見た目に騙されるな!?『魔法少女まどか☆マギカ』のキュゥべえを徹底解説!【ネタバレ注意】
キュゥべえ、一見かわいいけど実は?『魔法少女まどか☆マギカ』のキーキャラを解説!
『魔法少女まどか☆マギカ』は普通の少女が契約を通じて魔法少女になり、魔女と戦うというアニメです。その契約相手こそが「キュゥべえ」であり、少女達に力を与える指南役でもありました。「僕と契約して魔法少女になってよ」はキュゥべえの口癖であり、執拗なほどに契約を持ちかけます。 小動物のような白くて小さな身体、大きな尻尾につぶらな瞳……一見魔法少女ものにはお約束のマスコットキャラに見えます。実際、発表された当初は「かわいい!」と評されるだけでした。しかし、話が進むにつれその評価はどんどん変わっていくことになるのです。
クズ?外道?不穏な雰囲気を醸し出すキュゥべえ
作品のマスコット兼魔法少女への勧誘役だと思われていたキュゥべえですが、早々に異様な雰囲気を醸し出します。まるで押し売りのセールスマンのように、魔法少女になることを躊躇うまどかを勧誘し続けるのです。 視聴者に最初に恐怖を感じさせたのはおそらく3話でしょう。多くの人に衝撃を与えたあの事件。マミが頭部を食いちぎられ絶命するという凄惨な事件にも、キュゥべえは全く動じず平然と佇んでいました。キュゥべえへの違和感がさらに増していきます。 その後もさやかの感情を揺さぶりあっさり魔法少女にさせた後、さやかと杏子の同士討ち等を理由に、あの手この手でまどかを勧誘し続けます。何が何でもまどかを魔法少女にしてやる、という執念すら感じる程で、徐々に違和感は確信に変わっていきます。 そして、再び事件は起こります。まどかがさやかのソウルジェムを奪い放り投げた際、さやかが突然絶命。取り乱すまどかに淡々と「ただの抜け殻なんだって」「さやかはさっき君が投げて捨てちゃったじゃないか」と言い放ちます。さらに混乱する彼女たちに「わけがわからないよ」と一言。キュゥべえに感情というものは存在せず、何か別のもので行動しているのは確実でした。
真の黒幕!?キュゥべえの正体とは
キュゥべえによるとまどかは「宇宙の法則をねじ曲げること」すら可能な、途方も無い魔法少女になれる素質を秘めているとの事。だからこそキュゥべえはまどかに執着し、執拗に勧誘していたのでした。さやかの精神と肉体が壊れていくのを見てきたまどかは、その言葉に流され遂に契約しそうになります。 そこに現れたほむらがキュゥべえを射殺しますが、平然と復活したと思えば元の肉体を食べてしまいます。次々に代わりが現れる恐るべき生命力です。そしてほむらの口から遂に正体が暴かれるのでした。「お前の正体も企みも私はすべて知っている。キュゥべえ。いいえ、インキュベーター」と。 後に明かされることですが、彼女はまどかを救うために何度も時間をループしているために全てを知っていたのです。
「インキュベーター」……その正体と企み
キュゥべえの正体は「インキュベーター」と呼ばれる地球外生命体でした。彼らは魔法少女と魔女、そしてソウルジェムとグリーフシードの仕組みを使い、宇宙の発展、延命を行っていたのです。 彼らは感情を宇宙のエネルギーに変える技術を開発しましたが、彼ら自身が感情を持っていないために、それを利用することが出来ませんでした。そこで地球人、特に第二次性徴期の少女の感情の変化のエネルギーの大きさに注目。それを得るために地球にやってきたのです。 キュゥべえと契約することで魔法少女になり、命そのものがソウルジェムに濃縮され、願いが叶えられます。しかし、そこには「魔女と戦う存在でありながら、絶望してしまうと魔女になってしまう」という負のスパイラルのような仕組みが存在します。それを知った時や、さやかの様に別の理由で激しく絶望した時、ソウルジェムは黒く濁り、グリーフシードに変化した後に魔女化してしまうのです。 願いが叶った時の希望、そして魔女化する時の絶望……この感情の変化からくるエネルギーの搾取こそインキュベーターの目的なのでした。だからこそ言葉巧みに勧誘し、より多くの希望と絶望を与えようとしていたのです。
物語の最後、キュゥべえはどうなったのか?
まどかを魔法少女にさせないために、一人奮闘してきたほむら。しかし、史上最大の敵「ワルプルギスの夜」に追い詰められるます。すると、まどかが駆け寄り一言謝ったのち、魔法少女になることを宣言します。その言葉に唖然とするほむら。しかし、まどかの願いは彼女の予想を裏切るものでした。 「全ての魔女を生まれる前に消し去りたい」……それは全ての魔法少女を救うと同時に、その仕組みそのものを変えるとんでもないものでした。宇宙の再編すら可能だと言われたまどかだからこそできる事です。 「そんな祈りが敵うわけがない!!因果律に対する反逆だ!!」と珍しく言葉を荒げるキュゥべえ。しかし、まどかの想いは変わりませんでした。過去、現在、未来……全ての絶望する魔法少女に手を差し伸べ、世界は再編されます。 再編された世界でキュゥべえはどうなったのでしょう。魔法少女は魔女化することなく、役目を終えると消滅することになりました。代わりに魔獣という存在が現れ、キュゥべえはその魔獣を倒すことで出る「コア」を食べることで、宇宙のエネルギーに変える存在になっていました。ある意味で普通の魔法少女もののマスコットに近い存在と言えます。しかし……!?
