2018年4月19日更新

ミロス・フォアマン、オスカーを二度受賞した巨匠を辿る!【アマデウス】

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2018年の4月13日に亡くなった、天才映画監督ミロス・フォアマンの作品をご紹介します。『アマデウス』や『カッコーの巣の上で』など、映画史に燦然と輝く数々の傑作を今こそ振り返りましょう。

映画ファン必見!ミロス・フォアマンの作品を振り返る

2018年4月13日に86歳で亡くなった、映画監督ミロス・フォアマン。『アマデウス』などの多くの名作映画を作り上げた、正に映画史に残る巨匠です。 今回は、彼が監督した数々の名作をまとめました。チェコスロヴァキアで活躍していた頃の作品から、アメリカに移住した後の代表作まで、ミロス・フォアマンの作品に触れてみましょう。 また、彼の生い立ちから功績についても解説しています。彼の作品を楽しむ上で、役に立つかもしれませんよ!

生まれから死去まで。ミロス・フォアマンの波乱万丈な人生

1932年にチェコスロヴァキアのチャスラフで生まれたミロス・フォアマン。彼の両親はナチスに反対していたためにゲシュタポに目をつけられ、強制収容所で亡くなっています。以降、彼は様々な人々の家に居候し、苦労しながら育ちました。10代の頃から演劇に関わり始め、プラハの国立映画学校で学んだ後、1958年に映画監督としてのキャリアをスタートさせます。 1966年の『ブロンドの恋』で知名度を高めるも、チェコスロヴァキアの内政が不安定になったため、アメリカに移住。1977年にはアメリカで市民権を獲得し、コロンビア大学の映画学科で教鞭をとるようになります。 その後も、2018年4月13日に亡くなるまで、巨大な体制や権力に反抗する作品を多く制作しました。

2回もアカデミー監督賞を獲得した巨匠!

1975年の『カッコーの巣の上で』と1984年の『アマデウス』の2作品で、アカデミー監督賞を受賞したミロス・フォアマン。 この2作品はゴールデングローブ賞も獲得しており、また、受賞には届かなかったものの1996年の『ラリー・フリント』でも監督賞にノミネートされています。 アカデミー監督賞を2度受賞した映画監督は、スティーヴン・スピルバーグやクリント・イーストウッドなどの巨匠揃い。この受賞歴は、映画界におけるミロス・フォアマンの評価の高さを物語っていると言えるでしょう。

ミロス・フォアマンも貢献したチェコ・ヌーヴェルヴァーグについて

チェコ・ヌーヴェルヴァーグとは、1960年代のチェコスロヴァキアにおいて巻き起こった反体制的な色合いを持つ映画運動です。 素人俳優の起用や即興的な長台詞、ブラックな笑いなどの実験的な手法を特徴としており、その後のチェコ映画に多大な影響を与えています。ミロス・フォアマンもチェコ・ヌーヴェルヴァーグを作り上げた人物の一人であるとされ、特に『ブロンドの恋』が高く評価されています。 チェコ・ヌーヴェルヴァーグでは他に、ヴェラ・ヒティロヴァの『ひなぎく』やイジ―・メンツェルの『厳重に監視された列車』などの作品が有名です。特に、『厳重に監視された列車』はアカデミー外国語映画賞を獲得したことで知られています。

どこにでもいる人々が織りなすオシャレなコメディー『ブロンドの恋』

工場で働く主人公の少女、アンドゥラと、パーティーで出会って一夜を共にしたピアニストの青年の恋を、コミカル且つリアルに描いたラブコメディー作品。 設定自体はごく普通で、どこにでもいるようなキャラクターしか出てこないストーリーながら、長い会話や洒落た音楽によって最後まで退屈せずに見ることが出来る点が特徴です。ミロス・フォアマンの作品の中でも初期のものですが、既に彼のセンスが大きく発揮されています。 オシャレな恋愛映画として楽しめる、チェコ・ヌーヴェルヴァーグを代表する作品です。

ドタバタ劇の中に風刺を込めた『火事だよ!カワイ子ちゃん』

消防署が主催した美人コンテストとくじ引き大会を舞台に巻き起こる、馬鹿げたドタバタを描いたコメディー映画。『ブロンドの恋』と同じく、ゆったりとしたテンポながら観客を飽きさせないよう、様々な工夫がされています。 徹底してコミカルに仕上げたストーリーはヌーヴェルヴァーグらしい皮肉に満ちており、1960年代のチェコスロヴァキアの時代背景を知っていれば、ゆるい空気の中に多くの風刺が隠されていることが分かるでしょう。 単なるコメディー映画としても楽しめますが、ある程度の背景知識を持って見ると更に面白さが増す作品です。本作が、チェコスロヴァキアで監督した最後の作品となりました。

