2017年12月30日更新

『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』が傑作である5の理由

アニメ関係者だけでなく、この時代のクリエイターに大きな衝撃と影響を与えた傑作アニメ映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』。いつ観ても色褪せていない本作の魅力と、傑作と呼ばれる所以に迫ります!

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』いまだに色褪せない1984年の傑作アニメとは

1984年に公開され、いまだに傑作として語られているアニメ映画が『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』。2017年にはハリウッドで実写化されたアニメ『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の監督として知られる押井守の出世作でもあります。 今回はそんな『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のあらすじ、そして本作が傑作と評されている理由をたっぷりとご紹介します。

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』あらすじ

スケベな高校生の諸星あたると、彼に思いを寄せる宇宙人ラム。二人が通う友引高校は明日に文化祭を控え、学生たちはその準備に奔走していました。あたるやラムの2年4組もいつも通りのバカ騒ぎ。そんな中、世界ではとんでもないことが起こっていました。 友引高校を中心に、永遠に繰り返される文化祭の前日。そのループに巻き込まれたあたるたちは友引町からの脱出を図りますがあえなく失敗します。次の日、目を覚ますとそこには荒廃した友引町が広がっていました。 果たして、あたるたちはこの不思議な世界を脱出し、現実へと戻れるのか!?

1:偉大なループものアニメの元祖

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』は押井守の名前を世に知らしめた作品であると同時に、同じ時間を繰り返すいわゆるループものアニメの元祖でもあります。あの『魔法少女まどか☆マギカ』も『Steins;Gate』もアニメで辿っていけば本作に辿り着くのです。 それだけに観客に与えた衝撃も大きく、後の作品に絶大な影響を与えました。アニメ関係者に限らず、雑誌などでクリエイターが影響を受けた映画として『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を挙げているのを見たことがあるのでは。 さらに、当時はアニメの地位がまだ低かったにもかかわらず、キネマ旬報で読者が選んだ映画第7位に選ばれています。今も昔も映画好きの評価は高いアニメ映画です。

2:ハリウッドでも評価が高い押井監督作品

押井守の作品は、国内にとどまらず海外でもカルト的人気を誇っています。ハリウッドでは『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟や、『タイタニック』のジェームズ・キャメロンなどが、押井作品の影響を受けたことを公言していることは、映画ファンの間でも有名です。 また『アイ,ロボット』で知られるアレックス・プロヤス監督の1998年の作品『ダークシティ』では、本作に登場するとあるシーンにそっくりな描写があります。『ダークシティ』は日本のアニメ映画『AKIRA』の影響も感じられるだけに、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の影響もあるのではとも言われています。

3:エンディングが意味深!?友引高校の階数の謎!

一連の事件の中心に存在する友引高校。そこにはいくつもの謎が散りばめられており、それを読み解いていくのも楽しいです。 中でも語られることが多いのは友引高校の「階数の謎」です。劇中で保険医のサクラが校舎は3階建てと発言していますが、エンディングで描かれた校舎は2階建て。エンドロールにタイトルが出るという演出と相まって、現実に戻ったと思われた世界は未だに夢の世界のままなのか?と解釈の幅を残したラストとなっています。 劇中にこうした謎を多く散りばめることで、本作は一度だけではなく何度観ても新たな発見があるという作りになっています。これだけではない友引高校の謎の数々もぜひ考察してみてください!

4:劇中に押井守が登場する!?メタファー盛沢山な本編

幻想的なカットも多く使われている本作。特にしのぶが路地に迷い込み、ふわふわと浮かぶ風鈴を目撃するシーンが記憶に残っている人も多いはず。 その直後、そんなしのぶの姿をアパートの窓から見守る謎の男が描かれます。この男が誰か、というのもさまざまな考察が飛び交いました。一見するとあたるや竜之介に思えますが、なんとその正体は世界を外から見つめる押井監督自身であるとのこと。これは監督自身によるオーディオコメンタリーにて本人の口から語られています。 さらに、迷い込んだしのぶは観客、いくつもの風鈴はフィルムのパーコレーション(両サイドの穴)のメタファー。それを見つめる監督自身という、押井監督が得意とするメタフィクションなカットとなっています。 こうした1カット1カットにさまざまな意味が込められているのも、傑作といわれる理由のひとつではないでしょうか。

5:『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』ではキャラクターたちのドタバタ模様も健在

押井監督ならではの演出や、何度観ても楽しめるメタファーたっぷりの描写も魅力的ですが、ラブコメらしいシーンも多く登場します。 そもそも押井監督自身もTVシリーズではじめて作品に携わり、劇場版第1作目『うる星やつら オンリー・ユー』でも監督を務め、キャラクターたちと長く付き合ってきました。 本作では、そんな押井監督が森山雄治・山下将仁といったTVシリーズからのメインスタッフと共に作り上げた、『うる星やつら』らしいドタバタ劇も大いに楽しむことができます。ラブコメ好きも気軽に楽しめるのも本作の魅力ですね。 今回はアニメ映画の傑作と名高い『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を紹介しました。作画にこそ時代を感じるものの、今観ても新鮮な部分が多いので、アニメファンのみならず映画ファンも是非チェックしてみてください!