『ファイトクラブ』、難解と呼ばれる映画を考察してみた③【ネタバレあり】

2018年6月16日更新

1999年公開『ファイトクラブ』は、エドワード・ノートンとブラッド・ピット主演、デヴィッド・フィンチャー監督指揮のサイコスリラーです。映画後半のどんでん返しが話題を呼び、難解と言われた『ファイトクラブ』を考察します!

『ファイトクラブ』をネタバレありで考察してみます

1999年に公開した、デヴィッド・フィンチゃーの『ファイトクラブ』。エドワード・ノートンとブラッド・ピットが主演で、映画後半のどんでん返しが話題を呼びました。難解とも呼ばれる『ファイトクラブ』を深く考察してみたいと思います!

【ネタバレ注意】『ファイトクラブ』のあらすじ解説

不眠症に悩む会社員、「僕」は、事故と見られる火災で自宅が爆発してしまい、飛行機で偶然出会った男、タイラーと過ごすようになります。2人は殴り合いをする「ファイトクラブ」を立ち上げ、主人公は少しずつ、不満に思っていた会社での悩みを解決していきました。 しかし、時間が経つにつれ、クラブの会員はタイラー率いるテロ集団と変わっていきます。社会への破壊行為に反対する主人公はテイラーの大規模な金融ビル爆破計画を知り、阻止しようと動き始めました。そしてその途中で、主人公はテイラーが実際には存在しない自分の別人格であることを知ります。

『ファイトクラブ』におけるマーラの存在

重い病気を患った患者のためのセミナーに参加していた主人公が出会ったマーラは、金銭的に余裕のある主人公と立場は違うものの、同じ心境を持った人と言えます。主人公にもマーラにも、友人がおらず、人生の目的を失った憂鬱な様子がそっくりです。主人公がマーラを邪険に思うのは、自分を見ている様に感じたからです。 マーラがタイラーと関係を持っていると思っていた主人公でしたが、実際には主人公が別人格タイラーとしてマーラと関係を持っていたのでした。よって、主人公がマーラにタイラーの話をした時には、”誰?”と聞き返されています。タイラー、主人公、マーラの3人での会話は、一度も成立しておらず、タイラーが主人公の別人格であることの伏線となっていました。

『ファイトクラブ』の名言が響く理由

主人公の「僕」の名前がハッキリ映画に現れない理由は、主人公の本当の名前がタイラー・ダーデンである可能性もありますが、主人公が不特定多数の現代人の一人を表している為だと考えることができます。主人公のように、金銭的に自立した存在でも、日々生きていることを感じられずにいる人は多いはずです。 映画全体で数々の心に響く名言が聞ける『ファイトクラブ』。"お前は物に支配されている"や "痛みを感じろ。苦しみと犠牲が尊いんだ。痛みから逃げるな。人生最高の瞬間を味わえ"など、作品のテーマである「生きること」に関しての台詞が心に響くのは、タイラーの言葉が主人公「僕」だけでなく観客が共感出来るアドバイスであるからではないでしょうか。

『ファイトクラブ』での暴力と痛み、男性像【ルール、サブリミナル】

ファイトクラブのルールが示す暴力

ファイトクラブのルールが意味するものは一体何なのでしょうか?『ファイトクラブ』は時に、男性の力強さを強調した、暴力を推進する映画と捉えられることもあります。しかし、ファイトクラブのルールには、暴力を楽しむことを寧ろ控えるような表現があります。1対1の戦いや降参に関するルールは暴力が行き過ぎることを抑圧するものです。 さらに、ファイトクラブでのファイトの意味は殴られて痛みを感じることにあります。人は痛みを感じることで生きていることを実感するというタイラーの言葉通り、『ファイトクラブ』は暴力ではなく、痛み、さらに、生きていることの感覚をテーマにしています。

『ファイトクラブ』で使われたサブリミナル効果

サブリミナル効果とは、知覚できない速さの刺激を与え、存在意識に影響をおこすことをいいます。映画の1コマに、知覚出来ない何らかの画像などをはさみ、存在意識へのメッセージを送ることが出来るとされています。 『ファイトクラブ』のラストシーンには、男性器の1コマが挿入されています。これは、タイラーが映写技師として働いていた時の遊びと同じですが、『ファイトクラブ』全編で強調されている「男性像」を表してしているとも言えます。

行き過ぎたタイラーを止める主人公

主人公と正反対とも言える存在のテイラーは、主人公の理想とする人格であり、主人公はタイラーになりたいと心の中で思っていました。不眠症で悩んでいる主人公は”気づくと知らない場所にいる”と語っており、度々タイラーとして生活していたことが予想されます。 ファイトクラブを始めてから、タイラーに感化された主人公は、自信を持ち始め、会社関係の問題を解決していきます。自身の理想に少し近づいた主人公でしたが、タイラーの感化や影響が主人公自身だけでなく社会へと向けられた時、タイラーを止める事を決心しました。主人公は、理想とするタイラーそのものになることを拒んだのでした。

『ファイト・クラブ』衝撃のラストシーンの意味を解説!

『ファイトクラブ』のラストは、主人公が顎を打ち抜くことで、タイラーを消すことに成功します。マーラに声をかけた時には、主人公は自信を持った表情をしており、ビルが崩れた時にも主人公は落ち着いた様子でした。マーラと主人公は手を繋ぎ、2人が生きていること実感する場面で映画は幕を閉じます。 主人公はタイラーでもなく「僕」でもなく、2人が混ざった真実の人格へを得たと言えます。