なぜあのアニメは流行ったのか?社会現象になったアニメの原因と影響を考察!【エヴァ、ハルヒ】

2017年8月17日更新

アニメの中でも爆発的ヒットを記録し、アニメファンのみならず社会にも影響を与えた作品は社会現象アニメと呼ばれます。今回はそんな社会現象アニメとして代表的な4作品のヒットの理由、その後の作品に与えた影響などをざっくりと考察します。

社会現象アニメとは

日本のテレビアニメの歴史は、誰もが知っている国民的アニメ、1963年の『鉄腕アトム』から幕を開けました。そこから数えて未だ60年にも満たない短い歴史の中にも、時代のニーズに応え、社会に大きな影響を与えたアニメがいくつか存在します。 今回はそうした社会現象アニメとして知られる4作品のヒットに至る理由とその影響についてまとめました。

社会現象アニメと言ったらこれ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年)

SFロボットアニメというニッチな内容ながら異例の大ヒット

社会現象アニメとして最初に世間を騒がせ、アニメブームのきっかけとなったのが『新世紀エヴァンゲリオン』です。物語はセカンドインパクトと呼ばれる大災害が起きた世界を舞台に、突如として現れる正体不明の”使徒”と汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンに乗り込んで戦う少年少女たちが描かれています。 エヴァファンからはまず怒られますが、分類するならロボットアニメに類されるニッチな内容ながら、第3部まで公開されている新劇場版は異例のヒットを叩き出した。さらにパチンコ業界への進出やスマホゲームとのコラボなどで未だにその人気が衰えることを知りません。 「エヴァ」シリーズの監督を務めた庵野秀明は、2016年には映画『シン・ゴジラ』が大ヒットとなりさらに注目を集めており、他にも現代のアニメ業界の第一線で活躍している錚々たるスタッフが参加しています。また、制作を務めたアニメ制作会社ガイナックスからは、後にゴンゾ、トリガーなどの会社が独立を果たし、アニメ業界への影響力は計り知れません。

90年代の不況や社会不安などが反映された作風

「エヴァ」のヒットの理由は散々語りつくされていますが、やはり当時の時代性にばっちりハマったことが一番でしょう。90年代はバブル崩壊後、阪神淡路大震災やオウム事件もあり社会不安が広がっていました。そんな中で「エヴァ」の物語が迎えたラストはショッキングで、到底ハッピーエンドとは思えないものでした。視聴者にすごいアニメを見てしまったと思わせるには十分だったでしょう。 また、家庭に問題を抱えた子供が成人後もそのトラウマから逃れられないアダルトチルドレンという言葉が流行った時代でした。日本丸ごと不安定だった当時、「エヴァ」に登場する碇シンジや惣流アスカが抱えていた問題に共感を覚える人が多かったのです。 そんなこともあって当時の評論家はこぞってエヴァを論評し、メディアもそれを取り上げました。これからもメディアでこれだけ語られるアニメというのは現れないのではないでしょうか。

アニメで爆発的な人気に『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006年)

ラノベアニメ化の流れを生み出した大ヒットアニメ

アニメが2006年に放送され、その後原作ライトノベルも含め爆発的なヒットとなったのが『涼宮ハルヒの憂鬱』。平凡な男子高校生キョンを主人公に、世界のあらゆることに影響を及ぼす涼宮ハルヒと彼女が作った部活SOS団が巻き起こす日常非日常を描いた作品です。 「ハルヒ」の大ヒットは、出版した角川書店を筆頭としたライトノベルレーベルの隆盛、ラノベアニメの増加といった影響を与えました。また、やる気のない主人公や活動内容不明の部活などの設定をラノベのトレンドとして定着させたのもこの作品だと言われています。

