2018年3月5日更新

グレタ・ガーウィグ、マンブルコア界の女王の全て【愛すべき映画人】

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グレタ・ガーウィグ
©David Gabber/Landmark Media

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マンブルコア界のスター、グレタ・ガーウィグに迫る

Greta Gerwig, shot by @EricChakeen #LadyBird #TimeToFly

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サクラメントというカリフォルニア州の小さな街で生まれ育ったグレタ・ガーウィグ。大学で英語と哲学を学んだ後、脚本家志望だった彼女は女優としての道に進みました。等身大の彼女の魅力が伺える過去の出演作品から、私生活、そして初のアカデミー賞ノミネート作品にフォーカスしていきたいと思います。

そもそもマンブルコアって何?

マンブルコア(Mumblecore)映画とは、Mumble(口籠る)からきており、明瞭化されていない現代の日常的な口語をブツブツと話し続けたり、若者の飾り気のない日常を捉えた低予算映画の事です。 1960年代にフランスで起こった映画運動・ヌーヴェルヴァーグの、特にエリック・ロメール監督の映画の影響が大きい即興的で作り上げすぎない演出が特徴で、「自然主義」と言われています。 日本ではあまり馴染みがありませんでしたが、なんとグレタ・ガーウィグが出演した『フランシス・ハ』が2014年に公開された事で認知度が上がりました。

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グレタ・ガーウィグの彼氏はノア・バームバック監督

ノア・バームバック(ゼータ)
©Dennis Van Tine/Future Image/WENN.com

2011年以降、グレタ・ガーウィグはノア・バームバックと交際しています。 1969年にブルックリンで生まれたノア・バームバックは、『イカとクジラ』(2005年)や『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』(2010年)など、主にインディペンデント映画で知られる監督ですが、友人であるウェス・アンダーソン監督の映画の脚本家としても知られています。 ガーウィグとバームバックは恋人であると同時にクリエイティブな協働関係にもあり、バームバックが監督し、ガーウィグが主演、二人で脚本を執筆した『フランシス・ハ』は、まさにその一例といえるでしょう。

グレタ・ガーウィグの出演作品

初主演・初脚本作品にして既にその存在感を示した『ハンナだけど、生きて行く!』

恋人と別れたヒロイン・ハンナが自らの魅力を理解できないまま、満たされぬ男女関係を繰り返す、という内容のこの映画は、まさにマンブルコア映画の代表作。ジョー・スワンバーグは監督・脚本・製作・撮影・編集の5役を務めています。 もともと脚本家志望であったというガーウィグの初主演・初脚本作品であり、本作以降、女優としての道を切り開いていくことになります。

多くの賞にノミネート・受賞!『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』

コメディアン・ベン・スティラーを主演に、バームバックが監督した本作で、ガーウィグとバームバックは初めて共に仕事をしました。 精神病院を退院したスティラー演じる主人公・ロジャーの妹・フローレンスを好演したガーウィグ。本作で、インディペンデント・スピリット賞主演女優賞にノミネートされています。

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グレタが出ていたの、知っていました?『抱きたいカンケイ』

ナタリー・ポートンマンとアシュトン・カッチャーが都合のいい男女関係を続ける様を描いたラブコメディ。監督は、『ゴーストバスターズ』で知られるアイヴァン・ライトマンです。 主演二人は大スター、製作費は2500万ドルと、低予算・少人数のマンブルコア映画とは全く真逆のこの映画。実はガーウィグも、ナタリー・ポートマンの友人役で出ていたのです。

ウディ・アレン監督作品『ローマでアモーレ』

ウディ・アレンが初めてローマを舞台に撮り上げたラブコメディ。 群像劇の形式で綴られるこの映画の中でガーウィグは、ジェシー・アイゼンバーグやエレン・ペイジと共演しました。

グレタ・ガーウィグが大ブレイクした作品『フランシス・ハ』

日本でもガーウィグの名を知らしめた、まさに代表作!もちろん、監督はバームバックです。二人は本作の制作中には、もう付き合っていたと考えられます。 本作でニューヨークでダンサーを目指しながら、いろいろな場所を行き来する魅力的なフランシスを好演したガーウィグは、一躍スターに。とうとうゴールデングローブ賞にノミネートされました。

初のフランス映画出演作『EDEN/エデン』

90年代のパリのクラブで盛り上がったエレクトロミュージックに夢中になった青年の栄光と挫折を綴った、ミア・ハンセン=ラブ監督作品。 本作でガーウィグは初めてフランス映画に出演しました。

グレタ・ガーウィグらしいキャラクターに注目『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』

彼氏はいないのに子供が欲しい主人公・マギーが、妻との関係に嫌気がさしている男性・ジョンと恋に落ち、離婚の末、再婚。しかし、ジョンの元妻がいまだにジョンを愛していることを知り、「夫を前妻に返す」という計画を立て始めるのでした...... このこじれにこじれたラブコメディで、ガーウィグはマギーを演じました。『フランシス・ハ』のフランシスとはまた違った種類の変人で、いかにもガーウィグらしいキャラクターといえるでしょう。

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硬派な伝記映画に出演『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』

ケネディ大統領のファーストレディとして知られた、「ジャッキー」ことジャクリーン・ケネディをナタリー・ポートマンが熱演した伝記映画です。 ガーウィグが演じたのは、ジャッキーの秘書で友人でもあったナンシー・タッカーマンという実在の人物。主演のポートマンに勝るとも劣らない存在感を見せています。

自由に生きるカメラマンをグレタ・ガーウィグが熱演『20センチュリー・ウーマン』

1979年のサンタバーバラを舞台に、母親やその友人である女性たちと共に過ごす少年のひと夏の体験を綴ったヒューマンコメディ。 ここでは、主人公親子の友人である写真家・アビーを演じたガーウィグ。髪を真っ赤に染め、主人公にクラブを教え、踊りまわる姿がとてもクールです。

話題の初監督作品『レディ・バード』

レディ・バード (プレス)
©Merie Wallace, courtesy of A24

2017年にアメリカで公開された映画『レディ・バード』は、ガーウィグ初の単独での監督作。ガーウィグの自伝的な物語が展開されるこの映画の主演は、シアーシャ・ローナン。ガーウィグ自身は出てきません。 しかし、脚本執筆に丸一年を要したという本作は、わずか4館で公開されたにもかかわらず、2017年12月の最初の週末で36万ドルもの大ヒットを記録。批評サイトRotten Tomatoesの支持率も驚異の100%を記録し、アカデミー賞作品賞をはじめとする5部門にノミネートされるなど、熱狂的な支持を集めています。

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グレタ・ガーウィグ初のアカデミー賞ノミネート!ますます活躍していく

Congratulations to Greta Gerwig, the @FilmIndependent #SpiritAwards winner for Best Screenplay! #LadyBird

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『レディ・バード』は2018年、記念すべき90回目のアカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚本賞の5部門にノミネートされました。ガーウィグにとって初めてのオスカーノミネート作品は、出演作ではなく、まさかの初監督作品だったのです。 『シェイプ・オブ・ウォーター』や『スリー・ビルボード』、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』など強豪ぞろいだった今回のアカデミー賞。公開された時期が遅かったこともあってか、残念ながら『レディ・バード』の受賞はありませんでした。しかし、初監督作とは思えない圧倒的な評価を獲得したのは確かです。 今後も、女優として、脚本家として、監督として活躍し続けるであろう彼女の仕事ぶりには目が離せません!