2025年5月27日更新

【ネタバレ考察】映画『シャッターアイランド』最後のシーンはわざと?結末までのあらすじを解説

このページにはプロモーションが含まれています
シャッターアイランド、レオナルド・ディカプリオ
© 2020 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

孤絶した不気味な島の精神病院を舞台にしたサイコスリラー『シャッターアイランド』(2010年)。 巨匠マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオが再びタッグを組んだこのネオ・ノワール映画には、観る者を惑わす謎や巧みな伏線が散りばめられています。 この記事では、『シャッターアイランド』(2010)のネタバレあらすじから、その難解なストーリーの徹底解説、そして衝撃的なラストシーンの考察まで、深く掘り下げていきます。

AD

映画『シャッターアイランド』あらすじ【ネタバレなし】

原題 『Shutter Island』
上映時間 138分
監督 マーティン・スコセッシ
キャスト レオナルド・ディカプリオ , マーク・ラファロ , ベン・キングズレー , ミシェル・ウィリアムズ , エミリー・モーティマー , パトリシア・クラークソン , マックス・フォン・シドー , ジャッキー・アール・ヘイリー , イライアス・コティーズ

連邦保安官テディ(レオナルド・ディカプリオ)は相棒のチャック(マーク・ラファロ)とともに、精神病院が立つ孤島「シャッターアイランド」へ向かいます。彼らの任務は、我が子を殺した女性患者の失踪事件の捜査でした。しかし、医師たちの奇妙な行動や、彼自身の過去の記憶がテディを惑わせ始めます。 次第にこの島と自身の正気に対する疑念を深めていくテディ。果たして、彼は真実にたどり着けるのか、それともーー。

【ネタバレ】『シャッターアイランド』の結末までのあらすじ

【起】シャッターアイランドへの上陸

精神病の殺人犯らが収容される孤島の精神病施設「シャッターアイランド」。脱出不可能な施設で、レイチェルという患者が行方をくらませました。保安官のテディ・ダニエルスとチャック・オールは捜査のために、嵐が迫る島に上陸します。 行方を探すレイチェルは子ども3人を殺害。しかし子どもたちは生きており、この島を我が家だと盲信している患者でした。さらにレイチェルの主治医、シーアン医師が休暇のために島から離れていると明らかに。嵐が本土に上陸した影響で回線が不通となっており、シーアン医師と通話することもできません。

【承】テディの隠された目的

テディにはこの施設へ来たもう1つの理由がありました。それは妻を殺した殺人犯「レディス」との面会です。 聞き込みの中で、ミセス・カーンズにシーアン医師について聞くと、少し困ったように「良い人よ」と答えます。しかしチャックが席を離れるとテディに「RUN(逃げろ)」と忠告したのです。そしてレディスについては、少し怯えながら「何も知らない」と去っていきました。 この施設では違法な「ロボトミー手術」が行われている、と知ったテディ。施設にさらなる秘密があると考え、危険な患者の棟「C棟」の捜索を決意しました。

AD

【転】相棒・チャックの消失と真実

C棟に向かうと、島についてテディに話したジョージ・ノイスと再会します。独房に入れられたジョージは「あんたとレイチェル。それが(真実の)核心」と意味深な言葉を残しました。捜査の途中に相棒・チャックが消え、医師からは「最初からテディは1人だった」とまで言われてしまいます。 チャックが灯台で人体実験をされると焦るテディ。コーリー医師の愛車を爆破し、監視の目をそらす間に、灯台へと走り出しました。 大海原を泳ぎ、長い螺旋階段を登った先に待っていたのはジョン・コーリー医師と、相棒のチャック・オール。相棒チャックはシーアン医師であり、テディは2年前からこの島で治療を受ける患者だと言い始めーー。

【結末】テディが辿り着く衝撃のラスト

妻を殺害したとされる「レディス」はテディ自身であり、テディのフルネームを入れ替えたアナグラム。さらに子どもを殺した「レイチェル」は、亡き妻「ドロレス」のアナグラムでした。 真実は、アルコール依存症のレディス(テディ)が原因でドロレスがうつ病になり、3人の子どもを殺害。レディスはその直後、妻を殺害していました。 シーアン医師らは、真実を受け入れさせようとレディスにロールプレイ治療を施していたのです。もし真実を受け入れなければ、ロボトミー手術が待っています。 ラストシーン。目を覚ましたレディスの"テディに戻ったかのような"発言により、シーアン医師の顔が曇ります。しかしその直後、レディスはとある言葉を残し、医師たちと消えていきました。

AD

ロボトミー手術とは何か?

テディが、病院を調査しているうちに耳にするロボトミー手術とは、緊張や興奮を除去するために前頭葉の一部を切除する手術のことです。1936年に開始されたロボトミー手術は、『シャッターアイランド』の舞台である1954年にも頻繁に行われ、人格変化など多くの副作用の存在が確認されています。 テディは、シャッターアイランドでロボトミー手術によって、マインドコントロールの実験を行っていると思い込みます。そして、保安官である自分は、病院の陰謀にはめられており、病院の薬をタバコや食事に仕込まれていると考え始めていました。

