個性派アニメ『フリクリ』の魅力と見どころを徹底解説【豪華二本だて劇場版で復活!】

2018年4月4日更新

海外でも注目され未だに人気の個性派アニメ『フリクリ』が、十数年ぶりに再起動!ユニークなキャラクターやちょっと難解な世界観など、前作の魅力をおさらいしつつ新作の見どころまでご紹介しちゃいます!

キャラ、セリフ、ストーリー……。全てが変化球な個性派が復活

『FLCL』と書いて『フリクリ』と読む。2000年にOVAとして登場した当時、この題名の謎もまた日本のアニメファンの間で話題となりました。ちなみに答えは今ひとつ不明。作中でもどちらかといえば鼻歌に近い扱いで意味は曖昧なまま、使われています。 傑作を数多く作り出してきたGAINAXとしては久々に原作なしのオリジナル作品であり、Production I.Gも製作に参加。エヴァンゲリオンシリーズで知名度が上がった鶴巻和哉や貞本義行が手掛けた作品ということもあって、話題性は十分。 一方でタイトル同様に、設定に関する説明はほとんどなしで強引に突き進む展開は刺激に満ちていました。ひと言で言うならそれは「自由奔放過ぎ!」。新作である『フリクリ オルタナ』『フリクリ プログレ』のキャッチコピーにもある「テキトーに」こそ、まさにこのシリーズにぴったりのフレーズでしょう。 演出も脚本も変化球満載。だからこそ快作で怪作な本作の見所を、前作から新作にかけてまとめてご紹介したいと思います。

巨大なアイロンに見下ろされた田舎町に、自称宇宙人襲来というお話

舞台は、昭和を思わせる日本のような片田舎の小さな街に見えるところ。近郊の山の上から家並みを見下ろすように、巨大な建造物が建っています。その姿はまるでアイロン。アニメ版ではその世界観からして正体不明でしたが、モデルとなっているのは豊橋市だと言われています。 その街に住む少年ナンダバ・ナオ太が、正体不明の旅人ハルハラ・ハル子と出会ったことで、物語は始まります。正確にはハル子のベスパに轢き殺されかけた、が正解ですが。さらに本当はすでに死亡していたようですが。ともかく事故に遭ってもなぜか生きているナオ太はそれ以来、不可思議な事件に巻き込まれていきます。 物語は、ナオ太に付きまとう不思議チャン、サメジマ・マミ美とハル子の間で揺れ動く、小学生の微妙にエロな恋心の機微を中心に進んでいきます。そこに、ナオ太の額から飛び出してきた家事手伝い型戦闘ロボット「カンチ」が、やはりことあるごとにナオ太の額から飛び出す奇怪な生命体と壮烈なバトルを繰り広げる、という展開。 なんとも奇想天外過ぎてついていくのがそれなりに大変ですが、全編を通じての裏テーマは、ハル子が追い求める宇宙レベルの「力」を巡る壮大なスペースオペラ。ただしあくまでその切れ端のようなちっちゃいスケールの物語、と言ったらいいでしょうか。

小学生も女子高校生も宇宙人も、すべてのキャラが揃って普通じゃない

主人公のナオ太は、小学生でありながらほぼ四六時中眉間にシワを寄せていて、子供らしい可愛げはほぼありません。一方で、兄へのコンプレックスに密かに悩む多感なお年頃だし実は妙に純粋で一途。そんな複雑な少年の男心を、水樹洵が生き生きと演じています。 ナオ太の兄の元カノで、パンツの露出回数が多いミニスカ女子高生マミ美は、笠木泉がアンニュイな雰囲気で熱演。友達少な目のプチ不良少女は自虐モードで日々暇を持て余している様子。それでもナオ太の行動に、大きな影響を与えています。 そして『フリクリ』キャラ変人No.1に輝くのが、ハル子。年齢不詳、職業不詳な自称宇宙人の旅人は、古ぼけているけど空まで飛べるベスパを駆って、ナオ太の人生を翻弄します。声を担当しているのは新谷真弓。もともと彼女をイメージして作られたキャラということもあって、すべてのセリフがまるでアドリブで演じられているかのように自然体です。

