『不思議の国のアリス』のチェシャ猫って一体何者なの?
チェシャ猫が生まれたのは1865年。ルイス・キャロルが書いた児童小説『不思議の国のアリス』の中に登場するキャラクターとして登場しました。『不思議の国のアリス』は出版後、徐々に人気を高めていき、19世紀末から20世紀初頭にかけて舞台化や映画化、絵本など活躍の場を広げ、それと共に、チェシャ猫もポピュラーな存在となっていきます。 作中では、不思議な世界に迷い込んだ主人公のアリスの前に突然現れては、助言をしたり、騒動を起こしたりする役どころとなっています。他のキャラクターは特定の場所で出会うことになる一方、チェシャ猫だけは自由に姿を消すことができる能力を持っているため、複数のシーンで登場し、観ている人に強く印象付けられる存在にもなっています。
笑う猫として慣用表現にまで登場する存在に!
また、チェシャ猫の特徴として忘れちゃいけないのが笑い顔です。チェシャ猫は見た目は猫でありながら、人間の言葉を話すことができるうえ、にやにや笑いを浮かべているキャラクターとして描かれています。 この特徴は、英語の慣用句表現にまで進出しており、にやにや笑っている様子を『grin like a Cheshire cat』(チェシャ猫のように笑う)と表現するなど、言語文化にまで根付くほどの認知に及んでいます。
チェシャ猫といえばディズニーアニメ版のあの姿!
チェシャ猫といって多くの人が思い浮かべるビジュアルは、1951年に公開されたディズニーのアニメーション映画『ふしぎの国のアリス』に登場したピンク色の姿のチェシャ猫ではないでしょうか。 小説同様、アリスに助言をする一方で、いたずらをしてわざとアリスをピンチに陥れることもしてしまうようなイタズラ好きな猫。また、大胆に顔だけになったり、頭だけが外れたり、アニメーションらしい演出で不思議な能力を披露してくれます。
実はチェシャ猫は人気のあるキャラクター?
ディズニーキャラクターでは、『バンビ』のミス・バニーや『おしゃれキャット』のマリーなど、作品本編では主役でないにも関わらず、人気の高いキャラクターが数多く存在します。実はチェシャ猫もそんなキャラクターの一人です。 飄々としたキャラクターや個性的な色合いなども人気に買い、現在もコンスタントに新たなチェシャ猫グッズが登場しており、主役のアリスを差し置いてグッズ化されることもしばしばあります。 また、東京ディズニーランドの夜のパレードとして披露されるエレクトリカルパレード・ドリームライツでは、巨大なチェシャ猫のフロートも登場しています。暗闇で光り輝くチェシャ猫はとても綺麗で、その大きさにもビックリするはず。是非その目で確かめてみて下さい。
『アリス・イン・ワンダーランド』で一新されたチェシャ猫のデザイン!
長きに渡って活躍してきたディズニーのチェシャ猫でしたが、ある映画の登場により、また新たな姿を見せることになります。2010年に公開された映画『アリス・イン・ワンダーランド』の登場です。 本作はティム・バートン監督によって制作された『不思議の国のアリス』の後日談であり、実写版。かつてアニメーションとして『不思議の国のアリス』に登場したキャラクターたちが、今作では実在の人物による演技やCG表現により依然とは異なったデザインで再登場します。 そしてもちろんチェシャ猫もリニューアルしています。アニメ版のピンク色の姿から灰色のリアルな毛並みに変わり、最新のCG技術で透き通ったように現れては自在に浮かび上がる、これまた個性的な姿での登場となりました。
幼い頃の姿も見ることができる?
また、2016年に公開された『アリス・イン・ワンダーランド』の続編、『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』では、さらに新たな姿を私たちに見せてくれました。 本作はアリスが時間を遡って活躍する物語となっており、チェシャ猫の幼い頃の姿も観ることができました。そのチェシャ猫の姿というのが、なんと小猫! 口元は耳ほどまでは裂けておらず、耳と手足が小さく可愛いキャラクターとなっています。不気味な造形にされることも多いだけに、珍しいケースと言えます。
まだまだあった! いろんなチェシャ猫たち
実はチェシャ猫の姿はこれだけではありません。『不思議の国のアリス』は、日本発の作品でも度々フィーチャーされ、その作品に合わせてチェシャ猫も独特の姿を披露しています。 例えば、ホラーアドベンチャーゲーム『歪みの国のアリス』では、ローブを纏い、裂けた口だけを覗かせる不気味なキャラクターとして、チェシャ猫が登場します。 また、劇場版アニメ化も果たした『ハートの国のアリス〜Wonderful Wonder World〜』では、ボリス=エレイという美少年の姿でチェシャ猫は登場します。どちらでも人型でありながら、全く印象の違う姿に変わっています。 『不思議の国のアリス』が様々なジャンルで活躍していることに合わせて、同じくその姿を自在に変えていくチェシャ猫の活躍は探ってみるときっと面白い発見があることでしょう。