2018年9月8日更新

『フリクリ オルタナ』ネタバレ感想・解説!「ハル子vsセブンティーン軍団」顛末記

十数年ぶりに戻ってきたと思ったら、なんと映画?でも、ハル子はやっぱりハル子でした。いたいけな女子高生軍団の青春群像劇に強制乱入、イジるはイタぶるはちょっかいを出すわのやりたい放題。あいも変わらず自由すぎる『フリクリ オルタナ』ワールドを「ヒロイン」たちの活躍を中心にご紹介しましょう。

『フリクリ オルタナ』ネタバレ感想&解説!

脳が活性化していなれば置き去りにされてしまう超個性派アニメが復活

あらかじめお断りしておきます。本作「オルタナ」に限らず、続けて公開される『フリクリ プログレ』はもちろん、2000年からリリースされたOVAシリーズについても、できるだけ脳が活性化している時に鑑賞しましょう。 道理にとらわれないストーリー展開もシュールな映像表現もとんがった台詞回しも含めて、脳が活性化していないといつの間にか置き去りにされてしまうのがこの『フリクリ』の世界です。なにしろタイトルからして意味を把握しようと思うと相当「脳力」浪費しますので、ご注意を。

花のJK軍団の瑞々しい青春物語に、宇宙刑事が傍若無人に乱入!

『フリクリ オルタナ』は6つのエピソードで構成。ものすごく大雑把にあらすじを紹介するなら、とある海沿いの街で、17歳青春真っ盛りのJKたちが送る爽やかな青春群像劇が主軸。そこに、宇宙刑事を自称する弾けたお姉さん・ハル子が乱入する物語です。 とりあえずのハル子の目的は、地球上の各地に建造されたメディカルメカニカ社製巨大アイロンによる人類滅亡計画の阻止。もっとも、JK青春物語とのスケールのギャップが大きすぎて、いまひとつ緊迫感がありませんが。 ハル子やJKたちの活動を妨害するように、戦闘メカが突然出現。ちょっとファンキーなデザインの敵を相手に、ダイナミックな戦闘シーンが繰り広げられます。果たしてハル子たちは、地球を滅亡から救うことができるのでしょうか。そしてカナたちは、当たり前の日常を取り戻すことができるのでしょうか。

もしかすると、これが最後の新谷版ハル子?になるのか!

OVAシリーズから引き続き、総合ヒロイン的役割を務めているのが、ハルハラ・ハル子。光域宇宙警察官という宇宙の刑事さん的お仕事を自称。目元も髪型も性格も、非常にトンがった美女です。神出鬼没でケバブ屋台から女医さん、高校のバスケットボール部顧問に至るまで、さまざまな職種をソツなくこなしています。 声は新谷真弓が担当。これまでもどっぷり『フリクリ』の世界に浸かりきってきた新谷だけに、「オルタナ」制作に当たっては、新谷が思うハル子らしい行動や台詞回しを物語の展開に合わせて調整して構わない、ということになったそうです。 蕎麦屋の出前仕様と化した黄色いベスパを乗りこなし、フェンダーの名品「ムスタング67年モデル」を聖剣エクスカリバーよろしく振り回しながら、ファンキーな敵メカを圧倒。大きなスクリーンで展開されるダイナミックな戦闘シーンは、見ものです。 相変わらず自己中で弱みを見せないハル子ですが、「オルタナ」ではOVAよりもやや感情の変化を表現しているような気も。そうした変化もまた、新谷が心がけた新たな「ハル子像」だったのかもしれません。

ハル子vsセブンティーン軍団顛末記〜本当に「可愛い」のは誰だ?〜

高校生をヒロインにしようというアイデアは、OVAが小学生から始まった一方、『フリクリ プログレ』では中学生を主人公に設定していたことから、だったそう。 さらにOVAシリーズと比べて、いわゆるメイン級の美少女濃度がとても高い印象を受けます。それぞれのキャラ設定に関して監督の上村泰は、とくに「モッさんがとても目立つキャラになった」と語っていますが、そのとおり。 全員が可愛いだけの集団にはリアリティがない、という判断で生まれたモッさんですが、人物としての魅力ではナンバーワンかもしれません。

河本カナ(カナぶん/cv:美山加恋)

本作で額から武器がわりのギターや敵メカを転送してしまう、高校生の17歳女子。性格は明るくバイタリティはあるものの、今ひとつ強い個性が感じられない「普通」さが魅力です。 毎日が当たり前のように続くことを疑わないからこそ、それに強く執着する一面も持ち合わせていた、と言えそうです。

辺田友美(ペッツ/cv:吉田有里)

カナの幼馴染で、比較的無口。ただし時にサラっとキツいひとことを吐くタイプ。親がお金持ちで、メディカルメカニカの「アイロンがけ」を逃れて火星に移住することになった時、カナブンに本音をぶつけて関係性が壊れてしまいます。

