2022年9月14日更新

【ネタバレ感想】実写『ピノキオ』はなぜ炎上した?あらすじ・キャストから映画の伝えたメッセージを紐解く

実写『ピノキオ』ポスター
© 2022 Disney

1940年に公開された映画『ピノキオ』が、2022年ついに実写映画化されディズニープラスで配信中です。

この記事では、実写版『ピノキオ』が物議をかもした経緯や映画の感想をネタバレありで紹介していきます。記事には映画のネタバレが含まれますので、未鑑賞の人はご注意ください。

実写版『ピノキオ』の配信日はいつ?

実写版『ピノキオ』は2022年9月8日から、Disney+(ディズニープラス)で独占配信中!当初は劇場公開を予定していましたが、新型コロナウイルスの影響で公開形態が変更されました。

妖精(ブルー・フェアリー)を演じているのは誰?

ブルー・フェアリーを演じるのは、イギリス出身の女優シンシア・エリヴォ。シンガーソングライター、ミュージカル女優としての顔も持ち、世界に認められたディーヴァです。

一方で、アニメ版の妖精とは似てもに似つかないビジュアルが物議を醸しています。

実写『ピノキオ』のあらすじ

1人孤独に暮らしていたゼペットがつくった、操り人形のピノキオ。ゼペットが「本当の子どもになりますように」と星に願うと、妖精ブルー・フェアリーがやってきてピノキオに命を吹き込みます。 ゼペットに愛されたピノキオは、次第に本物の子供になりたいと願うようになりました。ピノキオは相棒のジミニー・クリケットとともに冒険の旅に出て、さまざまな仲間と出会うことになります。

実写『ピノキオ』のキャスト・声優一覧

ゼペット トム・ハンクス 吹き替え:江原正士
ブルー・フェアリー(妖精) シンシア・エリヴォ 吹き替え:妃海風
コーチマン ルーク・エヴァンズ 吹き替え:吉原光夫
ジミニー・クリケット(声) ジョセフ・ゴードン=レビット 吹き替え:山本耕史
ピノキオ(声) ベンジャミン・エバン・エインズワース 吹き替え:川原瑛都
ファビアナ キャン・ラマヤ 吹き替え:早見沙織

実写『ピノキオ』結末までのネタバレあらすじ

ネタバレあらすじ①妖精に命を吹き込まれたピノキオ

孤独なおもちゃ職人のゼペットが作った、木の操り人形「ピノキオ」。人形を名づけた晩、ゼペットが流れ星に祈るとブルー・フェアリーがやってきてピノキオに命を吹き込みました。 妖精は物事の善悪がわからないピノキオに対し、「良心を持てば本物の人間になれる」と伝えます。それを見ていたコオロギのジミニー・クリケットが案内役に任命され、ピノキオは学校に通うことに。 学校に行く途中、狐ジョンとギデオンに目をつけられたピノキオ。「勉強よりも有名になるべきだ」と吹き込まれ、純粋なピノキオはそれを信じてしまいます。ジミニーの忠告もむなしくピノキオはストロンボリ人形劇団に売り飛ばされ、自由な人形として一時は喝采を浴びますが、商売目的のストロンボリからひどい扱いを受けてしまいます。

ネタバレあらすじ②誘惑の先にあったのは……。

嘘をついて鼻を伸ばし、閉じ込められていた鳥かごから脱出したピノキオ。急いで家に帰る途中、いたずらっ子のランプウィックが、楽しいことしかない「プレジャー・アイランド」に行こうと誘い、ピノキオはまたしてもその誘惑に負けてしまうのでした。 プレジャー・アイランドは悪いことをしても許される島で、時計をハンマーでたたき壊す子供たちの姿が。それを見たピノキオはひけめを感じながらも、時計を壊すことはしませんでした。 その後、ランプウィックとビリヤードをやっていると、ランプウィックが突然ロバに姿を変えてしまいます。ピノキオにもロバの耳としっぽが生えてきてしまいました。プレジャー・アイランドは子どもたちをロバに変え、売り飛ばしていたのです。

ネタバレあらすじ③知恵と勇気でを危機を脱するピノキオ

ジミニーの助けにより島から脱出できたピノキオ。ゼペットに会いに帰ろうとすると、彼がピノキオを探して海を渡ろうとしていることを知ります。 ピノキオはカモメのソフィアの力を借り、知恵をしぼりゼペットの元へ。海の上でやっと会えたと思ったら、巨大クジラのモンストロに飲み込まれてしまいました。そこでもゼペットと協力し合って、ピノキオたちは脱出に成功します。

結末ネタバレ④ピノキオは本物の子どもになれた?

