結婚し、アレンデール王国の王として君臨するという野望を持ってやってきました。その策略にまんまと嵌ってしまったアナとエルサを亡き者にしようとしますがそれも失敗に終わりました。

ハンスがここまで残酷な性格になってしまったのは、やはり自国での自らの扱いが原因なのではないでしょうか。幼い頃から家族から愛情を受けず、大人になっても王位継承権はほとんど望めないハンスは、王族でありながら自分の存在価値について悩んでいたのかもしれません。

王族として生まれたからにはやはり国を治めたいと思うのが当たり前であり、その欲望が暴走してしまった結果なのではと思います。