庵野秀明、『シンゴジラ』で軌道に乗りエヴァ新作が動き出した!凄腕監督の歴史を紐解く

2017年5月19日更新 4233view

大ヒットアニメシリーズ、『新世紀エヴァンゲリオン』などで知られる監督、庵野秀明。アニメ・特撮への愛や自主制作に没頭した学生時代、師匠と仰ぐ宮崎駿との不思議な関係など。有名監督の凄すぎる経歴についてご紹介します。

幼いころからアニメや特撮が大好きだった庵野秀明

宇宙戦艦ヤマト

庵野秀明は、山口県宇部市出身、1960年5月20日生まれの映画監督・アニメーターです。また、映像作品の企画や制作などを目的とする、株式会社カラー代表取締役を務める実業家の一面も持ちます。

幼い頃からアニメ・特撮・漫画などが大好きで、大型の建造物にも夢中だった庵野は、自分でよく絵を描いていたそうです。中でも、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の影響は大きいと明かしており、「ヤマトが無ければ、今の自分は無い」とまで語りました。

高校2年生になると、念願の8mmフィルム機材を購入し、文化祭で披露するの実写特撮やセルアニメを制作。フィルム作りの快感と魅力にとりつかれ、自主制作グループに所属するなど、”創る側”の道を歩むことになります。

大学時代に自主制作でウルトラマンの映画を製作

ウルトラマン怪獣図鑑

高校卒業後、一浪を経て大阪芸術大学映像計画学科(現:映像学科)に進学。同級生の山賀博之・赤井孝美らと知り合い、共に課題用の作品を制作したそうです。

この頃、“特撮作品「ウルトラマン」の大ファン。”と公言するだけあり、それを扱った2本の8ミリ映画を自主制作しました。2回生以降は、自主制作アニメに熱中し始め、山賀らと結成した自主制作映画グループ「DAICON FILM」の活動をも始めています。

1983年の第22回日本SF大会では、プロモーション活動の一環として制作した『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』を上映。総監督と主演(ウルトラマン役)を務めたほか、異例だったオープニングアニメーションも制作、プロをも魅了して高い評価を得ました。

庵野秀明と宮崎駿の不思議な関係

風の谷のナウシカ

スタジオジブリ作品で有名な映画監督、宮崎駿とはプロ初仕事の『風の谷のナウシカ』以来の付き合いで、監督の仕事のやり方などを学んだそう。しかし、折に触れ痛烈な作品批判をし合うため、ファンの間で”不仲説”が囁かれたこともありました。

例えば、かつて庵野は『トトロ』以降の宮崎作品を徹底批判しており、その後に自作と公開時期が被ったのが『もののけ姫』でした。当時インタビューを受けた宮崎からは、「(庵野の作品について)3分と観るに堪えない」という、痛烈な批判を返されています。

ジブリ作品で声優を務めた経験も

風立ちぬ [DVD]

庵野が声優を務めた、宮崎の監督作『風立ちぬ』の完成報告会見では、年上で名監督の宮崎に対し”上から目線”で評するなど。2人の関係は非常に不思議なものですが、主人公・堀越二郎役の起用は宮崎直々の依頼だそうで、庵野の演技を絶賛していました。

また、ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫は、実の父親にも似た”宮崎の庵野愛”を披露。宮崎は庵野のことがとても好きで、何年経っても「どうしてる?」と尋ね、近況を気にしているそうです。

庵野もまた、『もののけ姫』公開時は仮想敵と見ていた。と明かす一方で、昔から変わらず宮崎を”師匠”と仰いでいます。作品を批判し合っていても、その根底には尊敬と信頼があり、互いに認め合う対等な師弟関係が存在しているのでしょうね。

『風の谷のナウシカ』の巨神兵を生み出した庵野秀明

巨神兵

大阪芸大時代、学費未納による放校処分を受けて就職活動を始め、『風の谷のナウシカ』の原画担当に採用されて山口県から上京しました。宮崎駿に指名され担当した、クライマックスの巨神兵登場シーンは、アニメーター時代の功績としてよく話題に上がります。

そのほか、劇場アニメ『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』やOVA『メカゾーン23』などに参加し、メカや爆発シーンのエフェクトアニメーションを担当。『機動戦士ガンダム』の富野由悠季を始め、業界を代表する作家の作品に参加できたのは幸運だった、と振りました。

その後、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の企画に際して、「DAICON FILM」を母体の一つとするアニメ制作会社・ガイナックス設立に参加することに。庵野は監督として、OVA『トップをねらえ!』、アニメ『ふしぎの海のナディア』などの作品を生み出していきます。

『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズが自身の代表作に

社会現象にもなった『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ

新世紀エヴァンゲリオン劇場版シト新生

庵野秀明監督の代表作は、1995年10月よりTVアニメが放送開始、様々なメディアミックスが展開されている『新世紀エヴァンゲリオン(エヴァ)』シリーズです。

物語の舞台は、西暦2000年9月13日に発生した「セカンドインパクト」により、人口の半分が失われた世界の15年後。主人公・碇シンジを始め、人型兵器「エヴァンゲリオン(EVA)」のパイロットたちと、第3新東京市に襲来する謎の敵”使徒”との戦いが描かれます。