モンストロの襲撃から必死の思いで逃げたピノキオたちは岩場に到着しますが、ゼペットは生死不明の状態に……。ピノキオは1粒の涙を流し、ゼペットは息を吹き返します。 ゼペットはピノキオに「今までもこれからも、私の本物の子供だ。大切な自慢の息子だ。」と伝え、ありのままのピノキオを愛していると言います。ピノキオは本物の心を持った子供になったのでした。

実写『ピノキオ』のネタバレ感想 なぜ炎上したのか?

オリジナル要素は高評価。ラストのメッセージがアップデートされた!

アニメ版とは違う要素として、ストロンボリ人形劇団に所属しているファビアナと彼女の操り人形サビーナが登場しています。彼女たちはピノキオの友達として手を差し伸べるだけでなく、封鎖された環境から飛び立つことを夢見ているキャラクター。最終的には夢が叶い、いろんな意味でピノキオに良い影響を与えた存在でした。 またラストについても現代の価値観にアップデートされた改変が行われていました。 アニメ版の結末では息絶えた操り人形のピノキオに対し、ブルー・フェアリーがこれまでの勇敢な姿を評価して本物の人間として生き返らせて物語は終わります。しかし実写映画では、ゼペットがピノキオに対して「本物の人間になってほしい」と願ったことで生まれた誤解を解くのです。 ゼペットは本物の人間になってほしかったわけではなく、初めからありのままのピノキオを愛していたのでした。最終的にピノキオは木の人形の姿のまま、ゼペットと手をつなぎ家路につきます。「本物の人間」になってハッピーエンドではなく、「見た目は木の人形でも、ゼペットはピノキオのことを本物の心を持った息子として愛した」というハッピーエンドなのです。 重要なのは見た目や姿が“本物かどうか”ではなく、「ありのままの存在を受け入れて愛せるか」なのではないでしょうか。

ディズニーのポリコレ配役の炎上について

ピノキオ
©Walt Disney Productions/Photofest/Zeta Image

アニメ版のブルー・フェアリーが金髪碧眼の白人として描かれているのに対し、実写版はナイジェリア人の両親を持つ女優シンシア・エリヴォを起用しています。 近年はポリコレ(人種、信条、性別などに中立的な表現)を意識し、実写版『シンデレラ』などでも多様なキャストを登用しているディズニー映画。しかし原作ありきの作品でありながら、元のキャラクター像を無視した配役には「やりすぎ」と不満の声が多いようでした。 しかし実写化作品は、アニメのキャラクターのコスプレをしたような再現度が最も重要なのでしょうか?物語の解釈は時代によって変わるものでもあり、ディズニーが過去のアニメ作品を実写化しているのは現代に通じるメッセージを届けるためだと感じます。 実写『ピノキオ』はポリコレ批判が起こる世の中に対して、本質を見ましょうというメッセージを伝えているようでもありました。

みんなの感想・レビューを紹介

総合評価
3.5

吹き出し アイコン

20代男性

期待していた分、実写化したことの付加価値が小さい気がして少しがっかりした。とはいえアニメ版からの大きな改変がなく、アニメを観たときにも感じた怖さを思い出した。メッセージもアニメ版と同じように伝わってきた。ディズニーには新しい発見やメッセージを発信してほしいところ。

吹き出し アイコン

30代女性

ブルー・フェアリーを黒人女性であるシンシア・エリヴォが演じて賛否両論となりましたが、私は全く違和感を感じなかったです。むしろCGで再現された妖精の羽根の動きが、うにょうにょしていて気になりました。配役ではなくきちんと物語の本質で議論が巻き起こるようになってほしいなあ。

