2018年9月14日更新

【ネタバレ考察】映画『プーと大人になった僕』が照らす大切なものとは?

お馴染みの大人気ディズニーキャラクター・くまのプーさんがついに待望の実写映画化。主演をユアン・マクレガーが務め、大人になったクリストファー・ロビンが家族と仕事の間で揺れ動きながらも父として成長していく姿が描かれています。今回はそんな本作の鑑賞後のネタバレを含む考察を語っていきます。

映画『プーと大人になった僕』【忘れられない日々と自分自身との再会】

大人になったクリストファー・ロビンと、プーと100エーカーの森の仲間たちとの交流を描いた映画『プーと大人になった僕』。公開前から大きな注目を集め、話題となった本作がついに9月14日に公開となりました。 仕事に追われ、家族との関係に悩むクリストファー・ロビンの前に突如として現れたプー。彼はなぜクリストファー・ロビンの前に再び現れたのか、鑑賞後の感想やネタバレを含んで考察していきます。

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クリストファー・ロビンとプーの関係性

プーはクリストファー・ロビン自身

少年時代のクリストファー・ロビンは100エーカーの森の仲間たちに別れを告げ、大人になる準備を始めます。寄宿学校に通い、さらには軍人として戦場への派遣も経験し、その途中で妻となる女性・イブリンと出会い、娘をひとり儲けます。 戦場から無事帰還した後、旅行鞄の製造メーカーに勤務するも、上司から重圧を掛けられ、部下にはリストラ宣告をしなければならないという、苦渋の日々の連続。仕事に追われ、家族との関係も悪化し窮地に陥っていたそのとき、プーは突然クリストファー・ロビンの前に現れるのです。 100エーカーの森の仲間たちがいなくなってしまい、ひとりぼっちになってしまったプーと、仕事に追い詰められた末に家族との約束を破り、孤立してしまったクリストファー・ロビン。ふたりの境遇はたびたびリンクしており、ゆえにプーは本来のクリストファー・ロビン自身なのではないか?という説が浮かび上がります。

解かれていく心

プーたちと過ごしていたころから大人になり、以前とは変わってしまったとクリストファー・ロビンは言いますが、プーはそれは否定し、あの頃から何も変わっていないと言い放ちます。また、ロンドンの街中で見知らぬ人に声を掛けるプーに対しクリストファー・ロビンは、人と違うことは嫌がられるからしてはいけないと叱りますが、「僕は僕でいてはいけないの?」とプーは眉を顰めます。 年を重ね社会に揉まれるうちに自然と没個性志向になり、本来の自分を押し殺してきてしまったクリストファー・ロビン。そんな頑なになってしまった彼の心を解きほぐすかのように、プーの言葉が染み渡ります。しかし先ほども述べたようにプーはクリストファー・ロビンの鏡であり、これらは彼がいつのまにか心の奥底にしまい込んでしまった、彼の基礎となる性質であると考えられます。 ゆえにプーとの再会と交流はクリストファー・ロビンにとって、過去の自身とのふれあいであり、それを通じて彼の思考はしだいに柔らかくなっていくのです。

彼らがたどりついた大切なもの【ネタバレあり】

クリストファー・ロビンは会議の重要な資料を失ってしまったものの、わずかに残された紙切れからあるアイディアを思い付きます。それは従来の高級志向から視点を変え、庶民的な価格の鞄の製造を増やし利益を拡大するというもの。さらに旅行鞄を使うには旅行のための休暇が必要ということで、久しぶりの休暇を取って家族やプーたちと共に「何もしない」時間を過ごします。 壊れかけていた妻との関係、すれ違い続けていた娘との絆を取り戻し、夫として父として人間として成長したクリストファー・ロビン。そして物語の最後にはあの思い出の木のそばで、プーとかつてのように寄り添い合い、親友との再会に身を委ねるのでした。 物語中盤でプーは「『何もしない』をする」ことの尊さを投げかけます。これは私たち現代人が忙しい日々の中で忘れてしまった感覚であり、大切なものを思い起こさせます。予定がなければ不安になる人も多い現代だからこそ、ただ呼吸をし生きているという事実を噛みしめ、誇り高く日々を過ごすことの素晴らしさを、彼は昔と何一つ変わらない表情で語るのです。

大切なものを照らす光の物語

大人になるにつれて多くを知る反面、見えなくなるものも増えていきます。時には気持ちをすり減らし、そして大切なものを失ってしまうのです。映画『プーと大人になった僕』は、そんな乾いた心に一筋の光を与えてくれます。そしてかけがえのない日々を思い起こし、本当の自分自身との再会の場となってくれることでしょう。 待望の本作は9月14日より公開。ぜひ劇場で、プーとクリストファー・ロビンの温かい友情と愛の物語を堪能してみてはいかがでしょうか。