矢島 聖(ヒジリー/cv:飯田里穂)

スタイル抜群、長い黒髪に整った顔立ちと、大人の女の雰囲気を漂わせた美少女。同年代の男子には目もくれず大学生と付き合っている反動でしょうか、カナたちと作り上げた大型のペットボトルロケットを見て「やだなにこれ……大きい……」とつぶやき思わずついたため息が、エロエロでした。

本山 滿(モッさん/cv:田村睦心)

恵まれた体格を生かして、日々ガテン系のアルバイトに従事する、働き者。服飾デザイナーを夢見て、専門学校に通う学費を稼いでいる頑張り屋さんです。ペットボトルロケット制作の中心となるなど、発想も実行力も4人の中では随一かもしれません。

メディカルメカニカのメカ軍団に、マイケル・ベイ!?

カナの額から送り出されるメディカルメカニカの戦闘メカたちは、カンチ仕様も含めてOVAシリーズからさらにパワーアップ。造形も変形もそうとう凝ったラインナップが揃っています。 たとえば、丸ごと唇!な愛嬌溢れるカタチから、どことなくエヴァンゲリオン初号機をほうふつとさせる第二形態を経て、人の手のひらのような形状にまで拡大する第三形態まで進化する「Eisode.2 フラメモ」のメカは、衝撃的でした。 さらにヒジリーの彼氏が乗っていたトヨタ・プリウスに光が走ると、なんとトランスフォーム!まるでバンブルビー!!あげくの果てに、ハル子は「マイケル・ベイ!」と叫びながら、キックをぶちかます始末。世界の巨匠をどこまでイジれば気がすむんでしょうか。 ちなみにパロディ要素としてはほかにも、『ブラックジャック』や『スラムダンク』といったメジャー級が登場。ちょっとマニアックなところでは、『仮面ライダー フォーゼ』で福士蒼太が元気よく叫ぶ「宇宙キター!!」が、あまりにも懐かしかったー!!

「the pillows」の歌声は、痒いところに手が届く感じが絶妙!

OVAに引き続き劇中歌を担当したthe pillows(ザ・ピロウズ)。挿入歌を11曲、書き下ろし主題歌を2曲プレイしています(インストを合わせて全14曲)。 仲間たちとのやりとりのシーンなど、雰囲気にぴったりの選曲はさすが!ですが、やはりEpisode.4 「ピタパト」のクライマックスで流れた「LITTELE BUSTERS」にシビれました。 ちなみに地球が崩壊していくラストエピソードのエンディングを締めるのは、「Thank You, My Twilight」でしたが、この選曲にもまた上村泰監督の強いこだわりがあったのだそうです。

ハル子の過去に疑惑発覚!蕎麦屋の常連、神田束太とどんな関係?

OVAシリーズでハル子は、特殊入国管理官のアマラオとかつて「いい関係」だったことが語られていましたが、本作でも新たに神田束太(cv:青山穣)なる人物が登場。やはり入国管理官で、首相とも太いパイプを持っているようです。もちろん眉毛も、アマラオのように海苔を貼り付けているワケではありませんが、かなり太いです。 回想シーンでは、健康回復器具のようなケーブルがたくさんついたバスタブに全裸のハル子がつかっていましたが、神田はまだ年齢的にも若々しい様子です。 この時、ハル子が神田の額から生み出したのは、ころんと小さくて愛らしい光線銃でした。可愛いのですがあまりにも小さくて。果たして神田の人間性が小さいためなのかそれともほかのどこかが人並み以下だったのか、その理由は残念ながら定かではありません。

『フリクリ オルタナ』ラストシーンの意味とは?【ネタバレ】

空に浮かぶ星はやっぱり……?「プログレ」への道筋は??

JKたちのゆるめな日常と、ハル子やメカによって巻き込まれる「非日常」を組み合わせながら、エピソードを重ねてやがて想定外にビッグスケールな結末を迎えることになります。 それでもラストシーンまで、さまざまな謎は残されたままです。たとえば空に浮かんだ飴玉のようにピカピカの惑星は、もしかすると地球?なのでしょうか。だとすれば、カナたちが暮らす世界は、いったいどこなのでしょうか。そして姿を消したハル子は、果たしてどこに行ってしまったのでしょうか。 たとえるなら、ものすごくゆるゆるなカナ的「人類補完計画」といったイメージで、エンディングを迎えることになります。 ちなみにここでご紹介している動画は、『フリクリ』劇場版の制作が公表されたばかりの段階でのティザームービーです。『フリクリ2』と仮題がついていますが、中身は「オルタナ」。当初予定とは違う上映順になってしまうあたりがなんとも自由で……「フリクリっぽ〜い!」