2020年12月28日更新

『僕だけがいない街』原作漫画からドラマまで4作品を徹底比較!異なるラストの意味は?【ネタバレ】

Netflixドラマ『僕だけがいない街』(2017年)
©︎Netflix

『僕だけがいない街』は原作漫画をはじめとして、これまでアニメ・映画・Netflixドラマとメディアミックスされ、その都度話題を呼んできました。この記事では、そんな4作品をネタバレありで徹底比較!作品によって異なるラストの意味を考察してみます。

目次

【ネタバレ】さまざまな『僕だけがいない街』の違いを徹底解説!

三部けいの大人気漫画『僕だけがいない街』は、本格的な謎解きと緻密な伏線、ハラハラするサスペンス、興味をそそられるSF要素などが魅力の作品です。 その人気の高さから、アニメ化、実写映画化、そしてNetflixで実写ドラマ化と、3度の映像化が実現。そして世界190か国で配信されているNetflixオリジナルシリーズの実写ドラマ版は、2021年1月7日(木)から初めての地上波放送を控えています。 この記事ではそんな『僕だけがいない街』の全作品について、それぞれの違いや特徴、見どころなどを徹底解説!異なるラストの意味についても考察していきます。 ※ここからは『僕だけがいない街』のネタバレが含まれます。未鑑賞の方はご注意ください。

『僕だけがいない街』の基本的なあらすじ

主人公の売れない漫画家・藤沼悟は、“再上映(リバイバル)”と呼んでいる特殊能力を持っていました。 リバイバルとは、事故やトラブルなどの悪いことが起こると自分の意思とは関係なく時間が巻き起こるという現象で、悪いことの原因が取り除かれるまで繰り返し発動されてしまいます。まるで何度もスクリーンに再上映し、「違和感を見つけろ」とでも言うように。 ある日アルバイトの途中でリバイバルが発動し、小学生がトラックに轢かれるのを防いだ悟は、代わりに自身がはねられ入院することに。それを機に、病院に見舞いに来てくれたバイト仲間の愛梨と親しくなるのでした。 数日後、悟の母・佐知子が何者かに殺害されます。物的証拠から犯人だと疑われ警察に捕まりそうになった時、これまでに経験したことのない長期間の巻き戻りが起こり1988年の小学生時代に戻った悟。それは、小学校のクラスメイトが被害者となった連続誘拐事件の直前で……。

物語を理解するために、メインキャラをまとめて紹介!

アニメや映画、そしてドラマにおいても、メインで登場するキャラクターの構成は原作から変更されていません。 それぞれの人物の設定などに関しては変更・省略されていることもありますが、ここでは基本となる原作を基準にメインキャラクターをまとめて紹介します! ※この見出しで使用されている画像はNetflix版のものです。

藤沼悟

Netflixドラマ『僕だけがいない街』(2017年) 藤沼悟
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本作の主人公。リバイバルという特殊能力の持ち主です。生年月日は1977年3月2日、北海道出身で、長期間の巻き起こりが起こる前の2006年5月時点で29歳でした。 漫画家としての実力はあるものの、自分の心に踏み込めないためデビュー後も成功せず、ピザ屋「Oasi Pizza」でアルバイトをしながら生活しています。 周りの人間との間に壁を作りがちで、子供の頃から人付き合いが苦手。連続誘拐殺人事件の犯人として死刑判決を受けた「ユウキさん(白鳥潤)」と親しく、彼のアドバイスをもらうまでは友達もいませんでした。 リバイバルの能力に対しても、周囲のトラブルが回避されるだけで自分にとってプラスの結果になるわけではないため疎ましく思っていました。 母親が殺害されたのをきっかけに1988年2月15日へ巻き戻るリバイバルが発動し、29歳の意識のまま10歳に。2006年と1988年の悲劇を阻止しようと奔走します。

藤沼佐知子

Netflixドラマ『僕だけがいない街』(2017年) 藤沼佐知子
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主人公・悟の母。2006年5月時点で52歳です。北海道に住んでいますが、事故に遭った息子を心配して悟のアパートに滞在中、あるきっかけで1988年に北海道で起きた連続誘拐殺人事件の真犯人の正体に気が付きますが、悟に伝える前に真犯人に殺害されてしまいます。 悟が幼い頃に夫と別れ、女手ひとつで悟を育ててきました。元・テレビ石狩の報道部アナウンサーで、高い洞察力を持っており心を読んでいるかのような発言をします。愛梨が悟の姉だと間違うほど外見が若く、1988年と2006年で容姿にほとんど変化がありません。 悟にうっかり口を滑らせることが多く、その度に「冗談に決まってるべさ」と誤魔化す癖があります。1988年に連続誘拐殺人事件が起きた際には、報道が子供たちの目に触れてトラウマとならないように気を配りました。

