2019年3月25日更新

『美女と野獣』最新実写映画2作品を徹底比較!本当に見るべきなのはどっち?

© Walt Disney Studios Motion Pictures

2014年公開のフランス版『美女と野獣』と2017年公開のエマ・ワトソン版『美女と野獣』はそれぞれどんな魅力があるのか?どちらを観るべきなのか?『美女と野獣』最新実写化2作品を徹底比較します!ネタバレ注意です!

全然違う!2つの実写映画『美女と野獣』

今まで何度も実写映画化されてきた『美女と野獣』ですが、やはりその中でも記憶に新しいのは、2014年公開のフランス版『美女と野獣』と、2017年公開のエマ・ワトソン主演『美女と野獣』の最新2作品! フランス版とエマ・ワトソン版ではどこに違いがあるのか?2作品の魅力を紹介・考察します!

好みが真っ二つに分かれる実写版『美女と野獣』の作品プロット

フランス版:とにかく原作を忠実に再現

『美女と野獣』は、元をたどれば1740年にフランスのヴィルヌーブ夫人により執筆された物語が最初だといわれています。今まで絵本やアニメーション、映画、ミュージカルと様々な形で描かれてきた本作ですが、フランス版でクリストフ・ガンズ監督はそのどれにもほとんど描かれてこなかったエピソードを描くことに挑戦しました。

エマ・ワトソン版:ディズニーアニメーションの完全映像化

2017年公開の『美女と野獣』は、『シカゴ』(脚本のみ担当)や『ドリームガールズ』などの大ヒットミュージカルの映画化をしたことで知られるビル・コンドンが監督を務めました。 ディズニーアニメーション不朽の名作である『美女と野獣』を完全映像化し、その壮大で華麗な世界観と、『リトル・マーメイド』や『アラジン』でも知られる、巨匠アラン・メンケンによる鮮やかな音楽で多くのディズニーファンの心を掴みました。 特に音楽は、アニメ版でアカデミー賞・グラミー賞・ゴールデングローブ賞を総なめにしたミュージカルナンバーを、さらに華やかさや深みを感じさせる極上の仕上がりに作り上げており、圧巻でした。

印象が180度違う、ベル役のキャスティングとその演出方法

フランス版のレア・セドゥ演じるベルは、少女と大人の女が共存する存在

フランス・パリ出身のレア・セドゥは、『美しいひと』と『美しき棘』で2度セザール賞の有望新人女優賞にノミネートされた経験があります。そして『アデル、ブルーは熱い色』では、カンヌ国際映画祭の最高賞に位置するパルム・ドールを女優として受賞するという、史上初の快挙を成し遂げました。 『美女と野獣』では、夕食を囲みながら野獣を早口で問い詰めたり、城内に隠れる犬達をこっそり見ようと絨毯の裏に隠れたりするなど、幼い子供のような表情がところどころで見られます。しかし、野獣とダンスをするシーンや氷河の上で野獣に追い詰められたシーンでは、対照的な色っぽい大人の表情を見せていました。 レア・セドゥは、少女のように可愛らしい一面と、色っぽい大人な女性の一面の両方をあわせ持つ、まさに魔性の女という肩書きがぴったりなベルを演じています。

レア・セドゥのことをもっと詳しく

2017年版のベルは、エマ・ワトソン本人の人格が反映された設定で、とにかく知的!

美女と野獣
©︎WALT DISNEY PICTURES

「ハリー・ポッター」シリーズのハーマイオニー役で世界を魅了したエマ・ワトソンは、聡明で強い意志を持った、美しい女性へと成長しました。 女優業で忙しい中でも、国連の組織である〈UN Woman〉では親善大使を務め、今では世界中の女性の憧れの的であり、カリスマ的存在です。 2017年に公開された『美女と野獣』のベルはそんなエマ・ワトソンそのもの。彼女は、おとぎ話の住人でいることをやめ、現実を受け止めてたくましく生きる女性を演じ、現代を生きる女性たちにエールを贈りました。 町の英雄であり、町一番のモテ男であるガストンからの求婚を何度もこっぴどく振るシーンや、野獣の城内で本に囲まれる生活を楽しんで送るシーンは印象的です。

エマ・ワトソンのことをもっと詳しく

野獣に関する作風の違いも大きい

フランス版の野獣は獰猛で愛に貪欲な王子(演:ヴァンサン・カッセル)

美女と野獣 フランス版
©︎PATHE

野獣が森の神に呪いをかけられる前の王子だった頃は、狩りに出かけて家を留守にすることも多く、狙った獲物は雌鹿であれ女性であれ何としても自分のものにしたがるような男性でした。 野獣の姿となってしまってからは野生の動物が主食となり、彼は中身までも完全に野獣になってしまったのではないかと苦悩します。 野獣がベルに食事をする姿を見せないのは、自分が殺したばかりの動物に食いつく姿を見せたくないという思いからなのです。 また、野獣は夕食以外ほとんどベルと顔を合わせることがありませんが、出会ったその時から愛情ダダ漏れ。彼は何しろ、長い間女性に愛されることなく過ごしてきました。切望していた女性が目の前に現れたため、過ごす時間など関係なく恋愛対象として見てしまうのでしょう。ベルの愛情を手に入れたいがために彼女の言うことは何でも聞きます。

