脚本家・岡田麿里は『あの花』『ここさけ』など名作アニメの生みの親!
アニメファンであれば一度は"岡田磨里"の名前を目にしたことがあるのではないでしょうか。多くのヒット作にシリーズ構成としてクレジットされている彼女は、間違いなく今のアニメ業界の売れっ子作家のひとりです。 2017年に入ってからは『学校に行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』という初の自伝を出版、さらに監督と脚本を兼任するするアニメ映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』が2018年に公開されることが発表されました。話題性と実力を兼ね備えた脚本家岡田磨里の魅力に迫ります。
脚本家デビューにして出世作『true tears』
岡田麿里は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(通称あの花)や『心が叫びたがってるんだ。』(通称ここさけ)が代表作として知られています。そんな彼女の脚本家としてのキャリアはVシネマのシナリオをからスタートします。その後、1998年の『DTエイトロン』でアニメ脚本家デビュー。 岡田麿里がアニメファンの間で一躍有名になったのは2008年に放送された『true tears』からです。ほぼ知られていない同名の恋愛ADVゲームが原作で、アニメーションを制作したP.A.WORKSとしても初めての元請け作品であり、前評判は決して高いとは言えない状況でした。ところが、放送が始まるとじわじわとファンを獲得、今でも語られることの多い人気作となっています。
ヒット作連発で一躍人気作家に!
その後はラブコメアニメの金字塔『とらドラ!』(2008年)や『あの花』(2011年)とヒット作を次々と生み出し、売れっ子作家の仲間入りを果たしました。他にも志村貴子の漫画『放浪息子』(2011年)や桜庭一樹の小説『GOSICK-ゴシック-』(2011年)といった人気原作つきのアニメでも成功を収めています。 そして2015年にはなんと、ガンダムシリーズの最新作である『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のシリーズ構成も担当し、今や盤石の地位を築いています。
視聴者を虜にする岡田麿里の才能とは?
感動を呼ぶ青春物語と生々しいキャラクター
彼女が脚本を手掛けたアニメを見て多くの人が口にするのは「感動」、次に「リアリティ」や「生々しさ」といったキーワードです。代表作の『あの花』『ここさけ』を見ればわかるように、彼女は青春真っ只中の若者たちの鬱屈、それから感情の爆発に至るまでを丁寧に描くことが得意な脚本家です。 これらの作品を思い返してみると、走る、叫ぶ、殴り合うといったエネルギッシュなシーンが思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。共感したキャラクターの大きな感情のうねりが視聴者を「感動」に導きます。 また、女性キャラクターの緻密な心情描写にも定評があります。現実の女性のネガティブな部分をキャラクターに託すことも多く、それが視聴者もの感じる「リアルさ」や「生々しさ」につながっているようです。美少女然とした見た目も持つキャラクターと、その内面とのギャップに視聴者はぐっと引きつけられるのです。 さわやかな感動物語と、思春期時代の自意識や痛みという二つの要素が岡田麿里作品の何とも言えない中毒性を生み出しています。
1クールに何本も担当した筆の速さ
また、速筆であることも知られています。2011年には『あの花』、『花咲くいろは』などの5作品、合計6クール分という恐ろしい量のシリーズ構成を担当していて、さらに3作品がいわゆるオリジナルアニメであるというのは驚きです。実際に多くの作品にクレジットされ、彼女の名前を視聴者が目にする機会が多いというのも、有名な理由の一つかもしれません。
放送後も話題に!数々の造語を生み出した岡田麿里
作中には意味はよく分からないけど耳に残る、キラーフレーズが登場することもしばしばあります。 『ローゼンメイデン』の水銀燈の「乳酸菌摂ってるぅ?」、『花咲くいろは』の鶴来民子は「ほんとうにびっくりするほど論外」略して「ホビロン」、『selector spread WIXOSS』の蒼井晶のきめ台詞「アキラッキー」など、妙に気になるフレーズの数々。こうした視聴者が共有しやすい仕掛けも人気作には欠かせません。
長井龍之・田中将賀との名タッグ
青春群像劇を得意とする長井龍之監督、そして2016年に大ヒットした『君の名は。』のキャラクターデザインで知られてる田中将賀とは親交が深く、この二人とは『とらドラ!』、『あの花』、『ここさけ』で度々チームを組んでいます。 意外にも『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』も長井&岡田タッグの作品でした。作れば当たるアニメ界のヒットメーカー三人の動向から目が離せません。
話題の自伝『学校に行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』
岡田麿里脚本の作品が好きだという方は、自伝に手を伸ばしてみるのも面白いかもしれません。タイトル通りに不登校であった学生時代や、上京してからの生活と脚本家になるまでの生活が赤裸々に語られています。『あの花』や『ここさけ』がどのようにして作られたかを知る資料として面白い内容です。 また、いろいろな作品の背景にある彼女の実体験を知ることもでき、物語をより深く楽しみたい人には必読の本となっています。
岡田麿里がついに監督デビュー! 新作映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』
そんな岡田麿里が監督・脚本を務める最新作『さよならの朝に約束の花をかざろう』が2018年2月24日公開という情報も解禁されました。まだ明らかになっていない部分も多いですが、美しい世界観そして、主人公の女の子の感動的なドラマには期待できそうです。