大スケールの反戦ミュージカル映画!『ヘアー』

ベトナム戦争へと徴兵されることになったクロードは、出征前にニューヨークでヒッピーの人々に出会います。ヒッピーたちと行動を共にする内に彼も徐々に変わっていき、遂に出発の日を迎えますが……。 1968年から上演されている人気ロックミュージカルの映画化。ラブアンドピースの精神を押し出したカラフルで前向きなストーリー、そして思いもよらないシリアスな結末が話題を呼びました。 『ディア・ハンター』などへの出演で知られるジョン・サヴェージや、テレビドラマなどに多く出演しているトリート・ウィリアムズなどの、クセのある演技派俳優が出演しています。

アカデミー5部門を受賞したアメリカンニューシネマの名作『カッコーの巣の上で』

嘘をついて刑務所から精神病院へと逃れてきた主人公のマクマーフィー。彼が入院することになった病院は独裁的な婦長によって支配されており、患者たちは自由に行動することも出来ませんでした。 不満を抱いたマクマーフィーは病院への抵抗を始め、彼の行動によって次第に他の患者たちも自分の意思を取り戻していきますが……。 アメリカンニューシネマの代表作の一つであり、アカデミーでは監督賞をはじめとした5部門を獲得し大ヒットを記録しました。主演を務めた名優ジャック・ニコルソンの迫真の演技が大きな見所です。 アメリカ移住後の3作目の作品にして、ミロス・フォアマンの代表作となりました。

天才モーツァルトを描いた永遠の傑作!『アマデウス』

誰もが知っているクラシック音楽の天才、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトを描いた作品です。1823年のウィーンで、サリエリという老人が自殺を図る場面から物語は始まります。 一命を取り留めた彼の口から語られたのは、モーツァルトへの憎しみによって引き起こされた悲劇の過去でした。サリエリとモーツァルトの間に起きた、その出来事とは……。 重厚な心情描写が圧倒的な一大人間ドラマ。アカデミー賞で8部門を受賞し、その他にもゴールデングローブ賞などの数えきれないほどの賞を獲得した、映画史に残る傑作として語り継がれている作品です。

有名ポルノ雑誌の創刊者の半生を描いた『ラリー・フリント』

アメリカの人気ポルノ雑誌、ハスラーを創刊した実在の人物であるラリー・フリントの半生を映画化。成功と破滅の両方を経験した一人の男の波乱に満ちた人生を描きながら、表現の自由とは一体何なのかということを問いかける内容となっています。 ラリー・フリントをはじめ、登場するのは個性的で実在していると信じられないような人物ばかり。そのため、本作は刺激的であると同時に人を選ぶ作品と言えるでしょう。 しかし、作品の持つテーマは高く評価され、ゴールデングローブ賞では2部門、ベルリン国際映画祭では金熊賞を獲得しました。

18世紀末のスペインを舞台にした、ミロス・フォアマンの集大成『宮廷画家ゴヤは見た』

異端審問にかけられ過酷な運命を辿ることになる少女イネスと、権力に溺れた邪悪な神父ロレンソの生涯を、宮廷画家としてスペイン王室に仕えていた実在の画家、ゴヤの視点から描いた作品です。 イネスを演じるのはナタリー・ポートマン、ロレンソ役を『ノー・カントリー』などで知られるハビエル・バルデムが務めています。18世紀末のスペインで運命に翻弄される人々の姿を余すことなく描写した、ミロス・フォアマン最後の監督作です。 歴史を題材にした厳かな雰囲気は、『アマデウス』が気に入った人には受け入れやすいでしょう。

ミロス・フォアマンの作品は不滅!

いかがだったでしょうか?映画史に残る名作を数多く残した、ミロス・フォアマンの作品をご紹介しました。 『アマデウス』や『カッコーの巣の上で』などは勿論、今回紹介できなかった作品の他にも様々な名作がありますので、是非探してみてください。監督だけでなく、脚本家として参加している作品もあります。 明るいコメディーから重厚なドラマまで、バラエティー豊かな映画を世に送り出してきたミロス・フォアマン。彼の作品は、いつまでも語り継がれていくことでしょう!