実写『ピノキオ』の登場人物・キャスト解説

ゼペット役/トム・ハンクス

トム・ハンクス
WENN.com

ゼペットは子ども好きで手先が起用な人形職人のおじいさん。木彫りの男の子の人形に「ピノキオ」と名付け、命が宿るように星に願い続けていました。 ピノキオの父親を演じるのは、『フィラデルフィア』(1993年)と『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994年)で、2度のアカデミー賞主演男優賞に輝いたトム・ハンクス。彼は早い段階で同役に決定していたものの、1度降板した経緯があります。 ロバート・ゼメキスが監督交渉に入ると、縁の深いトム・ハンクスが再び交渉のテーブルにつくのではと噂され、その通りの結果となりました。日本語吹き替え声優を務めるのは江原正士です。

ブルー・フェアリー(妖精)役/シンシア・エリヴォ

シンシア・エリヴォ
© Adriana M. Barraza/WENN.com/zetaimage

ゼペットの祈りを聞き届け、木彫りの人形に命を吹き込んだ妖精ブルー・フェアリー。ピノキオへの罰として、彼が嘘を吐くたびに鼻が伸びる呪いをかけたのも彼女です。 演じるシンシア・エリヴォは、ミュージカル『カラー・パープル』で主演セリー役を演じ、トニー賞主演女優賞、グラミー賞、エミー賞など数々の賞を獲得しています。2020年には主演映画『ハリエット』で第92回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、女優では史上5人目となるエンタメ界の大賞「EGOT」の制覇まであと1歩のところに迫りました。 日本語吹き替え声優には、吹き替え初挑戦となる妃海風が起用されています。

ピノキオ役(声)/ベンジャミン・エバン・エインズワース

ベンジャミン・エバン・エインズワース『ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー』
©Netflix/Photofest/Zeta Image

ゼペットが作った操り人形・ピノキオ。妖精に命を吹き込まれ、無邪気に生きる男の子です。本物の子供になることを夢見て、冒険の旅に出ます。 実写版『ピノキオ』で、ピノキオの声を演じるのは2008年生まれのベンジャミン・エバン・エインズワースです。10歳の頃から子役として活動をはじめ、2020年配信のNetflixドラマ『ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー』ではメインキャストのマイルズを演じ知名度を上げました。 日本語吹き替え声優は2013年生まれの川原瑛都です。

ジミニー・クリケット役(声)/ジョセフ・ゴードン=レヴィット

ジョセフ・ゴードン=レヴィット
©Dennis Van Tine/Geisler-Fotopres/picture alliance / Geisler-Fotop/Newscom/Zeta Image

ピノキオを善い方向へ導き、彼の良心となる流れ者の紳士ジミニー・クリケット。ゼペットの家に泊まり込んだ日、人形に命が宿る瞬間を目撃することになりました。 原作童話では序盤から早々にピノキオに殺されるため、大幅なキャラクター変更が施されています。 語り部も担うコオロギのジミニーを演じるのは、クリストファー・ノーラン監督作『インセプション』(2010年)などで知られるジョセフ・ゴードン=レヴィットです。本作のメガホンを取るロバート・ゼメキス監督作『ザ・ウォーク』(2015年)では主演を務めました。 日本語吹き替え声優は山本耕史が務めます。

コーチマン役/ルーク・エヴァンズ

ルーク・エヴァンス
©Hubert Boesl/dpa/picture-alliance/Newscom/Zeta Image

『ピノキオ』のヴィランの1人であり、「馬車屋の親父」でお馴染みのコーチマン。不良少年たちを遊園地へ招待し、最後にはロバに変えて売り飛ばす奴隷商人です。アニメ版ではジョンと共謀する描写もありますが、彼より遥かに悪人として描かれています。 コーチマンを演じるのは、実写版『美女と野獣』でガストンに扮したルーク・エヴァンズです。『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013年)でも、悪役のオーウェン・ショウを好演しました。 日本語吹き替え声優は、実写映画『美女と野獣』でガストン役の声優も担当した吉原光夫です。

監督・脚本はロバート・ゼメキス

ロバート・ゼメキス
©️WENN.com

監督:ロバート・ゼメキス

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズなどで知られるロバート・ゼメキスが『ピノキオ』の監督を務めました。 それまでは、ダニエル・クレイグ主演の「007」シリーズのサム・メンデスや「パディントン」シリーズのポール・キングらが監督に就任するも、いずれも降板。今度こそ確定してほしいと期待されていましたが、2020年1月、ゼメキスが監督と共同脚本を担当すると発表。 『フォレスト・ガンプ/一期一会』などでも組んだトム・ハンクスと、『ポーラー・エクスプレス』(2004年)以来、4度目の黄金タッグの実現です!