エヴァンゲリオンやDAICONで活躍した天才奇才たちが大集合

監督は鶴巻和哉。GAINAXで作画監督を努めたのち、『新世紀エヴァンゲリオン』の製作に参加。庵野秀明のもとで副監督を努めました。本作では自前のベスパをエンディングで登場させるなど、こだわりぶりは半端ではありません。 キャラクターデザインを担当した貞本義行は『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』に至る、細田守の代表作でキャラクターデザインを担当。鶴巻とともに、当時のGAINAXでは中核的なメンバーとして活躍していました。 ちなみに貞本は、アニメ&SFファンの間で伝説となっている日本SFコンベンション「DAICON Ⅳ」のオープニングムービー製作に関わった経歴の持ち主。第5話でバニーガール姿のハルコが滑空するかの名場面は、知っている人にしかわからないマニアックで衝撃的なオマージュです。

新作1『フリクリ オルタナ』額にお花が咲いた時、毎日が変わる

久々に完全新作として復活するにあたって、鶴巻はスーパーバイザーとして参加。貞本はキャラクター原案を担当しています。鶴巻に代わって総監督となったのが、『踊る大捜査線』シリーズのほか『PSYCO-PASS』などでアニメの実績もある本広克行。脚本の岩井秀人は劇作家であり俳優でもある、マルチな才能の持ち主です。 9月7日から公開されるシリーズ第2作『フリクリ オルタナ』では、少し大人っぽくなったハル子が登場。女子高校生・河本カナがペスパに轢かれて、額からお花が生えてしまいます。どうやらアイロンは街を蹂躙している様子。それでも毎日続くはずの毎日に、大きな変化が訪れます。 ちょっと「モヤついた」日常を送るカナを演じるのは、美山加恋。ハル子は前作に続き新谷真弓が担当しています。

新作2『フリクリ プログレ』猫耳少女と少年たちの日常に特別なことが

続いて9月28日からの公開が予定されているシリーズ第3作のタイトルは、『フリクリ プログレ』。ハル子は、ハルハ・ラハルとジンユというふたつの人格に分裂してしまいます。おかげで問題性は明らかに2倍以上に拡大。声を演じるのはそれぞれ、林原めぐみと沢城みゆきという実力派ふたりです。 本作で轢かれてしまうのはやはり女子高校生。猫耳ヘッドフォンが異様に似合いすぎている雲雀弄ヒドミ(声:水瀬いのり)ですが、巨大ロボットを額から出現させるのは彼女ではなくクラスメイトの少年です。 その日暮しの少年たちとヒドミの、特別なことなんて何もない退屈な日常が、この作品でも終わりを告げます。その時ハル子はどうなるのか。果たして世界はどんな状況に陥ってしまうのでしょうか。

the pillowsの新曲がオルタナとプログレの「世界」を席巻する

『フリクリ』に欠かせないもうひとつの重要なエッセンス。それがthe pillows(ザ・ビロウズ)が奏でるオルタナティブ・ロックの響きです。第1作ではエンディングテーマ「Ride on shooting star」をはじめ、劇中歌としてthe pillowsの楽曲が非常に効果的に使われていましたが、新作でも書き下ろされた新曲が物語を盛り上げます。 実は海外でthe pillowsの人気に火がついたきっかけが、『フリクリ』だったのだとか。だからこそ2016年のライヴではすでに、ヴォーカル兼ギターの山中さわおが「(作品に)似合う、いい曲を書いてみせる」と宣言していました。 その言葉どおり、PVで流れる『オルタナ』の「Star overhead」も『プログレ』の「spiky seeds」も、彼ららしい深い愛着を感じさる仕上がりとなっています。

『フリクリ』らしさはそのままに革新。その期待値はまさに無限大!

日本のアニメファンの多くは、まさかの復活劇を遂げた『フリクリ』に拍手喝采を送っています。メインキャラのハル子やthe pillowsの音楽など、変えて欲しくない部分をそのままにしてくれているのが、ファンにとっては嬉しいところでしょう。 一方でよりダイナミックな演出や分裂してしまうハル子など、製作陣は変化と進化にもしっかり意欲的。期待値すら想定不能なとんでもない傑作を予感してしまいます。 ああもう9月までなんて、待てない!