雛月加代

悟の小学生時代のクラスメイトで、悟と同じ1977年3月2日生まれ。母子家庭で、母親とその恋人から虐待を受けています。家に帰ると虐待されるため、放課後は空き地で1人で時間を潰していることが多いです。 周囲とあまり関わりを持たず、家庭が貧乏なこともありクラスで浮いた存在。家庭環境から性格に卑屈な部分があり、「バカなの?」が口癖になっています。 学級文集には「私だけがいない街」と題し、1人で遠くに行きたい、私だけがいなくなったこの街のことを考えると気が楽になる、という内容の作文を書いていました。 オリジナルの時間軸では、1988年に連続誘拐殺人事件の被害者となり10歳で死亡。しかしリバイバルによって小学生に戻った悟が積極的に関わってくることで心を開き、運命が変わり始めます。

片桐愛梨

Netflixドラマ『僕だけがいない街』(2017年) 片桐愛梨
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悟のバイトの後輩で、ピザ屋「Oasi Pizza」でアルバイトをする女子高生。2006年5月時点で17歳です。ただし実写映画版では女子高生という描写や年齢に関する言及はありません。 明るく人見知りをしないオープンな性格で、悟が周りの人間との間に作る壁も気にせず入り込んできます。 普段は配達に向かう悟に「途中で(ピザを)食べちゃだめですよ」と冗談を言うだけでしたが、子どもを助けて入院した悟の見舞いに行ったことで親しくなります。そして悟のことを「尊敬できる友達」と認識し、信頼するようになっていきます。 地元が田舎のため高校に通うには下宿する必要があり、母の兄夫婦の家に居候中。将来の夢があり、叶えるために自立しようと奮闘しています。

八代学

Netflixドラマ『僕だけがいない街』(2017年) 八代学
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小学校時代の悟のクラスの担任教師で、1988年当時29歳前後(ノベライズ小説では27歳)。明るく優しいため生徒から人気があります。観察眼が鋭く、生徒のことをよく見ていて面倒見の良い先生です。 リバイバルした悟が、雛月加代を守るために彼女の保護を八代に相談すると、八代も加代が虐待を受けていることに気が付いており、以前から何度も児童相談所に連絡しているのだと明かします。 加代の保護に積極的に協力してくれるため、悟は八代を信頼し、どこか父親のようにも感じるのでした。 煙草を止めた代償行為で「1人でいるときは飴が手放せない」という意外な一面もあり、愛車のトヨタ・スプリンターカリブのグローブボックスには大量の飴が入っています。

実は彼は、作中で起きる連続児童誘拐殺人事件の真犯人であり、2006年に真実に気付いた悟の母親を殺害した犯人。2006年には、八代学(やしろ がく)から西園学(にしぞの まなぶ)に名を改めて市議会議員になっています。 悟や白鳥潤など、別の人物を犯人に仕立て上げる用意周到な犯行手口で、警察の目を欺きながら犯行を重ねていました。誘拐対象の警戒心を解く・周囲の人間の信頼を得るなどの人心掌握術に長けており、悟に自ら犯行を暴露するまで隠し通すことに成功します。 少年時代、親に愛されない代償行為として暴力や悪戯を繰り返す兄が、誤って女児を殺害。八代学は、その兄を自殺と見せかけ殺害しました。 その時から、八代には「蜘蛛の糸」が見えるようになります。「蜘蛛の糸」は特定の人間の頭上に1本の蜘蛛の糸が現れる現象。八代はこれを死ぬべき人間に現れるものであると考え、その糸を切るような感覚で殺人を重ねてきたのでした。

【ネタバレ】伏線が見事!原作漫画『僕だけがいない街』

ここからは、各作品の概要や結末、特徴を紹介していきます。まずは原作漫画から見ていきましょう! 原作は2012年7月号から月刊漫画雑誌ヤングエースに掲載された作品で、2017年に完結。単行本は外伝を含めた全9巻が発売されています。「マンガ大賞2014」では第2位を獲得し、話題になりました。

2度目のリバイバルの結果、悟は真犯人に車ごと湖底に沈められ、植物状態になり15年間眠り続けていました。 2003年に目を覚ました悟は、1988年2月15日以降の記憶を全て失っていましたが、愛理に偶然出会ったことで再び1年の昏睡状態に陥り、覚醒後、愛梨を発見し全ての記憶を取り戻します。 その後、企画されたリハビリ患者との交流会「さざんかの集い」が真犯人の罠だと見抜いた悟は、小学生時代の仲間らとともに犯人に勝つ計画を立てます。 吊り橋の上で対峙した悟と真犯人。記憶を取り戻していることを隠していた悟は、自分もろとも悟を殺そうとする真犯人に飛びかかって共に池へ飛び込み、真犯人は無事逮捕されるのでした。