脚本:クリス・ワイツ×ロバート・ゼメキス

実写版『ピノキオ』の脚本は、『シングルマン』(2009年)のクリス・ワイツとロバート・ゼメキス監督の共同執筆です。

実写『ピノキオ』に続編情報?

ディズニー実写映画『ライオンキング』(2019)や『アラジン』(2019)は、そのヒットを受けて続編の企画が進んでいます。 本作の製作総指揮者を務めたジャクリーン・レヴィンはアメリカのニュースサイト「Variety」のインタビューで「たぶん、おそらく(続編は製作される)。作品の成績次第ですが。」と、実写『ピノキオ』の続編の可能性を示唆しました。 「この物語には間違いなく行くべきところがある」ともコメントしており、製作陣としては続編製作に意欲的なようです。

ディズニー以外の実写版『ピノキオ』をおさらい

ディズニーのイメージが強い一方で、現在進行形で様々な映画が製作される『ピノキオ』。過去の実写版には、どんなピノキオ映画があったのでしょうか?

VFXで動く木彫りの人形を表現した『ピノキオ』(1996年)

1996年に公開された実写映画『ピノキオ』は、カルロ・コッローディの童話『ピノッキオの冒険』(1883年)に忠実なストーリーになっています。 本作は、当時最新のアニマトロニクスなどの技術を駆使したピノキオの姿が印象的です。このピノキオは、『セサミ・ストリート』などのマペット製作・操作で知られるジム・ヘンソンが設立したジム・ヘンソン・クリーチャー・ショップによるもの。 本当に生きているかのような動きで世界を驚かせました。

「ライフ・イズ・ビューティフル」のロベルト・ベニーニが脚本・監督・主演を務めた『ピノッキオ』(2002年)

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998年)でアカデミー主演男優賞を受賞したイタリアの俳優、ロベルト・ベニーニが主演・脚本・監督を務めた『ピノッキオ』。こちらも原作童話に忠実ながら、歌あり、バレエあり、人形劇ありの盛りだくさんの内容となっています。 イタリア国内では当時の最高興行収入を記録する大ヒットとなりました。また、イタリア映画アカデミーが主催するダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞と美術賞の2部門を受賞。 しかし、アメリカでは史上最低映画を表彰するゴールデン・ラズベリー賞で主演男優賞を受賞するなど、さんざんな評価を受けました。

『ほんとうのピノッキオ』(2021年)

『ドッグマン』(2018年)などで知られるイタリアの鬼才、マッテオ・ガローネが監督・脚本・製作を務めた『ほんとうのピノッキオ』。“ダークな”原作童話の原点を見直し、貧困にあえぐイタリアの田舎町を舞台に大人のためのおとぎ話を作り上げました。 ディズニー版とは全くの別物で、特殊メイクで再現したピノキオも不気味な雰囲気が漂います。 人生の不条理や社会風刺を盛り込んだ本作は、本国で公開年の国内映画動員数No.1を記録。国外からも美術や衣装が高い評価を受け、第93回アカデミー賞では衣装デザイン賞、メイクアップ&スタイリング賞の2部門にノミネートされました。

実写『ピノキオ』の炎上に惑わされずメッセージの本質を受け取ろう

『シンデレラ』に続くディズニー長編アニメ映画の第2弾として誕生した『ピノキオ』。そんな歴史ある名作アニメが、実写化という名の魔法で現代に蘇りました。 劇場で観られないのは少し残念ですが、友人や子どもと一緒に2022年に新しく蘇った『ピノキオ』を楽しんでみてください。