当時類を見ない作画クオリティや演出、謎めいた設定やキャラクターが高い評価を得たほか、賛否両論となった結末で話題に。多数の謎解き本が出版されたり、主題歌『残酷な天使のテーゼ』がカラオケの定番曲になるなど、社会現象を巻き起こしました。

ヒットシリーズの裏にあった庵野秀明監督の苦労

500ピース ジグソーパズル エヴァンゲリヲン新劇場版 屋上にて・・・ (38x53cm)

このシリーズは、まさに”庵野秀明自身の魂”と言うべきもので、作品の完成毎に完全燃焼を繰り返したきたそうです。魂を削る苦痛は凄まじく、TVアニメ制作時の精神状態は非常に不安定で、制作会社・ガイナックスの屋上から何度も飛び降りようと思った。と語っています。

さらに2006年には、過去のTVアニメ版を新たな設定と物語で再構成した、『エヴァンゲリオン新劇場版』シリーズ全4作の制作を発表。第3作目の『Q』公開直後には、再び魂を削って作品を作った報いか、”うつ状態”になったことを明かしました。

しかし『シンゴジラ』の制作を経てアカデミー賞を受賞するなど、2016年は庵野が各方面から称えられた年になりました。そのせいあってか、2017年4月にエヴァ新作が動き出しているという公式の発表がありました。ファンにとって嬉しい報告ですね。

2002年に結婚・Wアンノへ

監督不行届

2002年3月26日、共通の知人・貞本義行の紹介が縁で知り合った、『働きマン』・『シュガシュガルーン』などで有名な漫画家・安野モヨコと結婚。奇しくも双方の姓が「あんの」だったため、”Wアンノ”と話題になり、4月28日には「ダブルアンノの結婚を祝う会」と称した結婚披露パーティが行われました。

安野のエッセイ漫画『監督不行届』では、Wアンノの結婚生活が描かれており、互いの呼び名は「カントク」と「ロンパース・モヨ」です。結婚を機に妻の指導で生活改善を行い、体脂肪40%越えから体重73kg、体脂肪率22%まで減量したことも明かされました。

以前は身の回りに無頓着で、1ヶ月もの間風呂に入らないこともあった庵野が、1日おきに入浴するようになったこと。一方の安野も、夫に振り回される内に潜在的なオタク部分が目覚め、立派な”オタ嫁”になったことなどがコミカルに描かれています。

庵野秀明の学生生活が『アオイホノオ』で描かれる

アオイホノオ

漫画雑誌「ゲッサン」で連載中、『アオイホノオ』は庵野秀明の大阪芸術大学時代の同級生、島本和彦の自叙伝的な作品です。芸大生時代、プロデビューを目指す島本が目にした若手漫画家、庵野を始めとする学生たちの様子を垣間見ることができます。

実名で登場する庵野は、他の学生を突然締め上げ”ショッカー”の基地の場所を吐かせようとするなど、奇行に走る独特な雰囲気のキャラ。圧倒的な作画力を持つ職人気質で、『ウルトラマン』を扱った特撮フィルム、緻密に描かれたペーパーアニメで主人公の自信を打ち砕きました。

当時、両者の間に交流はなかったそうですが、島本は庵野を激しくライバル視していたのだとか。先述した「DAICON FILM」の活動は、主人公が一切登場しないにも関わらず、主要パートの一つになっています。

サトエリによる実写『キューティーハニー』の監督を務めたのは庵野だった!

キューティーハニー

エヴァのTVアニメ制作終了後、村上龍の小説を原作とした映画『ラブ&ポップ』(1988年)をきっかけに、実写映画の監督としても活動。アニメーションの手法を取り入れた『CUTIE HONEY キューティーハニー』、初めて35ミリフィルムに挑戦した『式日』など、意欲的に作品を発表しました。

庵野秀明が総監督を務めた『シン・ゴジラ』が大ヒット!

そんな中、実写映画における代表作との呼び声が高いのが、2016年7月29日より公開されている大ヒット作『シン・ゴジラ』です。2004年のゴジラシリーズ終了後、ハリウッド版のゴジラ映画『GODZILA』(2014年)の世界的大ヒットを受け、12年ぶりの新作が発表されました。

シリーズ初のフルCG制作で、過去最大となる、全長118.5メートルというゴジラの登場もあって、大きな話題になった本作。コンセプトは、「現在日本にゴジラが現れた時どう立ち向かうか」で、東日本大震災・核問題などを投映した重厚な物語が展開されます。

庵野のこれまでの経験、特撮に対する愛情と深い造詣が如何なく発揮され、エヴァを想起させる描写もあるそうです。長谷川博己・竹野内豊・石原さとみら実力派キャストを迎え、歓喜客動員数、興行収入の双方で爆発的なヒットを記録しています。

庵野は当初、エヴァの新作を望む声を憂慮してオファーを固辞しましたが、周囲の説得もあって引き受けることを決意。新たな作品を自分の中に取り入み、先に続かない現状を打破しようと考えたそうです。結果的には、エヴァの新作への意欲も芽生えたそうなので、今後の活躍にも期待ですね。