緻密に張り巡らされた伏線が見事で、読み進めていると、あのシーンのセリフはここに繋がるのかとはっとさせられたり、1話の伏線が最終話で回収されたりと、最後まで飽きない内容です。 またタイムリープの影響などについて緻密に計算されており、矛盾や間違いがないように作られているので、納得しながら読むことができます。

【ネタバレ】基本的には原作通り!アニメ『僕だけがいない街』

続いて、基本的に原作に忠実に作られたアニメ版を紹介します。英語圏では『ERASED』(直訳:消し去られた)というタイトルで配信されています。 2016年にフジテレビ「ノイタミナ」で放送されたアニメ。主人公・悟の青年時代の声を俳優の満島真之介、子ども時代の声を女優の土屋太鳳が演じています。 アニメ製作時、まだ原作が完結していなかったため、原作サイドから終わり方は伝えられていたものの第11話の途中からはオリジナルストーリーになっています。

2度目のリバイバルの結果、真犯人によって車ごと湖底に沈められた悟は、植物状態になり眠り続けていました。目を覚ました悟は1988年2月15日以降の記憶を全て失っていましたが、加代の子どもと手を合わせると全ての記憶が戻ります。 病院の屋上で犯人と一騎打ちになり、自ら車椅子ごと飛び降りようとする悟。真犯人が車椅子を掴むと、悟から「あなたは僕がいるから生きてる実感が持てる。この世界で本当のあなたを知っているのは僕だけだ」と言われます。 涙を流しながら車椅子を手放し、後を追って飛び降りようとする真犯人。しかし悟は、仲間たちが準備したクッションの上に落ちていました。真犯人は、殺人未遂で逮捕されるのでした。

全12話に収めた関係で原作から削られている部分があり、結末もオリジナルストーリーであるものの、方向性は同じで、基本的には原作を忠実にアニメ化しています。 原作と大きく違うのは、ラストシーンで真犯人の悟への執着心が強く描かれているという点です。真犯人の過去の描写も削られている部分があるため、真犯人へ抱く印象が原作とは少し違うかもしれません。 伏線回収などがコンパクトになっている分、タイトルロゴデザインや各話のサブタイトルに伏線が仕込まれていたことが判明するなど、ファンを喜ばせる仕掛けが込められた作品でした。

【ネタバレ】映画『僕だけがいない街』では衝撃のラストが!

映画版では、衝撃のラストが描かれました。どのような結末になったのか、そしてなぜこのようなラストになったのかを解説しましょう。 2016年3月19日公開の映画。主人公・悟を藤原竜也、愛梨を有村架純が演じたほか、悟の母は石田ゆり子、八代学は及川光博といった豪華キャストによる実写化となりました。 監督は、2020年12月に公開された話題の漫画実写化映画『約束のネバーランド』を手がけた平川雄一朗です。

橋の上から八代に突き落とされ、目を覚ました悟は小学生時代から元に戻っていました。記憶は残っていますが、過去が変わったことで、ピザ屋でバイトをしておらず漫画家として成功しています。 悟は少女を連れ去ろうとしている八代に声をかけ、ビルの屋上で対峙。説得も虚しくナイフを取り出し自殺しようとする八代ともみ合いになり、ナイフは悟の首を切り裂きます。 小学生時代の友人が警察を連れてきて八代は逮捕されるものの、悟は死亡。悟の葬儀には、悟が救った加代や潤の姿があるのでした。

前半は原作に忠実ですが、ラストは原作と大きく異なり、主人公・悟が死ぬというバッドエンドを迎えます。120分という尺の関係や、当時まだ原作が完結していなかったことから、大胆にオリジナル性の高いラストとなりました。 映画パンフレットなどによると、何人もの命を助けるのであれその代償は大きいはずと言う考えから「悲劇でも良いのでは」という方向性になり、監督・平川雄一朗の「悲劇でも単なる絶望では終わらず、ラストで希望を描いてほしい」というリクエストで、このような脚本になったのだとか。 また映画パンフレットによると、原作者・三部けいは「平川監督はご自分のコアを出していると思いますし、それでいて俺が大切にしたテーマ的な部分がちゃんとリンクしたものとして出来上がったと思います。『僕街』にはサスペンスやSFの要素が入っているけれど(中略)描きたいのは人間の生き様だった。」と語っています。 俳優陣の迫真の演技や、「中身は29歳である小学5年生の悟」という難役を演じた子役・中川翼の見事な演技も注目ポイントです。

