2018年7月14日更新

『ドニー・ダーコ』はジャンルが詰め込まれた難解映画!「タイムトラベルの哲学」を紐解く

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『ドニ―・ダーコ』
© Pandora Cinema/zetaimage

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『ドニー・ダーコ』、2001年公開の難解映画を完全解説!

2001年に公開された『ドニー・ダーコ』は、青春、カルト、SFなど、多くのジャンルが混ぜ合わされたような不思議な雰囲気を纏った作品です。物語が複雑で、難解映画と呼ばれる『ドニー・ダーコ』を徹底的に考察しました!

タイムトラベルの哲学【周回の謎】

ドニーが作中で先生から貰う架空の本「タイムトラベルの哲学」。映画の公式ホームページに、この本の内容が載せられています。『ドニー・ダーコ』の物語を完全理解するために不可欠な「タイムトラベルの哲学」について見てみましょう!

プライマリー・ユニバースとタンジェント・ユニバース

『タイムトラベルの哲学』によると、「時間」は通常規則正しく流れ、プライマリー・ユニバース(主宇宙)で時間に何らかのねじれが起きることは珍しいことであるとあります。つまり、時間が遡ったり、逆に早まったりすることはあまりありません。 しかしながら、主宇宙で時間の次元になんらかの事故があった場合には、主宇宙のコピーであるタンジェント・ユニバース(接宇宙)が誕生すると本で説明されています。そして、接宇宙は不安定なため、数週間後には崩壊する運命にあるというのです。

アーティファクトとリビングレシーバー

「タイムトラベルの哲学」によると、タンジェント・ユニバースの誕生によって生み出される副産物、アーティファクトの存在が、タイムトラベルの始まりです。アーティファクトは金属で出来たオブジェクトで、このアーティファクトが本来の主宇宙に送られるまで、接宇宙は時間のリセットを繰り返すことになります。 また、接宇宙が作られる時、リビングレシーバーと呼ばれる、アーティファクトを主宇宙に返す役割を持った人物が決められ、夢やビジョンを見始めると本に記されています。

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マニピュレイテッド・デッド

「タイムトラベルの哲学」には、接宇宙で死んでしまった人々がマニピュレイテッド・デッドとなり、リビング・レシーバーよりも強力な力を持つとあります。リビング・レシーバーを操り、アーティファクトが確実に主宇宙へ返されるように導くのが、マニピュレイテッド・デッドの役割です。

【ネタバレ】一体本編で何が起きているのか?フランクとは?

「タイムトラベルの哲学」の内容を映画と照らし合わせてみたいと思います! 映画『ドニーダーコ』の冒頭では、出現元不明のジェットエンジンが落ちてきます。この金属で出来たエンジンは、接宇宙が造られたことを示すアーティファクトです。リビング・レシーバーに選ばれたドニーは、銀色のウサギのビジョンを見始めます。 銀色のウサギの正体は、ハロウィンの仮装をしたエリザベスの恋人、フランクでした。恋人のグレッチェンの死で混乱したドニーがフランクを打ち殺したことで、フランクはマニピュレイテッド・デッドとなります。 銀色のウサギ、フランクに導かれるまま、ドニーは水浸し事件と放火事件を起こしました。水浸し事件で学校が休みになったことで、ドニーはグレッチェンに出会います。恋人同士となりますが、グレッチェンは死んでしまいます。 また、放火事件によりカニンガムの児童ポルノが見つかり、彼の同僚キティの代わりに、ドニーの母親がダンス大会の引率に選ばれます。これによって、妹サマンサと母親が墜落する飛行機に乗り合わせることとなってしまうのです。

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ドニーの超能力が分かるシーン

「タイムトラベルの哲学」によると、リビングレシーバーは4次元のパワーを授かります。そのパワーとは、超人的な力、テレキネシス、マインドコントロール、そして火と水を操る力です。ダニーは、この4つの力を映画の中で使っており、ダニーがリビングレシーバーであることを証明しています。 普通簡単に貫通することの出来ない学校の銅像に突き刺さった斧は、ダニーが超人的な力を手にした証拠です。学校を水浸しにしたり、カニングハムの家に放火した時に、ダニーは水や火を操る能力を使いました。そしてラストで、ドニーは念力で物を動かすことの出来るテレキネシスを使い、ジェットエンジンを飛行機から取り外します。

なぜタイムトラベルは起きたのか?未来人の存在。

「タイムトラベルの哲学」によってどのようにタイムループが起きるのかがわかりました。しかし、何故、ジェットエンジンをアーティファクトとして、タイムループは起きたのでしょうか? なんと『ドニー・ダーコ』のディレクターズカット版では、付属しているナレーションで未来人の存在が明かされています!この未来人によって、接宇宙が作られた後、この主宇宙へと軸を戻そうとドニーに超能力を与えたり、フランクにドニーを導かせたりしていたのです。

ドニーが導かれたラスト

ドニーが、ジェットエンジンを主宇宙に返し、接宇宙のタイムループを終わらせることが、未来人の目的です。ドニーが接宇宙のループを抜け出そう思えるシナリオを作り出すために、恋人と家族の死をドニーに経験させます。 ジェットエンジンを主宇宙に戻すかは、ドニーの決断にかかっていますが、グレッチェンや母親、そして妹のサマンサを救うことをドニーは決断します。アーティファクトのジェットエンジンをワームループを通して主宇宙へと送り込むドニー。そして、主宇宙の10月2日に無事に戻ったドニーは、家族や恋人を救えた幸せな気持ちで人生を終えることを選びます。 ラストシーンでは、接宇宙で関係のあった人々が、夢から目覚め、混乱したような様子を観ることが出来ます。ゲイリー・ジュールスによる『マッド・ワールド』の曲にのせながら、目を打たれたフランクが目を確認していたり、カニンガムが泣いていたりと、多くの人が接宇宙での出来事を覚えている事が分かります。

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映画『ドニー・ダーコ』見終えたあとは『ドニー・ダーコ2』を!

いかがでしょうか?複雑なあらすじと想像の上を行く設定で、『ドニー・ダーコ』は2度、3度見れてしまう作品と言えそうです。 映画『ドニー・ダーコ』のを完全理解した後には、テーマにぴったりの名曲が詰まったサウンドトラックに耳を傾け、映画の余韻に浸るも良し、2009年公開の続編『ドニー・ダーコ2』で、更なる謎解きに挑戦するも良しですね!