銀英伝って面白いの?原作小説を徹底解説!【新作アニメも】
累計発行部数1500万部超え!SF大作、『銀河英雄伝説』
小説やアニメのヒットでSFファン・アニメファンに人気の『銀河英雄伝説』。緻密に作りあげられた世界で繰り広げられる艦隊戦に白熱するもよし。政治劇にはらはらするもよし。魅力的なキャラクター達のかけあいに一喜一憂するもよし、と様々な楽しみ方が出来る作品です。
著者、田中芳樹の人物に迫る!
1978年に別名義で作家デビューした田中芳樹は、数々のヒット作を生み出しています。『銀河英雄伝説』はもちろんのこと、『アルスラーン戦記』や『創竜伝』、『タイタニア』など、長編のシリーズものが特に多くヒットしています。 その人気は根強く、『銀河英雄伝説』や『アルスラーン戦記』は2度にわたってTVアニメ化されるほど。作品の執筆に時間をかけることが多いため、ファンはやきもきしながら続巻を待っています。
『銀河英雄伝説』という物語
遠い未来、人間は科学力の進歩に伴って地球を離れ、銀河中へと進出していました。そんな科学力を得た人類でしたが戦争はなくならず、銀河帝国と自由惑星同盟という2つの勢力に分かれて100年以上にもわたる戦争を繰り返していたのです。 2つの勢力を繋ぐ航路に難攻不落の要塞が築かれ、膠着状態が続いていましたが、2人の天才の登場により、その膠着に終止符が打たれるのでした。 銀河帝国の権力奪取を狙う若き獅子、ラインハルトと、魔術師とあだ名されながらも戦いを嫌うヤン。果たして2人の運命は!?
魅力的な銀河帝国の面々
ラインハルト・フォン・ローエングラム
銀河帝国側の主人公ラインハルトは下級貴族ミューゼル家の長男として生まれました。母を早くに失い母親代わりに育ててくれた姉のアンネローゼが、銀河帝国皇帝の後宮に召しだされてしまったことから、心の奥底に打倒銀河帝国の思いを抱くことになります。
ジークフリード・キルヒアイス
ラインハルトの親友であるキルヒアイスは真面目で実直な人物。幼い頃を共に過ごしたラインハルトとアンネローゼのために、自らも戦うことを決意します。ラインハルトという戦いの天才についていくうちに自身の才能を開花させ、その人物像も含め、ヤン・ウェンリーを感嘆させるほどでした。
オスカー・フォン・ロイエンタール
銀河帝国軍の中で知り合った親友、ウォルフガング・ミッターマイヤーと共に、帝国の双璧と呼ばれることになる人物。クールな2枚目で、常に冷静沈着な判断を下す名将です。 親友であるミッターマイヤーがいると抑え役に回ってくれることを心得てか、普段とは異なる激情を見せることもあります。
ウォルフガング・ミッターマイヤー
体格の良い銀河帝国軍人の中では小柄なミッターマイヤーは、明るく素直な人物です。戦場においては「疾風ウォルフ」とあだ名される程に迅速な艦隊運用を実行できる勇将。 幼い頃、家に引き取られたエヴァンゼリンという女性に思いを寄せていましたが、長い片思いののちに結婚に至りました。
個性溢れる自由惑星同盟の面々
ヤン・ウェンリー
自由惑星同盟側の主人公ヤンは、情熱を燃やし続けるラインハルトとはうってかわって、戦わずに歴史だけを学んでいたい、という軍人とはかけ離れた思想の持ち主です。 しかし、秘められた能力は幾多の戦線で自由惑星同盟軍を勝利に導き、ヤンの夢である「悠々自適な年金生活」は遠のいていくのでした。
ユリアン・ミンツ
戦争により両親を亡くした少年で、自由惑星同盟の特例法によりヤンの被保護者となることに。運動神経抜群、マメで美味しい紅茶を入れるのが得意と、なかなかの万能ぶりを発揮します。 ヤンや周りの軍人を見て、自らも軍人となることを志すようになります。
ダスティ・アッテンボロー
士官学校時代のヤンの後輩であるアッテンボローは若くして優秀な艦隊指揮官です。明るい性格で「伊達と酔狂」で動くと公言し、口癖は「それがどうした!」。ユニークな表現やジョークが得意で、ヤン陣営を明るくしている原因のひとりです。
ワルター・フォン・シェーンコップ
銀河帝国からの亡命軍人だけで構成されている「薔薇の騎士(ローゼンリッター)」連隊の連隊長を務めています。大胆不敵、毒舌家で自信家なシェーンコップですが、その自信を裏付けるだけの活躍を繰り広げます。 アッテンボロー達との冗談の言い合いなども印象的で、戦いでもそうでない時も、ヤン陣営になくてはならない人物です。