エマ・ワトソン版の野獣は超繊細で賢明な男(演:ダン・スティーブンス)

美女と野獣
©︎WALT DISNEY PICTURES

エマ・ワトソン版『美女と野獣』でダン・スティーブンスが演じる野獣は、超がつくほど繊細! ベルが読み聞かせをしながら一緒に散歩をするシーンでは「今までと景色が違って見える」と優しくベルに呟いたり、ベルに馬のなで方を教えてもらったりと、優しく繊細なシーンが多く描かれています。 また、ベルの幼少期のパリへタイムスリップした際には、ベルの父親を盗っ人呼ばわりしたことを謝るなど、出会った頃の姿からは想像できないほど素直な一面も! 書斎でベルに対してジョークを言ったり、本に囲まれながら幸せそうにベルと過ごすシーンからは、知性を感じることができます。

ビジュアルの違いも大きなポイント

フランス版:伝統的なフランスの美

美女と野獣 フランス版
©︎PATHE

フランス版『美女と野獣』の撮影が行われたのは、ドイツのポツダムにあるバーベルスベルク・スタジオ。サイレント映画時代から創業を開始したこのスタジオは、『メトロポリス』や『戦場のピアニスト』、『グランド・ブダペスト・ホテル』など、数々の名作が撮影されてきました。 城全体の様式はゴシックとルネサンスの間で、複雑な装飾やひねった柱、縄、アラベスクなどであふれており、そこに王子の野蛮なイメージを加えるためにスコットランドのロスリン・チャペル風の柱が建てられています。またベルの部屋だけは優美なルネサンス様式で作られているというのもポイントです! 野獣からベルに贈られるドレスは監督のこだわりで、シーンや映像に沿って決められていました。監督が日本風のデザインを特に好んだことから、折り紙からのインスピレーションを、袖やラインストーン、刺繍に取り入れています。

エマ・ワトソン版:まるで城が生きているよう!

ベルと野獣のダンスシーンでは、ふたりだけの空間を数え切れないほどのシャンデリアとキャンドル、音楽がロマンティックに盛り上げます。 ベルのドレスは、ウエスト部分から裾にかけて柔らかく広がる、動きが綺麗に見える作りになっていて、アニメ版に匹敵する美しさを実現しています。

構成から全く異なる2作は、野獣化した理由も違う?

フランス版:「運命的な愛」は神話がルーツ

先にアニメ版やエマ・ワトソン版の『美女と野獣』を観てからフランス版を観た人は、何もかも違いすぎてびっくりしたのではないでしょうか? 本作で初めて触れられたベルの父や姉ふたりの性格、そして王子が呪いをかけられた理由については、もともとヴィルヌーヴ夫人の原作でも描かれていました。それらはギリシャ神話やローマ神話からヒントを得たもの。 愛を知るために人間界で生活をしている森の妖精を王子は愛し、彼女から「愛しているなら一緒にいてほしい、もう狩に夢中になって私をひとりぼっちにしないでほしい。」と言われその通り約束をします。 しかしその女性が人間ではなく雌鹿の姿でいるときに、交わした約束を破り雌鹿を矢で射て殺してしまいます。結果的にそれは森の妖精を殺したということであり、彼女の父である森の神は激怒し、王子が2度と愛される事がないよう醜い野獣の姿になる呪いを王子にかけるのです。 アニメ版やエマ・ワトソン版でみられるミュージカル要素は皆無で、ベルと野獣が仲を深めていく途中経過は描かれることがなく、神話ならではの「運命的な愛」が描かれています。

エマ・ワトソン版:ミュージカル調で描かれる「真実の愛」がテーマ

美女と野獣
© Walt Disney Studios Motion Pictures

エマ・ワトソン版『美女と野獣』は、1991年公開のアニメ版で使用された全てのミュージカル・ナンバーを起用し、世界観を崩すことなく忠実に実写化されました。 本作では野獣になった原因を、困っている老女を「美しくないから」という理由で見捨てた、わがままな王子に対する魔女の報復として描いています。 薔薇は野獣にとって、王子が野獣から人間へと永遠に戻れなくなってしまうまでのタイムリミットを表しており、ベルにとっては母親の思い出の象徴として描かれています。 フランス版では、ベルと野獣が直接顔を合わせることがほぼない中でラブストーリーが進んでいくのに対して、エマ・ワトソン版では、彼らが「真実の愛」で結ばれるまでの過程を細かく描いているのも大きな違いです。

実写版『美女と野獣』を選ぶ基準は実は明確

圧倒的な映像美vs親しみ慣れたストーリー

フランス版の魅力は何といっても息を呑む映像の美しさでしょう。セットから小道具まで、こだわりづくしの作品でした。 対して、エマ・ワトソン版『美女と野獣』は家族みんなで楽しむことができ、かつキャラクターの成長を感じることのできる作品。 映像美を堪能したい方はフランス版、ストーリーを楽しみたい方はエマ・ワトソン版を選ぶといいでしょう。ここまで内容が異なると、2つの作品を鑑賞して比較するのも面白いですね!