『アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド』、オーソン・ウェルズ幻の遺作がNETFLIXの手で復活!?

2017年5月12日更新 111view

史上最高の映画と評されることの多い『市民ケーン』の監督、オーソン・ウェルズ。そんな彼の幻の遺作とされる『アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド(原題)』が、NETFLIXで放映されるというニュースが飛び込み話題を呼んでいます!

幻の監督作『アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド(原題)』がNetflixで復活

そんなオーソン・ウェルズが1972年から亡くなる85年の間に製作したとされる映画が、『アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド (原題)』です。これはフランスとイランの合作映画として企画され、名だたる映画監督がキャストとして出演するというものでした。しかし度重なる資金難などのトラブルから未完に終わり、ウェルズの死後も長らく封印状態が続いていたのでした。

ところが2017年3月、本作の全世界配給権をNetflixが獲得したという突然の発表があり、世間を驚かせます。ただ作品自体はプリプロダクション状態(後述)で、公開日はまだ未定のようです。

不運にして最高の映画監督、オーソン・ウェルズとは

Tomochika_Nakano 過去と現在を交互に語られる、今では同じ手法がたくさん使われている。市民ケーン然り、同じ手法の映画然り、今でも新鮮に感じたこの手法。当時はよっぽど画期的だったんだろう。

俳優としても活動した映画監督オーソン・ウェルズは、早くから演劇への卓越した才能をあらわし始め、22歳にしてミュージカルの初演出を行います。そして満を持して1941年の映画監督デビュー作『市民ケーン』を発表するも、当時実在した大物新聞メディアの圧力を受け、アカデミー賞はわずか脚本賞のみの受賞という不運に見舞われることとなります。

晩年は映画も満足に撮れない人生を送りましたが、今日では『市民ケーン』は過去と現在を交互に描く構成やカメラズームなど、現代の映画作りの基礎を築いた「史上最高の映画」として再評価されており、ウェルズもまた名監督と称えられています。

俳優としては1949年の傑作サスペンス『第三の男』での演技などが有名です。

『アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド(原題)』ストーリー

アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド

かつてはハリウッドで巨匠と言われるも、今ではヨーロッパで活躍の場を求めていた監督J.J. "ジェイク"・ハンナフォードは、「風の向こう側(The Other Side of the Wind)」という企画を立ち上げます。

これは、彼が変わりゆくハリウッドの製作体制の中で再起をかけた企画でした。さまざまなしがらみやトラブルを超え、はたして彼は映画を完成させて見事カムバックを成し遂げられるのでしょうか?

『アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド(原題)』キャスト

J.J. "ジェイク"・ハンナフォード/ジョン・ヒューストン

ジョン・ヒューストン

かつてハリウッドで巨匠と言われるも、徐々に変わる製作体質に適応できずヨーロッパに移った監督のJ.J. "ジェイク"・ハンナフォード。彼はハリウッドでの再起をかけ、ある一本の企画を立ち上げます。

J.J. を演じるジョン・ヒューストンは、脚本家を得て1941年の『マルタの鷹』で監督デビューし、以後監督と俳優業をまたにかけて活躍した人物。同じように監督・俳優を兼業していたオーソン・ウェルズと親交がありましたが、ウェルズが亡くなった2年後の1987年8月に後を追うように亡くなっています。

ブルックス/ピーター・ボグダノヴィッチ

ピーター・ボグダノヴィッチ

監督として『ラスト・ショー』、『ペーパー・ムーン』、『ニッケルオデオン』などを発表しているピーター・ボグダノヴィッチも俳優として出演します。オーソン・ウェルズとは長らく友人関係にあり、彼の死後も『アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド』完成に尽力することとなります。

なお、『ペーパー・ムーン』というタイトルを考案したのはボグダノヴィッチ自身ですが、その際にウェルズから「良いタイトルだから必ずヒットする」と絶賛されたというエピソードが残っています。

ルーカス・レナード/デニス・ホッパー

デニス・ホッパー

『イージー・ライダー』の監督・主演で知られるデニス・ホッパーも、役どころは明らかにされていませんがキャストに名を連ねています。彼は『イージー・ライダー』の成功を受け、1971年に監督2本目となる『ラストムービー』を撮りますが失敗に終わります。

その際同じように監督として不遇だったオーソン・ウェルズと相通じるものがあり、本作への出演が実現したとみられています。

原案はオーソン・ウェルズとアーネスト・ヘミングウェイの会話がベース

『ジ・アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド』は、ウェルズと友人で作家のアーネスト・ヘミングウェイが1937年にドキュメンタリー作品を作った際、何気なく交わした会話がベースになっていると云われています。

思うように映画が撮れない監督が再起をかけるというストーリーは、同じように映画が撮れなかったウェルズ自身を彷彿とさせますが、彼自身は本作に自分が投影されていることを否定していたとか。

未完のウェルズ遺作の完成に向け、そうそうたるメンバーが集結

未完に終わった『ジ・アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド』は、2011年頃から完成に向け水面下で動いていました。プロダクションを進めるにあたって、同作に出演したピーター・ボグダノヴィッチ監督や、撮影当時ラインプロデューサーを務めていたフランク・マーシャル(『インディ・ジョーンズ』シリーズなどで有名)、そしてウェルズの娘のベアトリス・ウェルズといったメンバーが再び集まりました。

遺されたフィルム及び指示書を活かしポストプロダクション作業に入る

オーソン・ウェルズが生前に撮影し編集し終えていた本作用のフィルムは45分と云われています。そのほか18時間分の撮影済みフィルムや彼が遺した指示書を元に、ピーター・ボグダノヴィッチらが音楽を加えつつ、現在ポストプロダクション作業を監修しています。

ノンクレジットのカメオ出演者も豪華!

ナタリー・ウッド

この『ジ・アザー・サイド・オブ・ザ・ウィンド』には、実はほかにも豪華な顔ぶれが出演しています。一部を挙げると、『あの頃ペニー・レインで』の監督キャメロン・クロウやフランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダール 、さらには『ウエスト・サイド物語』のヒロインのナタリー・ウッドといった伝説級の面々もノンクレジットで出演していると云われています。