その他陣営の登場人物
アドリアン・ルビンスキー
銀河帝国と自由惑星同盟を結ぶフェザーン回廊にある惑星フェザーンの自治領主。銀河帝国から自治を認められており、ふたつの勢力の裏で暗躍し、もうけを得ています。 地球教という地球をあがめる宗教に手を貸しており、地球をないがしろにする銀河帝国・自由惑星同盟に鉄槌を下そうと企んでいます。
銀河の歴史が動き出す、序盤のストーリーを解説
100年以上の長きにわたって膠着している銀河帝国と自由惑星同盟の戦争。それぞれの陣営に現れた2人の天才がその膠着に終止符を打つのでした。 銀河帝国軍の中で次々と戦果を挙げ、昇進していくラインハルト・ローエングラムと、ふたつの勢力圏を結ぶ航路に築かれた難攻不落のイゼルローン要塞をいとも簡単に陥落させたヤン・ウェンリー。時代は彼らを中心に速度を上げて動いていきます。 自由惑星同盟でクーデターが起き、ヤンがその鎮圧にあたっている間に、ラインハルトは銀河帝国の上級貴族達を追い詰め、遂に銀河帝国の覇権を握ることに成功するのでした。
激戦が繰り広げられる中盤のストーリー
ラインハルトが銀河帝国の覇権を握ったことから、自由惑星同盟との戦争は更に激化していきます。 軍事面では巨大要塞のワープによる奇襲。政治面では、自由惑星同盟の政治家達へ偽の情報を流し、ヤンを自身の艦隊から切り離そうとするラインハルト。対するヤンはすんでのところで政治家達の思惑から解放され、自身の艦隊とイゼルローン要塞を守り切ることに成功します。 一旦は難を逃れた自由惑星同盟でしたが、ラインハルトは自由惑星同盟の掃討作戦を発動。イゼルローン要塞のある回廊とは異なる、もう一方の中立地帯を占拠し、自由惑星同盟を蹂躙していきます。追い詰められながらもヤンはラインハルトの旗艦を射程に収めるのですが、その瞬間、自由惑星同盟の首都から停戦の命令が出されるのでした。
悲壮な戦いが続く、物語の終焉
自由惑星同盟をも征服し、新銀河帝国の皇帝となったラインハルト。天才が頂点に立ったことで時代は平和を迎えるかに見えましたが、戦争を好む者達の手により、つかの間の平和は終わっていきます。 ラインハルトとヤンとの再戦、自由惑星同盟に代わる民主主義の拠点としての「イゼルローン共和政府」の設立、帝国の内紛を経て、戦争の火種はやっと収束を迎えるのでした。
名作中の名作!旧TVアニメシリーズと豪華なキャスト達
1988年から2000年にかけてOVAにてシリーズ展開されました。全110話という大作で、原則として原作に忠実に、丁寧に作られた作品です。 「銀河声優伝説」と一部で呼ばれるほど豪華なキャスティングがされており、記載している他にも若本規夫や古川登志夫、羽佐間道夫など、数えだすときりがない程です。
ラインハルト役:堀川りょう
『ドラゴンボールZ』のベジータや『機動戦士ガンダム0083』のコウ・ウラキなど、叫び声が印象的な声の持ち主です。クールな点や、どこか少年のようなところを持っている点まで、見事にラインハルトを表現しています。
キルヒアイス役:広中雅志
声優としての仕事が多いわけではない広中ですが、落ち着いた深みのある声でキルヒアイスの魅力を引き出しており、声と役とが見事にマッチしています。
ヤン役:富山敬
『ちびまる子ちゃん』でさくら友蔵を演じたこともある富山。飄々としながらも、印象に残る低い声で、ふわりとしていながらも、強い芯を持ったヤンという人物を演じています。
ユリアン役:佐々木望
『幽遊白書』の浦飯幽助で知られる佐々木。幼い少年として登場するユリアンが成長していく様子を声の変化で見事に演じ切っています。
2018年4月から放送の新アニメシリーズとキャスト達
2018年4月から『銀河英雄伝説 Die Neue These』として、新たにアニメ展開が始まります。後述しますが、TVシリーズとそれに続く劇場版の制作がTVシリーズ放送前に決定しており、制作陣の力の入れようが伺えます。 根強い人気を誇る旧アニメシリーズから声優を一新し、2018年の技術で作られる『銀河英雄伝説 Die Neue These』は一体どんな作品になるのでしょうか?