【ネタバレ】原作ファンからの支持が厚い!Netflixオリジナルドラマ版

最後に、ファンから厚い支持を得ているNetflixオリジナルドラマ版について紹介します。 2017年12月15日より世界190ヶ国に配信された、Netflixオリジナルシリーズ。アニメ・映画は共に原作完結前の映像化だったため、原作完結後初の映像化作品となりました。 主人公・悟を演じたのは、中国でも絶大な人気を誇る俳優の古川雄輝。監督は、映画『イノセントワールド』(1998年)、ドラマ『パーフェクト・ブルー』などの下山天が手掛けています。

Netflixドラマの結末は、原作をほぼ忠実に再現されています。2度目のリバイバル中に車ごと湖底に沈められた悟は、植物状態になり15年間眠り続けていました。 目を覚ました悟は記憶を全て失っていましたが、愛理偶然出会ったことで再び1年の昏睡状態に陥り、覚醒後、愛梨を発見して全ての記憶を取り戻します。 その後、リハビリ患者との交流会に参加し、吊り橋の上で対峙した真犯人と悟。悟と自身の死によって全て終わりにしようと言う真犯人に飛びかかり、共に川へ飛び込みます。仲間が連れてきた警察によって、真犯人は逮捕されるのでした。

下山天監督は制作にあたり「原作の完全な映像化」を掲げ、北海道のシーンは全て北海道の苫小牧で撮影されました。 原作者・三部けいも「皆さん原作の意をくんでくれていますが、かといって原作ファンでも既視感は全く感じないと思います。漫画を改めて実写化する、ということの意義を感じることができました。」とコメントしています。 また北海道のロケについても「圧巻は舞台のロケーションと雰囲気です。自分が実際にモデルとした場所での撮影も圧倒的に多く、頭の中をスキャンされたかのような驚きでした(笑)」と語りました。 すべて忠実と言う訳ではなく省略されている設定などもありますが、アニメや映画でカットされていたシーンも丁寧に描いており、原作ファンからの支持を集めています。 小学生時代の悟役の内川蓮生と、雛月加代役の柿原りんかの演技も好評です。

作品によって異なる!タイトル『僕だけがいない街』の意味を徹底考察

漫画『僕だけがいない街』

原作のラストで日常に戻った悟は、自分のいなかった15年間と、その空白の時間を埋めてくれた仲間たちに思いを馳せます。 「眠っていた15年間、僕はひとりぼっちじゃなかった。」 「11歳から25歳までの人生を失ってしまったけれど、その失った時間そのものが僕の宝物だ。僕だけがいなくなった街で、友達が僕のために人生の貴重な時間を割いてくれた。」 つまり原作における「僕だけがいない街」とは、大切な人を救うことができた結果、植物状態になってしまっていた15年間の街のこと。そして自分を覚え続けて支えてくれていた、仲間や家族との確かな絆のことです。 これは、アニメ版やNetflixドラマ版ともほぼ共通しています。

映画『僕だけがいない街』

映画版の「僕だけがいない街」は、実際に主人公が亡くなったことで本当の「僕だけがいない街」になってしまった世界のことを指します。 子供の頃から憧れていたヒーローのように、大切な人を守ってこの世を去る悟。「たとえ世界から僕がいなくなってしまったとしても、みんなに笑っていてほしい」という悟の思いがタイトルに繋がっているのです。 原作版は過去、映画版は未来を指している点も違いますね。 しかし原作の「僕だけがいない街」の“街”が具体的な場所を指すと考えた時、北海道の故郷の街を指しているのに対して映画版は千葉を指してしまいます。バッドエンドであることに加え、この点が原作ファンにとっては納得のいきにくい部分だったという意見もありました。

『僕だけがいない街』はアニメから楽しむのがおすすめ!

これだけメディアミックスがあると、どれをどの順番で観たらいいのか難しいですよね。もし原作未読で初めて本作を楽しむなら、作品の大筋が理解しやすいアニメがおすすめです。 それから原作漫画を読破し、そのうえで空気感を見事に実写化して原作ファンにおすすめのNetflixドラマを観るのがおすすめ。映画版はラストの展開が許せそうなら、藤原竜也や子役たちの熱演を楽しみに観てみるといいかもしれません。 どの『僕だけがいない街』も前半は同じでありながらラストは異なるため、マルチエンドのゲームのようにも楽しめます。色々な違いを楽しみながら、それぞれの「街」での「僕」の生き様を追ってみてください!