2017年11月4日更新

庵野秀明、『シンゴジラ』で軌道に乗りエヴァ新作が動き出した!凄腕監督の歴史を紐解く

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庵野秀明

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日本のコンテンツを支える監督・庵野秀明に迫る!

アニメ『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』など、1980年代から才能の頭角を現した監督・庵野秀明。その後『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズが彼の代表作となり、日本を代表するアニメーター、映画監督となりました。 2016年には監督を務めた『シン・ゴジラ』が日本アカデミー賞最優秀作品賞や最優秀監督賞を受賞しさらに脚光を浴びました。現在は映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を鋭意製作中とのこと。 この記事ではそんな庵野秀明を、過去の経歴から紐解いていきます。

庵野秀明は幼いころからアニメや特撮が大好きだった

宇宙戦艦ヤマト
庵野秀明は、山口県宇部市出身、1960年5月20日生まれの映画監督・アニメーターです。また、映像作品の企画や制作などを目的とする、株式会社カラー代表取締役を務める実業家の一面も持ちます。 幼い頃からアニメ・特撮・漫画などが大好きで、大型の建造物にも夢中だった庵野は、自分でよく絵を描いていたそうです。中でも、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の影響は大きいと明かしており、「ヤマトが無ければ、今の自分は無い」とまで語りました。 高校2年生になると、念願の8mmフィルム機材を購入し、文化祭で披露するの実写特撮やセルアニメを制作。フィルム作りの快感と魅力にとりつかれ、自主制作グループに所属するなど、”創る側”の道を歩むことになります。

大学時代に自主制作でウルトラマンの映画を製作していた庵野秀明

ウルトラマン怪獣図鑑
高校卒業後、一浪を経て大阪芸術大学映像計画学科(現:映像学科)に進学。同級生の山賀博之・赤井孝美らと知り合い、共に課題用の作品を制作したそうです。 この頃、“特撮作品「ウルトラマン」の大ファン。”と公言するだけあり、それを扱った2本の8ミリ映画を自主制作しました。2回生以降は、自主制作アニメに熱中し始め、山賀らと結成した自主制作映画グループ「DAICON FILM」の活動をも始めています。 1983年の第22回日本SF大会では、プロモーション活動の一環として制作した『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』を上映。総監督と主演(ウルトラマン役)を務めたほか、異例だったオープニングアニメーションも制作、プロをも魅了して高い評価を得ました。

庵野秀明と宮崎駿の不思議な関係

風の谷のナウシカ
スタジオジブリ作品で有名な映画監督、宮崎駿とはプロ初仕事の『風の谷のナウシカ』以来の付き合いで、監督の仕事のやり方などを学んだそう。しかし、折に触れ痛烈な作品批判をし合うため、ファンの間で”不仲説”が囁かれたこともありました。 例えば、かつて庵野秀明は『トトロ』以降の宮崎作品を徹底批判しており、その後に自作と公開時期が被ったのが『もののけ姫』でした。当時インタビューを受けた宮崎からは、「(庵野の作品について)3分と観るに堪えない」という、痛烈な批判を返されています。

ジブリ作品で声優を務めた経験も

風立ちぬ [DVD]
庵野秀明が声優を務めた、宮崎の監督作『風立ちぬ』の完成報告会見では、年上で名監督の宮崎に対し”上から目線”で評するなど。2人の関係は非常に不思議なものですが、主人公・堀越二郎役の起用は宮崎直々の依頼だそうで、庵野の演技を絶賛していました。 また、ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫は、実の父親にも似た”宮崎の庵野愛”を披露。宮崎は庵野のことがとても好きで、何年経っても「どうしてる?」と尋ね、近況を気にしているそうです。 庵野秀明もまた、『もののけ姫』公開時は仮想敵と見ていた。と明かす一方で、昔から変わらず宮崎を”師匠”と仰いでいます。作品を批判し合っていても、その根底には尊敬と信頼があり、互いに認め合う対等な師弟関係が存在しているのでしょうね。

庵野秀明は『風の谷のナウシカ』の巨神兵を生み出した

巨神兵
大阪芸大時代、学費未納による放校処分を受けて就職活動を始め、『風の谷のナウシカ』の原画担当に採用されて山口県から上京しました。宮崎駿に指名され担当した、クライマックスの巨神兵登場シーンは、アニメーター時代の功績としてよく話題に上がります。 そのほか、劇場アニメ『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』やOVA『メカゾーン23』などに参加し、メカや爆発シーンのエフェクトアニメーションを担当。『機動戦士ガンダム』の富野由悠季を始め、業界を代表する作家の作品に参加できたのは幸運だった、と振りました。 その後、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の企画に際して、「DAICON FILM」を母体の一つとするアニメ制作会社・ガイナックス設立に参加することに。庵野は監督として、OVA『トップをねらえ!』、アニメ『ふしぎの海のナディア』などの作品を生み出していきます。