ラインハルト役:宮野真守
2枚目のキャラクターを演じることに定評のある宮野。『銀河英雄伝説』は壮大な話でありながら人間物語を描く会話劇、と認識して、ラインハルトだけでなく周りの役・起こっていることなどを理解しようと努めているそうです。 クールでありながら内に熱い心を持っているラインハルトをどう演じるのか、必見です。
キルヒアイス役:梅原裕一郎
ここ数年で声優として頭角をあらわしてきた梅原。本人曰く「頭のいい役を演じるのは難しい」と感じさせるキルヒアイス役は、梅原のどんな一面を引き出してくれるのでしょうか? アニメ公式サイトのインタビューでは「原作が始まった時にはまだ生まれていなかった」とコメントし、ヤン役の鈴村を驚かせています。
ヤン役:鈴村健一
旧アニメシリーズでは外伝で名前のない兵士として出演していた鈴村、2枚目の役からおちゃらけた役までこなせるベテラン声優です。 『銀河英雄伝説』に登場する多数の人物のうちで1番好きだと感じているヤン役を射止めた鈴村が演じるヤンはどのような人物になるのでしょうか?
ユリアン役:梶裕貴
田中芳樹を原作者とする『アルスラーン戦記』では恨みを原動力に復讐を目指すヒルメスを演じた梶。うってかわって明るく、希望に溢れたユリアンを演じます。 佐々木望が演じきったユリアンの成長をどのように表現していくのか、梶にとっては声優としての腕のみせどころ、ファンとしては聴きどころになるでしょう。
こんな展開もあった!?銀英伝トリビア
舞台版『銀河英雄伝説』
2次元の展開がメインの『銀河英雄伝説』ですが、実は舞台化もされていたのです。2011年からラインハルト役を松坂桃李、ヤン・ウェンリー役を河村隆一が務めて舞台化。こちらのシリーズは、『舞台 銀河英雄伝説 Die Neue These』として2018年、新たに上演される予定が決まっています。 その他に、宝塚でも『銀河英雄伝説』が上演されており、こちらは通常とは一味違った壮麗な『銀河英雄伝説』を楽しむことができます。
漫画版『銀河英雄伝説』
1986年から道原かつみが作画を担当しているものと、2015年から、『封神演義』で有名な藤崎竜が作画を担当しているものが展開されています。 特に藤崎版は独特の絵柄と、大筋は変わらないながらも独自の解釈・展開を加えており、原作・アニメを楽しみ尽くしてしまった方にもオススメ出来る内容です。
実はバラバラに収録していた旧『銀河英雄伝説』
TVアニメのアフレコ、というとブースの中に複数の声優さんが入って、映像を見ながらマイクに声をあてていく、というイメージが強いですが、旧『銀河英雄伝説』では、キャストの豪華さゆえか「抜き録り」と呼ばれる個別のアフレコがメインでした。 若手の頃に出演した鈴村健一は、大御所に会えると思っていたら誰もいなくてがっかりしたとか。
2018年は『銀河英雄伝説 Die Neue These』が熱い!
様々な魅力をご紹介してきた『銀河英雄伝説』ですが、2018年4月より新アニメプロジェクトが始動します。『銀河英雄伝説 Die Neue These』として、2018年にはTVアニメとして「邂逅編」が放送中。2019年には劇場版として「星乱編」全3章の公開が予定されています。 これを機に再び盛り上がるであろう『銀河英雄伝説』から、まだまだ目が離せません!