2017年7月6日更新

映画『食べられる男』がおもしろ悲しくて凄い【本多力主演】

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食べられる男
©2016 taberareruotoko

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『食べられる男』とは?24歳の気鋭、近藤啓介監督が描く長編映画

2017年4月29日、大阪の気鋭の若手監督・近藤啓介(驚異の24歳!!)による映画『食べられる男』が東京は新宿Kscinemaにて限定公開されます。 主演に劇団ヨーロッパ企画所属の今グイグイきてる超個性派俳優、本多力を起用し、一筋縄ではいかないトラジックコメディーとして長編映画化された注目作です。 今回はそんな『食べられる男』気になる魅力を一挙ご紹介いたします。

あらすじ紹介。『食べられる男』は悲しみに溢れるコメディ映画

町工場勤務の冴えないバツイチ男・村田のもとに、ある日「被食者認定証」と書かれた一通の手紙が送られてきます。その内容は、「人類が友好条約を結んでいるP星人に、一週間後に捕食されることが決定した」というものでした。村田はP星人に取っての旨み成分「サモグロビン」を大量に含有した存在だったのです。「サモグロビン」は悲しみや絶望といった負の感情によって生成される__。 被食されることでP星人との平和的な均衡を保ってきた人類。その代表に選ばれてしまった村田でしたが、地味で惰性の生活を送ってきた彼は特に動じることもありません。心の中にあるのは「自分をどう美味しく食べてもらうか」ただそれだけ。 しかし日付が刻一刻と過ぎていく中で、人生で二人目の友達・木下や周囲とのつながりの中で、村田は人間的な感情を取り戻していき、彼のサモグロビンの含有量にも変化が現れ始めます。 そして被食の日を迎えるその時、村田を待ち受ける運命とは。そして彼の感情にめばえたあるものとは。

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本多力が主人公”村田=食べられる男を演じる

食べられる男
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本作の主人公・村田はうだつの上がらない工場労働者。学校卒業後から同じ工場に勤め上げてきた超真面目な中年男性です。感情の起伏が乏しく、毎日のルーティーンをただ繰り返している、そんな人物です。 かつて結婚し娘もいましたが、現在は離婚してボロアポートで一人暮らしをしています。「被食者認定」を受けたのちは周囲の自分への扱いの変化に戸惑いながら、新たな出会いや体験を経験することで彼の感情に変化が現れ始めます。 そんな主人公・村田役を務めるのはヨーロッパ企画の本多力。捕食までの一週間を通じての彼の演技の変化が今作の最大の注目ポイントといっていいかもしれません。

本多力は今、にわかに話題の個性派俳優??

食べられる男
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大学生の頃から演劇一筋で芝居の腕を磨いてきた本多力は、「イケメンじゃないけど現在もっとも個性の光る不思議な佇まいの超気になる俳優」というポジションで今一番注目を集めている俳優です。映画やドラマの露出で言えば、自身の所属劇団であるヨーロッパ企画の代表舞台作品の映画化である『サマータイムマシン・ブルース』への出演や、2016年放送のゴールデンタイムドラマ『家売るオンナ』への出演などが挙げられます。 そして何と言っても、2016年のドラマ『闇金ウシジマくん Season3』での物語の鍵を握る存在、「小瀬ちん」を演じた際の、「何だこの俳優は!?」と視聴者の度肝を抜く演技で、存在感、知名度とも急上昇中です。

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『食べられる男』監督の近藤啓介とは一体何者なのか

近藤啓介
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本作は1993年生まれ、24歳の新進気鋭の映画監督・近藤啓介によって作られました。(写真左) 彼は大阪芸大在学中に二宮健と共同で監督した映画『小村は何故、真顔で涙を流したのか?』(2014年)が、『ディストラクション・ベイビーズ』の真利子哲也ら次世代の才能を見出し続けている第17回京都国際学生映画祭長編部門にてグランプリを受賞し一躍話題となります。またその翌年には、大学の卒業制作として『APOLO』を監督。 今作『食べられる男』は3本目の長編映画にあたります。いずれの作品も、「日常の中で迫られる選択」をキーワードに、ユーモアとペーソスが混在した作風が特徴。

『食べられる男』製作秘話

第12回CO2に企画応募からスタートしたインディペンデントな作品

食べられる男
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『食べられる男』は、『ウルトラミラクルラブストーリー』の横浜聡子監督や、『バンクーバーの朝日』の石井裕也監督をいち早く見出した21世紀の映像制作者の人材発掘・支援団体シネアスト・オーガニゼーション大阪(CO2)に企画応募され、CO2助成企画として制作が進められた作品です。 近藤啓介監督もまた、この作品から大きな一歩を踏み出すのでしょうか。

全編大阪ロケ

食べられる男
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本作は、近藤監督と脚本の小村昌士の出身大学である大阪芸術大学の周辺を主なロケ地として撮影されました。後輩の在学生たちも多数出演しているとのこと。

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流しの強烈キャラ「イッセイ」を地で行く男、ひと:みちゃん

食べられる男
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本作で街角やショーパブなど、いろんな場所に出没する流しのミュージシャン・イッセイ。彼の歌う劇中歌は本作の重要なメッセージのひとつです。 イッセイを演じるひと:みちゃんは実際にミュージシャンや大衆演芸の役者として活動する人物。オーディション段階では、「ゆず」のような爽やかなストリートミュージシャンを登場させる予定だったそうですが、ひと:みちゃんという強烈な個性が制作陣に刺さり、演出を変更したのだとか。

Ciatr編集部が先行上映会に潜入!本作のみどころは?

2017年2月末にユーロスペースにて開催された先行上映会で一足先に『食べられる男』を鑑賞。鑑賞前に本作の注目ポイントを紹介します!

とにかく毎回の村田よしお(本多力)の食事シーンはじっくり見ておくべき

食べられる男
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何気なくかきこむ弁当、被食者認定されてからの非日常感が徐々にあらわになっていく食事、残飯、、、。本作には主人公村田が何かを食べるシーンが何度も登場します。「食べる」本多力の演技の変化が物語を牽引していきます。そして最後の食事は?

SFと日常のコントラストに酔う

食べられる男
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『食べられる男』の世界にはP星人、被食者、サモグロビンなどSF的なモチーフが存在しますが、ごくごく自然でリアルな日常として描かる風景や人間関係が描かれ、コメディ要素も強いためただのゆるい映画と思ってしまう人もいるかもしれません。 しかしだんだんと物語は悲しみを帯びていき、ある強烈なシーンになだれ込みます。そのコントラストをぜひ体験してほしいです。

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映画『食べられる男』公開情報

食べられる男
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本作は4月29日(土)~5月5日(金)の一週間、新宿Kʼs cinemaにて限定上映されます。 ちなみに本多力の先輩にして盟友でもあるムロツヨシも本作、そして本多力を賞賛しています。

食べられる男が、悲しく切なく、マズそうでした。 それを演じる本多力が愛おしかった。 そして確信した。 本多力は、食べるものではなく、観るものだ。と。

ぜひゴールデンウィークの予定に加えてみてはいかがでしょうか。