『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズが自身の代表作に

社会現象にもなった『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ

新世紀エヴァンゲリオン劇場版シト新生
庵野秀明監督の代表作は、1995年10月よりTVアニメが放送開始、様々なメディアミックスが展開されている『新世紀エヴァンゲリオン(エヴァ)』シリーズです。 物語の舞台は、西暦2000年9月13日に発生した「セカンドインパクト」により、人口の半分が失われた世界の15年後。主人公・碇シンジを始め、人型兵器「エヴァンゲリオン(EVA)」のパイロットたちと、第3新東京市に襲来する謎の敵”使徒”との戦いが描かれます。 当時類を見ない作画クオリティや演出、謎めいた設定やキャラクターが高い評価を得たほか、賛否両論となった結末で話題に。多数の謎解き本が出版されたり、主題歌『残酷な天使のテーゼ』がカラオケの定番曲になるなど、社会現象を巻き起こしました。

ヒットシリーズの裏にあった庵野秀明監督の苦労

500ピース ジグソーパズル エヴァンゲリヲン新劇場版 屋上にて・・・ (38x53cm)
このシリーズは、まさに”庵野秀明自身の魂”と言うべきもので、作品の完成毎に完全燃焼を繰り返したきたそうです。魂を削る苦痛は凄まじく、TVアニメ制作時の精神状態は非常に不安定で、制作会社・ガイナックスの屋上から何度も飛び降りようと思った。と語っています。 さらに2006年には、過去のTVアニメ版を新たな設定と物語で再構成した、『エヴァンゲリオン新劇場版』シリーズ全4作の制作を発表。第3作目の『Q』公開直後には、再び魂を削って作品を作った報いか、”うつ状態”になったことを明かしました。 しかし『シンゴジラ』の制作を経てアカデミー賞を受賞するなど、2016年は庵野が各方面から称えられた年になりました。そのせいあってか、2017年4月にエヴァ新作が動き出しているという公式の発表がありました。ファンにとって嬉しい報告ですね。

2002年に結婚・Wアンノへ

監督不行届
2002年3月26日、共通の知人・貞本義行の紹介が縁で知り合った、『働きマン』・『シュガシュガルーン』などで有名な漫画家・安野モヨコと結婚。奇しくも双方の姓が「あんの」だったため、”Wアンノ”と話題になり、4月28日には「ダブルアンノの結婚を祝う会」と称した結婚披露パーティが行われました。 安野のエッセイ漫画『監督不行届』では、Wアンノの結婚生活が描かれており、互いの呼び名は「カントク」と「ロンパース・モヨ」です。結婚を機に妻の指導で生活改善を行い、体脂肪40%越えから体重73kg、体脂肪率22%まで減量したことも明かされました。 以前は身の回りに無頓着で、1ヶ月もの間風呂に入らないこともあった庵野が、1日おきに入浴するようになったこと。一方の安野も、夫に振り回される内に潜在的なオタク部分が目覚め、立派な”オタ嫁”になったことなどがコミカルに描かれています。

庵野秀明の学生生活が『アオイホノオ』で描かれる

アオイホノオ
漫画雑誌「ゲッサン」で連載中、『アオイホノオ』は庵野秀明の大阪芸術大学時代の同級生、島本和彦の自叙伝的な作品です。芸大生時代、プロデビューを目指す島本が目にした若手漫画家、庵野を始めとする学生たちの様子を垣間見ることができます。 実名で登場する庵野は、他の学生を突然締め上げ”ショッカー”の基地の場所を吐かせようとするなど、奇行に走る独特な雰囲気のキャラ。圧倒的な作画力を持つ職人気質で、『ウルトラマン』を扱った特撮フィルム、緻密に描かれたペーパーアニメで主人公の自信を打ち砕きました。 当時、両者の間に交流はなかったそうですが、島本は庵野を激しくライバル視していたのだとか。先述した「DAICON FILM」の活動は、主人公が一切登場しないにも関わらず、主要パートの一つになっています。

サトエリによる実写『キューティーハニー』の監督を務めたのは庵野だった!

キューティーハニー
エヴァのTVアニメ制作終了後、村上龍の小説を原作とした映画『ラブ&ポップ』(1988年)をきっかけに、実写映画の監督としても活動。アニメーションの手法を取り入れた『CUTIE HONEY キューティーハニー』、初めて35ミリフィルムに挑戦した『式日』など、意欲的に作品を発表しました。

庵野秀明が総監督を務めた『シン・ゴジラ』が大ヒット!

そんな中、実写映画における代表作との呼び声が高いのが、2016年7月29日より公開されている大ヒット作『シン・ゴジラ』です。2004年のゴジラシリーズ終了後、ハリウッド版のゴジラ映画『GODZILA』(2014年)の世界的大ヒットを受け、12年ぶりの新作が発表されました。 シリーズ初のフルCG制作で、過去最大となる、全長118.5メートルというゴジラの登場もあって、大きな話題になった本作。コンセプトは、「現在日本にゴジラが現れた時どう立ち向かうか」で、東日本大震災・核問題などを投映した重厚な物語が展開されます。 庵野のこれまでの経験、特撮に対する愛情と深い造詣が如何なく発揮され、エヴァを想起させる描写もあるそうです。長谷川博己・竹野内豊・石原さとみら実力派キャストを迎え、歓喜客動員数、興行収入の双方で爆発的なヒットを記録しています。 庵野は当初、エヴァの新作を望む声を憂慮してオファーを固辞しましたが、周囲の説得もあって引き受けることを決意。新たな作品を自分の中に取り入み、先に続かない現状を打破しようと考えたそうです。結果的には、エヴァの新作への意欲も芽生えたそうなので、今後の活躍にも期待ですね。