最終回後のキュゥべえ……その黒さは相変わらず?
魔法少女を巧みに誘い、絶望させる必要のなくなったキュゥべえ……少しは真面になったと思われましたが、そんなことはありませんでした。続編となる『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』では、ほむらから聞いた改編前の世界の、感情の変化からくるエネルギーの大きさに注目。 戦いで疲弊したほむらのソウルジェムを使い、さらに彼女自身も拘束して「実験」することで、「円環の理」と呼ばれる、改編後の世界の仕組みの効率的な利用と支配を企みます。キュゥべえの黒さと狡猾さは健在であることを思い知らされました。しかし、最後はある意味自業自得とも言える最後を迎えることになりましたが。
インパクト抜群!キュゥべえの名言
2015年2月5~11日に札幌で開催される第66回さっぽろ雪まつりにて、雪ミク(初音ミク)雪像やブースのある大通11丁目会場により“キュゥべえ”の雪像が設置されることが決定!どんな雪像になるかお楽しみに! #madoka_magica pic.twitter.com/mu1azcqzMX
— 魔法少女まどか☆マギカ (@madoka_magica) December 19, 2014
作中で圧倒的なインパクトと存在感を残したキュゥべえですがそのキャラの濃さと感情が無いからこそ発せられる性格から多くの名言を残しています。その一部をご紹介します。
僕と契約して、魔法少女になってよ
キュゥべえのセリフと言えばこれを連想する人も多いでしょう。魔法少女の始まりであり、全ての始まりでもあります。1話では何とも思わない平凡なセリフですが、全てを知った後に聞くと全く違う印象を持ちます。
そっちはさやかじゃなくて、ただの抜け殻なんだって
まどかがさやかのソウルジェムを放り投げ、絶命した時に放ったセリフ。普通なら凍りつくようなセリフを平然と言う、その異常さに誰もが恐怖を覚える瞬間です。直後に「さやかはさっき、君が投げて捨てちゃったじゃないか」と続けて放つ言葉が、尚更に視聴者を困惑させます。
訳が分からないよ
一つ目と並んでキュゥべえの象徴的なセリフとして認知度が高いセリフです。二つ目の直後に、魔法少女とソウルジェムの真実を告げられ、混乱するまどか達に放ちました。「どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい?」と続くのがさらに狂気性を感じさせます。それまで何だかんだで、人間に寄り添う発言をしてきたキュゥべえの価値観が、人間とは全く違う事がより決定的になりました。
やがて魔女になる君たちのことは魔法少女と呼ぶべきだよね
魔女と魔法少女の関係が明かされる瞬間。全ての魔法少女が真実を知り、絶望する瞬間でもあります。おそらくキュゥべえはこの言葉とともに、多くの魔法少女を絶望させてきたのでしょう。魔女は悪、魔法少女は善といつの間にか考えていた視聴者もその繋がりに驚きます。
今現在で69億人、しかも、4秒に10人づつ増え続けている君たちが、どうして単一個体の生き死ににそこまで大騒ぎするんだい?
例えば君は、家畜に対して引け目を感じたりするかい?彼らがどういうプロセスで、君たちの食卓に並ぶのか
魔法少女の事実に混乱するまどかにキュゥべえが諭す時に放ったセリフ。感情が無いゆえに放てるセリフであり、彼らが目的を達するうえで、犠牲となる個々の存在の事は何も考えていないのがよく分かります。
君は本当に神になるつもりかい?
魔法少女となったまどかから願いを告げられ、珍しく感情を乱された後に発したセリフ。まどかの覚悟を問うセリフであると共に、自らの野望が打ち砕かれ、困惑する中で発したセリフでもあるでしょう。結果的にまどかの力はキュゥべえの予想の上を行くもので、文字通りまどかは再編された世界の神になったのです。
キュゥべえから考える価値観の違い
キュゥべえの企みと行動は普通の人間からすれば理解のできないものです。しかし、彼らは地球外生命体であり、宇宙のエネルギーの確保という明確な目的を持って動いていました。いや、むしろその目的のためだけと言った方がいいでしょう。 まどか達人間とキュゥべえは価値観が全く違います。キュゥべえには感情が無いので、ただ目的に沿って行動するのみ。それはまるで決まった行動だけプログラムされたロボットのようです。情がない上に目的以外の事は理解できないのです。 キュゥべえの行動は理論的には合っているかもしれませんが、道徳的・倫理的には間違っています。この対立は現実でもよく見られ、どちらが明確に正しいとも言えません。キュゥべえがあの残酷さを見せているのに「絶対悪」と言われないのはこういうところにもあるでしょう。 キュゥべえの見た目の可愛さと中身の黒さのギャップ……しかしその黒さは彼らなりの目的があってのことでした。このキャラの複雑さが『魔法少女まどか☆マギカ』をここまで人気にさせた、一つの要因であることは間違いないでしょう。