2018年6月29日更新

ノーラン監督作『プレステージ』をネタバレありで解説!人気マジシャン2人が迎える衝撃のラスト

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『プレステージ』2006
© Newmarket Films/zetaimage

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『プレステージ』、クリストファー・ノーランの難解映画を解説!

19世紀、イギリスの2人の人気マジシャンの騙し合いを描いたミステリー作品『プレステージ』は、『メメント』で知られるクリストファー・ノーラン監督の傑作とも言われました。 数々の伏線とバラバラの時系列で語られるストーリーが話題を呼び、難解と言われています。

予告編で何度も使われた言葉、「トリック」を明かしていく

天才パフォーマーのグレート・ダントンことアンジャーと、複雑なトリックを生み出すことに力を注いでいるTHEプロフェッサーことボーデンが鬩ぎ合う『プレステージ』の130分全てが「トリック」であるという予告編では紹介されています。その言葉通り、『プレステージ』は、細かな台詞や小さな表情にまで注目して見たい映画です。 『プレステージ』に登場する「トリック」を解き明かしながら考察していきます! 予告編で強調された、2人のマジシャン、アンジャーとボーデンの「トリック」と衝撃の結末を考察します!

マジックショーのラストパート、マジシャンのプレステージとは

プレステージとは、マジックショーにおけるラストパートのことを言い、プレッジ、ターン、プレステージの3つのパートがマジックを完結させるとします。 プレッジと呼ばれる確認の段階では、マジシャンが使うものに種がないことを見せ、次のターンと呼ばれる展開の段階では、何かトリックを行い、物を変化させることで観客を惹き付けます。そして、ラストパートであるプレステージは偉業の段階であり、変化させた物を元の状態に戻します。 映画『プレステージ』では、マジシャンの2人がトリックを暴き合い、邪魔をしながら最高のマジックを成功させようとします。しかし、憎悪が行き過ぎた2人の行動は、お互いの不幸を招く結果となってしまうのです。

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ネタバレ注意!『プレステージ』のあらすじ

腕を競い合っている凄腕のマジシャン、アンジャーとボーデン。2人は、修行時代からお互いを高め合う良きライバルでありましたが、アンジャーの妻でマジックの助手であったジュリアの死亡事故の原因を引き起こした為に憎悪を向ける対戦相手へと変わっていきます。 そんな中、ボーデンの瞬間移動のマジックの種を見抜けないアンジャーは、テスラという科学者にコピー装置を開発させます。自らをコピーし続けながら、完璧な演出で観客を虜にしたアンジャーの瞬間移動マジックは、ボーデンの人気を奪い始めます。 トリックを暴こうとするボーデンはアンジャーの舞台裏に忍び込みますが、罠に嵌り、アンジャー殺しで死刑となってしまうのです。アンジャーは、コールドロウ卿として、ボーデンの前に現れ、勝利を告げます。しかし、ボーデンは、実は双子であったため、もう一人のボーデンが復讐にアンジャーを撃ち殺すのでした。

アンジャーの瞬間移動の「トリック」

アンジャーは、ボーデンに妻を殺され、復讐の鬼となってしまいました。人や物をコピーすることのできる機械を手に入れ、完璧なマジックで観客を惹きつけても、アンジャーはボーデンへの復讐をあきらめませんでした。そこで、アンジャーが考え出したのが、ボーデンをアンジャー自身の殺害容疑で逮捕させることだったのです。 アンジャーは、瞬間移動のマジックを行い、自殺を繰り返していました。機械によってコピーされたもう一人のアンジャーは舞台で、マジックの3つ目のパート「プレステージ」を披露し次の瞬間移動のマジックで自殺する、を繰り返します。ボーデンが舞台裏に現れ、アンジャー殺害疑惑で逮捕されるまで、アンジャーの自殺は続いていく運命にありました。 ボーデンが妻を殺したように、水槽で水死という方法でアンジャーは、ボーデンを死刑にすることに成功するのです。

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ボーデンの瞬間移動の「トリック」

ボーデンを死刑にし、彼の娘ジェスにまで手をかけようとするアンジャーは、ボーデンに撃たれ死んでしまいます。ボーデンは双子で、瞬間移動のトリックは見た目の同じ2人がトリックなのでした。普段から2人のボーデンは、それぞれが、時にはボーデンとして、また別の時にはファロンとして生活していたのでした。 そして、双子の2人は、サラとオリヴィアをそれぞれ愛しています。サラは、ボーデンが双子であることを知らず、オリヴィアを愛する方のボーデンに冷くされ、浮気を疑い自殺してしまったのでした。 絞首刑になった、オリヴィアを愛するボーデンが、サラを愛する方のボーデンに謝るシーンがあります。そして、サラを失ったボーデンは彼等の娘であるジェスを引き取ろうとするアンジャーを撃ち殺すのです。

結び方を覚えていないのは、ボーデンが2人いる伏線

ボーデンは全く同じ見た目を持つ2人の双子でしたが、性格は大きく違っていました。オリヴィアを愛するボーデンは、マジックに真剣で、過去にアンジャーの妻を縛るロープを二重結びにしてしまい、彼女を死なせてしまいます。 完璧なアンジャーの瞬間移動のトリックを暴こうと深追いしたこちらのボーデンが罠にはまり、絞首刑となったのでした。アンジャーが、縛り方を聞いた時に、聞かれたボーデンがサラを愛した方のボーデンであったため、”覚えていない”と答えたのです。 事故で失ったボーデンの指の傷が新しかったことなどから、2人が双子であることが示唆されています。ボーデン達は、完璧に一人の人間を演じるために、指を切断したり、妻のサラにまで事情を話さずに生活していました。

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『プレステージ』のラストの意味とカッターの役割

娘を引き取る予定にあるコールドロウ卿ことアンジャーは、ボーデンを呼出し、彼の娘のジェスについて”大事な者を奪われる辛さは知っている、君が連れては行けまい”と伝えました。これは、ジェスを殺すという意味であり、これによりボーデンはアンジャー殺しを決意したと思われます。 そして、今までアンジャーとボーデンの戦いを見てきたカッターが、彼等の戦いの結末を見届けることとなりました。しかし、勝利したはずのボーデンも多くを失い、本当の勝利と言えるのかが問われる結末となっています。