【考察①】最後のシーンはわざと?手術を受ける理由とは

「モンスターのまま生きるか、善人として死ぬか」からわざと説

ラストシーンで、レディスはシーアン医師を再び相棒時代の「チャック」と呼び、院長とシーアン医師は目を合わせ、ロールプレイによる治療が失敗したことを悟ります。 しかしその直後にレディスが残した「善人として死ぬか、モンスターとして生きるか、どちらがマシなんだろうか」という台詞にシーアン医師はハッとします。 この言葉は、レディスが実際にはテディから抜け出していると解釈できるのです。抱えきれないほどのトラウマに苦しむレディスが「人格を消し去る」と言うロボトミー手術を受け入れることで、過去の自分を完全に葬り去り、善人としての終わりを選んだようにも受け取れます。

AD

原作の最後からわざとではなかった説

映画版は原作小説の展開を忠実に再現しており、多くの場面がほぼそのまま描かれています。しかし、映画の最後に登場する「善人として死ぬか、モンスターとして生きるか」という印象的な台詞は、原作には存在しません。 映画にあるラストのセリフがない原作では、レディスがシーアン医師を「チャック」と呼び、島からの脱出を企てる場面で物語が終わります。 この描写を素直に受け止めるなら、彼は意図的にテディのふりをしていたわけではないという結論になります。皆さんは映画と小説、どちらの結末が好みでしょうか。

【考察②】テディは本当の保安官で病院側の陰謀?

本作は灯台の場所ですら見るたびに変わり、真実として話される内容もどこまで信じていいのか疑わしくなります。「本当はテディがこの島の患者ではなく、ただの保安官だった」という考察もできてしまうのです。 つまり、保安官テディが事件を捜査しに来たものの、不用意に島の秘密に踏み込んだせいで、医師たちが患者だとでっち上げて陥れた、という考察。少し無理があるように思えるかもしれませんが、シャッターアイランドに入る前と入った後が描かれていないため、可能性はゼロではありません。

【考察③】水が消える伏線はテディの恐怖を意味している?

『シャッターアイランド』は、テディの妄想の部分と現実に起きている部分が混ざり合って構成されています。テディの妄想なのか、現実なのかを知るために本作で重要になってくる要素の一つが「水」です。 テディの妻、ドロレスが子供達を水死させたトラウマからテディは水に苦手意識を持っているのが分かります。そのため、船の上ではテディの具合が悪くなっていたり、患者の事情聴取では、女性患者が飲む水の入ったコップがコップごと消えるという場面がありました。 テディの苦手意識が妄想を作り出し、コップの水を消してしまっていたようです。よって、水が飲み干された空のコップは消えていませんでした。

AD

【解説①】相棒・チャックの正体は?

相棒のチャック・オールは、実はレディスの主治医であるシーアン医師だったと明かされます。彼が相棒役になったのは、レディスを監視する必要があったからでした。 ミセス・カーンズを尋問する場面では、何も知らないテディが彼女に「シーアン医師」について質問した際、彼女の視線がわずかにチャックへ向かっていたのが分かります。さらに、テディが「口説かれた?」と尋ねると、チャックが目を伏せるという仕草も見せていました。 チャック=シーアン医師だと分かると、これらのシーンはすべて意味があっての行動だと理解できます。

【解説②】タイトルをアナグラムで並べ替えると「真実と嘘」になる?

この作品で重要な要素となったのが、文字を並べ替えることで意味が変わるアナグラムです。実は、英題である「Shutter Island」も、並べ替えると物語を表す3つの言葉が浮かび上がります。 1.Truth and Lies (真実と嘘) 2.Truth Denials (真実の否定/現実逃避) 3.Ted Hunts Liars. (テッドは嘘つきを追い詰める) 観終わってから上記のアナグラムに気づくと、ゾワッと恐怖を感じますよね。

【解説③】洞窟で出会ったレイチェルは空想なのか?

テディにとって現実をほのめかす「水」と反対の存在が「火」です。妻ドロレスが子供達を殺害した時にびしょ濡れであった事に対して、テディの夢や妄想に現れるドロレスは常に火に囲まれています。ドロレスの偽の死因も火事でした。 この「火」の存在を追うことで、『シャッターアイランド』作中のテディの妄想部分を見抜くことが出来ます。C棟でのジョージ・ノイスとの会話シーンでは、ドロレスが現れたり、マッチの火が消えても部屋が明るいままであったりと、テディがマッチを擦った後から妄想を見始めています。 さらに、崖の洞窟で出会ったレイチェルと思われる女性との会話には、キャンプファイアーの炎が会話する二人にかぶさるように撮影されており、テディが妄想を見ていることを示しています。

AD

『シャッターアイランド』の高評価された俳優たちの演技にも注目!

多くの伏線が隠されている謎解き映画とも呼べる『シャッターアイランド』の魅力は、俳優達の演技力にもあります。レオナルド・ディカプリオの混乱したテディを演じる細かな演技や、精神的に限界を迎えたドロレスを演じたミシェル・ウィリアムズの演技にも注目したいです。 そして、シーアン医師を演じたマークラファロの表情は、謎解きの道標とも言えます。チャックとしてでなく、シーアン医師としてテディを心配する様子を映画全体を通して観ることが出来ます。2度3度見ても楽しめる作品と言えます。

映画『シャッターアイランド』のネタバレ考察をおさらい!

どんでん返しが癖になるミステリー映画『シャッターアイランド』(2010)。解説を読んでから観てみると、テディが見た夢の意味やチャックの心情などが分かり、より深くストーリーを楽しめるはずです。 解説を参考に『シャッターアイランド』をもう一度観てみてはいかがでしょうか。