当時としては圧倒的な完成度でアニメファン増加

「ハルヒ」がヒットしたのはシンプルにアニメとしての完成度が群を抜いていたからでしょう。タイムリープや異星人などのSFのおいしいところだけを詰め込んだストーリーが面白く、キャラクターは魅力的で、京都アニメーションが手掛ける作画はクオリティも高い、と非の打ち所がありません。 また、2016年はドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の恋ダンスが大流行しましたが、アニメ業界ではそのはるか前にハルヒのEDのダンス「ハレ晴レユカイ」が流行していました。こちらはニコニコ動画がサービスを開始したばかりだったこともあり、「ハレ晴レユカイ」を踊ってみた動画が大量にアップされブームを巻き起こしています。

一大バンドブームを生み出した『けいおん!』(2009年)

主題歌・劇中歌が軒並み大ヒットした女子校生バンドアニメ

『けいおん!』は2009年のアニメで、制作は「ハルヒ」と同じ京都アニメーション。私立桜が丘女子高に通う平沢唯は廃部寸前の軽音楽部に入部し、唯が軽音部で出会った仲間と過ごすゆるい部活風景を描いた作品です。 アニメ放送時に発売された主題歌・劇中歌は大ヒットし、唯たちのバンド名「放課後ティータイム」としてリリースされたアルバムがオリコン週刊チャート1位を獲得するという初の快挙を成し遂げました。 さらに作中で唯たちが使っている楽器をモデルとしたギターやベースなど大量のグッズが商品化され、2012年にはその市場規模は380億円と発表されています。また、2010年代のガールズバンドブームは『けいおん!』の影響も大きかったようです。

『けいおん!』以降は、日常系アニメがトレンドに!

『けいおん!』大ヒットの理由の一つはやはり楽曲の良さです。アニメソングが何曲もオリコンにランクインするのは、当時としたはかなり新鮮に感じました。2008年の『マクロスF』と並んで、今の若い世代のアニソンブームの先駆けとなりました。 その後、アニメ業界では『けいおん!』の原作漫画も連載されていた4コマ漫画誌・まんがタイムきららの作品が数多くアニメ化され、「日常系」と呼ばれるアニメがブームを迎えます。日常系の男性キャラを出来るだけ排除し、物語ではなくキャラクターの日常を描くという作風は、今でもトレンドのひとつです。

「わーい」「すっごーい」などの名言で日本人の脳を溶かした『けものフレンズ』(2017年)

動物の擬人化”フレンズ”たちが住むジャパリパークを描いた3DCGアニメ

『けものフレンズ』は2017年に放送されたアニメで、擬人化された動物”フレンズ”たちが住むジャパリパークを舞台にしたミディアミックス作品の中のひとつです。アニメではジャパリパークに迷い込んだかばんちゃんとサーバルキャットのフレンズサーバルちゃん中心としたストーリーが、全編3DCGで展開していきます。 途中に挟まれるアイキャッチでは、実際その動物がいる動物園の飼育員の人たちが解説を行っており、放送後はコラボした動物園が大盛況となったことでも大いに話題となりました。

SNS時代のコンテンツの盛り上がり

『けものフレンズ』のヒットの理由は、低予算ながらしっかりと作品を作りこんだこと、そしてSNSなどで広がりやすいフックがあったことではないでしょうか。前評判や1話時点の視聴者の反応は決して良くはなかったですが、ストーリーの全体が明らかになってくるとその完成度の高さが口コミで広まっていきました。 また、作中の「わーい」「すっごーい」「○○のフレンズなんだね」のような使いやすいフレーズが拡散されたこともヒットの大きな要因となっています。「ハルヒ」のEDダンスの例にもあるように、こうしたシェアしやすい作品のフックを作ることもSNS時代にヒットさせる上では重要です。 また本作では世紀末を思わせるような描写などが本編に隠されており、SNSやブログなどを中心に「エヴァ」のように考察が盛んに行われました。twitterでは「#けものフレンズ考察班」というハッシュダグが作られるほど! 『けものフレンズ』がこれから与える影響はいまだ未知数ですが、ビジネスモデルの変革が叫ばれるアニメ業界で、本作のような低予算アニメや廉価版DVDが新たな風を吹き込んでくれることを期待したいところです。