オシャレとメイクが彼女たちの抵抗、映画『ガザの美容室』を徹底紹介
女性たちのささやかな幸せが大きな抵抗
未だ人々が戦火に怯える日々と送るパレスチナ地区ガザ。遠く離れた日本にいてもその様子は日々ニュースで配信されてきます。日本のような平和な国からは比べものにもならない、日々死と隣り合わせの生活を送るガザ地区に生きる人々。 そのため、おしゃれをする、メイクをする、平和な国に生きる女性なら誰でも日常的に行うことが手に入れ難いという現実と向き合うことをガザで生きる女性は強いられています。 しかしながら、日々戦火の恐怖に怯えるガザの生活の中では、おしゃれをする、メイクをするという女性としてのささやかな楽しみが社会に対する大きな抵抗力、また女性たちの反抗力を示すものでもあるのです。
舞台はガザにある美容室
『ガザの美容室』の舞台はパレスチナ自治区ガザにある美容室。ヒジャブを被った信心深い女性や出産間近の妊婦、結婚を間近に控えた女性、離婚調停中の主婦など、様々な女性がおしゃれをするために集まります。そこで髪を整えてもらったりメイクをしてもらったり、そしておしゃべりに花を咲かせる様子は一見、世界のどこでも見られる美容室の風景。 ところが、女性たちが楽しい時間を過ごしているときに美容室の向かいで突然銃撃戦が始まります。そして美容室は戦火に巻き込まれ、取り残されてしまいます。 もちろん彼女たちも戦火の恐怖に立たされていることに間違いはありません。それを証明するかのように、ちょっとした諍いが美容室内で起こります。しかしそれでも平静を装い続けてただ戦い続ける男性とは違うということを、メイクする、おしゃれをするというささやかな行為で抵抗を続けます。
イスラエル出身の女優陣
『ガザの美容室』に出演するのはヒアム・アッバス、マナル・アワド、ダイナ・シバーなどイスラエル出身の女優陣です。 特に卓越した演技を見せるのは離婚間近の女性エフィティカールを演じるヒアム・アッバス。監督業もこなすヒアム・アッバスは1960年イスラエル生まれの女性で、イスラエルのテレビドラマや映画で活躍するほか、ハリウッド映画にも度々登場しており、今までに様々な賞へのノミネート、受賞経験を持つ実力派女優です。
ガザで生まれ育った双子監督タルザン&アラブ・ナサール監督
『ガザの美容室』で監督を務めるのはガザで生まれそして育った双子のタルザン&アラブ・ナサールの二人です。 本作が初の長編映画作品でありながら、カンヌ国際映画祭に出品され、作品とともに注目を集めました。 タルザン&アラブ・ナサールの二人は、戦火のもと生活するガザの女性たちも他の国の女性と同じく、おしゃれもするし、恋もする、そんな妨げられながらも普通の日常生活を送ろうとする女性たちを描きたかっとインタビューで語っています。 ガザで生まれ育ち、そしてその戦火に巻き込まれた生活を送ってきた二人の監督だからこそ作り上げることのできた『ガザの美容室』。二人の監督が描きたかったストーリー、そして思いはしっかりと観る人に伝わったことは間違いありません。
カンヌ国際映画祭でも絶賛
『ガザの美容室』はタルザン&アラブ・ナサール監督の初の長編作品、また有名な俳優陣が出演していないにもかかわらず、カンヌ国際映画祭で大絶賛されました。またこのような政治的背景を絡ませた映画は評価が分かれがちですが、本作は映画評論家からも概ねよい評価を得ました。 そしてすでに公開されたイギリスやアメリカでも興行的によい成績を残しています。
日本での公開は2018年6月
『ガザの美容室』の日本での公開は2018年6月23日に東京渋谷のアップリンクのほか、新宿シネマカリテ、横浜のシネマリンで公開されることが決定しました。 その他まだ公開日程は発表されていないものの、北海道を始め、長野、大阪、兵庫、広島での公開も決定しています。さらには本作の公式ホームページも開催され、また公式のフェイスブックページ、ツイッターも解説されています。 日本公開まで、あと少し、ぜひホームページやSNSで最新情報を確認しながら、公開を待ちましょう。